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2023年12月31日日曜日

我一向是無所謂的(わたしは一向にかまわんッッ)

 先日、中国人の同僚に「私の好きな中国人キャラ」として漫画の「バキ」シリーズに出てくる烈海王の画像を百度で検索したところ、彼の名台詞でスピンオフ作品でも引用されてある「わたしは一向にかまわんッッ」について、見出しの通り「我一向是無所謂的」(実際には簡体字で直されてた)と翻訳されていました。
 元の言葉に合わせるならば無理して「一向」を入れなくてもいいのですが、これを翻訳した人は敢えてこの言葉を入れたと思います。その甲斐あって元のセリフを知っている人間からすれば非常に通りのいい訳語となっており、また烈海王はもともと中国人ということもあり、なんか中国語で書いたセリフのほうが似合っているような印象すらあります。

 こう言った翻訳に関して、法律文書ならともかく、エンタメ作品では如何に意訳するかというテクニックがやはり求められてくるでしょう。この手のものとして伝説的なセリフとしてスターウォーズエピソード3の「地の利を得たぞ(I have the high ground!)」というのがありますが、これに関しては「(高みから見下ろす感じで)この未熟者め!」と訳している人がいましたが、私もこっちの方がいいと考えています。
 なお同じ戸田奈津子氏のスターウォーズの誤訳で有名なのは「義勇軍」とすべきところを「ボランティア軍」と訳した例もあり、原語に引っ張られすぎだろと内心思います。

 上のは悪い例ですが、逆にいい訳され方したなと思うものとして「With Great Power Comes Great Responsibility」があります。これは言うまでもなくスパイダーマンに登場するセリフで、かつそのヒーロー性を代表するセリフですが、日本語では「大いなる力には、大いなる責任を伴う」と訳されています。下手な訳者だったら「Comes」を無理やり入れて「大いなる力とともに大いなる責任が来る」という風に訳してたかもしれませんが、単純に「伴う」でまとめ成語としたのは素晴らしい手腕だと思います。

 なおこのセリフですがつい最近見た映画解説動画によると、原典の漫画版スパイダーマンのある回で小さくモノローグに入れられていた言葉だったそうです。それを映画の初代「スパイダーマン」の監督であるサム・ライミがベンおじさんが今際の際にピーターへ伝えるセリフとして使用し、スパイダーマンを誕生させるきっかけと変えたことで、一気に普及しました。多分後代にも語り継がれ、今後英語のことわざになってくんじゃないかな。

2023年12月29日金曜日

ジェットスターのストライキを見て

 年末年始で運送業者にとっては忙しいも稼ぎ時の中、LCCの一角であるジェットスターでは現在ストライキが行われています。この影響で一部便が欠航にもなっていることから話題となってニュースでも大きく報じられていますが、私個人はこのストライキは社会不安を煽ったりする政治的な類ではなく、純粋の従業員の待遇改善を目指したストライキであるように見えることからスト中の従業員を応援する立場にあります。
 というより本来的に言えば賃金上昇を訴えかけている政府も、ジェットスターの労働組合をもっと応援してもいいような気がします。もちろん過度な肩入れはよくありませんが、「ストライキは従業員の権利である」などという一言くらいは岸田総理もかけてあげてもいいのではないかと思います。まぁ今の自民党がそんな余裕すらないというのもわかりますが。

 もう一つこのストライキを見て思うこととしては、ジェットスター以外でこの手のストライキ報道がなされないという点です。日本企業の業績は円安の影響もありますが総じて良く、株価も高値で推移しているだけに、日本の労働者は企業に対しもっと従業員への還元を訴えてもいいはずです。にもかかわらずストライキを含む団交の類は一切耳にせず、経営者側が勝手に賃金引き上げてくれるのをただ待つばかりな企業や業界が多いように思え、何やってんだよと内心思っていました。

 それだけに今回のジェットスターのストライキは他の業界にもぜひ波及していってほしいと思うと同時に、こうした団交がこれだけ条件の揃った今の日本でほとんど行われていないというあたり、なんかそれはそれで日本の労働者も情けなくなったというような感があります。端的に言って闘争心に欠けているように思え、争いはもちろんよくありませんが、戦闘民族サイヤ人に限らず一定の闘争心は人間にとって大事だと思うだけに、言い方悪いですが臆病な日本人が増えたなという印象を持っています。

 逆にそうした風潮の中で、今回パイロットを含めジェットスターがこうして注目の集まりやすい、ややもすれば予約便が欠航となった消費者から反発を受けやすい時期にストライキを決行して待遇を要求していることは非常に立派だ思え、今後の交渉次第ではあるでしょうがいい方向に向かうことを陰ながら祈っています。

2023年12月28日木曜日

死刑囚に安楽死は適用されるのか?

 中国人の同僚が年末年始に日本へ旅行して浅草寺あたりを回るといっていたのを耳にし、今年11月に浅草寺近くに行った際、「バーガーキングで食べたい(´・ω・)」という小学生っぽい要求してきたうちの親父を思い出しました。実際行ったけどさ。

 話は本題ですが、私はかねてより医療水準の発達した現代において安楽死の議論は必要だと主張し、安楽死導入賛成派としての立場を取っています。現在すでに運用しているオランダモデルを参考に、実施前には精神科医の診断を受けるなどの手続きを設け、予後が厳しい方などに関して本人が望む場合に限り安楽死を適用すべきではないかと常々考えています。

 ただこの安楽死を仮に導入した場合、死刑囚にも適用されるのか、具体的には死刑囚が死刑執行前に安楽死を望んだ場合にそれを受け入れるべきなのかという疑問がふと、プラモ買った帰りに自転車に乗りながら浮かんできました。結論から言うと、自分の中では答えが出ませんでした。

 現在オランダなどで運用されている安楽死モデルでは、回復の見込みのない病気や状態の方が、病による苦痛を感じながら生きるよりも穏やかな死を望む場合に安楽死措置を取ることが認められています。この論理に則り、死刑が確定して将来ほぼ確実に寿命を迎える見込みがない死刑囚が、どうせのうのうと生かされ続けるくらいなら早く人生を終えたいとして安楽死を望んだ場合、果たしてどうなのかなという風に思ったわけです。
 死刑囚の立場に則るなら、実際に以前の死刑囚でも早く執行してほしいと主張していた死刑囚もいたほか、予告なしに当日の朝に執行が通知されるのを怖がっていた死刑囚もおり、その落命する時期を自分で決めたいと思う人間がいてもおかしくはない気がします。何より、冤罪の可能性があるとして再審活動を行っている場合を除けば今後社会に出られる望みはほぼなく、だったら早くあの世に行きたいと考える心理は私個人の見解として、充分にありうるのではないかと思います。

 しかし死刑というのは言うまでもなく刑罰であり、その刑罰を本人が望む形で時期を繰り延べる、見方によってはより安楽な死に方を許容するというのは刑法の精神に反するのではないかという見方もできます。あくまで処罰として、人が最も重視する生命を過去の行いに起因して取り上げるということが死刑の概念の一つとなっているだけに、その扱いを死刑囚本人に委ねさせていいものかということになります。
 実際にというか、死刑囚が自殺しないように拘置所などでは対策が取られていると聞き、いわゆる死に逃げは許さないという立場を国は持っているように見えます。

 その一方で、中国みたく死刑確定後にほぼ1週間以内に即執行する(即執行しない場合として執行猶予付き死刑判決というのもある)ならともかく、日本の場合は死刑確定後から実際に執行するまでは非常に長い時間がかけられます。あさま山荘事件の犯人らのように政治犯であればほぼ執行されることはなく、実質的に死刑判決の下での無期懲役というのは多少は理解できますが、凶悪な犯罪事件を起こしておきながら何年も税金で生かし続けるということを批判する声は今も昔も小さくありません。

 であれば、もし死刑囚本人が安楽死による早期の死を望む場合、その要望を受け入れた方が単純な税金の使い道で言えば絶対的にプラスです。また裁判中ならまだしも、確定し本人も受け入れているのであれば、本人の申し出をもとにすぐに安楽死措置を取った方が、被害者や遺族の中にはそれを望む人もいるかもしれません。
 もっとも逆に、何が何でも刑としての執行を望む声も大きいでしょうが。

 以上は法の運用とお金の損得勘定的な観点での私の見方ですが、仮に倫理的な観点で見た場合、自分の命は自分自身がどう扱うかを決めるべきという価値観が重要になってくるのではないかと思います。自殺にも係わってきますが、本人がもう人生やめたいってんならその考えを尊重するのも一つの考えのように思え、それは死刑囚であるかどうかにかかわらず、人間全員それぞれに委ねられた個人の権利でもあると私は密かに考えています。
 無論、死刑囚のように他人の人生をその意向を無視して奪った人間に対してもこの原則を適用すべきかと言ったらまた議論となりますが、一般の立場であれば社会への再復帰が閉ざされた状態なら安楽死が認められる可能性があることを考えると、死刑囚についても考える余地があるような気がします。

