ページ

2018年6月25日月曜日

生きる力を育てる教育とは?

 今日ニュースを見ていたら2020年から小学校で必修となるプログラミング教育について、学校側はどこも全く準備を進めていないというものがありました。私自身もこの方針については疑問に思うところがありさもありなんとか思ったのですが、これ見て昔言われた「生きる力を育てる教育」を思い出したので少し話します。
 っていうか一昨日に「地球防衛軍ポータブル3」買って死ぬほど遊んで今疲労がやばいです。よくできたゲームだし、やっぱこういう単純化された面白味が他のゲームは物足りないです。

 さて生きる力を育てる教育ですが、私の記憶が確かなら1990年代半ばに中学生の自殺が大きなニュースになり、当時の公立校で一時期叫ばれた教育論です。私自身も小学生の頃に生きる力云々とか言われたのを覚えていますが、はっきり言って掛け声倒れもいいところで、どんな教育を指すのか、どう指導するのか学校現場も何もわかってなかった気がします。案の定というか結局数ヶ月くらい叫ばれた後はすぐにフェードアウトして、そもそもの発端となった中学生の自殺事件についても触れられなくなり、それから数年してまた別の自殺事件が起きてから「自殺良くない」という同じような運動の展開が延々と繰り返されるわけです。

 一応というか私の記憶の範囲で言えば、生きる力を育てる教育としてまず挙げられていたのは「命を大事にする」というようなフレーズが飛び交っていました。狙いとしては自分の命も相手の命も大事にすることでいじめはなくなるし、生きる大切さに気付くだろうという腹積もりだったと思いますが、齢30を越した自分に言わせるとこんなの逆効果です。
 生きる力とは命を大事に思うとか、遭難時に役立つサバイバル能力とかではなく(後者はまぁ生きる力の一種だとは思いますが)、突き詰めて言えば「奪う力」だと思います。自分が欲しいもの、具体的な物質でもいいですし、立派な地位や安定した立場とか名誉など無形のものでもいいですが、そうした欲する対象を手段を選ばずに奪おう、得ようとする心構えと価値観、真剣さというのがこの奪う力の定義です。

 何故このように考えるのかというと結局は奪おうとすればガツガツ動かざるを得なくなり、自然とアクティブになるからです。逆にこの奪おうという意気込みが弱くなると、現状から何も手が出せなくなりどんどんと縮こまり、世界が小さくなっていくとともにどんどん消極化して自殺する可能性も生じてきます。
 具体例を挙げると、奪うという行為に対して「奪う対象に申し訳ない」という呵責を覚えることこそが、奪う力を萎えさせます。こんなことを言うとさも私が強盗めいた行為を奨励しているように見えるでしょうが言い訳しておくと、「奪われる覚悟がある者にのみ奪う行為は許される」という前提があります。

 社会において最小の労力と投資で最大の効果とリターンを得ようとするのは当たり前で、この際に相手のことを過度に慮り低い利益率で取引をすることは、まわりまわって社会全体の効率を落としてしまうことの方が多いです。ある意味、競争関係が維持されることで世の中は一番効率的に回り、そうした意味で「緊張感漂う奪い合う社会」こそが正常な社会状態だと私は考えます。
 こうした社会、というよりも普通の資本主義社会ではこれこそが一般的な世界観であり、奪うことに呵責を持つこと自体がこの社会において不利にしかなりません。特に、「奪うのではなく与えてもられるようにする」という価値観は私に言わせれば危険で、奪う側にとっては実質カモだし、他人に依存する価値観は精神を脆くさせるだけです。

 そういう意味で私は、小学生にはまだ早いかもしれませんが中学生くらいには、「暴力や詐欺といった非合法な手段は良くないが、世間的に合法とされる範囲であれば迷うことな効率的な手段を選び、仮借なく相手から奪え!」と教えてあげたいです。その一方で、「長期的な関係を見越して相手に奪わせるのも一つの手」だとして、「まず与え、そして奪う」という史記の管仲伝に出てくる政治概念を解説するでしょう。
 その上で、「一方的に奪い続けるのは、恨みを買うので良くない」ということも教えた上で、「いらないものを奪わせ、いる物は何としてでも奪え。どうやっても奪えないと諦めたその時点で、君の生きる力はマイナス1ポイントだ!」とまくし立てるでしょう。

 真面目にまとめると、奪う覚悟と奪われる覚悟のどっちもない人間は非常に脆いのですが、日本の教育はこうした人間を今量産している気がします。欲しいものを得るためには努力して、リスクを冒さなければならないという大事なことを教えず、「言われた通りにやっておけば与えられる」という間違った価値観を教えているように思えてなりません。だから生きる力が育たないんだと思うし、中国にいてその辺のリアルさを日本は社会全体でいまいち理解してない気がします。まぁ学校の教師ならそれこそ「言われた通りに……」でさもありなんなのですが。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。