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2015年7月6日月曜日

中国の株価暴落の原因と今後の予想

 最近日本から連絡が来るたびに、「中国の株価が暴落しているけどどうなの?」と毎回聞かれます。このところの私はパワプロするのに忙しいのとマルクス的な情熱が薄れてきているためあまり中国の経済状況をチェックしていなかったのですが、黙ってるのもなんだし、時事ネタも最近書いてないのでたまには真面目に書いてみることにしましょう。
 それにしても昨日サイクリングで60km走って、日焼けして、疲れたせいか今やたらお腹すきます。なんかたこ焼きかお好み焼き食べたくなってきたな……。

中国株、4日ぶり反発=官民下支え策で暴落に歯止め(時事通信)

 まずおさらいとばかりに簡単に今の状況を説明いたします。
 上記リンク先の記事が割かしよくまとめられていますが、日本の日経平均に当たる中国の株価指数の一つである上海総合指数は6月12日に記録した5166をピークに下落し続け、先週までの三週間でなんと3686.915ポイント、率にして約三割も落ち込みました。これは簡単に例えると、6月12日時点で100万円の価値があった株価が70万円になってしまったも同然で、大人も子供もおねーさんもみんな揃って株式取引やっている中国では誰もがひとしく大損こいたと言われています。実際、周りに聞く限りだとみんな本当に損しているようですし。

 では何故、中国の株価は短期間でこれほど下落したのでしょうか。この原因についてネットを見てると、「中国バブルが崩壊した」、「中国はこれから内戦になる」とやたら書かれていて、実際私の大学の先輩もスカイプ通して私に同じこと言ってきました。ついでに書いておくと、ネットで検索かけたらこんな記事もヒットして、昔も今も同じことが言われ続けてたんだなぁなんて感慨深くなりました。
 だたざらっと見渡している限りだと、どのメディアも下落の理由については説明を避けているというか解説らしい解説がほとんど見当たりませんでした。これは日系メディアに限らず中国語のニュースでも同じで、下落した事実はどこも大きく取り上げているにもかかわらずその背景や原因、でもって今後の予想とかについてはあんまり書いて無くて、「なんだよ、一から俺が分析しなきゃだめなのかよ」などと、文句の一つも言いたくなってくる状況です。

ポイントその1、下落以前は異常な高騰だった

 景気づけにバナナ食べてきましたがそれでもジバニャン的には「だるいんでけどー」と言いたい気持ちを我慢して書き続けると、上記のグラフは楽天証券から引っ張ってきた上海総合指数の直近1年間のグラフです。楽天証券は私が普段使ってて手数料払ってるんだから、これくらい引用しても罰当たらないだろうと勝手に考えてます。

 真面目な解説に戻りますが、見てもらえばわかる通りに5000のラインを越えたあとから急激に下落しているのがわかり、これだけ見るとまるでこの世の終わりを連想させられるような落ち方です。しかし5000のラインを越えてピークに至るまでの道のりを見ると、私はむしろこっちの方が株価として異常な傾き方をしているように思えてきます。
 2014年7月の段階の上海総合指数は2000ポイントをやや上回る程度でしたが年末辺りからやたら急激に右肩上がりとなり、2015年1月から6月にかけては3000ポイント中ごろから半年も経たないうちに5000ポイントを上回るまで高騰しています。これは率にすると昨年7月からピークとなった今年6月までの一年間で2.5倍程度も高騰したわけです。またこのところ下がっているとはいえ、現在の上海総合指数は昨年同期比ではまだ1.5倍ほど高騰した状態を保っております。

 この昨年から今年にかけての高騰ぶりははっきり言って異常もいい所で、むしろニュースとしてみるならばこっちの方がニュースじゃないかとすら思えてきます。この昨年末から今年6月にかけての高騰は軽い証券バブルと言ってもおかしくないほどの高騰の仕方をしており、現在株価が大幅に下落しているのは、上がった分だけ下がるとでもいうべきかこの急激な高騰の反動を受けての物と見て間違いないでしょう。言い換えるなら、何故大幅に下がるかといえばそれ以前に大幅に上がっていた、上がり過ぎていたからだ、といったところでしょうか。

ポイントその2、何故これほどまで高騰したのか
 今は下落に至っているとはいえ、では何故それまで中国の株価は異常な高騰を見せていたのでしょうか。これについては毎日中国市場チェックしてないから適当に今日調べた範囲内で私の分析を述べると、IPO(新規株式公開)が異常に多かったからではないかと思います。

 IPOの意味についてはさすがに説明を省略しますが、今日見た記事によると今年1~6月の上海証券市場でのIPO数は史上最多だったらしく、追い風傾向にあった市場を大いに盛り上げる要因となったそうです。無論他にも要因はいくらでもあるでしょうがIPOがあると基本的に市場は勢いを持つもので、実際に急激な下落を始めたここ三週間においてもIPOで新たに出た株式の株価は上昇しております。
 あくまで私の勝手な分析ですが元々市場が盛り上がっていたところにIPOが続出し、やや過熱していたと言っていいくらいに株価が高騰し続けたのが真相じゃないかという気がします。その高騰ぶりがあまりにも急激過ぎたため、いざリセッションが始まると下落の仕方も急激になってしまったのでしょう。

