マルクスと言えば社会主義思想を現代に伝わる形に完成させた偉大な大家で、社会主義国の大半が滅んだ今に至ってもなお思想界、経済界に大きな影響力を残している人物であると評価されています。もちろん中には彼の思想や予言は結局は大はずれで、彼が述べたのとは逆にソ連が崩壊するなど社会主義が滅んで資本主義が勝ったではないかと言われる方もいるかと思います。
実際に私もかつてのソ連や東ドイツ、そしてお隣の北朝鮮や中国のかつてのお国事情、それこそ私が連載して解説した中国の文化大革命などを見るとやはり社会主義というのは人間の意欲というものを完全に無視した欠陥のあるシステムだったと思え、現在に至るまでその考えは間違ってはいないと信じております。だからと言ってマルクスが夢想者であったと見るのではなく、彼の社会主義に対する価値観やそれとは離れて倫理学で語られる、こちらもかつて私も記事にした「疎外論」など、その思想や考え方は当時においても超一流で社会主義が滅んだからと言ってもう学ばなくていいというような対象ではないと評価しております。
そんなわけで短い時期で、しかもかなり中途半端に社会主義思想、マルクス経済などを適当に学んだ事のある私なのですが、まず彼の理論は古典派の資本主義経済には欠陥があるというところからスタートします。結構面倒くさい理論や現象などを駆使してマルクスはこの資本主義の欠陥を自身の著作において証明しようと作業しているのですが、簡単に結論を述べると運用できる資産を保有する上位、中産階級と、資産を持たないで自身の労働によって賃金を得る労働者階級の収入や生活待遇の差というのは資本主義社会においてはどんどんと二極分離する、つまり富む者はますます富んで、貧しいものはどんどんと貧しくなっていくとしております。
これは労働者階級にとってすればいわば負の連鎖で、この連鎖から抜け出すために社会主義社会の実現が必要だという風に続いていくのですが、皮肉な事にこのスタート地点からしてマルクスは間違っていたと現代では評される事が多いです。一体どのように間違えているのかと言うと、日本やアメリカといった国を始めとして1900年代の中盤から後半にかけて資本主義側諸国ではケインズに始まる統制経済の概念が強まり、経済全体が大きくなるに伴って労働者階級の属する下位層の生活も、「一家に一代の自家用車」に代表される言葉の通りに底上げされていき、マルクスが予言したようにどんどんと貧しくなる事はありませんでした。
資本主義側はマルクスのいた時代に対して資本主義も進化したのだと自分たちの勝利を誇りましたが、このマルクスの予言がはずれたことについて、これまた以前にも取り上げた堺屋太一氏が面白い事を述べていたので簡単に紹介します。
堺屋氏は、マルクスの考えだと貧富の差がどんどんと広がっていくであろう資本主義社会で何故下位層が減少して中間層が拡大していったのかと言うと、石油や鉄といった資源が非常に安価で豊富な時代だったからだと述べています。もう少し具体的に説明すると、二次大戦後は技術の発達に伴って石油や鉄などといった主だった資源の発掘が急激に進み、これら資源の価格が今から考えると驚くべき価格にまで低下しました。実際に石油は一時期のアメリカだと1リットル当たり水道代より安くあった時代もあり、事実上使い放題だったようです。
堺屋氏はこの点に注目し、本来であればマルクスの主張通りに資本主義社会では貧富の差が拡大するはずだったものの、こういった資源が二次大戦後は安価で大量に使用できたことで下位層の底上げも達成する事が出来た。逆に言えば、中国やインドを初めとした大量の人口を抱える発展途上国が台頭して資源価格が徐々に高等してきた現代に至っては、マルクスの予言通りに貧富の差が拡大する可能性が高いと述べています。
資源については枯渇しないまでも、産出量が減るだけでも発掘コストは跳ね上がるのでこの堺屋氏の主張も決して無理な意見ではないように思えます。最近の日本は格差社会になってきたということで一時マルクスの復権だなどとマルクス経済学者を中心に主張されましたが、彼らの意見を聞いているとただ単に格差とマルクスを繋げているだけでどうにも脈絡のなさを感じずにはいられませんでした。しかしこの資源価格に注目した堺屋氏の意見には私も同感する所があり、今後世界は資源争奪戦となると各所で予想されている事からしても、心にとどめておくべき意見だと思います。
何故マルクスの予言は外れたのか
マルクスと言えば社会主義思想を現代に伝わる形に完成させた偉大な大家で、社会主義国の大半が滅んだ今に至ってもなお思想界、経済界に大きな影響力を残している人物であると評価されています。もちろん中には彼の思想や予言は結局は大はずれで、彼が述べたのとは逆にソ連が崩壊するなど社会主義が滅んで資本主義が勝ったではないかと言われる方もいるかと思います。