 もっとも、「どうせ死ぬんだし」で安楽死をポンポン認めるというのもまた問題である気もしますが。

 実際のところ、仮に安楽死が日本で認められたとしても死刑囚にはまず認められないと思います。一方で前述の通り日本では執行までの長い期間が明らかに問題でもあるので、再審の目があるというのであれば中国みたく執行猶予付き死刑として、なければ通常の死刑としてもっと短期に執行すべきじゃないかと思います。
 今現在の死刑がかかってくる裁判ではゼロサムというか「死刑か無期懲役か」という隔たりの大きい判決を争うことから議論の争点が心神喪失をはじめ極端なものになりやすく、結局のところよくわからない裁判になっているような気もします。であれば案件の内容によって、死刑囚が真摯な反省の態度や行動を取り続ければ実質的に執行を行わない執行猶予付き死刑という刑罰ランクを設け、事案が重大であり且つ裁判中に反省する態度を一切見せなかったりした場合は即執行する死刑に分けた方が、司法効率的にもなんかプラスになるような気がします。またなんか話が脱線してきた気がしますが、まぁいつものことです。

2023年12月27日水曜日

大川原化工機冤罪事件の裁判判決

国と東京都に約1.6億円の賠償命令 「大川原化工機」国賠訴訟

 このブログではこれまで触れてきませんでしたが、その経過についてかねてから注目してきた大川原化工機の裁判について本日判決がおり、大川原化工機の幹部を逮捕、起訴した警察と地検の捜査は違法だとして、国と東京都に1.6憶円の賠償命令が下りました。この結果について一言いうとしたら、「ざまーみろ社会のダニ、ゴミクズども!」といったところです。

 詳細についていちいち解説しませんが、そもそも輸出規制を作った経産省自体が規制条文をもとに立件することに反対し、また学者らも大川原化工機の設備には滅菌機能がないと主張していたにもかかわらず逮捕起訴するなんて頭がおかしいにもほどがあり、記事中にもありますが裁判中には捜査に係った警察関係者が「事件は功名心からくる捏造によるもの」と証言するなど、常識で計り知れないアンビリバボーな内容でした。
 諸条件から言って全く犯罪要素がないにも関わらず無辜の人間を逮捕拘留し、その中には拘留中に病気が悪化して亡くなられた方もいるだけに、この事件を仕立てた関係者こそ逮捕すべき犯罪者だと私には思えます。

 素人目ですが、この手の冤罪事件に対する補償で賠償金額が億を超えるというのはなかなか珍しいと思います。それだけ裁判所側も捜査内容を問題視したものだと思えますが、これほどの事件を起こしながらこの裁判でも警察、検察らは捜査や逮捕は適正であったと主張しており、こうした冤罪捏造マシーンがいる時点で警察や検察の信頼は私の中でかなり落ちます。っていうかマジでこいつらどうにかしろと思うし。

 ぶっちゃけ志を同じくする仲間が10人くらいいるなら、警察や検察のいる建物に乗り込んで「悪い子はいねーかー!」って暴れ騒いだっていいと思う事件内容で、無茶苦茶な法解釈に無理筋な主張で一般市民を犯罪者に仕立て上げるその行為には虫唾が走ります。それだけに今回の裁判結果には溜飲が下がる思いがありますが、それでもこの事件を捏造した張本人らはいまだに捜査現場にいることを考えると安心できず、何とかこいつらを排除できないものかと思えてなりません。

 ジョジョのセリフの中に、「吐き気を催す邪悪とは、なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ」という言葉がありますが、まさに今回の事件捜査の担当者にこそこの言葉が当てはまることでしょう。捜査を尽くして冤罪が起きたのではなく、冤罪を作るために捜査を尽くした捜査関係者に、さらなる処罰が下ることを祈ってやみません。

2023年12月25日月曜日

侮れない農林水産省の広報力

 昨日夕方に家で仕事の原稿を書いていたら突然頭痛と悪寒がしてベッドに倒れこむ羽目となりました。一体なんでかと最初はわからなかったものの、頭痛の痛み方から体温の低下によるものでほぼ間違いないと考えたものの、そんなに寒いと感じていなかったのに何故とちょっと不思議に思いました。
 しばらく考えた後、パソコンに向かっている最中は胡坐をかきながら布団を体に巻き付けて、百人一首に描かれている坊主みたいな住職スタイルで体はぽかぽかだったものの、頭部がむき出しだったため、頭部だけ冷えて頭痛を起こしたのではないかと分析しました。相変わらず部屋の中では一切暖房をつけず、室温も10度を切っており、何も動かず頭部だけさらしているだけでこうなるのかとちょっと驚き、対策として今日に毛糸の帽子買ってきて今部屋の中で被っています。


 それで本題ですが、クリスマスを目前に控えた先日に農水省がXで「シャケを食え」という謎のアピールをしました。もっとも背景を知っている人間には謎でもなんでもなく、これは2018年に放映された「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」に出てきたシャケの怪人サモーン・シャケキスタンチンが元ネタです。その登場回は今Youtubeで無料公開されているので自分も見てきましたが、「クリスマスにはチキンを食べずにシャケを食え」という猛烈なアピールが凄まじく、放映当初より伝説となったというのうなずける内容でした。
 っていうか手に持っている焼き鳥をシャケにすり替えるシーンがいちいち笑える。

 今年に限らず去年もやっていましたが、農水省はこのサモーン・シャケキスタンチンをクリスマスに引用して「もっとシャケ食べよう」というPRを毎年、しかもこのクリスマスシーズンにやっています。自分もおととしくらいにこの騒動を知り、今年も同じPRが行われたと聞いてなんか影響されたのか、クリスマスイブの昨夜はシャケの切り身を頭痛をこらえつつ家で焼いて食べていました。


 クリスマスのシャケに限らず、農水省は6月10日のところてんの日においても、上記記事に出報じられたようなXを使ったPRを行っています。これもわかる人にはわかりますが、「ボボボーボ・ボーボボ」という漫画兼アニメに出てくる、ところ天の助というキャラクターを暗示させる「ぬ」のハンカチを画像として投稿しています。案の定というか見た人はすべて悟り、「農水省はハジケリストだった」などとボーボボネタで湧きあがりました。
 上のtogetterのコメントにも書かれていますが、この6月10日のツイートでは一言も「ボーボボ」や「ところ天の助」とは言っていないものの、ただ「ぬ」のハンカチを出すだけでボーボボネタだと連想させ、バズらせることに成功しています。このさりげないというかあざといというか微妙ですが、はっきり言及させずに連想させることで見た人の反応を膨らませる、なおかつところてんアピールにもしっかりつなげている点で、この広報のやり方は非常にうまいなと感心させられます。

 なお中の人インタビューで「僕らの世代でところてんと言ったら...、もう『アレ』ですもんねぇ」と語っていますが、自分の世代でも同じことが言えます。っていうか、地味にボーボボ(中国語タイトルは「鼻毛真拳」)の中で一番好きなキャラクターで、その影響からかWeChatの自己紹介欄も「ぬ」としか書いてません(マジで)。

 話を戻しますが、最初のクリスマスシャケでもこうして好意的にかつ大きな反応を得ているあたり、IT方面で見ていて大丈夫かと思う官庁の中でも、農水省はXをはじめとするITツールの使い方が地味にうまいと感じます。はっきり言えば、私は省庁の中でも厚生労働省と農水省がワースト2といえるくらい不祥事が多く、問題の多い省庁で無能の集まりとみなしていましたが、ことITの利用に関する点では、農水省が目を見張る力を発揮しているように見えます。


 などということを友人に話したところ、上の記事を紹介してもらいました。この記事内容は今まで知らなかったのですが、農水省内にこうした方面に明るい人がいるのか、最新ITツールの使用にも本当に積極的であるような気がします。その優秀さを、高級品種の保護とか花粉症対策などにもっと使ってくれればという気もしないでもないですが、なんかこの際だしデジタル庁も農水省の中に置いたらいいんじゃないのとすら思え、何はともあれ農水省にはこのノリを維持していってもらいたいです。

 最後に補足として、官庁が広報で民間のエンタメ作品を使うと失敗することの方が多い気がします。比較的覚えているものだと「宇崎ちゃん献血ポスター」がありますが、このポスターはまぁ批判する方も内心どうかなと思うものの、若干空気を読み間違ったり、変なアピールの仕方をしてその作品のファンから反発食らったりすることが多いように見えるのですが、上記の通り農水省はきちんとファンのノリというか空気を読み、彼らを盛り上げるような感じで広報に利用しているというのは素直に評価できます。
 っていうか航空自衛隊も、エリア88とか使えばいいのに。

2023年12月24日日曜日

聖夜のメタルギアソリッドごっこ

 先日、友人に何故か思い出してした話をここで書きます。

 それは確か高一の頃だったと思います。その年のクリスマス、若干キリスト教にかぶれていた私はこの年に1回のビッグイベントに何かしなければならないという焦燥感に駆られ、しばしの思考を経て、メタルギアソリッドごっこ(一人)をすることを決断しました。

