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2011年1月1日土曜日

フランスの人口の歴史

 普段はケチな癖して、今日お茶の専門店にてやや高価な急須を150元(約2250円)で購入しました。内心どんなものかとはらはらしていましたが、お茶を入れてみるとしっかり注げてなおかつ質感もかなりよく、こっちきてから一番満足する買い物になったとほくほくしてますが、先週買った毛布(170元)と同じくらい急須にお金をかけるあたりが自分らしい気がします。

 ちょっと別の内容のことについて思索に耽ってた際に思い出したので、今日はフランスの人口について話をしようと思います。

 現在、日本は少子化の一途を辿っている事から早くに少子化対策を行って成功を収めたフランスの政策を見習うべきだと各種評論家から政治家まであちこちで発言しております。ではそんなフランスの出生率は実際どんなものかというと、ネットで簡単に検索をかけて見たところ2008年時点でぴったり2人で、去年はさらにこの数字から上昇していると報告されております。対する日本の出生率は同じ2008年だと1・3人で、確かにあちこちで言われる通りにフランスと比較すると歴然たる差があります。
 その一方でそもそもの話、それぞれの国の人口はどれくらい差があるのでしょうか。こちらもお手軽簡単のGoogle publicdateでちょちょいと調べて見ると、なんと日本が約1億2700万人に対してフランスはその約半分の約6200万人しかありません。

 こうして比べて見ると確かにフランスは出生率において日本を遥かに凌駕しておりながらも、母体の人口となると約半分というちょっと心もとない数字をしていることがわかります。参考までにほかの欧州先進国のデータと合わせて出すと、

日本:約1億2700万人
フランス:約6200万人
イギリス:約6100万人
ドイツ:約8100万人
イタリア:約6000万人 (出典:www.google.com/publicdata)

 私自身も高校生くらいのころは日本は労働力が足りないとよく言われるから人口が少ないと勘違いしていましたが、実際には日本は欧州先進国と比較すると非常に人口の多い国で世界中で比べても第十位に入る国です。どうでもいいけど今Wikipediaで国別人口の順位調べようとしたら、一瞬開いて急に閉じました。恐らく中国政府がまたアクセス禁止をしているんだろうけど、国別人口順位の何が中国にとってまずい情報なのだろう?

 話は戻ってフランスの人口の話ですが、まぁ確かに出生率が高いからといって人口も多いとは限らないので決しておかしな話ではありませんが、歴史を紐解くとフランスはかねてより人口が低く、その対策に苦慮してきたという経緯があります。

 中世までフランスは早くに絶対王政を確立させたことからヨーロッパの中でイギリス、オーストリアと争う一等国で当時は他国と比較しても国力も人口も多い国でしたが、18世紀にフランス革命が起こり、その中で台頭してきたナポレオン・ボナパルトがヨーロッパ全土を舞台にした俗に言うナポレオン戦争を引き起こしたことからこれが暗転することとなります。一説によるとナポレオン戦争全体の犠牲者は200万人を超えるとされ、現在においてもこの数字は膨大ではありますが当時の人口は現在より数段階低かったことを考慮すると、もはや致命的といっていいほどの喪失といっていいでしょう。特にナポレオンが君臨したフランス本国での人口減少は著しく、それまで勝っていたイギリス、ドイツに追い抜かれることとなり、確か20世紀を通して一度もフランスはこの二国に人口が上回ることがなかったと思います。

 現在は社会保障負担などがあるので一概に言い切れませんが、当時の国家にとって人口が多いか少ないかは国力を左右する上で重要な要素の一つでした。労働力はもとより戦争の兵隊要員など、これらの点において人口は多ければ多いほど有利となるわけですがフランスはその人口でナポレオン戦争後はライバル二カ国に水を空けられる形となったわけです。

 そこでフランスが取った政策が、1831年に創設されたLégionことフランス外人部隊です。これは現在でも存在し続ける文字通りフランス国籍でない外国人によって編成される部隊のことで、最近は厳しくなっていますが適格さえあれば少し前までは多少の犯罪歴なら黙認されて誰でも入隊でき、一定の契約期間を兵役で過ごすことによってその隊員にはフランス国籍が与えられる制度です。

 フランスは自国の不足する兵員を補うためにこのような外人部隊を創設したわけですが、これ以外にも二次大戦後は復興のために旧植民地の国々から移民を受け入れたりなどと人口に関する政策を比較的早い時期からあれこれと取り組んでいます。現下の出生率対策もこの移民政策と連動しており、いうなればそのルーツは昨日今日始まったものではなく相当な期間を経て形作られたのではないかと私は考えています。

 ここで私が何を言いたいのかですが、また随分と回りくどくなってしまいましたが日本は少子化対策をどうするかと現在あれこれ議論をしていますが、参考対象として挙げられているフランスは人口問題に対してこのように長い期間かけて作られた問題に対するベースがあります。また現時点においてもフランスは日本と比べて人口が大いに少なく、その人口に対する意識というか危機感というか、その価値観は日本とは比べ物にならないくらいに強いのではないのではないかと個人的に思います。

 これは逆を言えば今の日本人がフランス人のように人口問題を意識しているか怪しいということで、一部の人は真剣かもしれませんが日本人全体となるとこの少子化問題にそこまで真剣に考えることは難しいんじゃないかという気がします。
 もちろんフランス人がどれだけ人口について考えているか私には推し量る余地もないですし本当かどうかは全くわかりませんが、少なくとも歴史的背景を考えると概念に違いがあるのではないかと思います。

 よく歴史は何の役にも立たないといわれますが、現実の問題を考える際にその根本を探る上で重要なツールになると考えています。今回のフランスの人口問題はその好例だと考えており、こうして紹介してみることにしました。

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