さてまた飽きもせず中国ネタです。もはやカテゴリーを作ってもいいくらいだな。
現在、向こうではチベットの人権問題について非難し、北京五輪開会式ボイコットを匂わせているフランスに対してあてつけとばかりに、フランス系スーパーのカルフールが現地で不買運動に遭っているようです。
なおこの不買運動が行われているとしてテレビなどで報道される際、私が確認する限りどうも武漢しか映されていないように見えます。この場所はかつて2004年にサッカーアジアカップが行われた場所で、その際のジャパンパッシングが大きく取り上げられた事によって、この年から急激に日本人の中国に対する親近感が内閣府の「外交に対する意識調査」によると激減しています。
それくらい武漢は反骨心が強い場所と言われ、この不買運動もそういったものが影響しているのかもしれません。しかし日本のマスコミを見ていてどうかと思うのは、恐らく北京や上海のカルフール(私が北京にいた2005年は人の入りも多くて大人気だった)ではこのような問題は起こっていないと思うのですが、不買運動が起こっている武漢だけを映し、日本人に妙なステレオタイプを植えつけるのはあまり賢くないと思います。
そんな不買運動なのですが、実は百年位前にも中国では不買運動が起こっていました。その対象となったのは、実は日本の製品です。
事の起こりは大正時代、辛亥革命によって清帝国が滅び、一時的に袁世凱が臨時大総統をやっていた時です。そのとき日本はどさくさにまぎれて第一次世界大戦に参戦し、中国にてドイツが権益を持つ山東省を奪い取っています。その上で台所事情が大変だった袁世凱に対して、強圧的とも取れる対華21ヶ条を要求しました。はっきり言って日本にとって都合がいいだけの要求でしたが、権力基盤の弱い袁世凱はこれを受けざるを得ませんでした。しかし中国国民はこれを恥だとして、もう日本の製品は買わないと言い合い、日本製品に対して展開したのが当時の不買運動でした。
この時、朝日新聞社の社友であった芥川龍之介は新聞社の計らいで確か上海にいました。そしてこのような不買運動を行っている中国人を見て、
「中国人は日常の不便を我慢して、日本の製品を買わないでいる。中国はきっとすごい国になるだろうよ」
と、評しています。
私の感想を言うと、確かにあんなめちゃくちゃな外交要求を出されて黙っている国民はいないと思いますが、それに対してきちんと行動を起こすということは、アメリカにあれこれせっつかれてもなにも反論しない日本人としては確かに見習うぐらい立派な行動かと思います。しかし現在のカルフールの不買運動については、すでに報道されているようにカルフール店内にて働いている中国人もたくさんいるということと、チベット問題のことを考えると少しどうかなというものがあります。
それにしても、百年経っても同じ不買運動を起こすんだなぁ中国って。
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