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2009年3月16日月曜日

日本の政策決定者たちの誤算

 最近経済系の記事を書いていなかったので、補給とばかりに一本書いておきます。

 まず一番の指標たる株価ですが、先週に一次大きく値を下げて7080円位になるなど6000円台も見えてきたところ、先週金曜日と同じように今日も大きく反発して久々に7700円台まで回復しました。ってか先週の段階だと、この際だから6000円台に一回くらい入ってほしいとか個人的には思いましたが。
 なので日本の株価、ひいては経済は底を打ったのかというと、私はまだまだそんな段階には至っていないと思います。というのも今回の世界的恐慌に対して日本政府があまりにも甘い見通しを持っていたがゆえに、対策が非常に後手後手になっていて以前とこの状態を突破する傾向が見られないからです。

 今の麻生政権が発足した当初、日本政府は「世界的な金融恐慌の中、日本は比較的損害が少なかった」として、麻生総理なんかは日本がまず最初にこの不況を脱して世界を引っ張るなんていっていましたが、最初の政府の見通しは半分正解で半分大はずれだったというのが私の見方です。というのも確かに日本は失われた十年の間に大量の不良債権を処理したおかげもあってリーマンショックの影響を先進国の中では最も受けずにいたのは確かです。
 しかし世界がリーマンショックによって金融が大打撃を受け、それが製造業を筆頭にした実経済にも影響を及ぼしていって不況になったのに対し、日本は先月に発表された2008年10月-12月の四半期GDP成長率が-12.1%と、先進国の中で最も経済縮小が現実に起こっていることが発表されました。もう一度言いますが、他の先進国は金融が大打撃を受けたことで実経済も縮小しているのに対し、日本は金融は先進国の中で最も損失が少なかったにもかかわらず、金融を含めた実経済が最も縮小しているという恐ろしい現状にあるということです。

 何故日本がこのような妙な状態に陥っているかと言うと、単純に言えばこれまで外需に依存し続けた、つまり日本国内には物を売らずに外国でずっと物を売ってきたので、外国が物を買わなくなっても他国のように最低限の内需があるわけでもなく、国内にいたっても誰も物を買えなくなっていたという現状を作っていたからにつきます。
 はっきり言いますが、当初の政府の予測は明らかに現在のような状況を想定していなかったと思われます。確かに年末にかけて行われた中小企業対策などは必要な政策ではありましたが、外需に依存しすぎた体制をどのようにして建て直し、世界経済が安定化するまでいかにして内需を取り戻すかと言う視点が始めから抜けていたために現状でできる有効な対策などをみすみす逃してしまったように私は思えます。

 おまけに徐々に全国で配られている定額給付金ですが、これの配布費用は約二兆円とのことですが、この前政府が発表した失業者対策の費用は一兆円と、力を入れる箇所が明らかに間違っているのではないかと私は強く不快に思いました。それならば給付金の二兆円を全部医療や失業者対策に使っていれば、どれだけよかったことか。

 こうした点を総合し、どうやら今の麻生政権が七月のサミットまで粘って任期切れを測ろうとしている点も考慮し、少なくとも日本の株価は七月から八月にかけての夏に至るまで以前と低空飛行を続けると私は予測します。八月に入れば株価が底を打ったかどうか、今後は上昇していく可能性があるのかなど予測が立てられそうですが、少なくとも現状では一週間ごとに小さな変動はあっても、底を打つことはまずありえないと思います。

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