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2015年10月15日木曜日

リツアンとの会合

 先週一週間の予定を書いた記事でも載せておりますが、ちょうどなのか前の10/8に静岡県掛川市にある人材派遣会社のリツアンSTC(以下「リツアン」)を訪問し、この会社の野中社長とも会ってきました。一体何故私がこの会社を訪問したのかというと別に派遣先を探して欲しかったとかではなく(いいとこあるならマジで教えてほしいが)、派遣業界の現状などについて野中社長と直接話し合うためでした。

 そもそも自分とこのリツアンがどこで接点を持ったのかというと、目下このブログで一番アクセスを稼いでくれている、今年一月に調査、発表した派遣会社のマージン率一覧の記事を読んだ野中社長が直接私宛にメールを送ってきてくれたことがきっかけでした。あの記事は調査にも記事にも自信があったものの果たして反響はどんなものか、案外当事者である派遣労働者の反応は薄いのではと思っていたところ何故か派遣会社の社長から連絡が来て文字通り面喰いました。
 そのメールの書き出しも、「本来ならば敵となる派遣会社の者ですが」というような文面から始まっていたものの、マージン率の記事内容を誉めていただけたとともに野中社長の派遣業界に対する理念などが書かれ、私に対して非常に好意的な内容でした。元々あのマージン率の記事は派遣労働者向けに書いたものではありましたが、本質的に得するのは真面目に情報公開を行っていた派遣企業だろうと考えてもおり、そういう意味では以前から業界の改善や情報公開に熱心だったリツアンからこうした反応が得られたのは大きな収穫のように感じました。

 その後も折に触れて野中社長とは何度かメールのやり取りを続けていたところ先週に日本へ帰国する用事が出来て、なおかつ友人の結婚式出席のために東京から大阪へ足を運ぶ用事もあったので、ぶらり途中下車とばかりに掛川に寄って野中社長にアポを取ったところ快く引き受けてくださり、その日の対面と相成りました。
 野中社長とはそれ以前からもメールでやり取りしていたため、お互いに初対面とはいえ相手がどういう人間か熟知していたため自己紹介なんてほとんどせず、最初に立ち寄った鰻屋でのっけからディープな話題を話し合っていました。やり取りしたメールの文面、そして公開されているブログの文面からもエネルギッシュな人物だとは考えてはいましたがまさにその想像の通りで、道行く人ほぼすべてが知り合いなのか全員に声かけたり、前日夜中三時まで飲み歩いて携帯忘れたというのにこの日も昼間からずっと飲み続けたり、それでいてやけに業界のディープな話を素面の様に話し続ける様は、「経営者ってやっぱこうエネルギッシュじゃないと駄目なんだなぁ」と見ていて感心させられる様でした。もっとも、リツアンの社員の方も半端なくアルコール強かったですが。

 そのような野中社長に対する私の印象ですが、正直に言えば青臭い考えの人だなと思いました。もっともそれを言ったら「お前はアカ臭いやないけ」と言われかねないほど私もやや理想主義的な考えの持ち主ですが、こと派遣業界については完全に同じ方向を向いているという確信が持てます。
 野中社長も私も現在の日本の労働市場について雇用の流動性が低いことが大きな欠陥だと認識していることで一致し、流動性を高める手段として派遣制度がもっとしっかりと運用されるべきだという考えを持っております。あんなマージン率の調査を行った私ですが、以前からも書いているように派遣制度はきちんと運用されていれば硬直化している日本の労働市場を改善に導く可能性があるとも考えており、どちらかと言えば派遣制度の拡充を望んでいたりします。