 具体的に何したかっていうと、イブかクリスマス当夜かだったかは忘れましたが、全身黒づくめの衣装を着た上でバンダナを巻き、懐にエアガン(USP)を忍ばせ、夜8時くらいに外へ飛び出していきました。もちろん、テーマがメタルギアソリッドなのでなるべく人に見つからないように偲びながら町を練り歩くという、今考えても、いや当時としても意味わからない行動を取りました。
 忍び歩くといいつつも、夜間帯とはいえ実際にはまだ人が出歩く時間帯であり、照明の下とかで結構目撃されています。ちらっと見たその表情にはありありとした警戒感が読み取れ、それを見て自分も「そりゃ変な奴いるよと思うだろうな(´・ω・)」などと感じました。なお途中でエアガン持ってるの警察とかに見とがめられたらやばいなと思い、近くの側溝の中に隠し、再びスニーキングミッションを再開しています。

 大体時間にして30分くらいだったと思いますが、自分的には結構長い時間帯に感じました。っていうか目的地もなしに練り歩くのには限界があり、正確には30分くらい歩いて飽きたというのが本音なところです。なので側溝に隠したエアガン(USP)を回収すると、さすがに自宅ばれたらやなので来る時よりもより慎重になって帰路を急いで帰還しました。

 中二病的なおかしな行動といえばそれまでですが、何故クリスマスにメタルギアソリッドをやろうと思ったのかという点で、当時の自分には計り知れないオリジナリティを感じます。しかも思いつくだけならまだしも、実際に実行するという点で現在もそうですが底知れない行動力の片鱗を見せた気がします。こんな形で見せなくてもいいのですが。
 その後、学期が始まって一人の友人だけにこの聖夜の奇妙な行動の顛末について話したことがありましたが、その友人は爆笑してくれて、一笑とれただけでもやった甲斐あったのかなという妙な誇らしい気持ちになりました。ただそれ以降はこのような行動はとらなくなり、またキリスト教への意識も当時の株価のように下がっていったので、クリスマスだからと言って突飛な行動を取ることもなくなりました。昨日今日もそんな感じで、会社が外資系なため明日25日はお休みとなって三連休となるのをいいことに、ともかく寝ようと時間があれば寝て、起きたらゲームする日々を過ごしています。

 おかしな行動を取らなくなったと思う反面、あの時の有り余る冒険心を今の自分は失ってしまったのかもという懸念も一瞬抱きましたが、あんな突飛な行動を取る冒険心はむしろない方がいいなと、改め自らの成長ぶりに感じ入ります。

2023年12月22日金曜日

イスラム教が定着したら離れない理由

 先日、ちょっと気になったこともあり島田裕巳氏の「帝国と宗教」という本を買って今日読み終えましたが、期待に違わず面白い内容でした。内容は領土拡大に積極的な国こと帝国が、これまでどのように宗教と関わってきたのか、また国内維持のためにどう宗教を利用してきたのかについていろいろ語っており、歴史も宗教も好きなので非常に楽しめました。

 わかりやすい話として、チンギスハンのモンゴル帝国は広大な領土を支配しながらその後継国(キプチュク・ハン国など)どれもその支配を維持できなかった理由について、モンゴル人は土着の信仰をもってはいたものの文字文化がなく体系化されておらず、それぞれの支配地域でキリスト教やらイスラム教を取り込まざるを得ず、結果的に分裂、崩壊していったと解説されています。
 それに対しイスラム帝国は税金さえ払えばキリスト教やユダヤ教などの信仰をそのまま維持することを認めつつも、イスラム教に改宗することによって税金が免除されるなど携帯電話の契約のようなお得なプランをたくさん用意して領土内でイスラム教徒への改修者を増やしてったそうです。なおかつ教えが体系化されていて国内統治の手段として使われた結果、現在のトルコのもとになったオスマン帝国も数百年という長寿命国家になったと説明されており、自分も同感します。

 そのイスラム教について島田氏は、「聖と俗が区別されていない宗教」と述べており、なかなか興味深い説明でした。これはどういう意味かというと、仏教やキリスト教では出家者は世俗と切り離された生活をし、浄土真宗やプロテスタントのように例外はありますが、妻帯を禁止するなど俗世間とは隔絶された生活を営むことになります。
 それに対しイスラム教は創立者のムハンマド自体が商人であり、俗世の人間であったことから、教えを布教する聖職者という区分がそもそもないそうです。もちろん、イスラム法学者のようにイスラム教内でで権威を持ち尊敬の対象となる指導者こそいるものの、仏教やキリスト教のように先任者が講やミサを主宰するのではなく、あくまで教徒の代表がモスクなどの礼拝をはじめとする一連の儀式を主導しており、「俗世と断った聖職者がいない」という、言われてみればそうだけど言われてみるまで意識していなかった点についてこの本でも詳しく解説されています。


 そのうえでこうした聖職者が明確に区分されていないことから、イスラム教は聖と俗の区別自体が非常にあいまいで、生活そのものが宗教信仰になっていると島田氏は指摘しています。仏教やキリスト教では信仰を行うにあたりある種特別な聖職者の話を聞いたり、寺院や教会といった特殊な施設に赴いたりするなど、宗派によって差はありますが一定の神秘主義的行為を行うことが多いですが、イスラム教もないわけではないものの、どちらかというとラマダンや豚肉禁止をはじめ、生活習慣を規定することそのものを信仰としていると説明されており、これも言われてみればまさにその通りです。

 そのため、イスラム教では生活そのものが信仰活動となり、いったん根付いてしまえばそれそのままライフスタイルとなるため、イスラム教は定着したら別の宗教へ改宗する人が少ないと説明されていました。これが自分の中で深く納得したというか、現代のインドをはじめイスラム教が広められた地域において先祖返り的に仏教やヒンズー教が復活しないのは、こうした生活に根差した信仰活動こそがイスラム教の根幹だということになかなか感じ入りました。
 逆に仏教、特に日本の密教は神秘主義的傾向が強いので、鞍替えが起こりやすそうとも感じます。

 オチらしいオチはないですが、イスラム教が信者を増やし続けるという背景に関しては信仰が広まっているというより、一度教えを受けた人間はライフスタイルレベルにまで信仰が入ってくるため信仰を変えず、信者が増えるというより減らないという特徴にこそその背景があるのではないかと思えます。教えが魅力的だとか現代にあっているとかではなく、底堅さこそがイスラム教の強みなのかもしれません。

2023年12月20日水曜日

落ちぶれたサマンサタバサを見るのはマジ楽しい(^ω^)


 上の記事をはじめ、最近女性物バッグメーカーのサマンサタバサが落ちぶれているというニュースをよく見ます。これらニュースを私の感想はというと、もはや死語だけど昔のネット用語に言う「メシウマ状態(^ω^)」で、非常に気分いいことこの上ないです。なんでかっていうと、このサマンサタバサって会社は昔から大嫌いだったからです。

 かつてこのブログにもその経緯の記事を書いていますが、私は記者時代にこのサマンサタバサに何度か取材をしていますが、毎回といっていいくらいその取材態度は非常に最悪で、マジで喧嘩売ってんじゃないかと思うくらいひどいものでした。これは私に限らずほかの同僚に対しても同じで、その態度の悪さは編集部内でも話題になるほど呆れたものでした。

 具体的に述べると、ニュースリリースを出したのでそのリリース内容を確認するため電話をかけると、「担当者はいません」と、何故か自分が出したリリースへの説明や回答を拒んだ上、

「では担当者が戻ってきたら折り返しお電話くれませんか?」
「はいわかりました。それでは失礼します」
「まだ私の連絡先をお伝えしていませんよね?」

 という感じで、露骨に早く電話を切ろうとすることが多かった、っていうか毎回でした。ちなみにその後、連絡先を伝えたものの折り返しの電話は10年以上経た今も鳴らされていません。

 またこれは同僚の話ですが、ある会社意思決定に関するリリースが出されたのでその内容について取材して記事化した後、しばらく経ってそのリリースとはほぼ真逆のリリースが出されたので改めて取材をかけたところ、「前回リリースの内容はなかったことになりました」とおくびもなく言ってのけ、なんか記事にして報じたうちの媒体がガセ流したような感じにさせられたこともありました。
 これに限らずこの会社はリリース内容について一貫性がなく、昨日言ったことを翌日否定するような広報体制だったので、その後は具体的な動きをはっきり見せるまでは取材も記事化もしない風になりました。

 以上の実体験を踏まえて言うと、東洋経済やITメディアはその落ちぶれた背景についてあれこれもっともらしく分析していますが、私に言わせれば単純に経営者、従業員の質がとんでもなく低かったこと以外に理由が見つかりません。それでも昔は違ったのかもしれず、なんか変にブームに乗って一時は大きくなったのかもしれませんが、かえってそれが彼らを勘違いさせたというか、大企業病に陥って余計におかしくなっていった可能性もあります。どちらにしろ、高い人気を得ていた時代において既に、サマンサタバサは崩壊への序曲を奏で始めていたと私には思えます。

