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2015年5月24日日曜日

個人への債務責任が極端に重い日本社会

 今日の記事はタイトルどうつけるべきかやや悩みましたが、ちょっと説明臭くなるけどこうせざるを得ないと思ってこういう形になりました。結論から述べますが、日本社会は他国と比較しても極端に個人への債務責任が重いと思え、それが故に本来なくてもいいひずみが社会のあちこちで起こっているのではないかと思います。そしてその原因は現行の民法にあると思え、前からも主張していますが憲法などよりもまずこっちの民法を急ぎ改正するべきがあると考えます。

<連帯保証人制度>
 日本のいびつな債務責任として最も代表的なのは言うまでもないでしょうが連帯保証人制度で、書類一枚で保障相手の債務に対して永久にかつ無限に返済責務を負わせる法律なんて、少なくとも私が知る限りだとほかの国にはないように思えます。実際にこの連帯保証人制度で、真面目に生きてきたにもかかわらず保証相手の不手際からある日突然破産せざるを得なくなる人も少なくないと聞き、言い方は悪いですが不心得者と債権者が不当に得する制度にしか見えません。

<賃貸契約の保証人>
 またこの連帯保証人制度に影響されてなのか、日本では個人で契約を行う際になんでもかんでも保証人を立てなければならない妙な習慣があります。一番代表的なのは住宅の賃貸契約で、基本的には自分以外の親類を保証人として立てなければ部屋一つ借りることもできません。その上で保証人となる人間がいない場合などは保証会社と契約してその分の保証額を家賃に上乗せしなくてはなりません。
 私がこの賃貸補償を疑問に思うようになったのは中国に来てからで、中国の場合は基本的に大家と一対一の契約となり、家賃一ヶ月分の保証金を支払った上で毎月の家賃は前払いが原則です。このやり方であれば支払いが一ヶ月遅延したとしても保証金でカバーできる上、前払いでもあるからとりっぱぐれることもまずありません。そのため日本みたいに保証人を立てる必要もなく、外国人の私でもすんなりと賃貸契約を結ぶことが出来ます。まぁ実際の所、中国人と比べて日本人は部屋をそんなに汚したりしないので大家受けがいいってのもありますが……。

<住宅ローン>
住宅ローンに対する個人的な不満

 以上のような保証人制度と共に日本の制度で腑に落ちないのが住宅ローンの制度です。上記リンク先は以前に私が書いた記事ですが、この記事でも書いてあるように私は日本以外の国に住宅ローンの二重払いが発生するという例は聞いたことがありません。詳しくは元の記事を読んでもらいたいのですが、なんで担保となる住宅を銀行に返したとしても残っているローンは支払い続けなければならないのか、不幸にも天災などで住宅を失った場合も二重ローンに見舞われなければならないのか、不合理もいい所ではないかとつくづく思います。

<有限責任じゃない法人> 
 ある意味今日の本題ですが、日本では自分が作った会社が借金を抱えて倒産した場合、社長である本人が何故か銀行などから借りた会社の借金を返済する義務を負うことになります。もしかしたら、「え、そんなの当たり前じゃない?」と思われるかもしれませんが、そもそも会社こと法人は債務において個人と会社とで責任のラインを切り分けるために存在しており、法人が抱えた借金は法人が抱えるものであって社長個人は本来返済義務を負う必要がないはずです。
 しかし日本では個人の会社が倒産した場合はその会社が抱えていた借金を社長本人が返済するよう迫られ、実際に自宅から何から何まで銀行に差し押さえられるパターンが多いです。それでも返し切れなかった借金は自己破産でもしない限りは延々と付きまとい、再起しようとしても抱えている借金によって身動き取れないなんていうパターンが多いです。

 米国の場合、会社が倒産したとしても会社が抱えた借金は銀行也ファンド也のリスク範囲であって企業家自身に責任が求められることはないと聞きます。そのため会社を潰した元企業家はまた新たなビジネスプランを編み出してそれが評価され資金調達に成功できれば再び会社を立ち上げることが出来るし、またファンドなども一度失敗した経験のある企業家であっても、むしろ失敗を経験しているからこそ評価することもあります。
 それに引き替え日本の社会は企業家は一度失敗したら完膚なきまで叩かれるため、事実上再起は不可能という場合が多く、失敗から立ち上がるというケースはほぼ全く有りません。失敗から学べること、特に経営において多いと思うのに、そうした企業家が再チャレンジできないような制度になっているとしか言わざるを得ません。

<個人の債務責任が極端に重いのでは>
 以上までで様々な例を紹介しましたが、総じて言えば日本において債務に関連する責任が極端なくらい個人に偏っているのではと思えます。それによって誰が得しているかというと債権者こと銀行で、特に住宅ローンに関してはほぼノーリスクで貸した分だけ確実に儲けられる構造となっており、リスクを取らない連中が何故暴利をむさぼるのだと強く不満に感じます。
 また最後の法人関連でも、以前に取り上げたバイオ企業の林原の社長一家は自宅内のありとあらゆるものが銀行によって差し押さえられ持って行かれたと話しており、会社を潰したとはいえ個人の生活まで完膚なきまで破壊する権利が何故銀行にある、そもそも金を貸すと決断したのはお前たち銀行たちだろうと腑に落ちませんし、こんな制度だと日本では企業家がなかなか育たないと断言できます。

 このように日本で個人の債務責任が極端に重いのは間違いなく民法が原因です。更に言えばこうした社会制度に影響されたのか日本では何か問題があると個人に責任を問うという考え方が強く、その一方で社会に責任というか問題があると考える人間が他国に比べて少ないのではとも覚えます。
 というのもこれは友人らから聞いた話ですが、日本よりも何倍も若年失業率が高い欧米諸国では職のない若者は昼間からプラプラ外に出て、公園で楽しくランチなどを取ることも多いそうです。なぜなら彼らは自分たちが失業しているのは自分たちに責任があるのではなく、経済をきちんと回せない社会に問題があると考えるため、日本みたいに失業しているからと落ち込んで家に引きこもったりすることがないそうです。

 個人の責任というとイラク人質事件時に言われた「自己責任」という言葉が有名ですが、あの事件に関しては私もいろいろ思うところがありますがそれはこの際置いて話すと、やはり現代日本は本来個人が抱えなくてもいい、社会が受け持つべき責任までも個人が背負わされているように思えてなりません。だからこそ自殺も多いのではないかと思えるし、行政も怠慢こかすし、不心得者が得するし、これのせいで悪い方向に行ってしまっている点が多々あるのではないかと思えます。
 ではどうするべきか。やはり何よりもまずやるべきことは民法を早急に改正し、その上で銀行をはじめとした金融業界で規制緩和をすべきでしょう。少なくとも今の日本の銀行は守るに値せず、外資に負けるくらいならむしろ外資に来てもらった方が日本人の生活や社会にはプラスになるのではないかとすら覚えるというのが、今日の私の意見です。

2 件のコメント:

  1. これは島国文化とも言えるでしょうか?

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    1.  ちょっと難しい質問だね。ちょっと掘り下げると切腹など日本独特の個人による責任の取り方とも絡められる問題なのだが、島国というよりは日本独特な文化と考えた方が良いかも。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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