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2012年5月23日水曜日

上海の地下鉄終電時刻が早いわけ

 上海に来た経験がある人ならわかるでしょうが、こっちの終電時刻は以上に早いです。夜11時台ともなればほぼすべての路線が終電を終えており、一部路線なんかは10時台で閉め切っちゃうところもあるくらいです。別に夜遊びするわけじゃないから私にとってはほぼ影響は皆無ではあるものの、唯一面倒なのは夜の便で上海に到着する時で、なんと空港と直結している路線は10時台で終電を終えてしまい、9時台に到着する便では入管とかで時間食ってほぼ確実に乗ることが出来ません。恐らく、空港路線に関してはタクシー業界に配慮しての時間設定であるとみてはいるのですが。

 こうした地下鉄の時間設定は、確か北京でも一緒だったような気がします。何故かくも中国の地下鉄は終電が早いかなのですが、一つは中国人のライフスタイルが大きく影響しております。基本、中国人は日本人と比べて早寝早起きで、日本では路上に人がそれほどうろついていない自国でも元気に動き回っていたりします。休日なんか日本だと朝8時にはほとんど見ませんが、こっちだと普通に散歩している人とか友達と一緒に歩いている人がいたりします。その一方で夜は比較的早く、もちろん夜中過ぎても都市部ではうろついている人は多いですが、それでも日本と比べると随分と少ない印象を覚えます。

 私も関東の都市部、といっても最寄駅の路線は電車が約十分おきに来るので友人から「田舎だね」と揶揄されるところに住んでおりましたが、日本と比べて随分と終電が早いこっちの地下鉄には当初は辟易してました。それこそこっちで友人と夕食を取ると9時を過ぎたら帰る準備をしなくてはならないし、終電を逃したら安いけどタクシーに乗るしかなくなります。ただこっちのライフスタイルに慣れて後になって考えてみると、そもそも日本人の方が夜の生活が長すぎるのではないかという疑問を覚えるようになりました。
 去年の東日本大震災以降、節電のために都市部では電飾などの照明が切られたと聞きますが、人によっては今までが明るすぎてかえってこっちの方がよるらしくていいという意見を見受けましたし、一時帰国した際にその様を見かけた私も同じような感想を持ちました。踏み込んでいうなら、これまで夜中にもかかわらず散々に照明を飾り立て、健康上によくないことをしていたのではないかという疑念も持ち上がってきました。

 また夜の生活が長くなるということはサービスを享受する側はともかくとしてサービスを提供する側、いくつか挙げるならコンビニなど小売店から居酒屋など飲食店の従業員はそれだけ勤務時間が長くなり、睡眠時間も減るということです。細かい話をすれば健康を崩す人も出てきて医療費も上がるでしょうし、何より過重労働の温床になって全体でも効率が落ちる可能性があります。そもそも何故こういった深夜営業する店が増えていっているのかというと、深夜まで遊べる、つまり電車の終電時刻が長いことも一因と考えることもできます。
 こういう風に考えてみると、かえって中国のように終電時刻を短くした方が全体の社会衛生上で好ましいのではないかと当初とは逆の立場に段々傾いていきました。それこそ小売店や居酒屋の従業員が組合作って深夜労働を制限することが一番望ましいのですが、それが出来ないというのであればクールビズを政府が率先して実現したように、地下鉄の終電時刻を短くしてしまって間接的に制限するのもありかもしれません。

 中国は何でも日本より遅れていると考える日本人は非常に多いですが、こと地下鉄の終電時刻については中国の方が社会的に理に適っていると、私は主張します。そう言いながらも、空港直結路線くらいはもう少し長くしてほしいのですが。

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