しばらく考えた後、パソコンに向かっている最中は胡坐をかきながら布団を体に巻き付けて、百人一首に描かれている坊主みたいな住職スタイルで体はぽかぽかだったものの、頭部がむき出しだったため、頭部だけ冷えて頭痛を起こしたのではないかと分析しました。相変わらず部屋の中では一切暖房をつけず、室温も10度を切っており、何も動かず頭部だけさらしているだけでこうなるのかとちょっと驚き、対策として今日に毛糸の帽子買ってきて今部屋の中で被っています。
それで本題ですが、クリスマスを目前に控えた先日に農水省がXで「シャケを食え」という謎のアピールをしました。もっとも背景を知っている人間には謎でもなんでもなく、これは2018年に放映された「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」に出てきたシャケの怪人サモーン・シャケキスタンチンが元ネタです。その登場回は今Youtubeで無料公開されているので自分も見てきましたが、「クリスマスにはチキンを食べずにシャケを食え」という猛烈なアピールが凄まじく、放映当初より伝説となったというのうなずける内容でした。
っていうか手に持っている焼き鳥をシャケにすり替えるシーンがいちいち笑える。
今年に限らず去年もやっていましたが、農水省はこのサモーン・シャケキスタンチンをクリスマスに引用して「もっとシャケ食べよう」というPRを毎年、しかもこのクリスマスシーズンにやっています。自分もおととしくらいにこの騒動を知り、今年も同じPRが行われたと聞いてなんか影響されたのか、クリスマスイブの昨夜はシャケの切り身を頭痛をこらえつつ家で焼いて食べていました。
クリスマスのシャケに限らず、農水省は6月10日のところてんの日においても、上記記事に出報じられたようなXを使ったPRを行っています。これもわかる人にはわかりますが、「ボボボーボ・ボーボボ」という漫画兼アニメに出てくる、ところ天の助というキャラクターを暗示させる「ぬ」のハンカチを画像として投稿しています。案の定というか見た人はすべて悟り、「農水省はハジケリストだった」などとボーボボネタで湧きあがりました。
上のtogetterのコメントにも書かれていますが、この6月10日のツイートでは一言も「ボーボボ」や「ところ天の助」とは言っていないものの、ただ「ぬ」のハンカチを出すだけでボーボボネタだと連想させ、バズらせることに成功しています。このさりげないというかあざといというか微妙ですが、はっきり言及させずに連想させることで見た人の反応を膨らませる、なおかつところてんアピールにもしっかりつなげている点で、この広報のやり方は非常にうまいなと感心させられます。
なお中の人インタビューで「僕らの世代でところてんと言ったら...、もう『アレ』ですもんねぇ」と語っていますが、自分の世代でも同じことが言えます。っていうか、地味にボーボボ(中国語タイトルは「鼻毛真拳」)の中で一番好きなキャラクターで、その影響からかWeChatの自己紹介欄も「ぬ」としか書いてません(マジで)。
話を戻しますが、最初のクリスマスシャケでもこうして好意的にかつ大きな反応を得ているあたり、IT方面で見ていて大丈夫かと思う官庁の中でも、農水省はXをはじめとするITツールの使い方が地味にうまいと感じます。はっきり言えば、私は省庁の中でも厚生労働省と農水省がワースト2といえるくらい不祥事が多く、問題の多い省庁で無能の集まりとみなしていましたが、ことITの利用に関する点では、農水省が目を見張る力を発揮しているように見えます。
・農水省が4月中にも中央省庁初のChatGPT利用、先陣切って実際の業務で使うワケ(日経クロステック)
などということを友人に話したところ、上の記事を紹介してもらいました。この記事内容は今まで知らなかったのですが、農水省内にこうした方面に明るい人がいるのか、最新ITツールの使用にも本当に積極的であるような気がします。その優秀さを、高級品種の保護とか花粉症対策などにもっと使ってくれればという気もしないでもないですが、なんかこの際だしデジタル庁も農水省の中に置いたらいいんじゃないのとすら思え、何はともあれ農水省にはこのノリを維持していってもらいたいです。
最後に補足として、官庁が広報で民間のエンタメ作品を使うと失敗することの方が多い気がします。比較的覚えているものだと「宇崎ちゃん献血ポスター」がありますが、このポスターはまぁ批判する方も内心どうかなと思うものの、若干空気を読み間違ったり、変なアピールの仕方をしてその作品のファンから反発食らったりすることが多いように見えるのですが、上記の通り農水省はきちんとファンのノリというか空気を読み、彼らを盛り上げるような感じで広報に利用しているというのは素直に評価できます。
っていうか航空自衛隊も、エリア88とか使えばいいのに。
農水省の広報が上手くいってるのは、若手に任せた上でちゃんとコントロールしてるところなんですよね。任せっきりだといつかやらかすし、かといって偉い人に諮るとつまらないものにしかならないんですが、博報堂から出向した人がかなり変えたようです。その人が全部やるのではなく、既存の職員を使って省庁のやりたいことから遠ざからない範囲で話題性を出すというのは相当な力量だと思いますね。
返信削除まさか博報堂の影があったとは知りませんでした。ただそうだとすると、よほどしっかりした指導をしていったんだと推察されます。
返信削除>その人が全部やるのではなく、既存の職員を使って省庁のやりたいことから遠ざからない範囲で話題性を出す
リンク張った記事にも書かれてありますが、ところ天の助ツイートでは企画者が上司へA4で「ぷるぷる神拳」について解説しに行ったと書かれてあり、実行に移す前の諸運プロセスがしっかりしていると感心しました。こうしたプロセスを経て過激な企画に走る独りよがりな案などは淘汰され、きちんと万人に受け容れられる広報が行えているように思え、つくづく農水省の発信力には頭が下がります。