前にも書いたように、中国では同性愛とか幽霊が出てくる映画は非科学的だとして検閲で排除する傾向にあるのですが、何故だか宇宙人に対してはやたら寛容で、検閲とかでも「宇宙人ならOK(´・ω・)」として通すことが多いそうです。なのでこの「エイリアン・ロムルス」も中国では問題なく検閲をパスしたのではないかと密かに考えています。
さてこの映画、日本ではまだ公開されていないとのことですが端的に言って面白かったです。内容はエイリアン1とエイリアン2の間の時代設定で、エイリアン1でエイリアンが出てきた星が植民星となってそこで働いている人が主人公らパーティとなります。エイリアンに襲われる舞台は放棄された巨大宇宙船で、舞台といい逃げ方といい、エイリアン1に非常に近いものとなっていました。
またエイリアンにお馴染みの要素ももれなく出てきます。フェイスハガーはもちろんのこと、アンドロイドや揺れる椅子など、往年の回顧ファンからしたらどれも懐かしさを感じるとともに「わかっとるやんけ」と納得させられるオマージュ要素が盛りだくさんでした。
ストーリーもエイリアン1のように閉じ込められた宇宙船の中でいかにエイリアンの襲撃から逃げつつ脱出するとかというもので、最近のCGを使ってエイリアンを画面狭しと大量に出すわけでもなく、きちんと場面を選んで登場し、むやみにセールのようにばらまかないことできちんと恐怖感を出す見せ方は見事だと感じました。
それ以上に、単純に俳優の演技が非常に良かったです。主演のケイリー・スピーニーは往年のシガニー・ウィーバーに負けず劣らずの体当たりぶりを見せ、脇を固める俳優らもいかにもティーンエージャーっぽい探索者を演じていました。ただこうした俳優陣の中で群を抜いてよかったのは、アンドロイド役を演じていたデヴィッド・ジョンソンでした。
脚本や演出の力と見ることもできますが、最初はとっぽいものの慈愛に満ちた視線を見せながらも、途中でバージョンアップするや機敏で冷静な判断を下す冷徹なアンドロイドへと変貌し、その作中における演じ分けの見事さが他の俳優を一線を画すレベルで非常に高いものありました。もしターミネーターで新作を作るなら、彼に敵役のターミネーター役を演じさせるのがいいのではないかと個人的に思います。
唯一ケチをつけると、中国版のタイトルは「異形:奪命艦」となっていることです。今回の舞台となる宇宙船の区画名が「ロムルス」なのですが、「奪命艦」だと全くその名残がありません。この「ロムルス」という単語は暗に今回のエイリアンを指し示すワードとなるだけに、もう少し中国語版タイトルはどうにかできなかったものかと思いやられます。
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