 ただ現行の派遣制度は制度や法律に穴が多く、マージン率をネット上で公開しているのは5社中1社という有様からもルールがきちんと徹底されているとは言えない状態で、またそうした欠陥を突くようにして荒稼ぎする業者もいることからてっぺんから底辺まで人材派遣を営む企業ははっきり言って異常なくらいに多く、大手と呼ばれる会社ですら二桁に上るほど存在します。
 私個人の考えで述べれば、もっと派遣業界内での淘汰が進めば派遣労働者の手取り賃金は向上が見込めるし、またそれによって正規雇用の非正規雇用の優位性も薄まって雇用の流動化が促せると思います。同時に情報公開を徹底することによって派遣元、派遣先、派遣労働者の三者がより効率的に動けるようになるだけに、竹中平蔵流に言えば大手と呼ばれる派遣会社は3~4社くらいが手ごろな気がします。

 少し脇道にそれますが日本は未だに終身雇用を掲げる会社が多いものの、既に終身雇用を維持する上で前提となる年功序列制と市場拡大は破綻しており、システム的には完全に破綻しています。破綻したシステムを無理やり維持しようものならそこにはやはり無理が生じ、結果的に社会全体で損をし続けているというのが今の日本の労働環境でしょう。

 仮に雇用の流動化が達成されるのであれば派遣雇用なんて必要ないのですが、現状から考えるに固い岩盤を砕く上ではこの派遣制度は一つの有意な手段になり得ると思え、特にリツアンの様に情報公開を行いルールの上で業務を行っている会社は応援すべき対象です。誉めることよりも貶すことの圧倒的に多い私ですが先にも書いている通り自分とリツアンの派遣業界に対する価値観は完全に共通しているだけに、実質的に野中社長は盟友だとも考えています。

 取材記事みたいなインタビュー文っぽく書くと対面した際に野中社長は、「社会に必要がなければこの会社はなくなってもいいし、お金にも興味はない」と述べた上で、

「それでも派遣という制度をきちんと運用すれば会社も労働者もベストなマッチングを見つけることができ、それで社会も豊かになっていけるはずだ。どうしても会社というのは相性というものがあり、ある会社でまともに働けない人でもほかの会社では大活躍することもできる。そうしたマッチングを派遣会社が担い、マッチングのいい会社に出会えた時点で直接雇用に切り替えられればこれ以上いいことはない」

 などと理想主義全開な内容を何度も口にしてましたが、こうした発言が決して口先だけでないということは野中社長のブログを読んでいてもわかるし、私もここで読者の方に保証致します。更にこうした野中社長の姿勢はしっかりとリツアン社員の方にも受け継がれており、何人かとも話しましたが皆揃って明るく、リツアンでの業務に強いやりがいと誇りを持っているように見受けられました。ただ常にエネルギッシュな社長に、「たまに疲れる時もある」という愚痴も聞かれましたが。

  おまけ
 この訪問した日に折角だからということで、掛川駅から徒歩ですぐ辿り着く掛川城にも行ってきました。この掛川城は天守閣は近年に復元されたものであるもののなかなか雰囲気もよく、以降となっている二の丸御殿も程よく保存されていて素直に悪くない城だと感じました。
 ただ一見して思ったこととしては、「信長の野望で遊んでいる際、進軍上でいつも鬱陶しい城だったよなぁ」というゲーム脳満開な印象でした。

2 件のコメント:

  1. 天下統一を果たすには、掛川城よりも浜松城がオススメみたいですよ。
    http://arufa.hatenablog.jp/entry/2015/10/02
    また、本文と関係なくてすみません。。

    いろいろ実りある「盟友」様との出会いだったと思います。
    昼は「アオ」い方で、夜は「アカ」い(だった?)方にお会いしてたのですね。

    日本での強行スケジュール突破、お疲れ様でした。
    中国でも、どうぞお元気でお過ごしください。

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    1.  リンク先の記事、なかなか楽しく読ませてもらいました。最近こういう体張る系の記事少ないし。
       この日に限らず今回の帰国では本当に多種多様な人たちと会って、非常に実りあるハードなスケジュールとなりました。幸いというか疲労は少し感じるものの体長は全然崩れる様子もないので、自分ももう少し体張った生活を続けてこうと思います。
       あと猫の写真集、ありがとうございました。二冊は重たいので、一冊は友人へと置いて行き、一冊は手元に持ってきております。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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