昨日の記事で大企業しか経験してないから視野が狭いと指摘した名古屋に左遷されたうちの親父ですが、私が生まれる前、購入する住宅を選ぶ際にこんなことを言っていたそうです。
「津波が怖いから、浦安はやめよう」
購入候補の住宅は二つありどちらも千葉県だったのですが、そのうち千葉県浦安市内の住宅については上記の判断から避け、当時としては浦安とは比べ物にならないくらいのド田舎だった、海抜が浦安より高い別の街で最終的に住宅を購入しました。親父曰く、「バブル期前だったが安い時期というわけでもなく、損得で言えばトントンの時期に購入した」とのことです。
この住宅選びにおける親父の判断は結果的には正しかったです。東日本大震災の後、津波こそ直撃しなかったものの埋め立て地で地盤の弱かった浦安市では液状化現象が多発し、他の都市と比べてもインフラ復旧が大幅に遅れました。当時、この影響で地価や住宅価格も大幅に下落したと書かれていましたが、今どうなっているかはわからないものの、地震や津波へのリスクを中心に住宅を選んだという観点で言えば親父の判断はピタリと的中しました。
・2年前に買った家が浸水 河川氾濫リスクは説明義務なし(朝日新聞)
なんでこんなことを思い出したのかというと上の記事がきっかけです。内容は今回の西日本豪雨による河川氾濫で水浸し被害に遭った方を取り上げていますが、この中で「購入前にあらかじめこういう注意喚起があれば……」という嘆きの言葉が書かれてあります。
確かに注意があるに越したことはないでしょうが、やはり注意以前に普段から災害に対する意識を強く持っておくことの方が重要ではないかと率直に感じました。単純に高台であればこうした水害リスクはほぼ回避できますし、また水害に限らずとも土砂崩れや地盤沈下など、おおよそ想定できるリスクに対しては地勢を見ることである程度のリスク計算と予防ができます。注意があったなかったと後から言うことは可能ですし、確かにないよりは注意があった方が親切と言えば親切ですが、言われなくとも自分で意識しなければならないという価値観というか心構えも必要なのではという風に感じたわけです。
図らずとも、うちの家では親父の判断によって損失を抑えることが出来たわけですが、やはり慎重すぎると言われても、災害に対して普段から意識しておくことこそが予防と言えるでしょう。「災害は忘れたころにやってくる」と言いますが、忘れる頃にどれだけ意識してそれを普段の生活で行かせるかが、ある意味今後の日本の防災において重要ではないかと思います。
おまけ
東日本大震災の後、親父とこんな話しました。
「おう親父、俺が子供のころに配当目当てで東電の株こうたゆうとったけどあれどないしたん?」
「まだ持っとったんや……」
こういうこともあるので、親父の判断は必ずしも信用していません。なおこの後に投げかけた慰めの言葉は、「まぁネタにはなるけどね……」でした。
名古屋の熱田神宮が熱田台地の南端に建っているのもおそらく洪水の被害に合わないようにするため
返信削除でしょう。 ダムがなく、治水技術が未発達な古代においては、洪水は今以上に恐ろしい自然災害
でしたので重要施設は台地、丘、小山に建てていました。今ならGOOGLEMAPで、土地の高低図が簡単
に見られます。 将来家を建てる時は、まず地図を見て、災害が起きにくい場所かどうか確認する
つもりです。
同じく熱田台地にある名古屋城は熱田台地の北西端にあります。 これは洪水対策以外に、防衛目的
でも台地の端に建てています。名古屋城を北西から攻める軍勢は低い位置から高台にある名古屋城を
攻める形になるので攻めづらい。 この構造は大阪城と同じですので、名古屋城を建てる時に
大阪城を参考にしたのかもしれません。
やっぱうちのおとんのように、普段から「家は高台に限る」という意識を持っておくべきだと、今回痛感しましたね。熱田神宮と高台の下りは知りませんでしたが、おっしゃられている通りに重要な建物と、防衛上の目的というのが理由でしょう。ただ防衛目的とは言え、山の上に城立てられると登城する側は大変で、明智光秀は安土城の登城で腹立ったから本能寺の変起こしたという冗談もありましたが、あながち理解できないわけじゃないです。
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