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2020年1月18日土曜日

戦国時代のスキルを現代に例えるなら

 最初はJBpress向けの記事で書こうかなと考えていましたが、昔「戦国ハローワーク」というお題の掲示板がありました。ここでは戦国時代における就活についてそれぞれ勝手に言い合うという大喜利が繰り広げられていたのですが、

「拙者、馬術免許を持っているのですが、どこか仕官できそうなところはあるでしょうか?」
「今時馬術なんてどこも欲しがらない。時代は鉄砲だよ」
「最低でも、タネガシマスコア650は欲しいね」

 などと、うまく現代的な話題で結構ディープなネタが並べられてて、未だにその内容を強く覚えています。

 上記のやり取りにも出てきますが、実際に戦国時代半ばから後期にかけては、鉄砲技術がどの大名家でも重要視され、この方面に明るい人物は重宝されたそうです。稲富流の開祖でゲームではやたら鉄砲スキルが高い稲富祐直なんて、ゲームで遊んでいてもぜひスカウトをかけたくなる人材で、実際に当時の大名家もこんな具合で欲しがったんだろうなというバーチャル体験ができます。
 なおこのほかに鉄砲技術で仕官を勝ち取ったというか高い評価を受けたものだと、大河でおなじみの明智光秀、それと秀吉と犬猿の仲でおなじみの佐々成正です。佐々成正に関しては、日本史上最高のアルピニストとしての登山技能(さらさら越え)も持ち合わせていますが、生憎登山技能はそれほど重宝されませんでした。

 この鉄砲スキルを敢えて現代で例えるとしたら、やはり今最も注目されているAIスキルが適当であるという気がします。逆を言えば戦国時代も現代も、搭乗したばかりの最先端の技術ほどそのスキル価値が高いと言え、「技術は新しければ新しいほどいい」というのは案外どの時代でも当てはまるかもしれません。

 一方、前述の馬術、並びに剣術スキルについては、習得が比較的容易で且つ取得者も多いことから、実際にはこれだけで仕官に結びついた例はあんまり聞きません。それこそ剣術では宮本武蔵のようなトップクラスに限られ、馬術については「できて当たり前」的なもので、今でいうと「普通自動車免許」みたいなものだったのかもしれません。
 だとすると剣術は、ITパスポート程度かな。WordやExcelは仕事で一般的に使うけど、極めているかどうかが一見判断しづらいというのも共通してるし。

 このほか、どこでも引っ張りだこになるレアスキルとしては「築城」がありました。これはそもそもスキルを習得、向上させる機会が非常に少ないけれど、実際に使うとなると非常に重要ということから、戦国末期にかけては経験者があちらこちらで現場監督指導に引っ張りだこにされています。このスキルの代表者としては丹羽長秀と思いきや、実際には藤堂高虎で、次点で加藤清正とかが来るのではないかと思います。
 この築城を敢えて例えるとしたら、習得が困難ではあるがもっとくと圧倒的に強いという意味では司法試験合格者が適当かもしれません。

 あと戦国時代を代表する仕官用スキルとしては、茶道があります。戦国後期に大流行した茶道の作法は人脈構築において圧倒的に有用なスキルとなり、またその技能レベルに関しても初級から上級、果てには利休クラスの神業級と上下の幅が広く、一般性を有しながらその経験や技能深さが非常に問われるスキルでした。
 これは現代に例えるなら迷わず「外国語」だと言えます。比較的広範に使える人が多いものの、その使用レベルに上下があるということと、初級者であっても一定の需要があり、尚且つ他のスキルと組みあわえることで真価を発揮するというのがその根拠です。

 もっとも、リアル外国語ことオランダ語や英語も、当時の外国との貿易に当たって非常に重要なスキルでありました。特に当時の日本は火薬の自給自足が行えず、その大半は海外からの輸入品であったと言われることから、実際に仕えて且つ人脈なども持っているキリシタン大名はその点で強みがあったと言えるでしょう。

 このように考えると、どの時代も仕官や就職に求められるスキルの構造というのは、レアリティやスキルの深さが非常に重要で、新規スキルほどニーズが高い点で、案外変わりがないんだなぁという気がします。ただ「読み書きそろばん」はさすがに現代では言葉として古く、今風に言うなら「ワード、パワポ、エクセル」、若しくは「コミュ力、英語、Office」というんじゃないかな。

2 件のコメント:

  1. 自分が大学生の頃(たぶん花園さんと近い世代だと思います)は英会話とPCの怪しい塾みたいなのに死ぬほど営業されまくってましたが、今思うとその2つに絞って学ばせようとするのは的確だったのかなぁという気がします。
    また、当時から世界の総人口の半分は中国人だから、第二外国語に中国語を選んでおくのは無難だと言われてましたが、これも今の時代を思うと正しかったなと思います。
    これから同じように若者が学ぶなら、間違いなくそれに加えてAI系の知識でしょうね。

    しかし、今回の記事で挙げられたスキルは、どれも高校までの人生では全く教わらないスキルばかりですね(司法試験は一応学校教育の延長でしょうか)。

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    1.  英語とPCスキルは時代に関係なく比較的強いスキルの代表ですね。ただPPCスキルに関しては近年、スマホのおかげでキーボードが打てずOfficeに触ったことのない学生が増えており、皮肉な話ですが前よりOffice技能のニーズが就活生で高まっていると聞きます。
       それにしても改めて読み返すと、馬術免許を普通自動車免許に例えた自分のセンスにびっくりです(;゚Д゚)

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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