現状の報道を見る限り、ワグネルが反乱を起こし、ロシア軍の軍事施設を占拠したというのはもはや間違い用のない事実です。トップのプリコジンに至ってはかねてからロシア正規軍との折り合いは悪かったですが、今回は「プーチンは間違っている」とはっきりとプーチン政権に異を唱えており、軍同士の内輪揉めではなく、政権に対する反乱に至ったともはや見ていいと思えます。
この反乱について自分が気になった点は二点で、一つは今後のウクライナ軍の動向です。
ワグネルとは文字通り命を奪い合った関係でもあることから、ウクライナがワグネルに対し協力姿勢を取ることはほぼないと私は思っています。ただこのロシア国内で起きた反乱の動きに合わせ、現在進行形のクリミア奪還を目指した反攻がどう動くのか、進軍を早めるのか、それともあえて静観してロシア軍の動きを見極めるのか。今後のウクライナ軍の動きがどうなるかがまず気になります。
二点目は、プリコジンの後ろ盾に米国はいるのかという点です。
プリコジンは「ロシアのため」に反旗を翻したと主張していますが、果たしてこの言葉通りに受け止められるかといったらそうでもないでしょう。報道ベースではロシア人らしくかなり強欲な人物のようで、自分の得にならないことは絶対やらないそうな人であるだけに、彼が反乱を起こすに至った動機、そして勝算に対する考察こそがこの動きを読む上で特に重要だと思います。
考えられる背景としては、かねてからワグネルはロシア正規軍への編入を求められていたというか命令されていたようで、これに対しプリコジンが実験を奪われると危惧した、または自らの命の危険性を感じ、やられる前にやってやれ的に反乱を起こした……というのが素人目からした見方です。
以上の背景を前提に、反乱を起こしても失敗すればただ死ぬだけなだけに、一体どこに勝算を感じたのかという点で、真っ先に浮かんだのが米国の後ろ盾です。反乱が成功した場合、米国はプリコジンに協力すると密約があるのであれば、こうして反乱を起こすに足る勝算が得られるのではないかと思えるのですが、実際に所はもちろんどうだかわかりません。また仮にそうした密約があったとしても、ロシア国内の支持を失う可能性が高いだけに、プリコジンも米国もその事実を明かすことはないでしょう。
もっとも米国の後ろ盾がないとしても、軍部内での軍中央への不満を感じ取った、反乱に同調する勢力が軍内部にいたなどの要素があれば、十分に反乱に踏み切ることができます。もしかしたら、破れかぶれ的に失敗を覚悟で踏み切ったということも十分に考えられますが、やはりカギはほかのロシア軍部隊がワグネルに同調するか否かになってくるでしょう。
それにしてもまさかここでこんな展開が起きるとは、自分なんて可能性すら一顧だにしていませんでした。事実は小説よりも奇なりというか、この展開を予想していた人がいたらマジ孔明でしょう。
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