ちょっとリンクを結ばせてもらっているSophieさんを見習って、私も書評をやってみようと思います。今回題材に取り上げるのは、光文社新書の「就活のバカヤロー」(石渡嶺司、大沢仁)です。
結論から言うと、威勢のいいタイトルの割には中身はやや貧弱気味であまり人には薦められない本です。内容は学生、大学、採用企業、就職情報会社の四つの主体の視点から昨今の大学生の就職活動について、それぞれが抱える問題や足を引っ張り合っている現状について解説が為されています。
作者が前書きで言っているように、確かにこの手の就職本というのはどれか一つの主体の視点からしか書かれることが多く、この本のように就活に関わる主体全体を総合的に取り扱う本はあまりなく、また各主体が抱える問題や学生から見る企業、企業から見る学生といったような相対する別の主体に対する本音などがよく取材されていると思えますが、残念ながら結論が、
「みんながみんなで気持ち悪いことをやりあっている」
ということで終わっています。こんなことくらいなら誰でも言えるだろう、というのが率直な感想です。
この本を読むに当たって私が個人的に期待していたのは、一体どんな形が大学生の就職活動として学生と企業、ひいては教育機関の大学にも具合がいいのか、そういったモデルの提示があれば文句はなかったのですが生憎現状の就活が抱える問題性ばかりがことさら強調されるだけで、そういったことにはほとんど触れられていませんでした。
この就活の問題性については前に私も何度かこのブログで取り上げており、また内定取消しについても一回記事を書いたことがありましたが、結論から言うと私は内定という制度自体が最も問題性があるのではないかと考えています。内定取消しの問題についても、実際に入社する一年近く前に学生に採用内定を出すもんだからその後の経営悪化に対応できなくなって内定を取り消すことになるのだし、また本来学業に打ち込む期間にある学生から無用に就活の時間を奪うことで学力低下につながるなど、こういったことすべて入社の遥か以前に採用を決めるこの内定制度が諸悪の根源にしか思えません。
じゃあどういう風な採用モデルがいいのかというと、私の私案を言うのならそれはやはり内定制度の廃止事、卒業前の学生へ企業が採用活動を行うことを厳禁するということに尽きます。
こうすることによって学生は卒業までの四年間をみっちり大学での学業に費やせますし、また卒業後から就職活動が皆一斉に始まるので、大学での授業や行事に煩わされることなく就職活動に集中することが出来ます。そして企業の側も、既に卒業している学生を対象に採用活動を行うので双方の合意が取れ次第すぐさま入社させることが出来、直近の状況に合わせて採用人数も増減させることが出来ます。
今の就活の制度(=慣習)に問題があるのは明々白々なので、私は今すぐにでも今の状態をどうにかするべく、それこそ国とかがはっきりと規制するなりして一定の方向性に絞るべきだと考えています。その方向性が私の提唱するモデルでもいいですし、なんだったらかつての就活制度よろしく、四回生の十月以降から就活一斉スタートというように昔に戻すだけでもいいです。今みたいに四回生の四月から、場合によっては三回生の夏休みからインターンシップやら説明会の開催などとバカなチキンゲームを皆でやるくらいなら、それこそ内定取消しを行った企業だけじゃなく、必要以上に就活を早めようとする企業名も国は公表するべきではないでしょうか。
確かに早過ぎますね。僕は、2月から本格的に動いてますが12月からとか、インターンシップに行った人も多いですからね。卒業研究の引継ぎのこともありますし、なんでこうも忙しいときにやるのか、解せませんね。
返信削除個人的には、2月はいつも体調が悪いのでなにもしたくないのに、忙しいのでかなり苦痛です。今日なんて、学内合同説明会行ってきましたが、死にそうな咳が2,3回でたし。
なんで、こんなに早まったのでしょうか?
就活の時期が早まった一番の原因は、就職氷河期時代に企業が採用数を厳選するかわりにいい人材をなるべく早く囲おうとしたからです。事実95年くらいまでは旧来通りに四回生の十月くらいからスタートで、企業同士でもそれ以前に採用活動をしないという取り決めを持っていたそうです。
返信削除しかしそうした企業同士の取り決めもいつしか無視されるようになり、記事中でもチキンゲームと書きましたが、皆が急ぐあまりにどんどんと時期が早り、企業、学生双方にとって明らかに弊害が大きくなっているのですが一社だけ採用時期を遅らせたところでどうにもならずに馬鹿を見るという現状がなおその動きを加速させているといっていいでしょう。
だからこそ、利害関係にない国がはっきりとした姿勢を出し、十月以降に規制することが必要だと思います。