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2009年3月1日日曜日

国会議員の世襲について

衆院選「候補者A」かく闘わんとす(日経ビジネスオンライン)

 昨日に引き続きSophieさんからのリクエストネタです。今日やるネタは私の中でもホットな話題の二世議員についてです。

 さて上記のリンクに貼った記事に書かれているように、日本の選挙はとにもかくにもお金がかかってしまいます。特に私も問題視しているのは、シャレや冗談で立候補する泡沫候補を出させないために、確か200万円の供託金を立候補に当たって選挙管理委員会に出さないといけないという選挙制度です。この200万円ですが、確かに泡沫候補を乱立させないためという理由はわかるのですが、選挙に落選した際に10%の得票率がなければ返還されずに一方的に没収されます。はっきり言いますが、何故この制度に対して司法が平等な被選挙権の侵害だと判断を下さないのか疑問に思います。

 こうした供託金制度にとどまらず、選挙活動をする上で運動員の雇用費、ポスター代などと、記事にも書かれていますが一回の選挙で数千万円の費用がかかるというのはあながち大げさな話ではありません。しかも日本の場合はお国柄か、個人からの献金が一般的ではないために立候補する候補者たちは企業からの献金に頼らざるを得ず、そのため政策面で企業の便宜を図るように動かざるを得なくなるという環境があると以前から指摘されております。そのため地位も名声もない新人議員や候補からすると、地元の支援も満足に受けられずにこうしたお金の問題から政治活動の停止に追い込まれる人も少なくありません。

 元々、日本の政治には「三つのバン」こと、「地盤、カバン、看板」がなければ選挙で戦えないと昭和期より言われてきました。カバンというのは要するにお金で、看板というのは名声で、そして最後の地盤というのは一見すると地元からの支援と見えますが、実際には世襲を表しています。
 世襲議員の場合は親族が元々その地域から選出された議員であることから地元の支援者の協力も得られやすく、また政治資金も親族から政治団体を引き継ぐ形を取れば相続税もかからずに受け取れるので、新人候補に比べると非常に有利な状態から選挙に望めます。そのせいか現在の国会議員における世襲出身の割合は非常に高く、私の陽月旦でも出身欄に「世襲」ばかりと書いていていい加減うんざりしています。

 これは田原総一朗氏の発言ですが、世襲自体がいいかどうかではなく、現実として大半の世襲議員には政治家としての能力が不足しているのは事実ゆえにどうにかするべき、というオフレコ発言がありましたが、私も同じように感じます。
 現在の選挙制度では先ほどにも述べたように非常にお金がかかるため、企業などから献金を受けづらい新人候補は政党からの支援金に頼らざるを得ません。ですが現在の政党、特に自民党では世襲ではなく外部から政治家を志して援助を願う候補者がたとえどれだけ能力があるとしても、やはり人間関係的なもので世襲の議員を応援するように動いてしまいます。そのため外部の人材は選挙に出ようとしても政党の援助もなく選挙区を割り振られないために、事実上締め出されてしまっている状況だそうです。先ほどの田原氏によると、現在民主党に所属している前原誠司議員や長妻昭議員は本音では自民党から出馬したいと願っていたものの、自民党では選挙に出してもらえないことから民主党で出馬して当選し、現在自民党を苦しめる張本人らとなっているそうで、この事実ひとつだけでも世襲では優秀な人材を国会へ送り込めないというのがわかります。

 そして現在、橋本龍太郎以降の首相はすべて世襲議員です。こういうと昔から世襲じゃなければ首相になれないと思われがちですが、実際には戦後になってから初めて世襲議員で首相に就任したのは宮沢喜一首相で、それまではどれも叩き上げの国会議員たちでした。
 そして橋本以降の首相を見ても、橋本、小泉氏はまだしもここ三代の安倍、福田、麻生の三首相に至っては途中で政権を放り出すわ失言は連発するわで、なんでこんな人たちが総理大臣になってしまうのか、日本には本当にこんな人材くらいしか残っていないのかと嘆息させられてしまいます。もっとも、世襲議員とはいえ一応は選挙で勝ち抜いては来ているのですから、そんな人材を国政に送り出す国民に一番責任があることになってしまうのですが。

 最後に、私が知っているある新人選挙候補のお話しをします。
 その人は世襲ではなく官僚出身の候補者ですが、初めて選挙に出た前回の選挙にて残念ながら落選してしまい、次の衆議院選挙にも再出馬する予定の方です。その人から直接話を聞きましたが、やはり落選した際の費用負担は大きく、また家族も奥さんが心労で入院し、子供は学校でいじめられ、おまけに公務員には失業保険なんてないからいきなり無収入になり、ほとほと選挙に懲りてもう政治家の道はあきらめようとしたそうです。
 ですがそんなことを友人に相談したらその友人より、
「自分を大事にするのならそうした方がいい。だが本当に国を思って、国のために尽くしたいというのなら絶対にあきらめるな。私は君のような能力の高い人材こそが本当に国が必要とする人材だと確信している」
 と言われ、もう一度やってみようと決心したそうです。

4 件のコメント:

  1. 友人のような志の高い人が、もっと出てくればいいのですけどね。選挙に人生を左右されるほどの負担を強いるのはシステムが間違っていると思いますね。

    確かどこかで、親と同じ選挙区で出ることを禁止する案があったと思うのですが、これはいい案だったと思います。世襲議員は地元で出馬できないため、世襲の議員が一般人より不利になってしまうという批判があるかもしれませんが、地盤以外の3バンは健在なので、一般人よりもだいぶ有利なはずです。現状の世襲議員の数ではこんな案は通りそうもありませんが。

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  2.  確か鳩山由紀夫氏は親の地盤からは出馬せず、北海道の選挙区でずっとやっていますが、現時点で確かに効果のある対策としては私もいい案だと思います。

     ただ最近は以前ほどおおっぴらに金を配れなくなったことから費用面では大分緩和されているそうです。
     近年で私が知っている稀有な例だと、竹中平蔵氏が参議院選挙に出た際に運動員は元自分のゼミ生を使い、それこそそゼミ生の弁当代だけで当選してしまったので選挙費用としては過去に例のないほど安価で済んだ例があります。こんな具合に、ボランティアによる選挙活動が一般化すればいろいろ好転する可能性はあるんじゃないかと期待していますが。

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  3.  お二人の意見はいつみても名案ばかりですね。ただボランティアによる政治活動が一般化するためには、選挙のことをよく理解してもらわねばなりませんよね?しかし、政治家に対するイメージが悪い日本ではあまり浸透しないかもしれませんね。それなら派遣を雇うなんてのは中間をとるような感じでいけるのではと考えました。

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  4.  選挙期間中での運動員では、実態的には派遣の更に下をいくアルバイトが現在主力です。確かにサカタさんの言う通りにボランティアこと、何かしら志を同じくして無報酬で活動するようになるには日本じゃまだまだ先でしょうね。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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