ポイントその3、何故高騰から下落に転じたのか

1、IPOが続出
2、市場が過熱
3、株価が急激な高騰
4、高騰し過ぎたから下落も急激に

 これまで説明した流れというのはざっと上記のような流れなのですが、3番と4番の間というか何故高騰から下落ターンに転じたのか、ここの分析はちょっと厄介です。
 はっきり言って理由を挙げようと思えばいくらでも挙げられ、単純に「そろそろ上がり過ぎじゃね、もう売り払った方がいいかも」と、みんな一斉に思って一斉に売りに出たとか、ファンドが利益確定とばかりに一気に売却へと動いたとか、景況感が悪いのに株価の高騰の仕方を不気味に感じだしたとかなんとでも言えます。もっとも2番目のファンド云々は実際はあまり有り得ず、というのも中国は外資系ファンドの購入幅をきちんと制限しているからです。

 下落に転じた理由は明確な証拠や比較がないため印象論でしか語れないのですが、一番大きな理由としてはやっぱりギリシャ危機でしょう。嫌でも目に付くというか今後の不安材料として気にせざるを得ず、株価がいくら高騰しているからと言ってリスクを考えてそろそろ売ろうという動きが出始めたところ我も我もと雪崩を打って周りの人も一緒になって売り始めて、そのまま大幅な下落へと転じたのではないかと思えます。

ポイントその4、政府の市場鎮静化策?
 実際にはあまり考えられないものの可能性だけでも頭に入れておいた方がいいと思う考え方として、株価が下落に転じたのは市場のあまりの過熱を懸念した政府が株価を操作したのがきっかけでは、なんていうのも一つの選択肢としてあります。何故このような可能性があるのかというと中国の主要な上場企業は国有企業と言って、株式の大半を政府関係が保有しているからです。
 株式を大量に保有することによって中国政府はこれまでも株式市場を操作していると言われ、実際にそれは誰も言わないだけで誰もが知っている事実です。既に述べた通りに昨年末から今年6月にかけては明らかに異常なほど株価は高騰し続けており、こうした過熱ぶりを覚ますために下落へと転じるよう政府が株式操作を仕掛けたという可能性を、実は真っ先に私は疑っておりました。

 しかし急激な下落が続く事態に対して中国政府は、株価が下げ止まるよう突然手数料を下げたり、証券会社とともに市場へ資金を供給したりと矢継ぎ早に市場緩和策を取るなど明らかな動揺をみせており、少なくともこのところの急激な下落はシナリオにはなく想定外の事態であったことは間違いありません。ならば市場への鎮静化策を政府が取ったという予想はやはり間違っているのでしょうか?

結論、何らかの要因によって下落へと転じギリシャ危機が追い打ちをかけた
 最終的な結論としては、何かとは断定できないものの、何かのきっかけによって急激な高騰が下落へと転じ、そこへギリシャ危機が本格化して誰もが想定していない急激な下落へと転じた、というのが今回の事態のあらましではないかと思います。

 下落の仕方が急激となったのは何度も述べている通りにそれまでの高騰が異常だったこと、そしてギリシャ危機が思ってた以上に大きくなったことから下落期間が長期化したということでほぼ間違いないと、この点についてはやや強気で主張できます。
 しかし高騰から下落へと転じることとなったきっかけについては、先ほどからも述べている通りに明確な証拠がないためはっきり「これだ!」と言えるものはありません。もしかしたらギリシャ危機そのものだったかもしれないし、単に市場マインドが売りに転じただけかもしれないし、はたまた私が主張するように政府が市場鎮静化に動いたからかもしれません。ただそのきっかけによって誰もが想像していないほど大きな下落となったのは事実で、それ故に今必死でみんな対策取っているわけです。

今後の予想
 では今後の中国の株価はどうなるのか。適当に言っていいのであれば保証しないこと前提で言いますが、まぁもうしばらく下落した所で落ち着くのが関の山じゃないかと思います。
 週末に政府があれこれ対策に動いた甲斐もあって今日の上海総合指数は見事に反発してみせましたが、ギリシャ危機は日本の株式市場を含めまだまだ世界中の市場を引っ掻き回すことは目に見えており、中国政府が努力をしたところでその影響を完全に取り去ることは難しいでしょう。また昨年同時期と比べるなら現在の上海総合指数は未だに高値な状態を維持していると言ってもよく、これは言うなれば下落幅をまだ持っているようなもので、もう少し下がる可能性の方が高いのではないかなというのが自分の予想です。

 ただ下がるとはいえ、ノストラダムスのような中国破滅論者の言うような社会的混乱は起こらないでしょう。景気への悪影響はもちろんありますがだからと言って体制が崩壊するとか暴動が起こるとか、あなた方が日頃起こってほしい願望はなかなか起きないもんだよと個人的に言ってあげたいです。なお蛇足で述べると、個人的経験から言えば願望というのは予想の正確性を妨げる最大の障害です。予想はあくまでクールにね。
 このように楽観的に考える理由としては、現時点で昨年同期と比べて株価は1.5倍くらい高値を付けていることと、高騰が短期間で急激だったことから下落も短期間で急激に終わるのではと考えるからです。

 しかしこの株価下落が全く社会不安を起こさないのかというと必ずしもそう断言はできないというべきか、ちょっと興味のある指標として住宅価格が気になります。仮に株価の下落に連動する形で住宅価格も下落し始めたら、金融全体で致命的とはならずとも小さくはない影響が起こることが考えられます。
 まぁこれはあくまで可能性の話ですので、来月10日くらいに中国国家統計局が出す7月の都市別住宅価格統計を見てから口に出すべき話です。実際にそうなったらまたお話しします。

 以上までがざっと、今日一日で作った今回の下落に対する私の分析です。つうか我ながら本当に勉強がおろそかになってる気がしてなりません。
 さーて、この後は時事通信向けコラムの翻訳やらないと。ほんとだるいんですけどーって誰かに言いたい。

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