さて年が明けてもう三週間近く経ちますが、依然と世の中は不況の二文字一色で日経平均も先週は一時八千円台を割り込みかけました。そんな状況から「百年に一度の大不況」と今の不況はよく称されていますが、じゃあ一体どれくらいこんな不況が続くのかという予想はあまり聞いたことがないので、ここは一つ各考慮すべき点を挙げつつひとまずの予想を立ててみようと思います。
まず百年に一度と言うだけあり、確かに今回の不況は影響が大きいです。よく不況は何故存在するのかという意見に対し好況があるからだという意見がありますが、まさにこの言葉の言う通りに私は基本的に経済というのは好況の分だけ不況が生まれるものだと考えています。
たとえを出すと、毎年自動車が必要な人に行き渡るのに百台必要なところなぜかその年は二百台受注が来て作ったとします。そして次の年にも同じく二百台を作って販売するのですが、先にも書いたとおり自動車を買う必要がある人は毎年百人で、二年で二百人しかいないのにこの時点でもう四百台も作ってしまっています。すると更にその次の年になると市場にはすでに二百台も余分な車があり、車が必要な人はそっちの余分な二百台のうちから一年で百台ずつ買うので、自動車を作ってきた会社は二年間の間一台も作る必要がなく、また販売もできないので売り上げに困ってしまいます。
かなり大雑把ですが、不況というもののメカニズムは大体こんなもんです。
なので、これまた単純にこれまでの好景気の分だけ不況が続くとするとしたら、98年にロシアがデフォルト(債務不履行)をしたことから世界経済が一時冷え込み、それ以後もITバブルが始めるなどしばらく不調でした。その後、大体2002年から中国経済の躍進が始まりそれ以降は好景気が続いたので実質02~08年までが好景気の期間だとすると約六年間となり、つまることはこの不況も回復まで単純計算で六年かかるとして、2014年までということになります。
もちろんこんな単純に計算できるわけではないのですが一応一つの案として出しときます。これに対し個々の状況を見ていきましょう。
まずかつての1929年大恐慌ではこちらでも発信源のアメリカは延々と不況に苦しみ、その中でニューディール政策などあれこれ対応策が出てきたのですが、最近知ったのですがもし二次大戦が開戦されてなければ、あの時アメリカは不況から脱することができなかったという説があるそうです。これが何を表すのかというと察しのいい人ならわかりますが、つまるところニューディール政策というのは世界的不況(一国でもかな)に対して何の効果もなく、短期間に大量の物資や資源を消費する戦争が起こらない限り不況はすぐには終わらないということです。実際、日本も戦後は朝鮮戦争やベトナム戦争のおかげで立ち直れたんだし。
ただこの世界恐慌の頃と現在で最も違う点は、言うまでもなくネットの発達による資金移動の高速化です。それこそクリック一つで一万ドルが動く時代ともあり、日本単体の経済状況は悪くなかったにもかかわらず一挙に巻き込まれて不景気となりました。あの大恐慌の時代ですら世界全体が深く巻き込まれたことを考えると、単純に日本一国で景気をよくしようとしても周りが悪ければどうしようも抗えないことになります。
また日本は一時は失われた十年の不況から脱したものの、その際は中国やアメリカの好景気に引っ張られたというのが明らかなのに比べると、今の世界全体で悪いことを考えるとあの時代以上に困難な状態だとも言えます。
つまるところ、今の不景気はあの失われた十年以上に事態が深刻なため、あの時代の日本政府の政策ミスなどを考慮しても最低五年、下手すりゃ十年以上の年月が景気回復のために必要なのではないかと予想します。それこそ今では派遣難民の扱いが大きな問題となっていますが、大恐慌の頃は東北地方で娘の身売りが相次いだといいますし、あと数年もすればなんであんなことで騒いでいたのかと思うくらい状況は悪化しているかもしれません。
しかし逆を言えば、景気回復のためにそれくらいの年月が必要だとあらかじめ想定して腰を据えた長期的な政策を用意することで、その際のダメージを最小限に減らすことが出来ます。特に今回は日本一人で頑張ってもしょうがないので、世界全体の様子を見ながら如何に国民生活を破綻させずにしぶとく生き残ることが重要だと思います。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に世界恐慌1929年~30年が存在した。さらに今回の恐慌がまずいことには、食料事情と気候変動(異常気象)がからみ、日本では地震の可能性も高くなっている事実がある。
返信削除この不景気(恐慌)が簡単に終わって欲しいと切に願うが、「雨降れば土砂降り」という格言が蘇ってくる。
未来は予想できても、予知はできない。難しい。
タケチャンさん、コメントありがとうございます。
返信削除確かに今回の不況は全く予想がつきませんね。私のこの記事でも予想を立てていますが、自分で書いててあまり信用していません。ただ政府や一部の評論家が言う様に、三年で回復できる楽観論は早くに捨てるべきではないかとだけ言おうとこの記事を書きました。
タケチャンさんの言う通り、今後の世界的食糧事情に加え、地震の可能性も非常に大きいですね。そういったことも総合的に考える必要がありそうです。