昨夜友人に、「体調大丈夫?」と聞かれましたが、多分友人はどっちかっていうと「ゲームし過ぎじゃね?」と聞きたかったんだと思います。まぁその後の返答には、「もうすこしでエンディングだから大丈夫だよ」と答えましたが。
そんな友人にも心配されるほど何のゲームをやっているのかというと、この前の一時帰国時に買ったPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」です。どうにかこうにか昨夜にエンディングを見ることが出来たので、久々にゲームレビュー記事として書こうと思います。
・極限脱出ADV 善人シボウデス(Wikipedia)
このゲームソフトはニンテンドー3DSとPSVitaの2ハードで発売され、私が遊んだのはPSVita版です。ゲームジャンルはアドベンチャーで、なんで遊んでみようと思ったのかというとなんか無性にテキスト読まされるアドベンチャーゲームをやりたくなって、他にもいろいろ買い込みながら「折角だから」と思いつつ、質のいいアドベンチャーゲームとして評価が高かったこのゲームも買ってみました。結論から述べると期待に反さず、「かまいたちの夜」を始めとする傑作サウンドノベルゲームを作ったチュンソフトなだけあって面白いゲームでした。
先に述べておくと、このゲームは2012年の発売ですが2009年に発売された「極限脱出 9時間9人9の扉」の続編に当たり、前作の登場人物も何人かがそのまま出演しています。前作を遊んでいればシナリオの裏側というか背景も読めてプラスでしょうが、私の様に前作を遊んでいなくてもシナリオが理解できないということは全くなく、マイナスの影響はほとんどないためこのゲームから始めてもほぼ問題はないでしょう。
ストーリーのあらすじを話すと、大学生の主人公がある日目を覚ましたらエレベーターの中に閉じ込められており、同じエレベーターの中にはヒロインに当たる女の子も閉じ込めらていて、二人とも何故ここにいるのか、誰に連れてこられたのか記憶が全くない中でひとまず脱出を試みるという出だしとなっております。
このゲームは通常のアドベンチャーゲームのように選択肢を選んでテキストを読み進める「ノベルパート」と、上記のエレベーターのような閉じ込められた状態から室内を探り、パズルなどを解いて脱出する「脱出パート」という二種類のゲームパートに分かれて構成されています。メインはもちろん「脱出パート」ですが、ノベルパートも選択肢が豊富にあり、そのシナリオは樹形図のように細かく分岐していき、分岐後の各シナリオを読んでいくことで徐々に物語の真相がわかっていくという形式になっています。
脱出ゲームのほか、ストーリーの中ではいわゆる「囚人のジレンマ」に題材を取ったようなゲームも展開され、信頼していた仲間に裏切られることもあれば逆にプレイヤーが裏切ることもあり、なかなかにシナリオは展開が大きいです。また複数のシナリオを跨ぐことで初めてシナリオの進行に必要なパスワードがわかるようにもなっており、ゲーム後半では文字通りに各シナリオの集大成のような展開となり、ただテキストを読んでいるだけでも結構熱くなってきます。
ちなみにゲームの展開というかシナリオによっては一方的に裏切られて主人公が死ぬこともあれば、一緒に探索する仲間が殺されたりする展開も起こり得ます。果てには主人公以外全滅なんていう結構ショッキングな結末もあれば主人公とほか二人だけが監禁場所から脱出できたものの、ほかの人間は置き去りになるという展開もあって、全体的にはハードな結末が多いです。
それでこっから私個人によるレビューとなりますが、まず一番言いたいことはそのテキスト量の膨大さです。私のエンディングまでのプレイ時間は約30時間ですが、これは今まで遊んだアドベンチャーゲームの中では異例なくらいに長いです。調べてみるとほかの人もクリアまで30時間程度かかったという人が多く、その誰もがテキストが膨大だったという感想を述べています。
このテキストの膨大さはもちろん欠点ではなく、長く遊べるという意味ではむしろ長所です。しかしほかのレビュアーによっては複数のシナリオで似たような展開があったりするので、読んでて間延びするなどという評価も出ており、これには私も同感です。具体的に言えば、「そろそろあいつが病気で倒れる頃だな」とシナリオ途中で段々わかってきます。
次に脱出パートについてですがこれは非常によく出来ており、一応難易度ハード(ハードとイージーしかない)で全問クリアしましたが、どれも時間をかければなんとか解けるものの要所要所で頭を使う必要があり、うまいこと脱出に成功したら軽くガッツポーズを取りたくなるような達成感が感じられます。ただ一部のパズルは明らかにヒントが少なすぎて余計な誤解生んだりするのもあり、特にサイコロの目を決まった位置に決まった目で置くというパズルではヒントの方角が曖昧だったため、解釈は正しかったものの配置方向が間違っていてなかなか突破できず苦労させられました。
