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2020年2月29日土曜日

デマの拡散者への効果的対策

新型肺炎 首相、トイレットペーパー「十分在庫ある(産経新聞)

 例の休校要請について後から休業中の補償金を出すと発表したそうですが、なもん、企業に払わせた方が効率的にもいいのにという気がしてなりません。っていうか自営業者じゃないとこれもらえないんじゃないの?

 ついでとばかりに最近でデマが流布されて欠品が相次いでいるらしいトイレットペーパーについても言及したそうですが、正直こんな発言する必要あるかなと疑問です。そんなことする暇あったら、根拠のないデマを流布した目立つ奴2、3人を問答無用で逮捕する方がずっと早くて安くて簡単で、効果ある気がします。真面目にこういう流行病や地震といった災害の際、デマ対策は非常に重要であり、またインターネットの発達したこの時代だからこそそういった直接的対策が求められていると自分は思います。
 なお中国なら、いちいち逮捕したかなんて発表しません。「みんなデマを流さないよう気を付けてね(^ω^)」というメールはたまに配信されますが、「実際流したらどうなるかわかってるよな(´・ω・`)」という風なメッセージに見えてなりません。

2020年2月28日金曜日

中国の日本人、韓国人に対する拡大防止措置

義家副法相をレバノンに派遣へ ゴーン被告逃亡で協力求める(毎日新聞)

 本題とは関係ないですが内心、この時期に送る必要あるのかと疑問です。なんとなく別の疑惑をかわすために海外に逃がしたようにも見えますし。

 さて昨日も書いた内閣府からの公立小中学校への来週からの休校要請について、朝令暮改と言っては何ですが、「あくまで要請」といって、政府は曖昧な態度をとっています。コロナウイルス拡散を防ぐつもりなのか、批判回避のためなのか、責任回避のためなのか、この三つのどれにも当てはまらないようなふらふらした態度です。まぁ恐らく、何も対策を実行していないと言われるのが嫌だから、その場の思い付きとかで後先考えず決められたんじゃないかって気がしてなりませんが。

 この件について昨夜友人からも問い合わせがありその際に書いた話をここで書くと、中国でも学校は現在どこも休校中ですが、一部自治体ではこの際、両親のうちどちらか一人は子供の面倒を見るため仕事を休んだとしても、企業はその間の給与を支払わなければならないという条例を出しています。
 企業側への負担はありますが、私個人としてはなかなか理に適った政策であるように思えます。こういう政策を日本もセットで出しておけば、子育て支援策と相まってもっと評価も違ったのではないかと思います。

 上記の話のほか、友人へのメールではこの政策の効果に対する疑問も書きました。昨日の記事でも書いていますが小中学校が休校となったところで年少者への感染リスクを下げるだけで、社会全体の流行リスクはむしろ大半の大人たちが関与することを考えると、果たしてやる価値あるのかと思うくらい疑問です。それこそ生徒に感染者が出た学校とかなら一週間程度でもいいから自宅待機にするのはまだわかるけど(その間に学校を消毒)、なんとなくこの政策は効果以前に、日本はこうしたウイルス対策を取っているという実績作りのために用意された政策にしか見えません。

 ここで話を変えますが今日、大家から電話がかかってきたので少し話をしましたが、大家は今回のウイルス禍で自分が中国から引き揚げて日本に帰るのではと少し心配していたそうです。「日本帰ったって仕事ないから帰れないよ(´;ω;`)ウッ…」などと安心させるように言ったら、

大家「そもそも、今日本の方が危なくね(。´・ω・)?」

 という風に言われました。
 中国でも日本や韓国での感染拡大が広がっていることが報じられ、だんだんと危機感を覚えてきているということは知ってましたが、中国人の感覚でも最近は、少なくとも上海市内の方が日本国内より安全だという風な意識になっているのかもしれない。

