経済関連の話が続いてしまいますが、なんか早いうちに書いときたいのでもう書いちゃいます。
さて日本はアベノミクスが打ち出されて以降、急激に円安が進んでおります。むしろこれまで極端な円高傾向が続いていたことから円安によって自動車や家電といった輸出産業は息を吹き返すだろうと予想されていたものの、自動車産業はともかくとして家電産業は息を吹き返すどころか大手メーカーを中心に未だ大赤字が続いております。
家電メーカーで赤字が続いている要因としては単純にアップル社製品のように海外で売れる商品があまりない、そもそもの赤字額が巨大過ぎて円安効果は受けているものの黒字にまでは至れない、などが挙げられているのですが、こうした要因のほかにもう一つ私が思いつくのは、自動車に比べて部品の現地調達率と現地生産率が高いことも背景にあるのではないかと睨んでいます。
現在、大手家電メーカーは中国なら中国、タイならタイに現地工場を作って、そこで生産した商品をそのまま現地に販売することが当たり前となっております。また商品を作るに当たって必要となるモーターや鉄板、プラスチック材なども現地で調達することも多く(日系の部品メーカーも現地に進出しているため)、言ってしまえば海外の各市場で生産から販売までほとんど完結してしまっている感があります。
一方、自動車産業はたとえばトヨタなんかだと米国ではほぼすべて現地生産ですが、成長市場の中国ではレクサスの現地生産は行っておらず、日産のインフィニティも今現地生産工場を作っている最中ではありますが今のところは日本からの輸出販売です。自動車部品メーカーも最近は世界各地に現地工場を構えておりますが、家電部品と比べるとまだまだ日本国内でしか生産していないものも多く、家電のようにまだ当該国でサプライチェーンが完結するには至っていないのではないかと思います。
これが何を意味するのかというと、当該国で生産から販売まで完結してしまっていると現地通貨で決済するため、日本円換算で売上高は増えるものの生産コストも同じく上昇するため、利幅で見たらそれほど大きくは変化しないということです。もちろん完結してしいても円高より円安の方がメリットは大きいのですが、日本と当該国を跨ぐ取引がなければ円安のメリットは薄くなるよりほかがありません。
だとすると非常に皮肉な感じがします。というのも円高が非常に激しかった2011年などは海外に現地工場を作るなど現地化を進めなければ日系企業に生きる道がないと盛んに喧伝されましたが、いざ逆の円安に振れると、現地化を進めた企業ほど恩恵が受けられないという結果を招いたということになるからです。いわば現地化によって円高のマイナスの影響を食い止めたものの、円安のプラスの影響も減らしてしまったのではないかというのが私の考えです。
このような考え方でみると、現地化が進みきっている家電業界に対し、現地化が進んでいるとはいえ家電業界ほどではなかった自動車業界とで温度差があるのも自然な気がします。これがすべての原因とは言いませんが、円安になっても未だ業績改善の兆しが家電業界に見えないというのはこうした背景も一つの要因ではないかと、久々に自分で情報を加工して考え出してみました。
円安の風に乗って、Made in Japanの家電をどんどん海外に輸出しては如何でしょうか?
返信削除部品のではなく、家電製品の輸出ですわ。
今になってみると、そうするべきだったのかもしれない。日系の家電大手は今、みんな日本以外で生産して世界に向けて輸出しているけど、コスト高になるとはいえ日本国内で作って売り出すことこそブランディングで大事だったかもしれない。
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