ページ

2024年1月6日土曜日

中国のネットローンの問題性

【官製アプリ開発の実態】新型コロナ接触確認アプリCOCOAはなぜパッとしなかったのか?(ロボティア)

 配信自体は去年でしたが紹介してなかったので、遅ればせながらこちらの記事をこの前書いて載せました。失敗プロジェクトとして2回連続で官製IT案件を取り上げましたが、変に分けるより2回連続でこの手の話をやった方がいいのかなという思惑からで、明日書く予定の記事ではソフトウェアではなくハード案件にするつもりです。

 それで話は本題ですが、大体2年くらい前に上海人の友人から、「最近中国ではスマホなどで利用するネットローンが急拡大し、返済に困る人が増えているなど大問題になっている」といわれ、この問題をぜひJBpressで記事化すべきだと言ってきました。ただこの友人に対し私は、日本のサラ金のほうが大手を振ってやっているのに比べると中国のネットローンはそこまで深刻だとは思えないとして、この友人の提案を断り、結局記事化しませんでした。

 そんな感じで数年の時を超えた現在、昨日にちょっと中国人の同僚に大学時代の生活について尋ねたところ、このネットローンの話が少し出てきました。というのも、親の仕送りに満足できない子が一部使っていたという話だったのですが、これを聞いてようやく自分もこのネットローンの問題点に気が付くことができました。

 知ってる人には早いのですが、中国の大学生は基本アルバイトをしません。しないというよりできないに近く、学生アルバイトを募集する企業や商店がほとんどないためです。その理由は何故かというと日本ほど中国の学生は自由な時間が多くないというのもありますが、中国の場合だとフルタイムの労働者もその辺にたくさんおり、パートタイマーを雇うくらいならフルタイマーを雇った方が店の側にとって都合がいいため、アルバイトをいちいち募集しないという背景があります。
 そのため、中国の学生の収入は基本的に親の仕送りと奨学金頼みとなり、家賃なんかは基本的に大学の中に寮があるので比較的安く抑えられるものの、食費や生活費は全部親の采配次第となります。

 さて、そんな中国人の大学生がネットローンを使ったらどうなるのか。恐らく使うとしても大半の人は「どうしても欲しいものがあるから今月使って、来月の仕送りから返済しよう」的に、消費の繰り上げ的に使うと思います。しかしある意味で最も消費意欲が高い年代ともいえることを考えると、消費能力を超えて、具体的には月1000元(約2万円)しか仕送りがないのに5000元(約10万円)を借りてiPhone買ったりした場合、果たしてその後に返済できるかとなるとだんだん怪しくなります。

 日本であれば仕送り以上にお金を借りたとしても、アルバイトの時間を増やしたりするなどして収入を増やすことにより返済に至ることができますが、中国だとアルバイトによって収入を増やすことはそもそもできません。そう考えると、何かの拍子に消費能力を超えた融資を受けてしまうと、親や友人に泣きつくしか中国人の大学生はできなくなります。

 以上を踏まえると、中国の大学生は消費意欲が満々ながら収入が制限されているため、こうしたネットローンはかなり危険な果実なのではないかという見方がもたげてきました。しかもこのネットローン、本当にスマホ一つですぐに契約できたりするので、親の目が届きづらい点もあります。
 実際、ものすごい金額を借りて首が回らなくなる若者増えてきているといいます。特に中国なんか高校までの勉強がものすごい厳しくて大学デビューする若者も多いと聞くだけに、見ていて危うさしか感じません。

 以上を踏まえると、18歳以上という条件だけでこの手のネットローンを使わせるのは、中国だとかなり危険であるような気がします。実際に就労しているなら話は別ですが、扶養されている学生の間であれば親の承認が必要とするなどの対策が、中国だと必要であるような気がします。

 なお中国人の友人はネットローンは金利も高いと話しており、先ほど調べてみると5%から20%台まであり、確かにこれは中国の市場金利と比べても高めな印象があります。なお日本のサラ金の金利は18%など10%台後半に集中しており、これと比較すると確かに高いでしょう。

 ちなみに自分はサラ金などの消費者融資はこれまで一切利用したことがありません。そんなに消費しない、っていうか生活費以外には漫画とゲームとプラモにしか使わないため貯金はたまっていく一方なため縁がないのですが、高額のために1回くらいは利用してもよかったような気がします。

 最後に余談ですが、前述の通りに中国の大学生は親の仕送りに頼る生活をしているため、人によっては非常につつましい生活を送っており、贅沢をかなり我慢しなければなりません。自分の友人の中国人も2000年代前半に学生だった頃、仕送りは月400元でその中で食費などの費用を賄っていたのですが、「どうしても我慢できなかった……」といい、ある日イージスガンダムのプラモを月の仕送りの半分に相当する200元で購入するという賭けに出たそうです。
 これを聞き、日本人からすればちょっとした消費に思えるガンプラが、当時の中国の若者にとっては生活を犠牲にして初めて得られる高価な贅沢だったということを知り、なんかすごい衝撃を受けました(;´・ω・)

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。