 なおサマンサタバサ以外に取材態度が悪かったのは毎日放送で、あと当たりはずれがあるけど電通もそうでした。逆に取材対応がいい、というより広報の人の質が異常に高いと感じたのはファミリーマートとDeNAで、今でもこの二社は一目置いています。

ダイハツの不正発表の衝撃

 すでに各所でたくさん報じられているので記事リンクをつけませんが、ダイハツの不正発表の内容というか衝撃がかなりすごいです。他のメーカーへOEMで出している車種も含めほぼ全車種で販売停止もさることながら、ニュースではあまり報じられていませんが報告書によるとライトの設置軸や重量検査のごまかしなど不正内容は多岐にわたり、直近10年で言えば日系メーカーとしては最高ランクの不正でしょう。
 不正内容の詳細についてはひとまず置いて、今後のダイハツへの影響についてここでは書いていくことにします。

 まず前述の通りほぼ全車種で販売を停止することになり、なおかつ不正内容は衝突安全性能などの安全基準にも及ぶことから、販売停止期間は長期に及ぶ可能性があります。下手すりゃ半年くらい販売できない車種もあるかと思え、ダイハツ本体以上に、ディーラー店へのダメージが非常に大きくなると予想しています。

 また仮に、っていうか現時点でも恐らくそうなると予想されますが、リコールを実施することとなった場合、その影響はどこまで及ぶのか途方もない点でやばいです。不正は長年行われてきていたということから、下手すりゃ過去30年分くらいの販売車種についてリコールを実施せざるを得なくなる可能性もあります。少なくとも、過去10年分はほぼ確実に実施せざるを得ないでしょうから、リコール対象は数百万台……で済むのだろうか?というのも、トヨタなどへOEMで出している車がダイハツは多いだけに、夢の千万台越えもありうるかもしれません。
 もしそこまでリコール規模が拡大したら、かつてのエアバッグのタカタ同様、ダイハツ自身が持たなくなる可能性もあります。その場合、日本自動車メーカーの再編が確実に起こりうるでしょう。

 その再編観点で言えば、今回の騒動で一番の追い風というか漁夫の利を得るのはライバルであるスズキに間違いありません。そもそも、ダイハツはトヨタの子会社ですが、近年になってスズキは鈴木修氏が経営から退くのに合わせてトヨタの資本を受け入れはじめ、トヨタグループとの距離を詰めてきています。元々、豊田家と鈴木家は創業家同士が仲良しこよしということもあり、ダイハツとスズキの2大軽自動車メーカーを抱えてトヨタどうすんだよと前から思うところがありました。
 そこへきて今回のダイハツの不正発覚で、これから来年1年にかけてダイハツはシェアを落とし続けることは間違いなく、その分をスズキとNボックス擁するホンダが軽自動車業界のシェアを奪うわけですが、スズキに至ってはさらに再編の恩恵を受けるかもしれません。

 端的に言って、もし私がトヨタ幹部であれば、ダイハツとスズキを合併させるでしょう。軽自動車メーカーどうして商品はほぼすべて競合、っていうかお互いに売れた車をパクリあっているので、統合すれば販売台数は変わらないとしても、車種を1台に絞れるようになるのでめっちゃプラスです。同じトヨタグループにあるのだし、どう考えたってこの2社は統合させた方がトヨタとしてはお得でしょう。

 上記は私の妄想であり実際にトヨタがこのように動くかどうかはまた別ですが、今回の不正発覚はまじめにダイハツの屋台骨すらへし折りかねない衝撃なだけに、もし再編が起こるとしたら、親会社のトヨタとしてはどう動くかがカギを握るでしょう。日野みたく外部に持ち分売却する可能性もありますが、日本国内でダイハツをディールしようっていうメーカーがほかにあるかと言ったらちょっと浮かばず、買うとしたら外資メーカーになってくるのではないかと思います。

 私個人としてはダイハツの車は前から好きだったので今回のニュースは残念この上ないですが、経済ニュース的には久々にワクワクするというか、予測の余地が広いだけに興味の尽きない話題です。

2023年12月19日火曜日

キャラ要素盛り盛りなブラックラグーンのルマジュール

 本日、約2年ぶりにマンガの「ブラックラグーン」の最新巻にあたる13巻が発売されました。あらかじめ予約していたので昨夜にダウンロードしてすぐ読みましたが、長く待たされただけあって相変わらず面白い内容でした。

 多少ネタバレになりますが、前の12巻から登場しているルマジュールというキャラクターがこの13巻でも出てくる、っていうかほぼ主役級にずっと出続けています。12巻で登場した時から思ってましたが、ルマジュールはこの作者にしてはやたらキャラ要素が盛り盛り入ったキャラだと思っており、それもあってかネットでの反応も見ているとなかなか人気高そうです。実際自分も読んでて、このキャラいるから面白いんだろうなと感じたりします。

 ではこのキャラの要素には何があるのかというと、リストアップすると以下の通りです。

・ツンデレ
・ツインテール
・アイパッチ
・殺し屋
・普段着がスーツ
・小柄な体格
・妹キャラ
・変なところで義理堅い
・っていうか性格が完全ヤクザ系
・妙なところで図々しい
・背中が○○

 決して誇張ではなく、以上の要素がこのルマジュールという一人のキャラに内包されています。割とブラックラグーンのキャラって「フライフェイス」ことバラライカ女史をはじめ単独のとんでもない個性が造形をはっきりさせているキャラが多いと思っていたのですが、ルマジュールに限っては要素、っていうか美少女系萌え要素をかなりふんだんに盛り込まれていると感じ、ここにきてまたすごいキャラを作ってきたなという印象を覚えます。狙ってこういうキャラに仕立てたとしたらかなりすごい。

 なお13巻のほかの内容ですが、粛清シーンはまたかなりどぎつい描写になっています。まぁブラックラグーンの世界では日常ですが、今まであまりこういうはっきりと殺害する、それも女性キャラでああいうシーンを書くのはなかったなという気がします。幼児では前からあるけど。

2023年12月18日月曜日

再びコラム連載を開始

 先ほど昨日残った冷や飯をニンニクと一緒に炒めてオニオンライス作って食べましたが、部屋の中が焼いたニンニクの匂いがして、食べた後のほうが飢餓感を覚えるようになりました。


 それで本題ですが、上記のロボティアというテック系サイトでまたコラムの連載を開始しました。

 一体なんで急にコラムの連載を開始したのかというと、こちらのサイト運営者より以前にもコラム執筆を打診されていたものの、当時は世を忍ぶ仮のサラリーマンとしての本業に加えJBpressの連載も抱えていたため、キャパオーバーになるとして応えることができませんでした。それが今春にJBpressの連載を終え、かなり久々に夏季を除くどの週末もフルに満喫できるようになって謳歌していたところタイミングよく秋口にロボティアの担当者より再び連絡があり、今ならまたコラムを書けると自分も伝えたので、こうしてまた連載を開始するに至りました。

 コラムを連載するにあたり書く記事に関しては自由にしてよいとは伝えられていたものの、テック系メディアなのと、記事本数がJBpressと比べ少ないことに鑑みて、何かしたら技術関連でなおかつ一つのテーマに絞って連載した方がいいのではと考え、担当者とも何度か検討を行ってきました。ただ技術関連といっても自分は決してAIとかに造詣が深いわけでもなく、ノギスの使い方くらいなら説明できますが、果たして素人の自分で何が書けるんだろうかという点が少しネックになりました。

 その際に閃いたのが、自分の得意技は割と昔の内容でも急に思い出したり、最近起きた出来事に結び付けて説明したりすることで、過去の技術関連ニュースならいろいろ総括して記事化できるかもという案でした。その際にたとえ話として出したのが今回配信した東芝テックの特許庁システム開発プロジェクトの失敗で、これなんか単体でも十分記事に書けるし、自分も当時生で見ていて周りの人にも話を聞いていたのですぐ書けると伝えました。
 また同時に、こうした失敗したプロジェクトをNHKが放送していたプロジェクトXの逆バージョンとして取り上げていけば、相当かけるネタが生まれるし、「いったいなぜ失敗したのか」という観点ならテーマの一貫性も保持できるということに気が付きました。そっからはとんとん拍子で、「プロジェクトE(nd)」というカテゴリで、ひとまずスタートしようという結論に至りました。

 比較的持ちネタが豊富なのと、自分自身も興味ある書き物なので今後時間を見つけ次第にどんどん書いてどんどん配信していくつもりですが、こうしてまたこのブログ以外でコラムを連載できるようになったのは自分としてもうれしい限りです。ただ問題なのはかつてと比べると本当に取材時間が取れなくなっており、何か力を入れる記事ネタが見つかった際にはどうしようかなと今考えています。まぁそれは後で考えればいいだけですが。

 それにしてもつくづく思いますが、子供のころから物書くことを仕事にしたいとは思ってはいたものの、まさか本当に今のような立場になれるとは当時思いませんでした。最初は新聞記者になりたかったけど今の状況見ていると案外ならなくて正解だったと思うと同時に、結局物書く実力があれば媒体なんてあんま関係ないなと思えます。それはともかくとして最近ほんとドライアイがつらい( ;∀;)

