もうずっと専門とする国際政治の話を書いてない、っていうかただ単に勉強してないだけですが、久々に好き勝手な推論でもいいから何か書こうと思います。まぁ勉強しなくなった言い訳をすると、日系メディアだと国際報道がちょっと少ないんだよなぁ特に最近。
先日英国で総選挙が行われ、選挙前の予想報道とは大きく結果が異なり与党保守党が大勝する結果になったそうです。一方で野党の労働党は議席を減らすこととなり、この選挙結果について東洋経済の記事では英国は今後ますますEUとの距離を置くだろうとの見方を示しており、私も基本的に同感です。
もともと英国は大陸嫌いというかフランスやドイツといったヨーロッパ諸国とは距離を置きたがる傾向があり、特にその傾向が激しい保守党が買ったことが何よりも大きいです。ただそれ以上にEU自身が目下、結束を保てるかどうか怪しい状態が続いていて果たしてこの距離的に近い国同士の国家連合はどうなってゆくのか今試されているでしょう。
EUの結束が何故ゆるんでいるのか一言で言えば欧州の問題事故とギリシャの負債問題からです。この負債をどう処理するか、言ってしまえば国家破産か他国からの資金援助の二つに一つしかないのはわかりきっているものの、前者ならEUは身内を助けないと結束にひびが入り、後者なら資金を負担する国民が納得いかないということになるため、EU賛成派にとってはなかなか頭が痛い所でしょう。また資金を融通する国にとっても、ドイツなんかはまだ金があるらしいですがイタリアやスペインも案外ギリシャを笑えない財政状況だと聞きますし、地味にフランスも日本じゃ報道されてないだけでかなり問題を抱えているといううわさを聞きます。
何故EU諸国でこのような状態が続いているのかというと単純に不況だからという理由のほかに、EUは域内通貨をユーロに統合しているため、国別に財政は異なっているのに為替が変動しないため市場での為替価格の自動調整、言うなれば「神の見えざる手」が機能し辛いことが指摘されています。簡単に説明すると、市場競争力のない国は普通なら自然と為替価格が下がって人件費が落ち、輸出競争力が増していくのですが、ユーロの場合は通貨が共通するためそうしたことが起こらず国別で弱者と強者の差がどんどん広がりやすいそうです。この辺はマネタリストがもうちょっとわかりやすく説明してくれたら助かるのですが。
元々EUはヨーロッパ大陸で市場を統一化して大きな経済力を持とうという目的で発足しましたが、皮肉なことに同じ市場の中で強者が弱者を食うような事態が今起こっています。EU参加国はヨーロッパの文明を共通していることはもとより、距離的に近距離にある国同士がくっついたという背景がありますが、こうした地政学的価値観に基づく連合国家はやっぱりうまくいかないのではと現時点で私は思えます。
仮に日中韓の東アジア三カ国でEUのような組織が出来たら、共通通貨がもたれたらどうなるかですが、政治的な衝突が起こらないという前提であってもやっぱりうまくいかないのではないかと思います。何故うまくいかないのかというとやっぱりギリシャみたいにサボった方が得だと考え動き出す国が出てきそうだからです。
このように考えると世界はまだしばらくは国民国家制度を維持するのが無難ではないかとも思えてきます。EUの思想は一種、経済を媒介とした連合ですがこれだとやっぱり金の切れ目が縁の切れ目で、ちょっとしたことで分裂なりが起こりかねません。じゃあ世界政府ならどうなのか、よっぽど喧嘩と悪の強い皇帝みたいなのが出てくるなら話は別ですが、世界政府となると民主主義はまず成立しないでしょう。
本当にまとまりのない内容ですが、「国家を越えた枠組み」の1バリエーションとして実現したEUの行く末は非常に大きな試金石です。ただ私自身もあまり期待はしておらず、今後どのようになっていく過程にだけ注目する必要があるというのが今日の私の意見です。
EUとアメリカの力が落ちてきているとすれば世界の情勢はガラっと変わるかもしれませんよね。
返信削除個人的には近年のあまりに早い時代の流れについていけません(笑)
確かにここ数年はアップテンポで世の中変わってますね。ただ以前会った太平洋戦争の経験者からすると、戦前から戦後にかけての変化は現代とは比べ物にならないほど大きくかつ深かったそうなので、現代を悲観せず一緒に頑張っていきましょうw
削除大阪と上海を統一させたらどうでしょうか?近隣ですし、性格も似ています。
返信削除大阪も経済テコ入れするんだったら、ある意味その提案はありかもしれないね。上海人はノービザでかつ格安で大阪来れるとかさ。
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