大分前に自分もこのブログで取り上げたプレサンス元社長の冤罪裁判ですが、元社長の国家賠償請求裁判にて、冤罪のきっかけを作った検事本人への尋問が行われたとのことです。
・プレサンス事件(日本弁護士連合会)
この事件の概要については上のリンク先にありますが簡単に自分の方から説明すると、不動産会社のプレサンス社を経営していた山岸氏の部下のある社員が、とある学校理事への個人的融資として会社の金を横領して使用しました。その際にこの社員は、理事個人への貸付ではなく学校法人に対する貸付だと嘘を言って貸し付けました。その後、融資を受けた理事はこれを裏金として使って見事理事長になると、学校の土地を売却し、そのお金をプレサンスへの返済金として使用しました。
この一連の取引について検察は社員と理事を捕まえると、社員が否定しているにもかかわらず「社長が指示したんだろう」と執拗に供述を迫り、虚偽の自白を取ることに成功し、これをてこに社長の山岸氏も逮捕立件しました。
しかし、社内報告書などの証拠はむしろ社長が社員に騙されたことを裏付けており、また一度は自白した社員も裁判にて「自白は強要されたもので社長は無関係」と証言し、裁判所も社員に対する検事の脅迫的な誘導があったと認めて山岸氏には無罪判決が下ります。この判決に検察はぐうの音も出ず、かなり珍しいことに控訴すらせずに確定しました。
そんで以って今回の裁判へと至るのですが、今回登場した検事は社員を脅迫した検事です。その鳥しばれ中の録画映像が公開されたとのことですが、「失敗したら腹切らなきゃいけないんだよ。命賭けてるんだ、こっちは」などとのたまっていたようです。見事に失敗して冤罪を作り無辜の人物に裁判をかけたにもかかわらず、いまだに腹を切らないし、反省の態度も全く見せないあたり、この前流行ったドラマの「不適切にもほどがある」という単語が自分の中で浮かんできました。
このクソ検事への尋問詳細については赤澤氏の記事をぜひ読んでもらいたいのですが、やはり常々思うのは裁判所から違法な捜査だと認定されたにも係わらず、冤罪事件に関わった検事らは一切処罰されず、むしろこのプレサンス事件や大川原化工機の冤罪事件のように検察が守ろうとすることに強い違和感を覚えます。
唯一の例外は村木事件の時で、この時は関係検事らが逮捕され有罪となっています。確かにこの事件では前田恒彦が証拠捏造という桁違いの不正をやらかしてというのはありますが、それを言ったらほかの冤罪事件も脅迫や証拠隠避の類はどれも行われているだけに、検察内部の処罰度合いになんか差を感じます。はっきり言うと、この村木事件は被害者が官僚だったから、検察も内部処罰に動かざるを得なかったのではないかという気がします。
話を戻すと、仮に検察自身が違法な捜査を認定された検事やその上長を内部処分するなど自浄作用を働かせるなら話は別ですが、実体はさにあらず、むしろ保護しようとすらします。無論これは権力の暴走もいいところであり、自浄作用が働かないというのであれば、裁判所に違法捜査と認定された案件の担当検事と上長に対する刑罰を法定化すべきではないかと思います。でないとこれ、後々大きな禍根になるように思えてなりません。
恐らくそんなこと言ったら検事が捜査に躊躇するなどというでしょうが、立件した案件に無罪判決が下りようとも、違法な捜査さえしなければ処罰されないはずであり、そのような言い訳はナンセンスでしょう。前述の通り検察自身が自浄できないのであれば、ましてや大川原化工機事件のように明らかに法解釈を捻じ曲げて強引な捜査を続けた点も踏まえると、検察の捜査を国家法で制限してでも国民を保護する必要が出てきている気がします。
具体的な処罰水準に関してはその度合いによって定めるべきであり、単純な法曹資格の喪失、懲戒免職はもちろんですが、上司の命令で関わらざるを得なかった末端の検事などについては、いくらかの温情措置もあっていいのではと思います。具体的には法曹資格の一時停止と研修活動の義務で、冤罪を起こしてはならないという研修コースをみっちり受けさせることを条件に業務復帰を認めるようなのがいいかと思います。
でも実際にそんな研修ってあるのかな、もっと効果的なのないのかななどとしばらく考えてみたところ、一方的に筋のない主張で延々と怒鳴られ続けることを身を持って体感できる、コールセンター業務を半年間くらいやってもらうのが一番いいのではという結論に至りました。っていうか処罰以前に検事はこれ、絶対やった方がいいとすら思う。カミーユじゃないけど「一方的に怒鳴られる今日がどんなものか、教えてやる!」という具合で、殴られる覚悟のある奴だけ殴ってもいいじゃないですが、脅迫的な手段で捜査される側の立場に立ってもらうのは大事でしょう。
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