このところこの手の解説を何度もあちこちでしているのでこのブログでも書こうと思います。意外と日本の情報を見ていてもこのような観点からの解説が少ないので、おこがましさを感じるも周知する意味でも必要かと思いますし。
私が日本で在籍していた会社の上司は韓国と長く関わっていたことから韓国社会についていろいろ詳しい人物だったのですが、ある日私に対してこんなことを教えてくれました。
「韓国はアジア通貨危機の際に一度国家全体で経済破綻をしており、その後一時的にIMFの管理下に置かれる事となった。このIMF時代に韓国社会は大きな負担を受けそれまでの社会も一変したことから、韓国人というのは二度と経済破綻をしてはならないという強い信念を持っている」
アジア通貨危機などの解説については他のサイトに譲りますが、IMF時代については私も直接韓国人留学生から話を聞いたことがありますが、その留学生曰く「本当に最悪な時代だった……」そうで、やはりあの時代にだけは戻りたくないとはっきりと言明してました。
こういった話を聞いた上で韓国の国の形とか経済を見ていると、やはりあの国には「どんなことがあっても二度と経済破綻してはならない」という国民全体における合意というものがあるような気がします。それは言い換えるとたとえどんだけ国民が苦しい思いをしても国の経済だけは支えなければならないという合意であって、これを私は他人に解説する際、「国破れて山河在りと昔は言ったが、韓国については山河を潰してでもなんとしても国を保たせようというところがある気がする」と話しています。
これはいうなれば国民生活が破綻してでも国を維持しようという考え方で、実際に韓国の国民生活は話を聞くだに悲惨です。あらかじめ言っておきますが韓国を見下しているわけでなく単純に自分が同じ状況だったら辛いだろうと思うということで、特に若者の生活は高い失業李に低い賃金、そして少子高齢化が叫ばれる日本を遥かに下回る出生率。韓国の状況と比べれば日本の若者の生活などまだまだマシな気がしてなりません。
無論韓国で生活したわけでもなく研究をしているわけでもありませんから実情がどのようであるか誤解している可能性も捨て切れませんが、私は韓国は国民生活を完全に犠牲にしてサムスンやヒュンダイといった国営財閥企業を守り立てて国を成り立たせるように思います。内心ではそれに対して韓国人もいろいろと思う気持ちもあるでしょうが、上記のように一定の覚悟というか合意というものが存在するのではないかと思います。
現在、というより私が日本を出る前のビジネス本の売れ筋書籍はどれも「サムスンを見習え」と、お手本主義の日本らしくこれまで散々アメリカのMBAを取得した経済家への礼賛を手の平返して羽振りのよい韓国企業へ右へ習えしてました。しかし前にも書いたように現在韓国企業が羽振りがいいのはウォン安による影響がほとんどで、経営方針とか体制とかが極端に日本企業より優れているかといったら私は疑問です。それよりむしろ、わずか三年前まで1ドル=100円前後を想定して予算組みしてた日本企業が1ドル=80円前後になった現在においても経営を維持し続けているという現状の方がずっと凄いように思え、今後もまだ円高する可能性は捨てきれないものの、中長期的な観点では今の日本企業は相当な実力を蓄えてきているように思います。逆を言うとサムスンはウォン安が終わったらどうなるのかが未知数です。
最後に私が言いたいこととして、サムスンを見習えとか韓国経済を見習えとする書籍の作者らは上記に書いたような、国民生活を犠牲にしてでも経済を成り立たせようとする韓国人のような覚悟があってそのような本を書いているのか、一つ問い質したいです。もちろんそのような考え方が間違っているわけではなくどんな思想を持つのは人それぞれ勝手ですが、私は国というのはその国籍の企業があるかではなく、国土と国民があってこそだと思います。中には国土がなくともかなり元気にやってたユダヤ人もいますが、少なくとも私は日本を国民を犠牲にして成り立つような国にはしたくありません。それゆえに上記のような覚悟を持ってサムスン礼賛本を書いていた作者らとは残念ながら敵対する立場となります。
ちなみに20世紀、極東のある国では本気で国民と国土をすべて灰燼にしてでも国の形、というよりは省を守ろうとした連中がいました。ああはなってはならないし、ああいう連中は生かしてはおけないというのが私の信条です。
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