この「白百合は朱に染まらない」は旧ソ連の女性パイロットを扱った漫画とのことで、「平沢ゆうな」という作家が描いているとのことでした。ついでにこの作者の過去の作品とか見ようとAmazon紹介ページを見てみたところかわいらしい自画像が描かれてあり、「おいおい、こんな子が独ソ戦まともにかけるとでも?」などと無駄に舐めたこと思いつつ、ついでに作者のWikipediaページを見ました。するとそこには、
「メンサ会員、物理学修士」
と書かれてあり、この時点で「えっ、何この人!?ってかなんで漫画家してんの?」とびっくりしましたがさらにその先には「性転換手術を受け、男性から女性に性別を変更」とも書かれてあって、なんなのこの人を通り越して「なにこれめちゃ面白そうな経歴(;´・ω・)」という感想を持ちました。でもって買って読んだのがこの「僕が私になるために」です。
この漫画はタイトルの如く、作者が性転換手術を経て、法手続きを行って男性から女性へと性別を変えるまでのいきさつをまとめたかなりマジな漫画です。絵柄こそ少女漫画を意識したような少年漫画風に描かれていますが内容はかなり壮絶で、男性だった頃の性同一性障害による自らの身体への悩み、また家族の反応への恐怖などが書かれてあります。
なお家族に関しては兄妹は非常に応援してくれて、この点で非常に恵まれていたと書かれています。
その後日本での診断や紆余曲折を経てタイで性転換手術を受けることとなるのですが、なんでもこれが初の海外渡航だったらしく、いろいろタイ、っていうか東南アジアの無茶ぶりに驚く様が描かれています。ただそれ以上に、性転換手術について非常に詳細に書いており、個人的には切り取った男性器の幻肢痛(ファントム・ペイン)に悩まされたという過程は、読んでてマジで鳥肌立ちました。
っていうかこの世にそんな恐ろしい痛みがあるのかとガチ恐怖し、読んだ後に自転車乗って帰る際、なんか運転がおぼつきませんでした。
そんな激しい痛みを乗り越えて術後期間を経て日本に帰り、裁判所で戸籍などの性別変更手続きはどうやるのかなども詳細に描かれています。読んでて感じたこととして、単純にやっぱ賢い人だという印象を受けるというか、非常に読みやすく内容が頭に入ってきやすく描かれています。
なお裁判所で女性の裁判官に、「あらあなた私よりかわいいわね」と言われたこと書いてましたが、「自慢か?」とちょっぴり思いました。ちなみに本人の現在の姿はネットで確認できますが、一見して本当に女性にしか見えません。
あと末尾部分で、女性となった後の感想として本当に男性の頃と比べ力がなくなったとも書かれてました。それまでは女性が重たいものを持ちたがらないのことをやや特権的に言っていると感じていたものの、実際に女性になって体力がなくなり、世の中の女性に対して謝りたくなったことが書かれています。この点についてはすごい説得力あるというか、ちょっと自分もレディーファーストを考え直そうと感じました。
こんな感じで、多分男性にすれば読んでて痛いイメージがかなり激しくする内容ですが、文字通り普通の作家なら体験し得ない体験をかなり詳細に描いており、実際のトランスジェンダーはこのような過程を経るのかというのを見る上ではよくできた漫画だと感じました。っていうかこの経歴だけでもこの人は他の漫画家と一線を画す。
ちょっと毛色の変わった漫画ですが、逆にこの経歴と先に書いたわかりやすい構図などから将来化けるかもなという印象を覚えたので紹介することにしました。いやはや世の中広いもんだなという気がいします。
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