 実際に行政はそういった意識ですでに動いており、私のところにも先日、上海市衛生局(番号登録してないのに連絡先名がスマホに表示された)から電話があり、ちゃんと当局の指示に従って謹慎しているか確認してきました。また私の住む団地内にいつもある四季折々のスローガン書いた横断幕にはいつの間にか日本語と韓国語で、「ウイルス対策に協力を!」って書かれていました。

 また北京市内ではちょっと前、外国人に対する一斉検査が行われたようで、同僚のところにも衛生局や団地自治会関係者らが質問票などを持ってきて状況を確認しに来たそうです。質問票の写真を私も見ましたが、日本人向けとして日本語が書かれてあり、「よくできた日本語だね(´・ω・)(・ω・`)ネー」と同僚らとちょっと盛り上がりました。なお北京市でそうした検査を受けた同僚は複数いたのですが、

同僚A「協力ありがとうって、無料でウイルス対策マニュアルとマスクくれた(∩´∀`)∩」
同僚B「俺そんなのもらってないんだけど……(゚Д゚;)」

 などと妙な風に明暗が分かれてました。まぁでも無料でマスクくれるのは割と親切だなって気はします。日本政府はこうした、外国人へのウイルス対策の周知方針とか持ってるのだろうか。

2020年2月27日木曜日

強制ではなく要請する日本

全国すべての公立小中高休校へ 首相表明、新型肺炎で3月2日から(産経新聞)

 上の記事見て最初に思ったのが、「強制じゃなくて要請なんだな。妖精ときたらチャム・ファウだな」ってことでした。
 このままチャム・ファウの話を続けてもいいですが真面目に本線に戻すと、中国だったらこんなの問答無用に強制休校を命令し、公立でなくても私立に対しても有無を言わさずストップ欠けるでしょう。この辺、民主主義と独裁主義(中国を「社会主義」というのは無理があると思う)の差なのかという人もいるでしょうが、内心それも違うような気がします。

 というのも、国家思想における自由主義の定義としては、拘束のない自由な選択を誰もが行える社会でありますが、この自由は「他社の自由を侵害しない範囲」であることが最低条件として存在します。それこそ例を挙げると、例えば恋愛で片方が求愛したところ相手が拒否した場合、相手の意思を無視してストーカー行為を行うのは「自由」ではなく犯罪です。自由主義だからって何でもかんでも自由に行えるというわけではなく、むしろ完全自由なのは自らの身の回りの範囲内に限り、それ以外だと相手の合意があるという前提でしか自由は保障されません。

 そうした建前を置いた上で述べると、今回のコロナウイルスの流行は社会全体の防疫に係る内容です。それこそ直接的に晴明、じゃなくて生命に直結する事態であることから、如何に自由主義の国とは言えその国権の範囲内であれば強制的に集会をはじめ学校活動などの一時停止を強制することは間違っていないと思うし、むしろ本気でウイルス対策をやろうってんならそれくらいやるべきだと思います。
 もっとも受験シーズン真っ盛りということもあり(私立大学などは大分終わってるだろうが)、授業以外の学校活動とかはどうするのかという疑問がすでに出ています。ただ小中学校で授業を停止したところで年少者の感染防止にしかつながらず、またそのほかの活動についてまとめて方針を出さないのは内心詰めが甘いように思え、そこらへんは極端ではあるけど中国の方が動きは早かったなという風に見ています。

 あとついでなので書いてしまうと、電通で社員を出社させないという方針が出たと報じられていますが、こうしたリモート勤務について検討する企業が増えていると報じられています。ただこの件について言うと、本来なら3.11の時点でもっと進展させておくべき内容だったと思います
 あの時もおんなじような内容で散々騒ぎましたが、その後実際にリモートオフィスや自宅勤務の選択肢を作った企業は1割にも満たないでしょう。自分が知っている限りだと味の素はそこらへん、きっちり改革を成し遂げていたようですが、2011年に果たしておくべき課題を果たさず先送りにしてきたツケが、まさにこのコロナウイルス流行で払わされることになったようにも見えます。

