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2018年9月14日金曜日

サイコパスはドキドキしない?

 大分前に橘玲氏の「言ってはいけない」という本を読んでみたのですがその中で、「サイコパスとされる人物は常人と比べ心拍数が平均的に少ない傾向がある」という記述がありました。これは文字通りそのままの意味で、サイコパスと心理学上診断され、実際に犯罪行為などをやらかす人たちを検査したところ一般人と比べて誰もが平均心拍数が少ないという結果が出たそうです。またこうした人物の幼少期のデータを見ても同様の結果で、ちっちゃい頃から心拍数が少なかったそうです。

 これが何につながるのかというと、文字通りの意味では「サイコパスはドキドキしない」、言い換えると、「刺激に対してあまり受動的反応を示さない」ということだそうです。ドキドキする状況と言ったら一般的には恋愛場面、あと物壊したり遅刻したりして後で怒られそうって状況が挙げられますが、こうした状況でもサイコパスはあまり興奮したり、焦ったりせず、普段のまんま比較的落ち着いた心境を保つとのことです。
 またそれだけでなく、ゲームや行楽体験を受けると普通の人は心拍数の上昇とともに快を感じて楽しむ気持ちを覚えるのですが、サイコパスはこうした体験を受けても心拍数はあまり上昇せず、得られる快も一般人と比べて少ないようです。これがどう言った影響をサイコパスに及ぼすのかというと、快楽を得るためにより強い刺激を求めるようになり、ドラッグをはじめとする犯罪行為などに手を染めていくというルートにつながっているという説が提唱されていました。

 私個人の意見では、流れ的には確かになるほどと思えて非常に納得できる筋書きです。何もサイコパスに限らなくても当初は刺激十分に楽しめたゲームも何度も遊んでいると面白いとは感じなくなり、より面白いゲームはないかと探すようになり、また前に遊んだゲームよりグラフィック、ストーリー、BGMなどが優れているものを必然的に選ぶでしょう。映画で例えても、かつては感動できた映像美であっても十年後に見返すとしょぼいCGだと思ってしまうなど、刺激は慣れてしまうとより強い刺激でないと快が得られなくなります。
 サイコパスの場合はこのサイクルが常人より顕著であり、その原因の一端が先ほど挙げた心拍数にみられるというのが具体的内容です。現実の犯罪者を見ても神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇のように虫から動物、人間と殺害対象が徐々にエスカレートしていますが、この過程ではっきりと犯人自身が欲求を求めて行った結果であると述べており、特に殺人の際はえも言わぬ快感を感じたような証言を残しています。

 以上の事例を踏まえると、心拍数が少ない、というより受動的反応が弱く刺激に対してあまり反応しない人間というのはサイコパス的要素を抱えていると言えるかもしれません。無論、この一点だけでサイコパスだと判定できるわけでもなければ実際にそうだと言えるわけではなく、このほかにも共感性の欠如や将来予測の曖昧さなど他の要素も十分かつ慎重に検討する必要はあるでしょうが、刺激に対してあまり反応しないという感受性の弱さは相手の人間性を分析する上ではなかなかに重要な情報の一つだと私には思えます。
 ある意味でそれは経験が表れるとも言え、例えば私のようにホラーゲームやホラー映画を見慣れている人間はちょっとやそっとのグロテスク画像や怪談話ではビビらず、実際この前までやってたホラーゲームを遊んでいる最中も「こいつまた死んだよー(^ω^)」って感じで爆笑しながら遊んでいましたが、これは私がサイコパスというよりかは有り余るホラー体験を乗り越えてきた証であります。

 その逆に、本来なら経験しておらず初めてなはずの体験(仕事や動作)でも全く緊張もなく動じずに淡々と行ってしまう人間がいたとした場合、別に上記の話を知らなくても不気味さを感じる人の方が多いのではないかと思いますし、実際そういう人は注意するべき対象じゃないかと思います。この手の人間は何も将来サイコパスになって猟奇犯罪を起こしそうだっていうわけじゃなく、感受性の弱さから何か問題を起こした際も焦ったりとか恐れとかを抱かず、淡々と隠蔽とか見過ごしとかをやらかしかねないという意味で私は注意します。

 このような目線に立てば、サイコパスとされる人間は基本的に一喜一憂しない傾向があるため、やはりトレーダーなど、状況が激しく変わる現場での意思判断を行うような仕事が向いているのかもしれません。

 なお「サイコパス」というアニメに常守朱というキャラクターが登場しますが、このキャラは作中でどんだけショッキングな場面に遭遇、具体的には目の前で親友が惨殺されたり、親戚が拉致虐殺されたりしても、犯罪行為につながるとされるストレス(犯罪係数)が全く上昇しないという特徴を持ったキャラとして描かれています。日常生活では年相応のキャリアウーマンらしく喜怒哀楽もはっきりと出すのですが、周りもドン引きするくらいストレスに強いというか鉄人のようなタフな精神構造をしており、上記の定義に則るならやはり彼女こそが作中最大のサイコパスと呼べるでしょう。

  おまけ
 上にも書いた通りにもうすっかり遊び慣れてしまったせいか、最近どんなホラーゲームをしていてもビビることがなくなり、ゲーム中にキャラクターが死んだりしても、大抵大げさな死に方するからその死にっぷりのおかしさに笑ってしまうことの方が多いです。
 ただここ数年間でゲーム中、鳥肌が立つくらい恐ろしさを感じたことが一つだけありました。それは「ゼロエスケープ」というゲーム中での、本日結婚&妊娠を発表した能登麻美子氏の声でした。能登氏について普段は大人しめのかわいらしい女性キャラばかり演じていて内心では演技の幅が狭い声優だと考えていましたが、このゲーム内の演技というか耳にするだけで鳥肌の立つ声を聴いてからは認識を改められました。

 その後、能登氏はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険(第四部)」のある意味ヤンデレの始祖たる山岸由花子というキャラにキャスティングされましたが、放映前は「ミスキャスト」だとか「イメージと違う」という声がネットを見ていても多かったように見えましたが、いざ実際に放映されると上記の私のように「怖すぎる」、「想像を超えていた」などと絶賛する声に溢れる結果となりました。もっとも上記の体験を経ていた私からしたら驚きはなく、現時点でも「最も怖い声は能登の声」と考えています。

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