ページ

2017年1月17日火曜日

中国の主要な購買層

 先月、中国に赴任したばかりの広告業界関係者相手にこんなアドバイスを送りました。

「日本において女子高生は主要購買層で彼女らの消費傾向は見逃せない大きな指標だが、中国の場合はそもそも中高生が街中を歩くことすらほとんどないため、購買層としても成立しない」

 説明するまでもないでしょうが日本では女子高生がどういったものにお金を消費するのかというのは、収入がアルバイトとお小遣いに限られているため使用できる金額に上限があるとはいえ、社会の消費傾向を読み解く上では非常に重要な指標です。特にファッションやブランド品においては強い影響力があるだけに、90年代ほどとはいわないものの大きな存在感を持っています。

 しかし中国だと、以前にも一回書いたことがありますがこっちの中高生はマジで勉強漬けのため、休日とかでも街中歩いていて中高生らしき少年少女を見ることはほぼありません。そのため社会で彼らが取る消費行動はほとんどないというかほぼないって言っていいくらいで、学用品ならまだしも消費傾向を図ろうと彼らを観察した所で得るものはほぼありません。
 この説明に上記の広告業界関係者も納得していて我ながらいいお土産持たせられたなと悦に入っていましたが、ここからさらにもう一歩話題を進めるとするならば、ならば中国ではどういった層が主要な購買層なのかということになります。結論から述べると、未婚の十代から二十代の女性と、事業家として成功したおっさん連中がやはり二大購買層であると私は睨んでいます。

 未婚の十代から二十代の女性、というよりOL層は日本でも主要な購買層として認識されていますが、こと中国においては日本以上にこの層の購買力が桁違いに高いとすら思います。というのも就労して賃金を得ながら育児費などといった消費科目がなく、実質的に家賃を除けばすべて自由に使えるお金になるからです。その上、中国だと最近は(昔から?)女性に貢がないと男は結婚できないという風潮になりつつあり、比較的貢がれやすいため男の収入すら吸収して消費するという購買力を持っています。
 またこれは私自身も驚いたのですが、案外こっちの若い女性は独身ながら住宅を購入して所有しているというケースが案外多いです。もちろん銀行などの融資を受けているのですが住宅バブルの追い風もあって購入した家を下取りに出して、よりグレードアップした新しい家の購入をしたりしていて、転売を繰り返して地味に億万長者なOLとかもいたりします。日本でも一時期は都内のマンションを購入するOLが見られましたが、最近はどうなんだろうな。

 もう一つの主要購買層の事業家のおっさんは、これまた日本とも共通していて、一発当てた成金だと思ってもらえばいいです。この層が成功してお金が余るようになってからまず買うのは決まって高級外車で、ランク的には数千万円するようなクラスです。そんな金あるなら従業員に還元してやれよと思うのですが、彼らも成功した証としてなんか儀式の様に高級外車を買い漁るのでとやかく言うべきではないのかもしれません。

 これ以外の購買層については大体は日本と状況が一緒で、子持ち夫婦であれば子供の育児費や教育費に家計支出の大半を取られるため一般消費品の購買力は先の二者に大きく劣ります。ただこの記事書いてて閃きましたが、日本だと知っての通り婚姻率が極端に落ちて独身世帯がかつてないほど多くなっており、この層が男女ともに大きな消費力、っていうか層別にみたら最高クラスに消費力持ってるんじゃないかという気がしてきました。もっとも三十代四十代の収入はずっと落ち続けているから、相対的な意味でしかないでしょうけど。

4 件のコメント:

  1. 酷道マニア2017年1月19日 7:57

    以前から思っていたことなんですが、本当に中国の中高生は勉強漬けなんでしょうか?
    日本以上に勉強漬けていうのは都市部の中間層以上の話だけで、地方では高校進学率さえもまだまだ低いというような記事があるのですが。
    http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/060800084/?ST=smart


    地方は都市部に比べて所得が著しく低いので、勉強漬けでないけど、それなりにお小遣いをもってる中高生は少ないのかもしれないですが…。

    返信削除
    返信
    1.  この質問については直接見聞きしていないので断言はできませんが、恐らくはリンク先の記事の通りで、農村部の子供となるとまともな教育を受けているのはごく限られるでしょう。ただこうした層は中卒で出稼ぎに行き低賃金労働者となるため、やはり購買力は実質なく、収入も生活コストですべて吹っ飛ぶと思われます。
       最低賃金は今やどこでも月収四ケタですが、それでも日本円にすると2万円とか3万円というレベルで、余暇に使うお金はほとんどありません。なお余暇に使われる用途としては恐らく、携帯電話を通したゲームサイトなどがトップじゃないかと思います。

       最後にもう一つ付け加えると、農村出身の子でも大学進学を目指すことなるととんでもなく勉強漬けになると思います。それだけ教育レベルが求められるためで、科挙の国は伊達じゃないです。

      削除
  2. 日本の主要購買層を簡単にご紹介頂きたく。

    返信削除
    返信
    1.  こと一般消費品に限れば女性、それも高校生から主婦層までが非常に重要な層。逆に男性は昔は車関連に消費したが、最近は何に消費するのかアナリストも分析できていない。

      削除

コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。