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2025年6月10日火曜日

ダウンロードコンテンツ商法の全盛期で且つゲームがつまらなかったPS3時代

 以前コメントでPS3時代、具体的には2010年前後の頃のゲームは後年に名作と語り継がれるゲームがほかの時代に比べ少ないという指摘があったのですが、これには深く納得というかいい歳こいて延々とゲームをしている私ですらも、この時代はマジでゲームが楽しめずゲームを卒業しかけていました。時代を経てPS4時代こと2015年くらいに入ってくるとまたゲームが楽しくなって今に至るのですが、今思い起こしても確かにPS3時代はやたらゲームが面白くなく、単純につまらないゲームが多すぎた時代だったという気がしてなりません。

 以前の記事でも書きましたが、この頃はグラフィックに傾注した欧米系のゲームタイトルに日系は押され気味で、「日本向けのゲームは海外市場には売れないだろう」という見込みの元、日系メーカーでは海外向けタイトルと日本国内向けタイトルを明確に分けて、日本のゲームがガラパゴス化しかけていました。そうやって日本国内向けに作ったタイトルも残念ながら日本人に受けるほど面白くないというかつまらない作品が多かったので、単純にこの頃海外で売れなかったのは当時作られたゲームが駄作ばかりだったのが理由だと考えています。

 では何故この頃に駄作が氾濫したのか。細かい点を挙げると切りがないですが、地味に大きなマイナス点だったのはこの頃がまさに全盛期だったダウンロードコンテンツ商法が原因じゃないかと睨んでいます。

 ダウンロードコンテンツとは説明するまでもないですが、ゲーム本体とは別にゲーム内で使えるアイテムや追加要素を別売りし、購入者はダウンロードしてそれをゲームに反映させるおまけ要素みたいなものです。ソシャゲなどでのくじ引き券的要素のアイテムもダウンロードコンテンツの一種で、現在のゲーム業界においては収益を稼ぐ重要、っていうか最重要手段となっています。
 そのダウンロードコンテンツ、歴史を紐解くと日本では「アイドルマスター」の特別衣装販売が最初のヒットだったとされており、これが思わぬ収益を叩き出したことからバンダイナムコが特にこのダウンロードコンテンツ商法に執心していくこととなります。どれくらい執心していたかというと、ガンダムのゲームなのにダウンロードコンテンツを買わないとガンダムが使えない作品(PS3の「ガンダム戦記」)すら出していたほどです。

 バンナムに限らず、PS3時代はどのメーカーも増収手段としてこのダウンロードコンテンツに異常なほど力を入れており、まじめにこの頃はゲーム本体よりも一定量のダウンロードコンテンツの方が金額が高くなるというタイトルも珍しくありませんでした。またダウンロードコンテンツと言いながら、データ自体は初めからゲーム本体に内蔵されており、オンラインでお金を払うことで使えるようになるアンロック方式も、この頃は非常によく採用されていました。まぁこれ今でも珍しくないけど。

 そのダウンロードコンテンツですが、特別衣装とかエクストラステージとかならまだわかるものの、中にはセーブ個所の数とかあると非常に便利なコマンドやワープ手段、オンライン対戦機能なと、ゲームの進行に必要だったりユーザビリティに大きく影響するシステム要素すら切り売りされる事例まで当たり前にありました。また「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」のように、お金を払わないとゲーム内コンテンツを満足に遊べないという、フルプライスのゲームなのにさらに金をむしり取ろうとするような、商業倫理的にもかなりイカれた作品まで出るほど世紀末でした。

 当然ながらユーザーの反発も当時は凄まじく、この時代のクソゲーと呼ばれた作品は多かれ少なかれこの手のダウンロードコンテンツ商法による反発やヘイトを受けて評価を落としていると思います。当初はそんなユーザーの声を気にせずこうしたあこぎな商法を続けていたメーカーですが、徐々に逆効果だと気づいてきたのか、現代においてもダウンロードコンテンツの販売は珍しくはないものの、かつてほどメインコンテンツに差し障るような露骨な売り方は鳴りを潜め、「買いたいと思う人が買えばいい」ようなおまけ要素にとどまるようになってきています。
 また金額もPS3時代と比べてかなり抑えられており、かつては千円以上がざらでしたが最近は数百円程度で「それなら払ったろやないかい」と思えるくらいの値段が多くなってる気がします。

 それで話を戻すと、なんか当時のゲームは全体的にダウンロードコンテンツを売りつけるため、敢えてゲームを不完全な状態でリリースする例が多かった気がします。あとでダウンロードコンテンツとして出すためゲーム内で、「まだこの施設は利用できないようだ」、「しかるべき時期が来たら、私もともに戦おう」などと表示してプレイを制限するなどプレイヤーをわざと苛つかせる所業を繰り返し、結果的にユーザーの満足度を極限まで下げていたゲームが本当に多かったです。
 またそのように敢えて不完全な状態で発売することを前提に開発するもんだからか、なんか全体としてゲームの完成度もこの頃は極端に低かった気がします。非の打ちどころのないゲームを作るより、後で課金させるために非の打ちどころ(=不便さ)が満載なゲームを敢えて作ろうという姿勢で、いいゲームなんて作れるわけないというか自明です。こうした開発方針のため、ゲームとしての面白さがどんどんスポイルされ、駄作が量産されていったのではないかとみています。

 そりゃ「いいゲームを作ろう!」と考えて作ってる人たちに比べりゃ、金稼ぎのためつぎはぎみたいなゲームを作ろうとするやつがいいものを作れるわけないでしょうに。

 言いたいことをまとめると、ダウンロードコンテンツ商法を念頭にゲームを開発していたことで、面白さがスポイルされたつまらないゲームを量産していたのがPS3時代であり、あの時代に駄作が多かったのはダウンロードコンテンツ商法が大きく影響しているというのが私の見方です。
 あのころに比べたら最近のゲームは本当に面白いものが増えたし、ダウンロードコンテンツも「買わされる」というより「こっちから買いたい」と思うものが本当に増え、実際買うことも増えて私個人の満足度も高いです。当時、日本のゲーム開発者は欧米のゲームに負けていたことを技術や予算の差と言い訳してましたが、ゲーム開発者の儲けに対する不埒な姿勢こそが日本のゲームが当時凋落していた本当の原因だったと私には思えます。

2 件のコメント:

  1. この頃のゲーム会社には、儲かりさえすればユーザーなどどうでも良いという考え方が広まっていたような気がします。スクエニ、バンナム、コナミなど企業の再編が進んで大企業化した頃と重なってるので、ゲームに理解のない経営層が多かったことも背景にあるんだろうなと思います。
    その後テレビゲームが男子の共通言語になった初代ファミコン世代が経営の中心になって、マシになってきたのかもしれません。

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    1.  いや全くというか、日系企業自体がそもそも顧客満足度をかなり軽視する傾向にありますが、この頃のゲーム会社はわざと満足度を下げるような行為や発言を繰り返しており、かなり異常な経営が行われていた時代だった気がします。
       逆に最近はロマサガ2のリメイクなど作品に深い愛を持って作られていると感じる作品が増え、DLCも程よい値段でいいコンテンツを配信するようになって、ユーザーとの距離感がいい具合になってきています。同人ゲームとかもユーザーの声を反映すること多いし。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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