2023年12月17日日曜日

錣山親方(寺尾)の死去

元関脇寺尾の錣山親方死去 60歳 細身の体で闘志あふれる突っ張り 親方として阿炎ら育成(日刊スポーツ)

 以前からあまり体調がよくないとは聞いていましたが、元寺尾こと錣山親方が逝去されたとのことです。錣山親方に関しては親方時代はもとより、現役時代もまだ私が子供だった頃に直接見ており、当時から細見イケメンの力士として非常に高い人気を持っていました。

 親方となってからは比較的バラエティ番組にもよく出演し、自分が覚えているものだと「さんまのからくりテレビ」でボビー・オロゴン氏が体験入門する回で錣山部屋が受け入れて出演していました。相撲解説に出る際も、こちらもこのところ体調不良が伝えられている北の富士勝昭氏と並んで非常に活舌が良く、なおかつわかりやすい解説ぶりであったことから、北の富士勝昭氏の後を継ぐとしたら錣山親方だろうと内心思っていただけに、この訃報は大変残念に思います。

 以前、元力士の方が運営するちゃんこ屋を訪れて相撲談義をした際、近年は大柄な力士が増え小兵力士の見せ場が減っていることを嘆いていました。かつては舞の海氏、そしてこの錣山親方のような小兵力士がその持ち味ともいえる技を見せていましたが、やはり彼らが活躍した時代は見ていて楽しい相撲が多かった気がします。もちろん、現代の角界も面白いことに違いはないですが、

 ただ改めてこの訃報に触れるにつれ、小兵ながら活躍された寺尾関の業績が偲ばれるとともに、改めて角界における惜しい人物を亡くしたと感じます。末筆ながら、深くご冥福をお祈り申し上げます。

2023年12月16日土曜日

繰り返される夏のトムラウシ山遭難事故

 一昨日の上海の最高気温は20度だったのですが、今日の最高気温は4度、でもって最低気温はー1度と報じられています。実際、自分の部屋の室温も一昨日まで18度だったのに今日は自分が警戒し始める13度台に落ち、夜は電気カーペットつけないとさすがに寝れないでしょう。
 日本も今日は各地で夏日を記録したそうですが、明日明後日にかけて上海のように劇的に寒くなると思います。この激しい寒暖差は結構体に応えるもので、自分も昨日からやや神経が痛んでいるのか少し前後不覚になり、また前からやたら心臓が動悸をするのでこの前成田空港で買ってきた救心を飲んでたりします。


 話は本題ですが、通勤途中に読むものがなくて以前に購入した山渓文庫の羽根田治氏の遭難ルポを読み直していましたが、その中でもやはり特に印象深かったのがこちらの2009年に起きたトムラウシ山遭難事故です。夏山遭難としては8名の死者という史上空前の大規模遭難で、さほどこの手の遭難物に興味のない人の間でも上記のWikipedia記事はよく読まれているという有名な事故です。
 私自身も関連記事を読み漁り事故の経過や地名などもある程度覚えるようにもなったのですが、実はトムラウシ山ではこの2009年以前にも、夏山シーズンに2名がなくなるという遭難事故が起きています。


 以前はなかったと思うのですがなんかWikipediaの記事ができていたのでリンクをつけます。私自身はこの2002年の事故は前述の羽根田氏のルポで読んでいたのですが、大まかな経緯を話すと台風が接近して天候が荒れ始める中、天気予測を見誤って登山を強行した結果、女性4人パーティのうち1人が亡くなったほか、8人の山岳ツアーで女性客1人が亡くなるという運びとなっています。経緯について詳細に報じられているのは前者の4人パーティの例です。
 この事故は7月に起きていますが、亡くなった二人はどちらも死因は低体温症でした。真夏真っ盛りにもかかわらずこのトムラウシ山では一気に気温が冷え込むことがあり、また降雨があれば風雨を避けられるような森林もコースに少なく、対策となる衣服やテントがなければ急激に体温が低下することがあると報じられています。

 私がこれまで知っていたトムラウシ山の事故はこの二つだったのですが、記事を読み返してネットでほかにも何か関連記事がないかこの前何気なく調べてみたところ、なんともう1件、夏季のトムラウシ山における遭難事故があったことを知りました。


 こちらの事故について上記リンク先のブログの方が、たまたま遭難者と事故直前に鉢合わせていた方と知り合いだったほか、事故現場近くにいた方の証言も得られ、事故詳細について詳しくまとめてくれています。
 その内容によると遭難者は高齢の男性1名の単独登山者で、2015年の7月に悪天候の中で出発を強行したものの途中で動けなくなり、別の登山者が見つけ救助を行ったものの体力が持たず、凍死されたとのことでした。たまたま当時トムラウシ山にいた別の登山者によると、当時の気温の荒れ具合は凄まじく、強風でロープが切れたり、気温はマイナス5度を記録したとのことで、7月にそんな気温が出てくることにただただ驚くことばかりです。

 ただそれ以上に注目すべき点として、上記3件の遭難事故はすべて同じコースだという点です。

 ヒサゴ沼避難小屋を朝出発し、北沼を超えてトムラウシ山へ向かい、トムラウシ温泉へと下りていくというルートなのですが、3件とも夏季に、また天候が荒れ急激に冷え込んだ結果凍死者が出るという経過まで完全に一致しています。もちろん事故の起こりやすいコースや岩壁なんてどこだってあるでしょうが、なかなかに衝撃的な夏山遭難事故がこうも何度も同じ山、同じコースで繰り返すものなのかという点で少し驚きを感じます。
 遭難者の遭難当時の装備に関してはそれぞれ分かれるでしょうが、それ以上に事故原因ははっきりしており、悪天候での強行にあると断言できます。このうち2009年の事故では悪天候から山頂には上らず、下山を優先するためその山腹を迂回するルートを通っていますがそれでも死者を出す事故へと発展しています。この点、やはりどの事故を見ていても、途中で動けなくなった際にビバークする場所がなく、かといってエスケープするルートもなく、そのまま体温と体力を奪われるという結末が多いような気がします。

 もしかしたらトムラウシ山のほかにも同じような事故が多発する場所もあるかもしれませんが、これほどまでに大々的に報じられる遭難事故が過去にありながらさらに事故が起きるという点で、なんか魔性めいたものをこのコースに感じます。そもそも自分は登山なんてしませんが、トムラウシ山のこのコースだけは、薄気味悪さも感じるので何としても避けたいというのが本音です。

2023年12月15日金曜日

パリピ西村

《安倍派幹部に新疑惑》西村康稔経産相が捜査中に「架空パーティ」を開催していた!《儲けは1回数百万、経産官僚をサクラに…》(文春オンライン)

 パーティ券のキックバック問題に揺れる安倍派ですが、その重鎮でこの前辞職したけど経産相だった西村氏に出てきたのが上の架空パーティ疑惑です。疑惑っていうか文春の質問に否定しないあたりほぼ事実なんでしょうが、このニュースを見た瞬間に思ったのはこいつ、どんだけパーティ好きなんだよっていう感想でした。それとともに見出しにある「パリピ」という単語が浮かび、西村氏に限るわけじゃないけど安倍派にはパリピが多すぎる気がしてなりません。

 正直言ってただ「パリピ」って単語を使いたくて書き始めた記事なのでほかにとりとめて書くことないですが、この架空パーティに関してはどんな素人であってもこれが政治資金規正法に抵触するくらいわかるはずです。にもかかわらずこうして大っぴらに金集めをしていた当たり、やましさに関しては満点この上ない出来でしょう。
 っていうかそんなにパーティ好きなんだったら議員なんかさっさとやめてイベントプロデューサーかDJでもやってろよと思えてきます。少なくとも、こんなエアパーティ開くまでして集めた資金の用途を洗いざらい公開しない限りは、自民党もこの人はさっさと除名しないと示しつかない気がします。まぁ選挙買収に使っていたとしたら、除名どころじゃ済みませんが。

2023年12月13日水曜日

医師は転じて革命家となる

 初めてクソゲーと呼ばれたゲームはファミコンの「いっき」ですが、農民反乱をテーマにした作品なだけに中国共産党からお墨付きをもらってもいい内容のはずですが、周りにいる中国人にゲーム画面見せながら聞いたら、「遊んだことあるかもしれないけど覚えていない(´・ω・)」とつれない反応でした。
 もっとも農民反乱といいながら戦うのは一人だけで(二人プレイなら二人)、「一揆」ではなく「一騎」と呼ばれるほど狂った世界観ゆえかもしれませんが。ちなみに中国での呼び名は「農夫忍者」のようです。

 そんな中国における近代化の幕開けとなる反乱を率いたのは言わずもがなの孫文ですが、先日会社の同僚に孫文について解説した際、彼はもともとは医者であったことを教えたら大いに驚かれました。恐らく政治家、反乱指導者としてのイメージが強かったためかと思われますが、彼は若いころに出稼ぎしていた兄を追いかける形でハワイに行き、香港で医学を学び、マカオで医師として開業してたりします。
 そのような孫文の人生を解説していた際にふと、「そういえばゲパラも医者だったな」ということを思い出しました。南米、いや世界において彼を嫌う人間なんているのかと思うくらい世界的革命スターのチェ・ゲパラですが、彼も母国アルゼンチンで医学を学んでいました。

