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2008年10月17日金曜日

夕方のアニメがなくなったことについて

 私が子供の頃、月曜から金曜の五時半からはフジテレビなどでアニメが放送されていました。そのアニメというのはどれも新たに作られたものではな、基本的には再放送が順次流れ、私が覚えているのでよく見たのは「ドラゴンボール」、「シティーハンター」、「キテレツ大百科」、「ちびまるこ」、今はリニュアール版が放映されている「ヤッターマン」などでした。
 そのため友達と遊んでいても、こっちのアニメの方が気になるから大体五時半くらいで解散して、アニメを見るためにいちいち家に戻っていました。しかし現在ではこの時間帯のアニメはおろか、再放送すらほとんど行われていません。私が子供だった頃は火曜の夜にもサザエさんが放映していたのですが。

 こういったアニメの再放送がなくなったのは、あくまで私の予想ですが、恐らくDVDの売り上げを見込むために意図的に放送されなくなったのが事実でしょう。たとえばさっきに挙げた「ドラゴンボール」、今でこそDVDはありますが昔はもちろんありませんでした。そのため一度放送したっきりにするよりかは再放送をして、新たに視聴者となる子供を増やした方がテレビ局や集英社にとっておもちゃの販売収入が増えるため、今だと大盤振る舞いとも思えるくらいにガンガンと再放送が行われました。
 ですが今だとDVDの売り上げの方が大きくなっているので、下手に再放送するくらいなら「見たい人はDVDを買ってね!」としたほうが儲けが大きくなります。逆に言うと、再放送するとそういった潜在的な購買者がDVDを買わずに再放送を見るので、売り上げが落ち込んでしまいます。恐らく、こんな感じの理由で再放送というカテゴリーは、日本の放送業界からなくなってしまったのだと思います。

 これは何もアニメだけに限るわけではありません。一般のお笑い番組から過去のドラマに至るまで、今ではDVDの販売収入を当て込むために一切再放送は行われません。もし行うとしたら「踊る大走査線」のように新作映画が公開される直前に、俄かファンを獲得するために深夜などでどばっと放送するくらいでしょう。テレビ局側としたら、ただでさえ先細っている放送収入の中から少しでも収入を増やそうとする工夫のつもりなのかもしれません。

 もちろんこういったテレビ局の考え方も非常に理解できます。売り上げを伸ばすためにダイヤモンドも世界で生産調整がなされて、わざと少ない量を流通させて価格を維持していると言いますし、再放送をしないといってテレビ局が悪いと言うつもりはありません。
 しかし私は再放送がなくなったことについて、DVDの販売収入以上に別の損失がテレビ局にかかっているのではないかと個人的に思います。というのも最初のアニメの例だと、過去の番組の再放送をしないことによって世代の隔絶が起こり、別の見方をするとその作品に新たなファンが生まれなくなってしまいます。ファンが多ければグッズの販売収入はもとより、再放送されるが出来ればいつでも見られるようにしたいとわざわざDVDを買う人間も増える可能性があります。そして何より、その作品の続編や関連作品が出た場合は、そうして増やしてきた過去のファンの数が売り上げに大きく影響してきます。

 こうしたファン数の増加に歯止めがかかるだけでなく、再放送は番組制作費の節約にもつながります。よく考えてみてください。過去の番組の再放送が本来される時間に再放送がなくなると、その時間にテレビはなにを報道するのでしょうか。言うまでもなく、新たな番組を作って放送しなくてはなりません。
 現在夕方などにはこうした時間帯をニュース番組で潰していますが、明らかにどうでもいい情報の垂れ流しで、こんなのやるくらいなら昔の面白い番組を流した方が見るのにとすら思うような内容です。実際、昔は番組の制作が全時間の放送に追いつかないために再放送が活用されていました。

 うちのお袋などは、昔は夕方にアニメが放映されると子供はテレビに釘付けになるので、夕食の準備をする親の側からすると子供の相手をしなくて済むので非常に助かってたと言っています。また私個人の意見としても、自分たちの子供の頃はそうやって毎日夕方にアニメが見れて非常に楽しい思いをしたのに、今の子供たちはそういったものもなく、また再放送という楽しみすらなくなったことに深く同情します。まぁこう思うのも、自分が年をとってきた証なのかもしれません。

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