話は本題ですが絶賛大不況な中国の現況について、これまで「中国のバブルは今すぐはじける、間違いない!」などと過去に話していた人達は今回、あまりこの手の「バブル崩壊」という単語をいつもより使ってない気がします。使わない理由としては彼らが過去に何度も吹聴してはその後も中国経済が成長し続けたため狼少年ケンみたいに扱われたことが何より大きいでしょうが、日本の報道を見る限りだと今の中国の不況感を現場で感じていない、というより中国現地を直接見聞きしていなくて実感を感じていないせいじゃないかと思います。ただはっきり言うと、これま中国バブル崩壊否定論者でしたが、中国のバブルはとっくに崩壊していると言い切っていいでしょう。
ではここでクエスチョンですが、中国のバブル、具体的には不動産バブルはいつ崩壊したのか。結論から言えば2020年8月、「三つのレッドライン(三道紅線)」が出された時期と断定してもはやいいのではないかと思います。
この「三つのレッドライン」とは、加熱、高騰化し続ける不動産市場を鎮静化、というより住宅価格を抑えることを主な目的に出された規制策で、大まかな内容としては不動産企業の現金保有高、自己資本比率などに基準を設け、この基準を上回った場合は直ちに新規の借入などを認めないという内容でした。端的に言えば、身の丈を超えた借入を行って過度な不動産開発に没頭する企業を抑えようという目的だったと思いますが、発表当時より「急進的すぎないか?」という声が自分の周りでもよく聞かれました。
以上の内容を聞いて某錬金術師みたいに勘のいい人なら気づくでしょうが、内容的には日本のバブル崩壊の最大の原因というかきっかけとみられている総量規制と被っている、っていうかほぼ同じ展開といっていいでしょう
・総量規制(Wikipedia)
総量規制について簡単に説明すると、日本国内で加熱していた不動産開発を抑えるため、1990年に銀行を対象に不動産開発向け融資の全体規模を国が基準を設けて規制した行政指導です。この規制をきっかけに日本の不動産市場、ひいては全体景気が一気に後退するようになり、あまりの影響の大きさにこの規制もわずか1年9ヶ月で打ち切られましたが、その後も日本はデフレ不況へと猫まっしぐらな感じで落ちていきました。
三つのレッドラインも総量規制も、不動産以上の過熱鎮静化を目的に出され、その内容のあまりの急進性ゆえに不動産市場はおろか、若干こじつけもあるかなとは思うものの全体景気すらも大きく落ち込ませた点で共通している気がします。また中国の場合ですと、コロナ規制の真っただ中だった2020年にこの規制を実施したというのも、ただでさえ逆風下だった中国不動産市場を一気に追い詰めた感があります。
なお総量規制が日本のバブル崩壊のきっかけ、というかバブル崩壊そのものが認識されたのは1994年から1995年にかけてで、それまでは日本人の大半は当時の景気を停滞程度にしか認識していませんでした。中国でも2020年から2022年まではそこまで不況感を感じておらず、不動産市場はともかくコロナ下でほかの国から受注が移って製造業は比較的活発だったため、あんま不景気だと認識していませんでした。
やはりそれがひっくり返ったのが2022年中ごろより各地で行われた、上海ロックダウンを含む各地での過度なコロナ規制による都市封鎖以降で、2023年に至っては若者の雇用率が下がるなど、目に見えて不況を実感するほどに世の中全体がおかしくなっていました。その元をたどるとすれば、前述の通りコロナ下で堂々と行われた三つのレッドラインの2020年がターニングポイントだったのではないかと思うわけです。
なお日本では、自分の理解だとバブル崩壊のツケの大半を銀行に負担させたものだと考えています。この時銀行を助けるために公的資金も注入していますが、それでも多くの銀行は経営不振に至って新規融資をためらうようになり、いわゆる貸し渋り問題が90年代後半にかけて起こることとなります。
何で急にこうして昔話をしだしたのかというと、今後増え続けるであろう不動産会社の破綻に際して、その負債を中国はどう処理するのかがもはや議論の対象になっているのではないかということ言いたいわけです。日本は上記のように、ある意味当然ですが銀行に負担を押し付けて最終的に処理していますが、中国はそれができるかと言ったら実は結構怪しい点があります。この点についてはまた次回にでもまとめていきます。
ロジカル的にここまで簡単に至れると思うのだけれど、同じこと書いている人がほかにいないという点で若干違和感を覚えます。仕方ないからこうして自分が書いていますが。
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