最初は貧しくなってきた駐在員の話でも書こうかと思ってましたが、ちょっと気分が乗ってきたので、文章で生計を立てること文筆業について思うこととかをいくつかまとめます。
まず文筆業というと直感的に小説家をイメージされやすいかと思いますが、現実には文筆業における小説家の割合は低いと思います。ライトノベルでは未だに新人が数多く出ていますが、残念ながらというか「10年間持つ」ようなレベルの小説家となると非常に限られて来ます。またライトノベル以外となると、現代日本人は以前ほど小説を購読しなくなっている上、小説の新人賞そのものも非常に少なくなって、単純にデビューするチャンスというものがそもそも殆どありません。
既に休刊していますが、毎年新人賞を挙行していたある小説誌ではその発行末期、雑誌の発行部数以上の小説の応募があったと言われています。この一点をとってみても、小説家という職業のパイが昭和と比べ平成時代において劇的に小さくなっていることを示しています。まぁ今は令和だけど。
現実には、文筆業の大半は依頼を受けてコラムや取材記事を書くライターなどが大半です。自分も決してこの方面に詳しいわけじゃないですが、この手の文筆業従事者は出版社や新聞社などに最初務めたとか、そういったメディアでのアルバイトとしてキャリアをスタートさせることが多いようです。
ただ昭和の時代と比べるとインターネットという新規メディアができたことによって、ネットに掲載する文章を専門的に執筆するライターも増えて来ました。この手のライターはもともとブロガーや、ネット広告関連業で働くうちに独立していった人が多いと聞きますが、それ以上に単純にネットメディアの募集に応じて記事を書くようになった人のほうが圧倒的多数だと思います。
最近はもう忘れ去られつつありますがかつて医療系情報サイトのWELQ問題が取り沙汰された際、記事の大半は医療とは全く無関係なバイトが1~2万円程度の報酬で、コピペしまくって作ってたと報じられており、全部が全部そうではないとは思うもののネットを主に活動するライターはこうした輩も一定数いると見るべきでしょう。
その上で本題について話し出すと、単純に文章で生計を立てようというのであれば基本はまずメディアとの接触が必要です。さっきのWELQ問題じゃないですけど、ウェブメディアの求人情報とか見ると経歴とか関係なしに募集がかかっていることが多く、単純にウェブで記事書くだけなら今はそこまで障壁は高くないんじゃないかと思います。生活できるだけの収入が得られるかどうかは別ですが。
ただその報酬額について書いておくと、やはりウェブは紙と比べて報酬は非常に低いそうです。週刊誌なんかはやっぱりそこそこの金額がもらえるそうですが、その点ウェブメディアと比べると執筆障壁は高い模様です。
という具合で簡単に業界事情をまとめしたが、敢えて言及しなかった文章の質については、やはり見方は複数あると思います。ざっと見る限り、質がいいに越したことはありませんが、文筆業界では質より速さ、以下に短時間でどれだけ原稿量を挙げられるかが重要な節があり、どれだけ良い質の文章をかけるかと言うのはあんまりアピールにはならないと思います。それであれば短時間でどれだけ情報を収集し、編集し、一本の記事にまとめられるかという実力の方がアピールとして強いでしょう。
もっとも、一般読者はともかくメディア業界の人なら文章の良し悪しは読むだけですぐわかり、話にならないレベルであれば流石に切られるでしょう。またそれ以前の問題として他の記事の無断引用、コピペなどを平気でやるような問題のあるライターも、意外と文章見るだけでわかりますし、そうした最低限のリスクヘッジを自ら行えないライターも問題のあるメディア以外では使われないでしょう。
以上を踏まえて言うと、文筆業で生計を立てるステップとしては、
1、最低限人に見せられるレベルの文章の表現・構成力を身につける
2、メディアに接触する
3、クオリティを維持して定期的に記事を出せる実力をつける
みたいな感じになるのではないかと思います。その上で求められるライターになるためとしては、やはり事情に精通している分野があるとそっち方面のメディアからお声がかかりやすいかもしれません。
私を例に取ると中国事情に精通しているということがやはりスカウトのきっかけになりましたが、現実に活動し始めてからは中国事情に対しあらゆる分野の話題を組み合わせて記事書けるというのが強みになってる気がします。実際自分としては、本音語ると相撲の記事が一番書きたいのですが。
この時点で何がいいたいのかわかってる人にはもはや言うまでもないですが、この記事で一番言いたいこととしては、文章で生計を立てるために文章技術を磨くのはそこまで重要ではないということです。私に言わせれば三年位毎日2000字程度を書き続けていれば自然と上達するし、特殊な表現なんて身につけたって使うところ限られてくるのだし、さっきも言ったようにいかに早く一本の文章としてまとめられるよう書き上げる能力の方がずっと重要です。
また前段落で述べたように、記事を書けるだけの周辺知識があることの方がずっと重要で、実際にメディアからも求められるだけに、文章技術を磨く暇あるなら金の匂いのする業界や分野を学ぶ方がベターでしょう。その上で自分のように記事内容の企画から取材、執筆まで一人で完結させられれば、どこの編集部も楽で喜ぶことでしょう。
最期に文章表現技術の磨き方についてもう少し述べると、意外に外国語を学ぶというのがレベルアップ方法となる気がします。というのも最近中国語を翻訳していて、中国語から日本語への翻訳過程であれこれ新たな表現技法をガンガン開発しており、以前と比べて特殊表現から日常でも使うと劇的に便利になる表現とか見つけられるようになりました。また暇な時間にでもそうした特殊表現をまとめたメモとか作ろうかなと思っていますが、案外表現技術で抜きん出ているのは翻訳ライターなのかもしれません。
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