先日コメントでGIANTについて触れられたので前から疑問に思ってた内容を書きます。その疑問というのも、なんで日本ではGIANT製のフレーム使った自転車が中国より多くないんだろうかっていう点です。原因は中国と比べるとGUANT販売店が少ないからとかだと思いますが、家電量販店とか眺めてもGIANT、あとMERIDAのフレームはそんな多くなく、ぱっと見だとTREKが一番多い気がします。
なんでこんな風に疑問に思うのかっていうと、世界の自転車フレームの大半は実はGIANTとMERIDAの二大台湾メーカーが作っているといわれ、細かい市場調査とかないけど下手すりゃシェア8割とか行くんじゃないかなと見ているからです。
元々、自転車のフレーム作りと言ったらユーザーの多いヨーロッパが盛んだったと言われます。ただそれまでヨーロッパメーカーのOEMで作っていたGIANTなど台湾メーカーがどんどん技術力をつけていき、例えばパイプに高圧で油を流し込んで成形する生産方法なども彼らが確立させたと言われ、次第にヨーロッパメーカーでは作れないようなより速く走れるフレームとかも台湾メーカーがガンガン作るようになっていきました。
これに焦ったヨーロッパメーカーは、台湾メーカーにしか作れないフレームをレギュレーションでレースから排除し、既に認定されていたタイムレコードまでも後出しのレギュレーションでなかったことにするなど露骨な妨害を行いましたが、時代の流れとともに台湾メーカー製フレームの性能がますます高まっていくと選手からも声が上がり、最終的にはこれら台湾メーカーをターゲットにした不公平なレギュレーションは撤廃されました。それと同時に、ヨーロッパメーカーのフレームは性能的にお話にならなくなって衰退していくこととなりました。
こうした過程もあって、生産原価もさることながら単純に生産技術の差で台湾メーカーが自転車フレーム市場を独占するようになりました。台湾メーカーと言っても生産地は中国本土(大陸)にある工場がメインですが、何気に私が以前住んでいた江蘇省昆山市にも工場があって(すぐ近くにはシマノの工場もある)、地元ということもあってかGIANTの販売・サービス店は非常に多く、所属していたサイクリング部もほぼ全員がGIANT一色のワンオフチームでした。
このGIANTですが先ほども述べた通りに元々はOEMメーカーで、現在ももちろんOEMをやっているというか、世界の自転車ブランドのほぼすべてを代理製造していると言われます。実際に店員から確認した限りでは米国の割と高級ブランドなスペシャライズドのフレームはほぼ全部GIANTが供給しているそうで、「向こうで買うくらいなら、性能は同じでもうちのが安いよ」とはっきり言ってました。
スペシャライズドに限らず他の有名ブランドもフレームはGIANTまたはMERIDAが実際に生産、供給していると言われます。フレーム以外の他のパーツにこだわりがある、と言ってもブレーキ+ギアはシマノがほぼシェア100%でどのブランドも一緒ですが、フレーム以外を重視して選ぶというのなら他のブランドの自転車を選ぶのもまだわかりますが、実質的に自転車の性能はフレームでほぼ決まり、そのフレームで言えばGIANTかMERIDAしかほとんど作っていないことを考えるとどこのブランドが優れているかとかは実際そんなないんじゃないかと思います。それならば大本のGIANTで買ってしまった方が商流で経由する企業数から言っても一番コストパフォーマンスがいいように思え、私もそうした視点とメンテナンスの観点からGIANT製のDEFYってモデルに今乗っています。
このような考えもあって、日本でGIANTブランドのロードバイクをそれほど見ないということにいつも不思議に思っています。もっともこれはGIANTがあまり日本で販売に力を入れていない、例えば中国では入門モデルとしてポピュラーなアルミフレームのOCRシリーズは日本では一切販売されておらず、並行輸入品か中古品しか出回っていません。
私も以前にこのOCRの確か2600に乗っていましたが、悪くない自転車でした。でも日本では売っていないということで、やはり販売やマーケティングで他の国ほどGIANTが力を入れていないのが、日本全体でGIANTブランドが少ない理由かもしれません。
なお私が今乗っているDEFYは4400元(約7万5千円)で三年前に購入しましたが、この前GIANTのお店行ったら何度かモデルチェンジが重ねられたせいか2500元(4万3千円)くらいで売っててちょっとしょんぼりしました。あとタイヤのチューブによって、やけに空気の抜け方に違いがあるのが気になり、この前パンクさせるまでは全然空気減らなかったのに最近は激しく減るため空気入れの手間が増えてちょっと嫌です。
なんというかFoxconやTSMCみたいな流れですね。
返信削除よそに外注して儲けるつもりが、品質や性能で負けてしまうとは。
実際、この十年間で起こった製造業におけるパラダイムは、まさにこのOEMメーカーの逆襲と言えるかもしれませんね。中国企業もなんだかんだ言ってOEMで力つけてきており、その一方で神戸製鋼や東洋ゴムをはじめ、日本のメーカーの空洞化が目立ってきました。
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