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2019年6月29日土曜日

日本の解雇給付制度

 日本もそうでしょうが上海も今年は梅雨が遅く6月中はとんと雨が降らず、むしろ冬の方がずっと雨が多かったです。気温も低く秋のような爽やかな天気が多かったのですが、今日になってようやく梅雨っぽい雨が降って気温と湿気も上がり、今日になって私も初めて冷房を入れました。ちなみに冬の間は一切エアコンは使わないので、エアコン動かすのは実に1年ぶりです。

損保ジャパン4000人削減「介護へ転属」の深層と、この社会のバグ(現代ビジネス)

 話は本題に移りますが、最近話題な上記のニュースについて議論すべき内容はそこそこ議論されているので私の方からは特に付け加えることはありません。強いて言えば、これの何が問題なのかといったところで、本来戦力外として解雇されるべき従業員らに対し損保ジャパンはわざわざ異業種企業を買収してまで雇用を維持しようと努力しているあたりは逆に褒められるべきじゃないかと思います。まぁ日本の法制度からすれば合理的な方法です。

 上記ニュースについては以上の通りなのですが、日本には解雇給付に関する基準はないのか、という点が前から実は気になっていました。

経済補償金(多田国際社会保険労務士事務所)

 一番わかりやすく紹介していると思うのが上のサイトですが、中国では会社都合による整理解雇の場合に支払う解雇給付(解雇手当、解雇補償金など呼び方は様々)の基準が定められています。具体的には「勤続年数✕直近の月額給与」で計算し、その会社での勤続年数が5年の人は5ヶ月分、10年の人なら10ヶ月分の一時給付金を解雇時に支払うよう定められています。
 なお退職金制度については中国では設置していない会社が多いので解雇給付とは別に考えます。また何らかの規定違反などによる懲戒解雇の場合は、複数回の指導履歴やはっきりとした損害額の証明があれば上記の解雇給付の支払いは不要です。

 実際に解雇する場合、中国の法律上で企業側が支払う一時金の金額は上記の規定通りですが、この金額で実際に収まるかどうかはまた話は違います。中国の場合は労働裁定といって労働者側が労働監督局に訴えることで無料で企業側との仲裁や交渉に行政を挟む事も可能で、上記の解雇給付を支払うとしても解雇されたくない場合は労働裁定に持ち込まれます。
 そのため労使間の解雇交渉では、上記の解雇給付基準にどれだけ上乗せするのかが、交渉のポイントとなります。この手の交渉では企業側が先にカードを切ることが多く、素直に解雇勧告を受け入れるのならば上記解雇給付に月額賃料2ヶ月分を、他の従業員の説得にも回るなら3ヶ月分を上乗せするなど、実際にはこのようにプレミアムをつけて交渉を円滑にすることがよく見られます。それでも労働者側がごねる場合は、「じゃあもう何も上乗せなんてしない。労使裁定でも何でもどうぞ」といって突き放し、解雇給付基準の最低額の提示に留めるわけです。

 既に勤続年数で言えば中国での勤務の方が日本の倍以上いっている私にとって、上記の解雇給付基準というのはごく当たり前の制度で、最近までてっきり日本でも似たような基準が法律で定められているものだと思っていました。しかし先程軽く調べたところ、どうもそれらしい基準というものは見当たらず、最初の整理解雇に関するようなニュースでも一切言及されていないことからも、恐らくはないんじゃないかと今考えています。
 間違えていたら誰か詳しく教えてください(´・ω・`)

 仮にないとしたら、なんでないのか逆に不思議です。やはり上記基準があるのとないのとでは整理解雇交渉の円滑さが大きく変わるだろうし、何より解雇される人間の解雇後の生活保障という意味でも最低限支払われるべき一時金は、失業保険とは別枠で用意するべきでしょう。
 なによりも、企業側のどうにもならない人材の斬り方として、こうした選択肢も設ける必要があると私には思います。逆にこういう精度基準がないからこそ、損保ジャパンみたいなやり方が使われるのだとも言えますし。

 中国に慣れているかもしれませんが、ことこういう人員整理に関しては日本は就活同様にルールがあってないようなもので、退職代行サービスなどといい、本来定めるべきルールがないからこそ労使ともに混乱している節が見られます。真面目に中国見習って、こういった一時金基準くらいは作ったほうがいいでしょう。

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