 ここまで思うに至り、孫文といいゲパラといい、何故二人とも医者から革命家に転じたのだろうかという点が気になり始めました。さらに掘り起こすと、日本の幕末期においても橋本佐内を筆頭に医師出身の志士も数多くいた、っていうか数多くの志士を輩出した緒方洪庵の適塾が医学を教えていたのもありますが、なんか医師から革命家になる率は他の職業に比べて高いような気がしてきました。

 ただこのからくりですが、当時の時代情勢を考えればある意味で自然な結果だといえるのではないかと思います。スパイファミリーのアーニャの声優をしている種崎敦美氏の口癖をまねて「Becauseなぜなら」というと、上記革命家が活躍した時代において医師というのは、国外の情報に深くアクセスできる特異な立場にあったというのが原因だと推察されます。

 封建制が続く近代化以前の国家は鎖国時代の日本よろしく、大抵どこも外国に対して排他的であったり、国外から入ってくる情報を制限する傾向がありました。しかしこと医学に関してはどの国も寛容で、日本も江戸時代に蘭学として真っ先に研究を解放したのは医学でした。
 これは何故かというと、どれだけ独裁的な封建主義の権力者であっても、自らの健康と命を永らえさせる医学に関しては最先端の技術を欲しがるためと言い切れるでしょう。国家として役立つか以前に、権力者が個人として優れた医学を求めることから、排他的な価値観であっても医学だけは例外的に外部から優れた技術や知識を取り込もうと動くため、鎖国下にあっても比較的自由に学ぶことができれば、国外の情報にもアクセスしやすくなるというわけです。

 ただそうして医学を学ぶ者たちはというと、国外の情報にアクセスできることから次第に自国と他国の違いに気づくようになり、場合によってはその矛盾にすら気づいてしまうわけです。実際、孫文もゲパラも他国に比べ自国の政治体制の古さや問題点に気づくようになり、革命家を志すようになったとみられる過程が存在します。
 こうして矛盾に気づくどころか、封建制が続いていた日本や中国においては西欧の民主主義に触れたりなんかした場合、「うちの国めっちゃおかしいじゃん(;゚Д゚)」と思うのが自然な成り行きです。これは多分医師に限らず当時国外の情報に触れた人間なら誰もが気づいたでしょうが、そもそも情報に触れること自体が制限されているため、必然的に早くから気づけるのは国外にアクセスできる医師に限られてくるでしょう。

 こうした成り立ちというか経緯から、鎖国的な国家体制にの中でも国外情報にアクセスしやすい医師というのは得てして革命家に転じやすいのではないかと私は思います。もっとも情報統制がなされていない国の場合はさにあらずですが、北朝鮮やロシアなんかのような情報統制が激しい国だと、今後も医師から代表的な革命家が生まれてくるかもしれません。
 まぁ現代において国外情報にアクセスしやすいのはギークことIT技術者のほうが立場的に強いし、反国家主義者も現代ではこの界隈に多いので、医師から革命家というパターンはもう成立しないかもしれません。しかし19世紀や20世紀において医師というのは国家に仕える外交官以上にインターナショナルな職業で、それが革命家としての下地を作っていたのではないかというのが自分の見方です。

2023年12月12日火曜日

自民党のキックバック資金の用途は何なのか?

 よく家で一人でいるときに、「ネバーエンディングストーリー」の主題歌の歌詞を「ゲイバーエンディングストーリー」と替えて歌ってたりします。どんなエンディングになるのか、歌いながらすごい気になります。

 話は本題ですが炎上が続く自民党のパーティ券キックバック問題ですが、前回記事を書いた際、正直言ってこれほどまでに規模が大きいとは思っていませんでした。せいぜい一人当たり数十万円、言っても数百万単位だろうと思っていたら一人で数千万円もキックバックされ、しかも派閥帳簿に記載せず、議員個人も収入を開示していなかったというのですから、まぎれもない政治資金規正法違反です。かなり長い年月に渡りこの慣習は続いていたという報道から察するに、人によっては累計で億以上の金額がキックバックされていた議員もいたのではないかと思います。

 単純に数百万円単位の未記載でも十分な違反ですが、数千万単位となると立件起訴される可能性は高いような気がします。逮捕も十分あり得る金額であり、国会がこれから閉会した後にこのところ冤罪とかでやらかしまくっている特捜がどう動くのかは注目を浴びるでしょう。
 なお今回の事件に関してかつてのリクルート事件になぞらえる人もいますが、金額といい逮捕者も今後出る可能性も考えると、実体的にはロッキード事件のほうが近いんじゃないかっていう気がします。

 以上のキックバック問題を受け、巨額の未記載がほぼはっきりしている安倍派議員をパージする人事を岸田総理は考えているようですが、私個人の意見で言えば安倍派以外の議員に関しても今後捜査が及ぶ可能性があることを考えると、現段階で内閣改造を含む人事変更に着手するのは悪手な気がします。もっとも役職付きのまま逮捕されるという事態もあんま望ましくないでしょうが、せいぜい逮捕や立件に及んだ時点で安全な次の後任を登板するくらいの内定人事に留めておくのがいいように思っています。まぁ状況と支持率がそれを許すかですが。

 そのうえで、個人的にこの事件で一番気になっているのは見出しにも掲げている通りキックバックされた資金の用途です。議員がそのまま懐に入れて個人消費に使っていたとしても十分噴飯ものですが、仮にそうであれば、帳簿に計上しない理由はあまり成り立ちません。端的に言えば、今回のキックバック資金は一切帳簿に載せられない裏金として配られており、その用途も「表に出せない」用途に使われたと考える方が自然でしょう。では具体的にどんな用途があるかですが、はっきりした証拠はまだ出てないものの、私は選挙買収に使われていた可能性が高いのではないかとみています。

 何故このように思うのかというと、かつて安倍元総理側近であった河井克行、案里夫妻の選挙買収事件があったからです。
 この事件が起きた際、買収に使われていた資金は安倍政権時の自民党本部から交付された資金が使用されていましたが、この資金源については今年においても「すがっち500」という意味深な記述が書かれたメモが見つかるなど、掘り下げたらもっと何か出てきそうな気配を見せています。

 そうした資金源の怪しさ以上に、自分は上記事件を見た際に河井夫妻の買収の仕方があまりにも手馴れすぎているような違和感を覚えました。本当に河井個人の犯罪なのかというとちょっと不自然に見え、何となく組織的な指導があったように見え、表に出ていないだけで自民党のほかの議員でもこのような選挙買収に手を染めている人間がいるのではないかと疑いました。
 それを踏まえて今回のキックバック事件を見るに、この問題の本丸は、キックバックされた金を何に使ったのかになってくるような気がします。ぶっちゃけ熊手買うのに使ったとかならまだ笑えますが、選挙買収に資金が使われていた場合は、とんでもない疑獄事件に発展する恐れがあります。やや偏見で申せば、萩生田氏あたりはやりかねない人物だとひそかにみています。

 もし自民党がこの問題をまじめに処理する気があるのなら、キックバック金額に1千万円などの一定基準を設け、それ以上の金額を受けとっていた議員に関しては、野球の黒い霧事件のように理由の如何なく党から追放すべきでしょう。金額を基準に処罰を決めることで選挙買収は処罰とは無関係という方向にもっていかないと、多分後々えらいことになるというのがこのプランの目論見です。っていうか早めにこうした基準で党内処分しないと、仮に選挙買収に一部でも使われていた場合は自民党は本気で政権を失う可能性すらあるでしょう。

 そのうえで、報道が出る直前になった急に派閥総裁をやめた岸田総理にも疑惑の目が注がれており、ただでさえ不人気で支持率が上がらないことから、まじめに来年早くにも次の総裁人事を決めとかないとならなくなってきています。ただ上記のキックバック事件の余波から、次の総裁の条件としてはキックバックを一切受けていない人間にほぼ限定されるため、選択肢はかなり狭い範囲に絞られることになります。

 その点で言えば、このところキックバック問題でやけに生き生きとしてきた石破茂氏がここにきて有力候補になってきた気がします。そもそも石破氏の場合、キックバックを受けようにもキックバックする派閥がないことから、大昔ならともかく未時効期間においてこの問題に関してはほぼクリーンだと言い切れる立場です。知名度は元から高いのと、自民党執行部と距離を置いていることから非自民党系支持者の間でも一定の人気を持っていることを考えると、ワンポイントリリーフとして博打的に選挙前に総裁にするの案外アリなような気がしてきました。
 かねてから書いているように私は石破氏について総理には向いていないと思うし、若干空気読むの下手だからそもそも周囲には推されず。総理には決してなれない人材だとみていました。彼と同時代に活躍した政治家に関しても、与謝野馨、中川昭一、細田博之、安倍晋三はすでに亡く、谷垣氏も引退しており、今でも政治家やっているのは麻生太郎氏くらいで完全なロートル議員といってもいい年齢になっていますが、まさかここにきて総裁候補となりうる事件が起きるとは、本当に人生何が起こるかわからないものだなと思います。