 ちなみに今いる会社はその辺のリモートオフィスの整備が進んだ会社、っていうか社内で仕事している人の方がむしろ少ない会社なので、そういう意味では無駄に上から目線で物が言えます。ぶっちゃけサーバーとネット環境、後最低限のウイルス対策ソフトさえあれば、実務で使うのはメールばかりなのでそんな難しいものでもないという風に思いますが。

タイムワープ

 突然ですがついさっきタイムワープを経験しました。

 昨日は定時で仕事を切り上げたけど、今日はまた厄介な案件(わざと余裕のある時まで放置していたが)を手掛けることとなり、定時過ぎても全く終わる見込みがありませんでした。なので自宅勤務ということもあり七時に30分で夕食作って食べてまた仕事に戻ったのですが、しばらく作業してふと時計を見ると、八時を回っていました。

「もう八時か」

 という風に思った後でよく見直したら、

「あれ、八時じゃなくて九時?」

 という風に、休憩から30分仕事したと思っていたら実際には1時間半も作業していて、「え、嘘マジで?」みたいな感じになってちょっと焦りました。
 本当に感覚では30分くらいしか作業していない気分だったのですが、自分の想像以上に集中力がやけに持続していたため、時間の経過に気付かずマジでタイムワープしたかのような感覚に襲われました。少なくともこの1.5時間の間、一度も時計を確認せず作業を続けていたことは間違いないでしょう。

 一体なんでこんなセルフタイムワープをしてのけたのかというと、前述の通り昨日は定時で上がって体力をセーブしていたのと、夕食休憩で割としっかり野菜炒め作って食べてたのが功を奏したのだと思います。
 あと自分の場合に限ってですが、実は個人用PCでタイムラインを日本標準時に合わせていて、中国の標準時から常に1時間ずらしているということも地味に影響している気がします。なんでこんなことしているのかというと、タイムラインを日本標準時からずらすと、いくつかのアプリが不具合を起こすからです。

 なのでPCで時計を見ると自然と1時間ずらす癖があり、それでもって今日も、もしかしたらもっと早い段階で時間を読み違えていたのかもしれません。まぁ実際の作業量は、1.5時間分くらいで間違いないのだけれど。
 なおその後作業を終えて風呂入る前に洗い物してたら、変に手元狂って包丁で人差し指切って流血してました。グロテスクな画像は見るの慣れてるけど、未だに血を見るのだけは慣れず、切った後よりも血を見た後の方が貧血で倒れそうでした。

2020年2月25日火曜日

イランがどうでもよくなった件について

 今日は久々に残業せずとも仕事を終えられたので気分よくラーメン屋行って、帰りは好きなポテトチップスを買って帰ろうとしたものの、恐らく工場が止まっているのか自分の好きな味はここ数日、どこ行っても置いてありません。代わりにザリガニ味のポテトチップスがやたら並んでます。
 なお今日夕方から外に出ましたが、先週と比べると劇的なほど人通り、車通りが増えています。今日は春めいて気温も25度くらいに達したこともあるでしょうが、なんとなく極端な封じ込めから営業再開へどこも舵を切ってきた感じがします。

 さてそんな冠状ウイルスですが、これのおかげというか今年に入って以降、イランの話が全く聞かれません。昨年末においてはすわ戦争かというくらい緊張も高まり、世界の終末時計もなんかゴールデンタイムに突入したとか報じられていましたが、この数週間はイランのイの字すら見ないくらい誰もがその存在を忘れ切っています。
 原因はまず間違いなく前述の通りコロナウイルスで、みんな戦争と化してる場合じゃなくなったのか、すっかりおとなしくなってしまいました。北朝鮮に至ってはウイルスが流行する前、イランと米国の緊張が高まったころから急におとなしくなったので無関係でしょう。っていうかあの国は医療水準が非常に低いから、報道されないだけで国内はかなり悲惨な状況になっているように思いますが。

