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2021年9月25日土曜日

オーストラリアのフランス製潜水艦キャンセルについて

 既に各所で報じられている通り、オーストラリア政府が2016年にフランスと契約した潜水艦の調達契約を破棄し、米国の原子力潜水艦を調達すると発表したことについて、フランスが激おこぷんぷん丸となっているそうです。特にこの問題では各当事者の説明が食い違っており、オーストラリア、米国側はキャンセルについて事前にフランスと協議していたと言っている一方、フランス側は「今知った」と寝耳に水であったと言ってぷんぷんしてます。状況的に、フランス側の言っている内容が真実じゃないかなと自分は見ています。

契約キャンセルも? 難航する仏受注の豪潜水艦プロジェクト(Newsphere)

 ただ、契約していたフランス側の建造計画も順調ではなく、かねてよりキャンセルされるではという観測は出ていた模様です。上記記事(初めて見たメディアだけどいい記事)は今年1月に配信されたものですが、記事内容によると例によって建造コストが契約当初から膨れ上がっており、またコロナの影響もあってスケジュールも遅延し始め、そもそも当初計画していた潜水艦のスペック自体に無理があったのではないかという声から、キャンセルに至る可能性が出ていたようです。

 このオーストラリアの潜水艦調達計画ですが、わかる人には早いですが実は日本も名乗りを上げていたプロジェクトです。最終決定前には建造予定の三菱重工が、潜水艦絡みとは言ってなかったけど急にオーストラリアに連絡所を構えると発表するなど、受注はほぼ確実みたいな報道がされていましたが、結果的には上記の通りフランスが受注し、ババを引きました。そうした経緯もあったことから先日のオーストラリアのキャンセル発表を見て、「ああ日本は受注しなくて本当に良かった(^ω^)」と密かに思いましたが、当時受注に動いていた人たちも多分みんな同じ気持ちを持ってシンクロニシティを起こしてたはずでしょう。


 話を変えると、上の塚田氏の記事が今JBpressでアクセス稼いでいますが、これまた知ってる人には有名な話です。インドネシアの高速鉄道建設で日本と中国が受注を争ったところ、日本が受注確実かと思いきや後から来た中国がどうもインドネシア政府関係者と組んで日本側が出した計画の横流しを受け、日本側より安い金額を提示して受注を掻っ攫っていきました。
 これも日本の反中感情を高める事件の一つとなったのですが、結果から言えば「よかったね(^ω^)」的な結果に落ち着いています。詳細は上の記事にある通り、契約はしたものの地上げは進まず、スケジュールが遅れる、建設コストが膨れると絵に描いたようなダメプロジェクト化して、これもうどうすんねん的にプロジェクトを継続するかどうかって事態にまで至ってるようです。

 以上二つのケースを通して言いたいことは、国際プロジェクトというのは本当に難しいってことです。日本が全うした台湾新幹線プロジェクトも営業面では実はコストのが大きいと言われており、完成させるまでも大変ですが完成した後もまた大変で、素直に相手国から感謝されるのは至難の業でしょう。また建設途中で上記のようにコストが膨れると儲かる話が儲からなくなることもあるだけに、よっぽど内容に自信がある、または飛行機みたくすでに実績のある完成品を供給するとかじゃない限りはあまり調子に乗って受注を目指さない方がかえって吉かもしれません。
 少なくとも、上のオーストラリアとインドネシアの件では受注獲得までの運動費はかかったでしょうが、最終的には受注しなくて塞翁が馬となれてますし。最近日本政府は新幹線を欧米各国に売ろうといろいろやってますが、夢のある話だけじゃなくこういう「ひょっとして」的なリスクによる損失ももっとしっかり踏まえてやってもらいたいものです。

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