2023年12月10日日曜日

SFC時代の小学生のゲーム購入事情

ファミコンハウス流山店の思い出(かけるのブログ)

 上の記事で紹介されている流山のファミコンハウスですが、ぶっちゃけ家の近くにあったので一番通っていたゲーム屋です。1990年代前半に南流山にはこのファミコンハウスのほか、テックス、ブルート、マジカルといったゲーム屋が存在しましたが、店舗面積と品ぞろえが一番広いのと、比較的価格相場が安定していたため、迷ったらここのファミコンハウスで自分もゲームを購入していました。
 なお当時は100円でも安くゲームを買うため、隣の松戸市を含め中古ゲーム屋をよく徘徊しては欲しいゲームの相場を調べていて、なんか一人で価格コムの調査員みたいなことをしていました。

 そんな私が小学生だったころ、当時の覇権ゲーム機は言わずと知れたスーパーファミコンで、ある意味ゲームの価格が歴史上最も高かった時代です。なんでも当時のスーパーファミコンのゲームは任天堂系列の問屋を介さないと流通できない仕組みになっていたそうで、問屋を含め忍店頭が粗利の5割近くを持って行ったため、スーパーファミコンのゲーム価格は後半には1万円越えもざらになるほど高騰していったそうです。
 なおこんな阿漕な商売をやっていた反発から、プレイステーションやセガサターンがソフトメーカー向けマージンを下げるやサードパーティのソフトメーカーは一気に任天堂から離れて新興勢力についたと噂されています。当然といえば当然で、任天堂が64の時代に冬になったのはハードやソフト戦略ではなくかつての流通戦略に起因する面が大きいと私は見ています。

 話は戻しますがゲーム価格が高騰していた当時、正直5千円くらいでは中古でもまともなゲームを買うことができませんでした。収入が制限される小学生にとっては非常に難儀な時代で、お小遣いをためて買おうにも月500円だったら1年間ためても6000円にしかならず、とてもじゃないけどまともに買うことはできませんでした。

 そんな小学生がゲームソフトを買うチャンスは年間で3つあり、誕生日、クリスマス、お年玉がその3大チャンスでした。このイベントにおいてはどんだけ高くても好きなゲームを親に要求することができ、またお年玉に至っては購入するソフトを調整すれば複数本購入することができるため、非常に重要な予算となりました。
 このイベントの際、地味に重要だったのは購入するゲームの換金性です。というのも前述の通り当時のゲームソフトは非常に高く、お小遣いではまともに購入することは不可能でした。となれば上の3大イベントのほかにどうやって買うかですが、前述のイベント時に買ってもらったゲームを中古屋に売却して、新たに現金を得るというのが「第四の手段」でした。

 中古ゲーム屋に買い取らせるにしても、古いゲームだったり、人気のないゲームだったりすると買取価格は非常に小さくなります。なので前述の3大イベントの際にはなるべく換金性の高いゲームを選んでおくことが、後々の新規ゲーム購入の際の資金源となりうるだけに、非常に重要な選択肢となっていました。

 具体的にどんなゲームが換金性が高かったのかというと、単純に人気の高いゲームほど買取価格が高くなるのですが、ファイナルファンタジーなど人気は高いものの出荷本数が大きいゲームだと発売から数か月はまぁいいとして、半年も経つと中古へ流れる本数も異常に多くなるため値崩れしやすかったです。
 自分の実感で言えば、「がんばれゴエモン」とか「ロックマンX」といったシリーズ物のアクションゲームが、一番値崩れしにくかった気がします。このほか対象年齢が比較的高かった「信長の野望」や「ダビスタ」シリーズも中古で高価格帯をよく維持していた気がします。逆にジーコサッカーをはじめ、発売から時間を経たサッカーゲームが一番値崩れが激しかったような。

 話を戻すと、私が小学生であった頃のゲーム購入は後々に中古で売却することを前提としていました。ただこれもスーパーファミコンの時代が終わり、プレステ全盛期になると新品でも価格は6800円が上限となり、新品価格の値下がりとともに中古価格も以前に比べれば落ち着き、3000円もあればそこそこ幅広い選択肢の中で買えるゲームが選べるようになったことで、以前ほど中古販売を視野に入れた換金性に関してそこまで意識することはなくなりました。っていうか、あのスーパーファミコンの時代が一番特殊だった気がする。

 近年はゲームのダウンロード購入が増え、冒頭のファミコンハウスも確か2013年あたりに潰れるなど、ゲームの中古販売はまともに商売できないくらいになっています。ある意味、新品価格が異常に高かったスーパーファミコンの時代だからこそああした中古ゲーム屋も商売ができたんだと思います。
 恐らく今後ゲームはますますSteamなどパソコンなどの端末を介したオンライン販売が主流となり、ゲーム単価もますます下がっていくと思います。そう思うと、中古ゲーム屋のあの独特な雰囲気を味わえたいい時代を自分も過ごせていたのだとしみじみ感じたりします。

2023年12月9日土曜日

神戸市の人口150万人割れに触れ

「2006年に閉園した遊園地」“ディズニーランドをパクった”施設が辿った数奇な軌跡(SPA)

 いまだに奈良ドリームランドのこういう記事を見かけるのに驚く一方、以前は関西出身者であればこの「奈良ドリームランド」という単語をひとたびちらつかせば1時間は会話を続けられる魔法の言葉でしたが、さすがに閉園から長くなり、最近はこのワードが使いづらくなってきています。親戚の奈良おじさんなんかは聞いてもなくても奈良ドリームランドについて口にしてくるけど。
 なおこの記事は当初日刊SPAの元記事リンクをつけようとしましたが、なんかあそこはしばらく表示すると記事が見れなくなり、記事一覧ページに強制的に切り替えてきます。いくら何でも、なめすぎだと思う。


 それで本題ですが、なんでも神戸が人口150万人を割り、同じく減少している京都市とともに人口で福岡市、川崎市に追い抜かれ全国7位に後退したとのことです。かねてからこのブログでも神戸市の近年の衰退ぶりは激しいと指摘しましたが、こうして人口面でもはっきり影響が出る水準に陥っています。

 神戸市が衰退している原因として上の記事では市内中心部にタワマンがないせいだという、ちょっと疑問に思う主張をしてはいますが、後半に挙げている大阪への通勤に関しては頷ける点があります。以前と比べると関西圏の大阪中心部への通勤は神戸などの阪神エリアから、京都や滋賀などのエリアへ徐々に比重が移ってきているように思えます。
 特に滋賀県は「「翔んで埼玉2」でも舞台にされるなど、若干関東圏の埼玉のような立ち位置を近年確立しつつあります。通勤に関して言えば大阪まで直通の路線があるのと、また琵琶湖をバックにした住環境の良さから、若い年齢層の間で済む人が増えていると聞きます。まぁ教育環境はめちゃくちゃ悪そうに見えるけど。
 以前は大阪で働く人が住みたい場所といえば神戸や宝塚などの兵庫県でしたが、近年はもはやさほどにも魅力を持たなくなってきているように見えます、

 そうした通勤の問題に加え、神戸においては産業面の衰退、特に海運の衰退が著しいでしょう。かつては国際港として横浜と並ぶ立ち位置にありましたが、アジアにおける海運ハブの地位を韓国のプサンなどに脅かされるにつれ、神戸の海運業は徐々に縮小していったように見えます。また神戸製鋼を筆頭とする製鋼産業も、業界自体が落ち込み、新日鉄と住金がいち早く合併したのと比べると神戸製鋼の外交のもたつきもあって、何となく羽振りがよくなさそうに見えます。

 そのうえで、神戸市自体の行政手腕の悪さも影響要因としてデカいのではとかねてから思ってみています。阪神大震災の後に作られたルミナリエや神戸空港を筆頭として、よくわからないものにお金を使ったりしているのが目立ちます。また隣の明石市が盛り上がるや猛烈なネガキャンを神戸市が率先して行ったりするなど、単純に神戸市の人材が悪く、行政手腕が発揮されないことも衰退の一因だと思います。

 主権にほど近い川崎市はともかくとして、より立地面で厳しい福岡市の人口が伸びているのと比べるなら、今の神戸市の衰退はやはり神戸市自身に起因するところが多い気がします。どう立て直すかわかりませんが、今度当たり視察がてら行ってみようかな。

2023年12月8日金曜日

新たなITサービスが生まれなくなった中国

 日本も今年は異常な暖冬でしょうが、上海も今日最高気温が20度を超すなどかつてないほどの暖冬となっています。不思議なのは暖冬だと湿気が高まる傾向が多かったのに今年はやけに乾燥していて、っていうか空に雲がない快晴日が異常に多いような気がします。

