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2019年10月11日金曜日

バイオハザードな日本の企業環境

 本題と関係ないけど、漫画の現代作家で最高峰の実力者と言えるのは間違いなく「進撃の巨人」の諫山創氏だと思え、構成力や完成度のどれをとっても他を圧倒する屈指の実力者だと感じます。それだけに彼に匹敵する人物は現状実質ほぼいませんが、唯一対抗しうえる人物を挙げるとしたら、藤本タツキ氏以外にはいないだろうとみています。
 にしてもやっぱりニビンベンの影響受けてたか。でなきゃあのベタの塗り方は無理だろうけど。

 話は本題に入りますが、中国ではよく政府もメディアもこぞって「ゾンビ企業を駆逐してやる、この世から、一匹残らず!」という進撃っぽい発言が繰り返されています。ゾンビ企業とはバイオハザードに出てくるアンブレラ社のようにゾンビを増やす研究をしている企業で……というわけではなく、実質的に経営が破綻しているのに銀行やファンドなどの融資によって生きながらえている、古い言葉で言うなら不良債権企業のことです。
 本来なら説明するまでもないのですが、こうした企業が存在し続けることでどうなるかというと、賃金や材料といった原価水準に合致しない価格(大抵は適正価格未満)で商品やサービスが販売され、真面目に賃金を払ったりしている優良企業に比べ価格優位性をもってしまい、これら企業の売上や利益を奪ったりすることで市場を歪ませます。それにしても価格優位性なんて言葉、今の仕事始めなければ一生使わなかったろうな。

 話は戻りますがはっきり言えばこうしたゾンビ企業は存在するだけでもマイナスで、市場原理を破壊し、経済を衰退させる可能性すらあります。それ故、こうした実質的に経営の破綻したゾンビ企業は市場から排除することが経済学上では正しいとされ、そういう意味では中国が現在採っている製作は理に適っています。
 また言っているだけでなく、着実に成果も出していたりします。日本じゃまず報じられないでしょうが、数年前までは大赤字を連発して、「国営企業の負の遺産」などと中国の鉄鋼業企業は言われていましたが、宝鋼と武鋼の鉄鋼超大手同士の合併を始め、ここ数年の政府による整理淘汰の甲斐あって、中国の鉄鋼業は近年劇的に利益水準を回復させてきています。自分なんか数年前の業界全体を覆ってた大赤字状況を見聞きしていただけに、現状を見るだに「諦めずに、やり続ければ叶うんだ」などと心底感心しました。にしても本当にこの辺の事情を日系メディアは語らねぇな、今度自分が記事出そうかな。

 さてここまで言えばわかるでしょうが、日本の平成以降の最大の経済失策はゾンビ企業を殺そうとするどころか、延命させようとし続けたことでしょう。バイオハザード的に言えばゾンビ共をマグナムで撃ち殺そうとしたら、「彼らは人間なのよ!まだ生きてるのよ!」などと庇って、余計に感染を広げてしまったと言ったところでしょうか。唯一、「いいや、奴らはもう死んでいる」と平気で機関銃ぶっ放して駆逐したのは竹中平蔵氏といえるでしょう。
 はっきり言えば経済原理上、明らかに存在してはならない不良債権企業どもを延命し続けた、具体的には中小企業を支援、保護し続けたことで、日本はもうにとど得られないものの多くを失ってしまったと私は考えています。では何故理論的にも明らかに間違っているのに中小企業を保護し続けたのか、理由は政治家の票田などもありますがそれ以上に失業者を増やしてはならないという恐怖感が先行していた事が大きいでしょう。私だけかもしれませんが、失業率という数字は90年代において今以上に大きな重みを持って語られていた気がします。っていうか最近はニュースであまり見ないし、出てきても政府が操作処理疑惑が指摘されるし。

 私が今でも不思議なのは、どうして失われた十年の90年代に中国みたくただ倒産に追い込むのではなく、M&Aこと合併買収を推進しなかったのかという点です。デービット・アトキンソン氏が指摘しているように、日本は中小企業、並びにダメ経営者があからさまに偉そうにしすぎてている上、市場がきちんと淘汰しないせいで産業効率化が進まず不況を加速させていると私も感じます。
 要するにダメな中小の経営者だけを排除すれば丸く収まるところもあり、そういう意味でも企業の集約化をすすめる、さらには失業者を増やさない上でもM&Aこそが最も適切な手段だと思うのですが、現在においても政府、民間ともにこうしたM&Aは大企業の世界だけの話のように語っているのが不思議でなりません。本当に必要な、中小企業のM&Aだというのに。

 はっきり言えば、現時点でこうした見方がアトキンソン氏くらいしか持っていないとすれば、日本は今後もゼロ成長が続くと断言します。バイオハザード的に言えば、ゾンビになりかけのやつを囮にしてしまうような大胆さがない限り、脱出の手はありません。その上で、ゾンビを駆逐するための武器が必要ですが、90年代はまだ機関銃とかあったろうけど、今じゃもうハンドガンくらいしかないように思います。まぁ現実のバイオハザードでは、ナイフクリアする輩もいますが。

2 件のコメント:

  1. 一言で言えば、そのゾンビが生前親しかった人ばかりなので撃てなかった、ということになるのかなと。
    コネがあるかどうかが最も価値があるのが古き良き日本的経営だったので、撃つべき時に撃てなかったのかなぁと。
    M&Aが進まないのも、「知らない人を身内にするのはなんか嫌だ」ということなのかなと思います。大企業だと人が多いので知らない人が多くあまり気になりませんが、家族的経営の中小企業にはM&Aは家柄同士の同盟にあたりますから、簡単にはできないのでしょう。
    いかにビジネスライクでドライな効率判断ができるようになるか、というのが今後の日本の成長にかかってくるのかなぁと思うのですが、まだ「何のため」ではなく「誰のため」に仕事をするかで経営判断する人が多い印象です。

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  2.  一時は企業再生ファンドがもてはやされた時代もありましたが、やはり世論は「ハゲタカ」などと呼んでM&Aに対する拒否感が強いままですね。また撃てなかった理由も同感ですが、他の面でも言えるように決断できる人が日本にいなかったに尽きます。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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