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2011年9月23日金曜日

夢売る貧困ビジネス

 ネットの情報をそのまま鵜呑みにするのもどうかと自分でも思いますが、以前に覗いたある掲示板に書かれていた内容が前からずっと気になっております。その掲示板では声優養成学校に通っていた方の体験談が書かれていたのですが、通っていた本人は声優になる気はなくあくまでボイストレーニングとして通っていたもののそこそこ筋がよく、最初の養成期間を終えて準プロダクション兼中級養成学校へ上がる際に授業料が免除扱いとなったそうです。その中級養成学校では声優としての指導が行われる傍ら実際に仕事やオーディションも割り振られたりするようなのですが、所属する生徒はみんながみんなこのような授業料が免除されるわけでなく、やはり圧倒的大多数はそこそこのお金を支払いながら所属し続けるそうです。なおその方は授業料免除が決まった際の説明で、ほかの生徒には言わないようにと口止めされたそうです。
 そんな声優学校のシステムについてその掲示板を書いていた方は、学校側は授業料免除扱いとなるような一部の才能のある生徒に仕事を割り振ることで、「所属してさえいれば声優になれる」という希望を他の生徒にも抱かせ、実際にはほとんどなれる見込みのない生徒を金づるとして所属させ続けている現状があると言っていました。この方の指摘について話を聞く限り私もほとんど同感で、これも一種の貧困ビジネスかと思いました。

 全体構造を考えればごくごくわかりやすく自然なことなのですが、声優業界における需要と供給の割合は圧倒的に供給側が大きく、本当にごく一部の人間を除けば生活していくことはおろか声優として仕事をもらえる可能性すら非常に低いです。にもかかわらず声優学校の入学者募集広告は後を絶たず、言うなれば声優学校は文字通り生徒に対して技能ではなく夢を売っているんだろうという気がします。別にこうした声優学校のやり方を批判するつもりは私はありませんし、考えようによってはうまい商売だなと感心します。お金払って通っている生徒にも全く声優になれない可能性がないわけでもないですし。

 ただこれとは別にちょっと自分が気になるというか目につく学校として、就職難の時代ゆえに内定獲得講座なるものがそこそこ流行ってきている点です。人の商売なんだしこういったことに口出しするべきなのかどうか少し悩みますが、ちょっとこの内定講座については懐の苦しい人間を騙して儲けているような気がするので見ていてあまりいい気分になりません。通っている人間からすれば多少お金がかかるとしても内定を得られる可能性が高まるのだからと納得されているのかもしれませんが、社会全体で考えるとこんな講座が世の中に対してどんな貢献があるのか、はっきり言いますが全く価値がありません。受け皿となる雇用が増えなければ根本的な解決にならないのに、こういう中間で搾取するようなビジネスがあっていいかとなると私はこれを否定します。

 前にもある評論家が貧困者の不安心理につけ込む、経済学者の森永卓郎氏を名指しして貧困ビジネスが横行していると批判しており確か陽月秘話時代に私も取り上げましたが、実際には何の効果がないにもかかわらずさも貧困から脱出できるような夢だけを売るようなビジネスはやはり否定するべきだと思います。もちろんお金持ちだったら多少騙して商売していいわけじゃないですが、苦しい人間をさらに苦しい立場に追い込みかけないようなビジネスは実際に存在しており、それも2000年代に入ってから急激に増えております。
 具体的にどう否定するのか私にもいい案はありませんが、「貧困ビジネス」という言葉をもっと普及させ、みんなが認識するようになれば多少は減らせるのではと思い、今日ちょっとこんな記事を書いたわけです。それにしても、高校卒業とともに声優学校行った小学校の同級生は今どうしてるかな。

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