 話は本題に入りますが、ちょっと前まで中国ではシェアサイクルやスマホ決済など、毎年何かしらの新たなITサービスがスタートしていました。しかしコロナ監視関連アプリが氾濫した去年は別として、今年においては何ら新しいITサービスが普及せず、何となく景気同様に成長が頭打ちした感じがします。

 こうした動きの背景としては経済体制が影響しているように思え、特に今の中国政府は個人情報の流出を恐れてIT関連企業に海外上場を厳しく制限しています。こうしたことから中国国内で旗揚げするよりも、第三国でITサービスを立ち上げる方が有利となってきており、システム開発者もどことなくそうした志向を持つようになってきているように見えます。
 そういう意味ではスタートアップの色が濃いIT業界においても、タオパオやテンセントなど、既存IT強者が市場を独占する環境が今後続くかもしれません。世の中の動きが小さくなって個人的にありがたいと感じるものの、それはそれでいいものなのかとちょっと不安に感じるところもあります。

2023年12月6日水曜日

自民党安倍派のパーティ券問題について

 先週からかかっていたインフルエンザですっかり体力を取られて更新も滞っていましたが、ようやく今日になってまともに体が動くようになりました。昨日までは鼻かむと常に血が混じってたし。

 それで久々の政治トピックですが、自民党安倍派で何でもパーティ券販売のノルマを設け、ノルマ達成者にはパーティ券で集めた政治資金をキックバックしていたという報道が出ています。詳しい処理とか管理までは細かく勉強していませんが、正当な収集理由なく集めた資金を情報公開なしで派閥内で再分配していたことが問題だったそうで、特捜部はこの案件で一山上げようしているようです。
 この問題に関して母体となる自民党内では安倍派への批判は薄いのですが、どうも自分が見ている限りだと野党からも批判が薄いように感じます。理由としては言うまでもないでしょうが、この手のパーティ券資金の再分配はどこの派閥も政党もやっているように見え、あまり批判するとその批判が跳ね返ってくることが目に見えているため、どこも薄目な反応になっているのだと思います。

 そもそも論として、私自身はこの問題を見て思うこととしては何故政治資金をパーティ券で集めなければいけないのかという点です。直接現金で集めると意地汚さそうに見えるからというのが恐らく理由ですが、パーティ券という名目上、建前だけでも政治パーティを開かなくてはならなくなります。これにはもちろん食事代や会場代などの経費が掛かってくるため、政治家の手元に入ってくるお金は、

パーティ券売上-経費=集められた政治資金

 という計算となり、パーティ経費の分だけ有権者が支払った政治資金が目減りするということになります。政治家としてはお金が欲しい、パーティ参加者としては支持政治家にお金を寄付したいという目的で恐らくやっているかと思いますが、なんかこれだと双方にとってマイナスな結果にしかならない気がします。

 もちろん個人献金額には上限を設けるなどして金権政治化する事態は避けるべきでしょうが、基本政治活動にはお金がかかるものだし、政策や人柄を支持する人からその資金を募ってかき集めるのも私は政治家の仕事の一つだと思います。逆に徹底的にこうした個人や団体から政治家への献金を規制しようってのなら、政治家の活動資金をすべて税金で賄わなくてはならなくなり、こっちはこっちでまた別の問題を引き起こすというか、すでに政党助成金でいろいろ問題が起きています。

 あくまで主観として述べると、献金にまつわる政治と金の問題を排除するために政党助成金の制度は作られましたが、この結果として政党助成金を分配する党本部の権力が増し、結果的に政治家個人は以前よりも小粒になった気がします。以前はそれこそ献金を集められるような人望なり手腕が求められましたが、今はその辺を助成金で賄うようになったため、知名度さえあればプライベートや能力で劣る色物議員が増えてしまい、また党本部に気に入られるか否かでポストも決まってしまっているように見えます。何となく、政治家の育成という点で政党助成金は失敗だったように見えます。

 これ以上広げると収拾がつかなくなるのでまとめに入りますが、パーティ券の再分配自体はもちろん現行法に反するなら取り締まるべきでしょうが、それ以前として政治献金について、今一度立ち返るべきに来ているのではないかというのが私の見方です。端的に言えば政党助成金の制度が日本の政治を矮小化させ、またこの助成金自体が小沢一郎をはじめとする制度設立者の不正の温床にもなっている点があり、なくせとは言いませんがこの際助成金の総額を思いきり減らした方がいいのではないかと思います。
 その代わりとして、公開を原則に個人献金を受け取りやすい制度にして、党本部が税金をバックとした助成金で異常な権力を持つ今の状況を改革すべきだと思います。そこまで今回のパーティ券に関する報道で議論が広がらない点に、ひそかに不満に思っています。

2023年12月2日土曜日

レオパレスは改修工事をきちんと行っているのか?

 先日、同僚とのふとした会話からテレビ東京が放送する「ガイアの夜明け」という番組に話題が及びました。この番組は企業ドキュメントで、実在する企業を密着取材して放送するという内容で、見方を変えるとテレビで事業を紹介してやるから代わりに宣伝費を出して的な、経済報道であるあるなバーター的な内容となっています。そのため一部視聴者からは「提灯番組」などとも呼ばれていましたが、その評価を覆したのが、あの伝説となったレオパレス回でした。

 この「ガイアの夜明け」で放送されたレオパレス回では、ほかの回同様に社長への直接インタビューシーンも放送されたのですが、そのシーンで番組スタッフはレオパレスの社長に対し、サブリース契約でオーナーに対し賃下げを強く要求するよう社員に指示するメールを提示して、「かなり違法なことをやってませんか?」的に、何故か社長への直接インタビューが直接追及へと切り替わる場面となっていました。なので登場当初はやや楽しそうにインタビューに臨んでいた社長でしたが、一瞬で顔が変わり、「いや、そんなの知らない……」と、苦し気に否定するだけでした。
 敢えて言えば提灯から刃物が飛び出すかのような番組となり、ぶっちゃけレオパレス側も当時は相当混乱したかと思います。こんなサプライズ、それまでになかったんだし。

 その衝撃の放送から翌週、テレビ東京はまたもレオパレス追及番組を組み、サブリース問題だけでなく建設したアパートの多くで界壁が設けられていないなどの建築基準法違反を取り上げ、レオパレス叩きにうなりをあげました。これらテレ東の報道がきっかけとなりレオパレスへ社会の非難が一斉に殺到し、政府もレオパレスに立ち入り捜査を行うなど、事態はどんどんレオパレスにとって悪化していきました。その後、「組織的に指示したわけじゃない」などと誰でもわかる嘘をつきつつも、界壁などの建築基準違反は今後改修工事にて是正していくとレオパレスは約束しましたが、これまでがこれまでだけにどうせ口だけだろうと内心私は思っていました。

 そんなことがあったことを同僚との会話で思い出し、あれからレオパレスが廃業したという話も聞かないけどどうしたことやらと思って業績を確認してみると、騒動発覚後に一時大きく落ち込んだものの、直近においては大分業績が改善し、株価も以前のような水準に戻っていました。はっきり言えば意外この上なく、不正規模の大きさから当時ですら改修にあたってレオパレスのキャッシュフローは尽きるという見方もあっただけに、いったいどうやってここまで持ち直したのかという点で気になりました。

当社施工不備物件の改修に関するお知らせ(株式会社レオパレス21)

 まず初めに、当時やると言った改修工事を実際には行わなかったのかという疑いを持ちました。なので調べてみたところ、一応改修工事は当初掲げた目標完了時期は達成不可能として2024年末へと延期されてはいたものの、現在も工事は続けており、これまでの改修軒数や今後の改修軒数などの数字データを定期的に公開していました。
 割とこういう問題は喉元過ぎたら無視する会社が多いだけに、こうしてきちんとデータを定期的に公開している点は正直に好感が持てます。もっとも敢えて全体母数の数字を隠している節があり、工事の実際進捗率について伏せているのは往生際が悪いとは思いますが。


 もっとも、その改修工事の実施に関して全く疑惑がないわけでもないようです。上記の全国賃貸住宅新聞の記事によると、改修工事を未実施のまま期間満了を理由にオーナーとの契約をレオパレスが切ろうとし、契約が切れた後は改修保証を行わないなどということを契約に盛り込もうとしたという疑惑が、今年4月になんと国会で指摘されていたようです。もちろんこうした改修義務放棄は違法であると国交省も回答しているようなのですが、まぁレオパレスならやりかねないことだと思えるだけに、あまり不思議には感じません。

 むしろこうやってオーナーとの契約を切ることで、改修すべき物件数を減らして、「回収がこれだけ進みました!」的に主張しているのではないかいう風にも見ています。っていうか本当にまじめに回収する気があるなら、過去調査において検出した改修対象軒数と、時系列での改修軒数をリストアップし、場合によっては改修物件の名称なども公開するものだと思います。それをやらないあたり、何かしら数字を操る作為が背後にあると疑ってかかるべきです。

 結論から言えば、業績はよくなっているかもしれないが依然としてレオパレスは後ろめたいものを隠しているという印象を覚えます。そういう意味では今後とも、この会社とはかかわりあいになりたくないものです。