・逆風のなか日系メーカーが躍進、中国自動車市場の今(JBpress)
上は今日配信された自分の記事ですが、この程度の内容も大手紙は出さないというのが未だによくわかりません。四半期ごとでも分析入れればそれなりに見える記事になるというのに。
さてこの記事ですが、一応テーマとしてはQ1中国自動車市場ですが、その真価は実は末尾にあります。ありあわせのように最後に中国の新エネ車と電池市場について触れていますが、この中で私も特筆しているチタン酸系リチウムイオン電池を中国メーカーが既に生産、供給しているという事実は正直驚愕しました。
簡単に解説すると、リチウムイオン電池と一言で言ってもその電極にどんな素材を使うかによってものすごく種類が分かれます。電極素材が異なるとどうなるかというと、性能がものすごく変化し、具体的には電池容量、炎上に対する安全性、生産技術の複雑さ、素材コスト、充電速度などがガチで大きく変わり、現状のところどの素材も一長一短的な要素を持っているため誰にとってもおすすめ的な万能リチウムイオン電池というのは現在のところ存在しません。
これまで中国では、電池容量は少ないけど安全で且つ生産技術もそんな高いところが要求されず、何より素材コストが抜群に安いリン酸鉄系リチウムイオン電池が主流でしたが、一昨年辺りから国の政策もあってどの分野の性能も平均的だけど素材コストがやや高く、且つ生産技術が要求される三元系リチウムイオン電池が現在主流となり、一部がまだリン酸鉄系も作っているという状況です。
そんな中、珠海銀隆という電池メーカーがのみがチタン酸系リチウムイオン電池というのを生産、供給していることを今回はじめて知りました。このチタン酸系リチウムイオン電池というのはまだ生産技術が確立し切っていない、っていうか量産しているのは恐らくこの会社だけだと思うのですが、電池容量はやや少ないものの、急速充電が可能であり、何よりも長寿命という特徴を持ったリチウムイオン電池です。
ここで明かすと、将来のEV用電池として私はこのチタン酸系リチウムイオン電池が最も有力だとかねてから睨んでいました。というのも現在EVに使用されている電池は充電するごとに電池容量が低下、要するに劣化し、3年も乗ると当初の半分くらいしか充電できなくなるという話すら聞きます。
車の場合は資産価値も重要となる製品なだけに、EVの心臓部と言ってもいい電池がこうも早く且つ大幅に劣化してしまうのは非常に致命的です。それだけに何千回と充電しても当初の最大充電量からほとんど目減りしないというチタン酸系のほうが今後、将来性があるのではとかねてから見込んでいました。
また同時に、日本でこのチタン酸系を主に研究しているのはあの東芝です。メモリ事業を売った東芝にとっても電池事業は非常に重要となるだけに、東芝の不沈もこのチタン酸系リチウムイオン電池が左右することになるだろうと思ってその研究の行方とか密かに追っていたのですが、いつの間にか中国メーカーがすでに市場に供給しており、もう東芝あかんやんとか内心思いました。
珠海銀隆の供給先を見ると福田汽車であることから、主にバスといった商用車に電池が供給されているのではないかと思います。長寿命という特性を活かす上では確かにこういった商用車やタクシーが適切だと思えるだけに、今後実際製品でますます研究を加速してくるような気すらします。
真面目にこの件に関してはここ数年くらいで最も驚いた技術トピックです。市場が伸びているということもありますが、電池技術でここまで中国が来ていたというのは真に注目すべきであり、この記事では正直全体の自動車販売台数より、この電池について知ってもらいたいという一心で記事書きました。
その思いが伝わったと言うか、ヤフコメみるとまさにこのチタン酸系リチウムイオン電池に言及する人がいて、非常に嬉しかったです。逆を言えば電池市場に関する研究や報道が日本だと薄いように感じられるだけに、前みたいに日経さんとか後追いしてくんないかなと密かに期待しています。
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