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2019年4月5日金曜日

産経の中国批判記事への逆批判

 フランカー作るのに忙しいので、先日友人から来た質問への回答をそのまま流用します。

【田村秀男のお金は知っている】中国「6%成長目標」は真っ赤な嘘なのか 信憑性を検証(産経新聞)

 上の記事は産経新聞上で連載されているコラムなのですが、この記事で中国経済、特に建設投資に関する発表は嘘っぱちなのではという主張が展開されており、この主張は事実なのかと友人から尋ねられました。
 実はこの記事、掲載当初に私も読んでいて、このブログでも取り上げようかと考えたもののその時は見送った経緯がありました。それが思わず友人から直接尋ねられたので驚くとともに、やっぱきちんと解説したほうがいいのではないかと思ってこうして書いています。

 さてまずこの記事ではどんな主張が展開されているのかざっくりまとめると、

<固定資産投資(建設投資)が伸びているのにセメント生産量が減少している。
→だからデータは偽装だ!中国の経済成長は嘘だ!>

 という主張が展開されていますが、まず考えてほしいのはセメントの増減は建設投資と完全にリンクするのかです。というのもセメントに関しては生産量データが使われているのに対し、建設投資は金額で測られています。スパッと言うと、セメントの使用量が減った(≒建築面積)としても、土地取得費や鉄骨といった資材費など、建設費に含まれるほかの費用項目が高騰していたら、結果的に建設量が変化しなくとも建設投資は増加(≒成長)することとなります。
 特に中国では近年、日本以上に人件費が高騰しています。セメント価格なってよっぽど逼迫しているのなら話は別ですが普通そんな変動するとは思えず、建設作業員の人件費、あと不動産(建物)の取引価格が高騰しているのなら、セメント生産量が減っっていたとしても建設投資額は増えることも十分有り得るかと思われます。

 ただそれ以前というか、とりあえず下記アドレスを開いてください。

2018年全国水泥产量21.77亿吨同比增长3%(東方財富網)

 こちらは中国セメント協会発表の、中国国家統計局調査に基づく2016~2018年における毎月のセメント生産量データ(一番上)です。見てもらえば分かる通り、春節による季節変動を受ける1、2月を除くと、2017年後半から減少トレンドに入っているもののその下がり幅は前年比5%未満と小さく、ほぼ横ばいと行っていい程度で、また2018年下半期からは再びプラス成長に転じています。でもって、2018年通年では同3.0%増と報告されています。
 一方、産経の記事グラフを見ると2017-2018年でマイナストレンド、右肩下がりとなっており、中国の統計とは真逆の結果となっています。なお、産経のグラフは年次であるのに対し、中国の統計は月次で、統計偽装の何度で言えば年次に対し月次は跳ね上がります。

 無論、結果が真逆のデータが二つあることからどっちかが間違えているということになるのですが、最初のセメント生産量が建設投資に完全リンクするという主張からして無理があると思うのと、中国のデータのほうが月次で細かいという点を加味して、私としては中国のデータに肩を持ちます。

 このように、この記事に関しては前提となるデータからして間違っている、とまでは言わずとも議論の余地があります。しかし仮にそれを指摘したら、「中国の統計の方が弄くられているんだ!」と反論されて話にならないのが目に見えているので、前回は記事化を見送った背景があります。
 そもそも産経はあからさまに中国を敵視して、これまでにも根拠のあやふやなネガティブな記事を量産しており、私自身もかねてからその姿勢に関して疑問視しています。なので友人には、日経メディア、特に産経に関しては中国報道をあまり鵜呑みにしないほうがいいというアドバイスを行いました。中国報道で比較的信用できるのは日経ですが、それ以上にどこがというより誰が書いているかのほうが案外重要なのかもしれません。中国批判で飯食っているライターも少なからずいるだけに、誰がこれまでどんな記事を書いてきたのかを見るのも割と重要だということを最後に添えておきます。

4 件のコメント:

  1. 誰がどんな記事を書いたのかも重要なんですね。

    次から産経の中国批判記事は気を付けるようにします。

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    1.  メディアによって載せる記事の傾向が違うのと、中国批判記事を書く人はマジでそれで食っているところがあるから、過去の出版書籍とか見るとうわぁってのが見てわかります。最近、他の人も気づいてきたのかフェードアウトしつつある人もいますが。

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  2. ただ他の新聞は昔のネット記事消しますが、産経新聞だけ残してあるんですよね。なので結果としては産経の認知度が高まる、という結果になってますね。

    メディアはやはりどういったバックグラウンドを持つ人間が書いてるか、に因ると思います。

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    1.  自分が各記事も基本中国を養護するような内容が多いですが、これは中国叩きの記事だと簡単にアクセス取れて、自分がそれでしかアクセス取れないようなライターだと思われたくないというのが本音です。敢えて逆境において書いて勝つからこそ価値があると考えていますが、それ以前に明らかに実態から外れた内容が中国ネタには多いから、普通に書いてたらこうなるというのもあります。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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