・佐野昌綱(Wikipedia)
そういうわけで久々の歴史記事ですが、上記の佐野正綱って誰かと聞いてすぐ答えられる奴は多分いないと思います。っていうか自分もほんの30分くらい前に、「なんなんこいつ(;゚Д゚)」とばかりに初めて知ったくらいですし。
では佐野昌綱とはどんな人物かというと、呂布奉先もびっくりなくらい上杉謙信に対し何度も裏切っておきながらその度に何度も許してもらったというウラギラーです。真面目に同一勢力に対する裏切り回数とその規模で言えば日本屈指かもしれず、それでいて天寿を全うしたのだからかなり半端ない奴です。
佐野昌綱は北関東の豪族である佐野氏の一族として生まれ、成人後はその当主にもなっています。居城とする唐沢山城は現在の栃木県佐野市にあり、ここは例の佐野ラーメンで有名な佐野市ですが、今日これ以後は私の中だと「ウラギラーの街」として認知されると思います。
さてこの佐野昌綱ですが、その名が歴史の表舞台に出てくるのは1560年、かの有名な上杉謙信の小田原城攻めの年です。この年、上杉謙信は関東の秩序回復と関東管領上杉氏の再興を掲げて越後から関東地方へと進出しました。この際、関東にいる諸将に対し、「ぼくと契約して、北条家をやっつけようよ」と激を飛ばし、これには佐竹氏を初めとする多くの勢力が馳せ参じ、佐野昌綱もこれに呼応する形で上杉家に恭順します。
ただ佐野昌綱の上杉家への恭順後、その拠点である唐沢山城は割と立地のいい重要拠点であったことから北条氏から攻撃を受けます。この際に上杉謙信(名前は今回これで統一)は救援に馳せ参じて、佐野昌綱とともに北条方を撃退したそうです(異説あり)。
ただその後、上杉謙信の小田原城攻めは失敗に終わり、武田信玄との信濃を巡る争いから上杉謙信が越後へ引き返すと、再び北条氏の圧迫が強まったことで佐野昌綱は今度は北条方に恭順します。この時の行動に関しては確かに上杉謙信の去った後、頼るべき相手もいないのだから北条家につくというのもよく理解できる話です。
しかし、やはり唐沢山城は立地がいいというか要衝であったことから、信濃問題を片づけた謙信が関東に戻ってくるとこの地を奪回するため攻撃を仕掛けてきました。この時は冬の到来と唐沢山城の防御力もあって落城を免れ、佐野昌綱は上杉軍を見事撃退しています。この戦いの翌年も上杉軍は年明け後に唐沢山城を攻め込んでいますが、この時もまた見事撃退して、「上杉軍を二度も撃退した」ということで昌綱の知名度もバリューアップしたそうです。
しかし相手はあの上杉謙信。二度撃退された後もやはり立地がいいせいか要衝と見られてまた唐沢山城は攻撃を受け、今度ばかりは上手くいかずに落城寸前まで追い込まれます。ここに至って佐野昌綱は再び上杉謙信に降伏し、謙信も昌綱のことを許しています。でもって謙信がまた越後に帰ると、まるでテンプレートの様にまた北条側に寝返りました。
今度という今度は謙信も本気となってかなりガチで攻め込んできて、何度もある唐沢山城の戦い中でも最大の激戦となったそうです。追い込まれた昌綱は仲介者を通してまたも謙信に降伏し、謙信が越後に帰った後にまたも北条側に寝返っています。ただこの時の激戦に懲りたせいか、この次は上杉軍が接近してきただけでまたすぐ降伏し、さすがに謙信も昌綱にいろいろ懲りたのかこの時になってようやく人質を取るに至っています。人質は効果があったようで、昌綱もその後は上杉家に臣従を続けました。2年間だけだけど。
2年後、昌綱が裏切った後にび上杉軍は唐沢山城を攻めるも、冬の到来によって一時攻略は中断したものの、インターバルを置いて再び攻め寄せると昌綱はまた謙信に降伏しました。でもって謙信もあっさりと許しちゃってます。
けどその後なんだかんだあってやっぱり昌綱は謙信を裏切って北条側にまた付き、上杉軍ももう何度目ってくらいに立地の良い唐沢山城を攻め込んだものの、またも冬の寒さによって攻略を断念し、その後1574年に佐野昌綱が死ぬまで北条側でい続けたそうです。
上記の一連の流れは「唐沢山城の戦い」にまとめられていますが、一読して感じたのは「謙信いい人過ぎない?」っていうことと、「こんなS級ウラギラーがまだ日本に潜んでいたのか(゚Д゚;)」という感想でした。前述の通り、「謙信に攻め込まれる→降伏する→謙信が帰る→裏切る」をテンプレートの如く延々と繰り返しており、自分だったら途中で一族根絶やしにしても飽き足りないくらい怒り狂って処分したでしょう。伊達政宗あたりなら1回目の裏切りの時点でそれやってただろうし。
まぁこの辺は関東の独特の価値観というか他の豪族に対し寛容さなどを見せる外交的配慮もあったのだと思いますが、それにしても何度となく裏切り、何度となく上杉軍を撃退しているあたりはさすがなものです。そういう意味では「日本の呂布奉先」と言ってもいいくらいな人物で、こんな面白い奴がいたことを今まで知らなかったのが恥ずかしいとともに、まだまだ探せばこういう人物に巡り合えるものだと妙に今興奮しています(;゚∀゚)=3ハァハァ
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