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2023年7月31日月曜日

中国経済に関するリチャード・クー氏の評論

 アラブ人顔で会社でのあだ名が一時期「ビンラディン」だったうちの親父の写真を今日、中国人の同僚に見せたところ、一目見るなり「新疆(ウイグル)人だ!」という声が上がってきました。中国人からしたらああいうアラブ系の顔は新疆人に見えるということを、今日発見しました。


 話は本題ですが、上記リンク先にあるエコノミストのリチャード・クー氏の中国経済に関する評論が面白かったので紹介します。なおクー氏については「クーさん」と呼ぶとすごくかわいく聞こえるなと思います。

 そのクーさんの評論ですが記事にもある通り「バランスシート理論」がベースとなっており、これは経済規模に関して支出と収入は常に同規模となるはずであり、経済規模を拡大、つまり経済成長するには社会が一定の借金をしなければ理論上実現しないという、言われてみてなるほどという理論を唱えています。
 この理論をもとにすると、経済成長を続けるには社会における借金額が増え続けなければならず、具体的には銀行の貸出量(マネーサプライだっけ?)が増え続けなければなりません。しかし中国は2016年の段階で先行きへの不安から借金を減らしていこうとする動きが社会に見られ、実際に貸出量も先細って言ったそうです。その点から見ると、中国の不況は2016年時点ですでに始まっていたというのがクーさんの見方です。

 この見方については私も同感で、不況というのは好景気と思われている時点ですでに始まっているものだと考えており、今の中国は市民レベルですら不況を実感するくらいまで具現化しているものの、その端緒という意味では確かに2016年くらいから始まっていたのかもしれないという気がします。何故かというと、銀行の定期金利がちょうどこのころ辺りから5%を切るようになり、その後もずっと目減りし続けていたからです。
 最近は諸般の事情で私は定期預金をやらなくなりましたが、2017年くらいなら4%台の金利は余裕でしたが、2019年になると3%台後半すらなくなり、羽振り悪いなぁと思いつつスマホで定期預金をよく申し込んでいました。今思うと、ああした市場金利の落ち込みを見過ごすべきじゃなかったかもしれません。

 以上のような見解を踏まえてクーさんは、景気打開のためには財政出動が否応にも必要であり、コロナ対策に追われ財政基盤が揺らいでいる地方政府には期待できず、中央政府が大規模な対策を打つべきであり、対策をきちんと打てれば何とかなるという見方を示しています。それに対し、


 そのクーさんの意見に対しこちらの藤和彦氏は、現状に対するクーさんの分析には同意しつつも、果たして大規模な財政出動を中国が行えるのかと、疑問を呈しています。何故行えないのかという理由に関して藤氏はあまり説明しておらず、文面を見る限り根拠がやや弱いと私は感じますが、実際に中国政府が財政出動に踏み切れるかに関しては自分も疑問視しています。

 その理由としては、中国の税収、貿易黒字による外貨獲得が弱まってきており、今投入した分の資金を将来に回収できるかという点で懸念があること。次に、クーさんも指摘している通り中国では既に人口減少が始まっており、経済規模、税収が今後も拡大し続けるかという点でも大きな懸念があるという理由からです。
 これまで、特にリーマンショックの起きた2008年であれば中国は人口が拡大しており、それ以上にプライマリーバランスが常に黒字で尚且つ更なる増収がはっきり見込めました。それだけに大量の資金投入を行ってリーマンショックからいち早く脱することができましたが、今の人口が先細っている中国で同じことできる、というより政策担当者が決断できるかと言ったら、確率は確実に以前よりは低くなるでしょう。そういう意味ではクーさんの言ってる通りに、まだ人口減少が始まっていなかった段階でバブル崩壊にあった日本の方が状況的にマシだったのかもしれません。

 私個人の見方では、やはり日本の例に則るとしたら財政出動は出動でも、景気刺激のためのインフラ投資などに使うのではなく、まとめて不良債権処理に用いる方がいいのではないかと思います。中国の消費者が借金をしないのは先行き不安からであり、その不安の源泉は不良債権というか借金の規模によるものであれば、経済規模は一時縮小するものの、損切りしてでも不良債権処理に舵を切るべきではないかというのが自分の見方です。不良債権はいつまでたっても不良債権であり、特にデフレに入ってしまえばその重みはますます増してくることを考えれば、デフレに入る前のインフレ段階で思い切り処理するのが最善手というわけです。

 ただ、既に恒大不動産をはじめ国が傾くくらいの負債を抱えた企業も今の中国には少なくありません。こうした企業をどう処理するかに当たっては、これまた日本の例にとるならば産業再生機構の
ような不良債権企業を抱え込む組織を作るのが一番な気がします。日本の産業再生機構も、潰そうにも潰すと国が傾くくらいの借金を抱えたダイエーを処理するために作られたんだし。

 このように考えると、本当に日本の後を今中国が追っているように見えてなりません。あんまり日本の過去になぞらえてみるのも視野を狭くするのでよくないと思いつつも、現状の中国においては日本の過去の対応が一番参考になるように思え、この際だから中国は竹中平蔵氏を招聘したらどうかなとすら最近思うようになっています。なんか彼だと中国とは意外と相性よさそうに見えるし。

 にしてもこれからウイグル人を見ると親父を嫌でも連想しちまうんだろうな(´・ω・)

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