実際に私もかつてのソ連や東ドイツ、そしてお隣の北朝鮮や中国のかつてのお国事情、それこそ私が連載して解説した中国の文化大革命などを見るとやはり社会主義というのは人間の意欲というものを完全に無視した欠陥のあるシステムだったと思え、現在に至るまでその考えは間違ってはいないと信じております。だからと言ってマルクスが夢想者であったと見るのではなく、彼の社会主義に対する価値観やそれとは離れて倫理学で語られる、こちらもかつて私も記事にした「疎外論」など、その思想や考え方は当時においても超一流で社会主義が滅んだからと言ってもう学ばなくていいというような対象ではないと評価しております。
そんなわけで短い時期で、しかもかなり中途半端に社会主義思想、マルクス経済などを適当に学んだ事のある私なのですが、まず彼の理論は古典派の資本主義経済には欠陥があるというところからスタートします。結構面倒くさい理論や現象などを駆使してマルクスはこの資本主義の欠陥を自身の著作において証明しようと作業しているのですが、簡単に結論を述べると運用できる資産を保有する上位、中産階級と、資産を持たないで自身の労働によって賃金を得る労働者階級の収入や生活待遇の差というのは資本主義社会においてはどんどんと二極分離する、つまり富む者はますます富んで、貧しいものはどんどんと貧しくなっていくとしております。
これは労働者階級にとってすればいわば負の連鎖で、この連鎖から抜け出すために社会主義社会の実現が必要だという風に続いていくのですが、皮肉な事にこのスタート地点からしてマルクスは間違っていたと現代では評される事が多いです。一体どのように間違えているのかと言うと、日本やアメリカといった国を始めとして1900年代の中盤から後半にかけて資本主義側諸国ではケインズに始まる統制経済の概念が強まり、経済全体が大きくなるに伴って労働者階級の属する下位層の生活も、「一家に一代の自家用車」に代表される言葉の通りに底上げされていき、マルクスが予言したようにどんどんと貧しくなる事はありませんでした。
資本主義側はマルクスのいた時代に対して資本主義も進化したのだと自分たちの勝利を誇りましたが、このマルクスの予言がはずれたことについて、これまた以前にも取り上げた堺屋太一氏が面白い事を述べていたので簡単に紹介します。
堺屋氏は、マルクスの考えだと貧富の差がどんどんと広がっていくであろう資本主義社会で何故下位層が減少して中間層が拡大していったのかと言うと、石油や鉄といった資源が非常に安価で豊富な時代だったからだと述べています。もう少し具体的に説明すると、二次大戦後は技術の発達に伴って石油や鉄などといった主だった資源の発掘が急激に進み、これら資源の価格が今から考えると驚くべき価格にまで低下しました。実際に石油は一時期のアメリカだと1リットル当たり水道代より安くあった時代もあり、事実上使い放題だったようです。
堺屋氏はこの点に注目し、本来であればマルクスの主張通りに資本主義社会では貧富の差が拡大するはずだったものの、こういった資源が二次大戦後は安価で大量に使用できたことで下位層の底上げも達成する事が出来た。逆に言えば、中国やインドを初めとした大量の人口を抱える発展途上国が台頭して資源価格が徐々に高等してきた現代に至っては、マルクスの予言通りに貧富の差が拡大する可能性が高いと述べています。
資源については枯渇しないまでも、産出量が減るだけでも発掘コストは跳ね上がるのでこの堺屋氏の主張も決して無理な意見ではないように思えます。最近の日本は格差社会になってきたということで一時マルクスの復権だなどとマルクス経済学者を中心に主張されましたが、彼らの意見を聞いているとただ単に格差とマルクスを繋げているだけでどうにも脈絡のなさを感じずにはいられませんでした。しかしこの資源価格に注目した堺屋氏の意見には私も同感する所があり、今後世界は資源争奪戦となると各所で予想されている事からしても、心にとどめておくべき意見だと思います。
しかし、天然資源に変わる新しいエネルギー(車だと電気や燃料電池)の供給が始まると思うので、やはり社会主義経済が成り立つことはないと思いますね。 工場ではいまだに石油を沢山使うと言われていますが、私の働いているところでは、熱処理の炉以外はあまり使われていないように思われます。なので、私は社会主義経済を世界が取り入れようとすることはないと思います。
返信削除熱エネルギー、動力エネルギーに関しては仮にまたエネルギー革命が起こればまだ展望がありますが、それら以上に私は栄養エネルギーこと、食糧の枯渇が今後問題になってくるかと思います。日本なんかだと土地が不足している程度ですが、現在世界中では水の不足が問題となっており、おまけにやたらと人口を抱えている中国やインドがお金を持つようになり、きつい表現を書くとこれまで餓死者を出していた国も食糧を買い取るようになって来ます。そんな未来は一体どうなるかを考える上で、実現するしない(実際は出来なかったけど)は別として社会主義の研究は非常に役に立ちますよ。
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