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2023年5月5日金曜日

忘れられつつある岸田総理の襲撃事件犯人

 まだ発生から1ヶ月もしてないですが、和歌山県での岸田総理を狙った襲撃事件についてもはや誰も話題にしなくなっています。まぁぶっちゃけ、ホームランが飛び交った今日の神宮花火大会の方が歴史的にも重要だと私も思いますが。

 同じ政治要人を狙った襲撃事件でも、去年夏の安部元総理の事件とはその後の反響が大きく違うと感じます。もちろん安部元総理の事件では襲撃が成功し狙われた安部元総理が亡くなったのに対し、今年の岸田総理の事件では幸いにも誰一人死傷者が出なかったという点で大きな違いがありますが、それ以上に反響の分かれ目となったのはやはり襲撃者が持つ大義の差にあると感じます。

 襲撃そのものを支持するつもりは全くありませんが、安部元総理の事件に関して犯人ははっきりと統一教会の問題が動機だと述べており、その問題に翻弄された家庭環境などについても後に報じられています。その内容を見た私としては以前にも述べていますが、仮に犯人と同じ立場であればこうした襲撃を企図しなかったか、企図しないまでも実際に統一教会に便宜を図っていたと言える安部元総理に憎悪を抱かなかったかと言えば、そうならないと言い切る自信はありません。
 実際に犯人の境遇に同情心を感じた人は少なくなく、その裁判に対する献金額も相当な額が集まったと聞きます。また事件後の自民党内における統一教会関係者への近すぎる距離に関しては非難も集まり、関連議員らも関係を断つと表明せざるを得なくなるなど、実際に政治的にも社会的にも大きな問題でありながら誰も切り込まなかった点、というより切り込めなかった点に犯人は食い込んだと言えなくもないです。その襲撃は政治目的ではなかったにしろ、皮肉ながら日本の大きな政治的欠陥を是正するきっかけになっています。

 そうした、ある意味で日本の暗部に切り込んだ安部元総理襲撃事件の犯人に対し、岸田総理襲撃事件の犯人に関しては、その襲撃に関して何の大義というか共感も覚えません。報道ベースではいまだこの犯人の動機について報じられていませんが、これは動機に対する憶測や下手な共感が広がることを防ぐためという政治的な報道規制が行われているとの声も出ているものの、単純に誰も興味持ってないという方がより実態に近い気がします。
 事件直後の報道によるとこの犯人は選挙出馬年齢の下限に対して不満を持っており、わざわざ裁判を起こしてまで改正しろと主張していたそうですが、時間が経てば誰でも年齢条件クリアできる点で平等だというのに、こうした主張をするあたりでまともな人物とは到底思えません。実際に事件前の怪しい行動をよくとっていたとのことで、単純にまともな判断力を持たないおかしな人物がおかしな行動に出たという風にしか、この事件については見えません。少なくとも「人を殺すに足る」理由をこの犯人は確実に持っていないでしょう。

 そういう意味では大義とまでは言わなくても、行動に周囲の人も納得するだけの動機があるなら世の中もその行動や犯人の人物像に関心を持つのに対し、そうしたものが一切なく、ただ自分の不満を他人にぶつけようとするだけの浅い価値観の人間に対しては誰も興味を抱かないし、支持もしないのだなというのが両事件の一番大きな差に見えます。以前の記者時代に当時の編集長が革命なり大衆運動なり起こすに当たっては、みんながそりゃそうだと思うような大義がなければ決して成功もしなければ続きもしないと語り、大義なき行動というのは絶対に失敗すると言っていたのを思い出します。

 襲撃や暗殺に大義はあるのかと言えば、少なくともなければその行為は後に否定され、暗殺され側を逆に盛り上げることになるという風に思います。現実にあの事件から岸田政権の支持率は株価みたく反発上昇トレンドを取るようになり、もし今年総選挙が起きて自民党が勝利したらその最大功労者は襲撃事件の犯人とかになりそうです。
 っていうかあの事件以降、若干政権と距離を置き始めていた菅元総理が急に静かになったし。

 以上から、少なくとも大義がないのなら暗殺とか襲撃はやるだけ無駄だし逆効果になるからみんなやめなよというのが自分の意見です。まぁ大義があるならやっていいってわけじゃないですが、大義があるなら実力行使に出る前にもうちょい世論に訴えかけるところから始めてもらいたいものです。

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