最後にシナリオの出来ですが、このゲームのシナリオライターはゲームの設定をシナリオに組みこむのが上手いと評価されているそうで、このゲームでもそれが如何なく発揮されています。具体的に述べればプレイヤーがプレイ途中で別のシナリオに「ジャンプ」するという設定を組み込んであり、理由づけといいシナリオの立て方は確かに腕の良さを覚えます。またゲーム終盤の怒涛の展開は息もつけないとはああいうもので、各シナリオにちりばめられていた細かい要素が一気に集まってはじけるような、人によっては多少のくどさを感じられるかもしれませんが真相が超スピードで明らかになるあの展開は大したものだと目を細められました。
しかし、というかこのゲームの最大の賛否両論点でしょうが、最終的な結末に関しては確かに人を選ぶでしょう。多少ネタバレになりますがその結末というのはどんなものなのかというと、続編を前提にした結末になっています。大まかに書くと、「全ての真相は次のステージで明らかになる!」って具合でブン投げられており、一応主人公たちが何故監禁させられ、何故命を張ったゲームをさせられていたのかなどの理由は判明するものの、そのゲームの最終目的と結末に関しては「次回を待て!」で終わってしまうので、仮に次回作がこのまま出ないなら未完成作品として終わりかねません。事実、「善人シボウデス」の発売から約三年経っていますが、続編の噂は未だとんとありません。
特にこの続編を前提とした結末で割を食っているのはヒロインで、他のキャラクターはほぼ完全にその来歴や目的といった人物像が最終的に明らかとなるものの、このヒロインだけは結局最後までどういう人物なのか、何故連れてこられたのかが不明なまま終わるなどかなり不遇な扱いです。どうもネットで見ていると、このシナリオライターはこういう尻切れトンボ的なシナリオを書くことで有名だそうです。
以上がゲーム内容に関する感想でこっからは適当なことを書いていきますが、このゲームでは主人公を除き8人の主要人物+AI1体が出てきますが、どれも声優陣は豪華で、特に、「クレヨンしんちゃん」の園長先生役をやっていて昨年亡くなられた納谷六朗氏の演技は思うところもあって色々と耳に染みました。
能登麻美子氏や田村ゆかり氏、TARACO氏など出演する声優のほぼ全員が実力者で構成されているのですが、この中でもその演技ぶりに一際驚いたのはヒロインの声を当てている小見川千明氏です。私は小見川氏の出演作だと「それでも町は廻っている」のアニメを以前に見ているのですが、この作品で主人公の嵐山歩鳥を演じる小見川氏の声は一度聴いたらまず忘れられないくらい特徴的なキンキン声で、演じるキャラクターには確かにはまっているからいいけどこんな特徴際立つキンキン声ならほかのキャラクターはまず演じられないだろう、要するに「ワンオフ声優」だろうと当時思っていました。
しかし、この「善人シボウデス」で小見川氏が演じたヒロインの「ファイ」というキャラクターはクールで冷静沈着かつ毒舌な性格で、先ほどの元気だけが取り柄な天然ボケ系の性格した嵐山歩鳥とはまさに正反対なキャラクターであったものの、かなりイメージに近い声で見事な演技ぶりを見せています。特に要所で見せる絶叫系のセリフは聴くだけに切迫感を感じさせられるような見事な声の出し方で、こんな風に演じ分けが出来る器用な声優だったのかと一気に評価を改めさせられました。小見川氏は出演作が少ないだけに、もうちょっといろんなところに声出した方がいいのではと思うくらいに。
ちなみに、声優の演技のうまさはさっき書いたように絶叫するセリフで差が出てくるように思います。絶叫というと大声を出せばいいだけでなくその状況に合わせた切迫感、怒り、恐怖といった感情をまとめて表現しなければならず、なおかつ発音もしづらい声の出し方なのでこの辺で実力の違いが一気に出てくると勝手に考えています。
そんな私からして今まで聞いた絶叫系のセリフが上手い声優を挙げるなら、「キルラキル」というアニメで主人公役を演じた小清水亜美氏です。このアニメ自体、いつどのシーンでも誰もが絶叫しまくるというカオスなアニメでしたが、その中でも群を抜いているというか「この人どっから声出してんの?」と聞いてて不思議になるくらいに演技が上手かったです。もはやゲームのレビューなのか、声優の批評記事なのかわからない記事になってしまったなぁ。
エンディングの分岐が多すぎが、キャラクター別エンディングはいつも途中だけです、あまりにも曖昧すぎたのでよく分かりません。
返信削除コメントありがとうございます。
削除あのエンディング分岐の量は確かに人を選ぶでしょうね。しかも個別エンドの各キャラのその後は、トゥルーエンドで実質なかったことにされてますし。
何やらようやく完結編となる続編が発売されたとのことで、折角だからやってみようかな自分も。