 歴史を紐解くと一次大戦もスペイン風邪(米国発祥なのに)の流行によって終戦が早まったと指摘されており、意外と戦争を終えるにはウイルスを流行させるのが一番なのかもしれません。謎の組織が戦争を防止するため、こうした謎のウイルスをばらまいていると言っても、なんとなく今の状況だったら信じちゃいそうです。
 でも考えようによってはこれ、人は余裕がある時に戦争を起こすとも言え、余裕がなくなったら意外と争いは無意味的に冷静になるんだなとも思います。そう考えると人って業が深いです。

2020年2月24日月曜日

(ノ`Д´)ノ彡┻━┻

 前略、忙しくて気が狂いそうです。
 割と人通りは増えてきてはいるけどいまだに上海は絶賛外出制限中のため、先週からずっと自宅勤務で仕事しています。どうせよそも動いてないんだろうから仕事少ないだろうと思ってたら、「今こそ普段やらないことやろう!」という上司の掛け声の元、やたら忙しい業務状況が続いています。

 しかも自分の場合、なまじっか器用でメイン業務以外にも複数の業務経験があることことから、新規業務のフリッジ的な役割をまかされる羽目となり、そのせいで先週から毎日残業が続いています。それでも業務終わらないから土日もやんなきゃとか思ったら、平日のあまりの負荷に体がついていかず、土日ともに半日以上寝たきり雀となっていました。それでも土曜にはJBpressの原稿書き上げ、日曜には3時間くらいだけど会社の仕事して、ゼノブレイド2をその倍以上遊んでいました。
 今これ書いている最中も頭の中がくらくらしたような感じで、全然内容がまとまりません。「鬼太郎VS島耕作2」でも書こうとしましたが、今の状況ではどう頑張ったところで何も書けないでしょう。頑張るような内容なのか疑問ですが。

 それにしても自宅勤務だから、業務の合間に部屋の掃除とか、お昼寝しようとか思ってたのに、全くそういう隙が得られません。今まであまりなかったけど、マジで仕事から逃げ出したいと最近思うようになりました(゚Д゚;)

2020年2月22日土曜日

鬼太郎VS島耕作

 一昨日の朝、あまりの仕事の忙しさに出勤したくないとベッドの中で悶々とするも、今自宅勤務だからそもそも出勤する必要ないじゃんとセルフツッコミをしていた時、現実逃避のため「鬼太郎VS島耕作」のプロットを考えていました。

 具体的な内容はこうです。初芝電産の新たなショールームオープンを間近に控えていた島耕作(課長)でしたが、そのショールームでは何故か従業員が怪我したり、物が壊れるという怪奇現象が相次ぎ、一体どうしたものかと困っていたところ、

「そうだ、だったら島さん、鬼太郎に相談してみてはどうですか?」
「なんだい、その鬼太郎というのは?」

 部下の提案を受けて妖怪ポストに便りを送ったところ、翌日には早速鬼太郎がショールームに来ます。ショールームに入るなりピンと妖怪アンテナが立ったものの、怪奇の原因ははっきりとは見えず、明日以降にまた調べるといって鬼太郎が帰ろうとしたら、

「待ってください、このショールームは明日オープンなので今日中に何とかできませんか?」
「原因がはっきりわからない状態では、どうしようもない」

 と、島耕作が懇願するも目玉おやじが袖にし、鬼太郎ともども帰った後、

「島のダンナ、アタシが何とかしてあげましょうかね?」

 といってねずみ男が現れ、「その代わり手付金として30万、いや50万円でいいですよ」とまた金をせびるという展開を考えたところで現実に戻り、食事して、着替えて、仕事のスタンバイに入りました。

