いきなり謝罪です。前回、中国のカルフールに対する不買運動について、
「荒っぽい武漢ばかりがニュースで映されているが、北京や上海じゃそんなに大きな問題になっていないんじゃない?」
と書きましたが、大きくなってました。すいません。
昨日のNHKニュースでようやく映し出され、それによると北京でも武漢に負けないくらい激しい不買運動が行われ、入り口前では向こうの大学生が「国を愛するなら何も買うな」と大声で周りに不買を呼びかけてました。それに対して上海は「理性を持って愛国を示す」と言って、大学生達は愛国を掲げたシールをカルフール前で配っていました。上海のがやっぱり洗練されてるね。
そんなこんなの不買問題ですが、この問題について五月三日発売の週刊現代にて秀逸な記事が載っていましたので紹介します。
この週の週刊現代(どうでもいいですが、時たま「週刊ヒュンダイ」と読んでしまいます)は中国特集をしており、各界のチャイナウォッチャー達がそれぞれ意見を寄せています。記事を寄せた中には評論家の宮崎正弘氏もいますが、この人の書いた「出身地でわかる中国人」という文春新書の本は非常によく出来ており、現在でも参考することが多く重宝しています。中国社会を研究する方には必携です。
そして肝心の秀逸な記事ですが、それを書いたのは作家の星野博美氏で、この人によると、
「反日など彼ら(中国人)にとってガス抜きに過ぎませんが、本当に怖いのは反西洋になった時で、何が起こるか分かりません」(文中から引用、括弧の中身は私の脚注)
この記述を見て、正直私ははっとしました。実際にその通りだからです。
よく日本の番組などでは、「中国の歴史教育は反日を徹底的に子供達に刷り込む」と紹介されることが多いですが、正確には「反外国を徹底的に刷り込む」と言い換えるべきでしょう。
実際に反日教育はなされていますが、実はそれ以上に反西洋教育が徹底されています。アヘン戦争からイギリス軍による円明園破壊、果てには欧米による租借地割譲などを延々と教え込むらしいです。その教育効果はすさまじく、中国に駐在するイギリス人が以前に、「中国人は未だに円明園のことを持ち出す」と嘆く話を聞いたことがあります。
よく日本では反日感情ばかりがクローズアップされますが、私自身、中国人は西洋諸国、特にイギリス、フランス、ドイツに対する反感の方が全然強い気がします。それこそ国民の間に一度火がつくものなら、反日暴動以上に北京政府は手がつけられなくなるのではないかとすら思います。
事実として現在のカルフール不買問題は拡大の一途を辿っています。カルフール側が自体の鎮静化を図るために半額セールを行ったら、「金で中国人の心を買えると思っているのか」と言われ、逆に火に油を注ぐ結果となってしまいました。反日ばかりが目に付くのは仕方がありませんが、こういった方面にも中国を理解するためには気を配る必要があるでしょう。
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