ページ

2010年7月14日水曜日

口蹄疫、韓国人研修生原因説について

 ちょっと批判が来そうな内容ですが、前から気になっていたのもあるので思い切って書いちゃいます。

 一時期よりは大分落ち着いたものの現在も完全に終結しきっていない宮崎県の口蹄疫問題ですが、この口蹄疫が発生した当初から妙な噂がネットで飛び交っていました。その噂というのも、今回の宮崎県の口蹄疫は発症一例目の水牛が出た農場が口蹄疫発生前に同じく口蹄疫が発生していた韓国から研修生を受け入れ、その研修生に付着していたウィルスから感染が広がったのだという説です。しかも最初その農場は韓国人研修生の受け入れを拒否したものの民主党の道休議員が強権を持って無理矢理ねじ込ませたとして、いわば口蹄疫発生の原因は民主党と韓国にあった、もしくは意図的に感染が広げられたというような内容があちこちで見受けられました。

 この噂を初めて見た時に私は、口蹄疫が確認されてすぐに何が原因だったかどうかはっきり分かるはずもなく、ある程度騒動が落ち着いた段階でなければこの噂の真偽も確かめられないだろうと考えてきちんと検証が行われるまでは静観の立場をとる事にしました。特に外国人が原因だという説はいつどの国でも過熱する傾向があるのでなおさら慎重さが必要だと感じ、ブログには一切取り上げませんでしたが注視をし続けておりました。

 ここからが本題ですが、この口蹄疫が発生した当時の宮崎県について今月の文芸春秋にて作家の高山文彦氏が「宮崎口蹄疫禍現地ルポ」という記事を寄稿しております。私も今日この記事を読んだのですが、口蹄疫発症一例目の水牛が出た農場について詳しく時系列にまとめられています。

 まずこの記事で重要なのは、発症一例目の水牛を見ていた獣医師である池亀康夫氏が名前入りでインタビューに答えている点です。ただでさえあらぬ風評被害を受けかねない取材にもかかわらず取材に応じた池亀医師には頭が下がる思いがするのですが、発症一例目の水牛が出た農場というのはこの池亀医師がかかりつけの臨床医をしていた農場だったそうです。
 さてあんまり細かく内容を書いてもしょうがないので、時系列ごとに口蹄疫確認までの推移を簡単にまとめます。

3/26 牧場主から牛の調子が良くないと連絡があり、池亀医師が二頭の水牛を診察。口蹄疫の症状と言われるよだれや泡は確認されず、熱があった事から風邪と診断し治療。

3/29 最初に調子の悪かった牛とは別の九頭も発熱をしたので、同じように風邪の治療を行う。翌日にはどれも熱は下がったが便の状態は悪いままだった。

3/31 中毒症状を疑った池亀医師が家畜保健衛生所から別の獣医師三人にも来てもらって診断。牛が暴れるため蹄の裏(口蹄疫なら発疹が出る)を確認できなかったものの、三頭から検体(血液)を採取。なお口周りの泡は確認されず。

4/5 牛の熱は平熱に戻ったが、保健衛生所からは診断結果がこないため問い合わせた所、問題症状は特にない「陰性」と言われる。この時保健衛生所は口蹄疫かどうかを日本で唯一調べられる東京の動物衛生研究所に検体を送っていなかった。

4/14 依然と牛の乳の質と量が悪いため、牧場主が再度池亀医師と保健衛生所に診断を依頼。またも牛が暴れるため二頭だけから検体を採取。またも診断結果が保健衛生所からなかなか送られてこない。

4/20 この牧場の近くの和牛農家で牛三頭が初めて口蹄疫と確認される。14日の診断結果を再度保健衛生所に尋ねるとまたも「陰性」の返事。

4/21 保健衛生所がこの牧場に聞き取りに訪れ、水牛五頭から検体を採取して動物衛生研究所に送る。

4/22 研究所から水牛に「陽性」反応が出たと連絡が来る。口蹄疫が確認された順番ではこの牧場は六例目であったが、何故か3/31に採取した検体から口蹄疫が確認されたこととなって発症一例目に繰り上げられて認定される。

 ざっとまとめるとこんな具合です。
 この口蹄疫韓国人研修生陰謀説を唱えるサイトなどではこの発症一例目とされた牧場は水牛が口蹄疫に罹っていると早い段階でわかったものの当初事実を隠蔽し、口蹄疫の感染拡大を招いた等と批判する意見も載せている所もありますが、少なくとも上記の池亀医師の証言を見る限りですと何度も外部の保健衛生所の医師を呼ぶなど隠蔽しているようにはとても思えません。むしろ4/14、4/21にも検体を採取しておきながらも、どうして口蹄疫確認に3/31の検体が採用されたのかが不可解です。

 そして記事では肝心の韓国人研修生の噂についても触れていますが、池亀医師の証言によるとそもそもこの牧場主は韓国人研修性に見学を許した事などないそうです。この記事を書いた高山氏は当初この牧場主にも会う予定だったそうなのですが、ちょうど取材する予定だった日に週刊誌記者に「一例目を出したのだから世間に説明する義務がある」と押しかけられてしまい、結局取材を取る事が出来なかったそうです。

 高山氏によるとこの牧場主の方は単身でイタリアに農場経営を学びに行き、東京都出身にもかかわらず宮崎県にて牧場を開いたそうです。それが今回の口蹄疫で事実上財産をすべて失ったばかりかその上一部マスコミから謂れのない非難に晒されてしまうなど、高山氏もそのようなマスコミに対して記事中で逆非難を行っています。

 最後に、私は高山氏の記事を信用して韓国人研修生陰謀説は間違っているのではないか、根も葉もないデマではないかと主張しているわけですが、私が直接取材しているわけではないのでこの高山氏の記事の方が逆に偽者という可能性もゼロではありません。それにもかかわらず何故私が高山氏の記事を取るかと言うと、

・現地で取材がなされている。
・発症一例目とされる牧場の獣医師が実名で取材に応じている。
・保健衛生所の診断など、追跡取材できる材料がある。
・一例目認定の不可解な経緯について書かれている。


 逆に韓国人研修生陰謀説について私が疑問に思う点として、

・何人研修に来たのか、人数がどこにも書かれていない。
・議員を通して牧場研修に来るというルートが不可解。
→JICAとか言われているが、議員が介入するメリットが見当たらない。
・宮崎と韓国で発生した口蹄疫ウィルスの型が一致したと言うが、韓国ではA型とかO型とか、複数ある。


 あくまでこれは私個人という素人の意見です。ただ前にも書きましたが、日本人は割と陰謀好きな所があるように思えますが、現実にはそんなに世の中陰謀に溢れているわけじゃないような気がします。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。