 ほんの短いプロットですが考えてみて、ここに出てくるキャラクターはどれも使い勝手が非常にいいということに気が付きました。
 島耕作の場合、基本トラブルに巻き込まれてそれを周りの支援で解決するというのが必勝パターンで、逆を言えばトラブルを彼の周りで作るだけでそれなりに話が回っていってくれます。そのトラブルを解決するのがお決まりの鬼太郎ですが、普通に解決するのではなく、間にねずみ男を挟んで事態を炎上させることで話をいくらでも膨らませることができます。またねずみ男を、トラブルの火付け役にもすることは可能で、水木しげるがこのキャラを贔屓にしたというのがよくわかるくらいの万能ぶりです。

 やはり名作には名キャラクターがいるものだと思ったわけですが、なんでこんなことを急に思いついたのかというと、先日和歌山県で南方熊楠の記念館行ったときに、水木しげるが「猫楠」という漫画を描いてて、同作品の連載時に講談社の企画で同社漫画家の連載中キャラクターが一堂に揃ってラインダンスみたいなのをおどるというイラストが出た際、「猫楠」の南方熊楠と島耕作が並ぶ夢の競演があったという話を最近思い出したせいだと思います。水木作品の短編だと、地味にこの「猫楠」がお気に入りなのと、南方熊楠自体も自分と同じ癲癇で親近感があるのも大きいでしょう。

2020年2月21日金曜日

ノベルゲーレビュー その七(スパイク・チュンソフト系列)

 また間が空いたけどノベルゲーレビューの最終回です。今回は厳密にはノベルゲーじゃないけど、実質テキスト読むのが仕事なゲームで傑作を出しまくっている、スパイク・チュンソフト系列作品を一気に紹介します。

1、ダンガンロンパ 評価:A
 粉うことなき傑作作品で、遊んでいる間はめちゃ楽しかったです。
 内容は完全に閉鎖された学校内で殺し合いを仕向けられ、いざ殺人事件が起きたら誰が犯人かを学級裁判で議論し、推理していくという半デスゲームです。殺人事件の舞台とトリックがよくできているというか、現場などに残された痕跡を最低限表示しつつ、決定的な犯人確定要素もないまま議論に突入したところで、他の登場人物の証言をその場で解釈しながら犯人を特定するという構成となっています。

 あまりこういった表現する人はいないですが、この過程はミステリーというより民主主義の権化ともいうような形だと私は考えています。ほんの些細な議論点について無視せず、細かくみんなで検証していき、最終的に誰もが否定しない同一の結論へと至るという過程で、民主主義とはかくあるべき姿が描かれています。
 シナリオの出来もさることながら演出、また学級裁判中のミニゲームなどのゲーム性も高いのですが、それ以上に濃い登場人物たちを演じる声優のキャスティングが抜群に上手いというのがこのシリーズです。大物声優ばかりでなく実力派若手もよく使われており、キャラに外れた声というのはこのシリーズでは一人たりともいませんでした。

2、スーパーダンガンロンパ2 評価:C
 散々第一作を誉めておきながら第二作目がC評価というのは、単純に二番煎じだったからです。前作の良かったところをきちんと継承してはいるものの、舞台が閉鎖された学校から無人島とはいえ南国の島となり、緊迫感がほぼなくなりました。その上、学級裁判中のミニゲームの出来が良くなく、全体のテンポも悪化し、プレイ中は不満点が多かったです。
 シナリオも決して悪いわけじゃないものの、先ほど書いた通り完全な二番煎じに過ぎず、遊んでいて何も驚きがないというかよくこれで出そうとしたなという呆れたような気持ちでエンディングを見ていました。

 思うに、制作側もこうした欠点を把握していたのだと思います。というのも次作がまさに「二番煎じ」に対する回答を出しているからです。

3、ニューダンガンロンパV3 評価:B
 第三作目のこちらは「結末が最悪」、「プレイヤーを馬鹿にしている」などと発売当初は非難轟轟でしたが、私はそれら非難が何故起こるのかが逆に不思議でした。はっきり言えば、このシリーズ三作目に不満というか怒りを感じた人たちは、「二番煎じ」を受け入れる人たちだったからではないかと思います。
 先ほどにも書いた通り、全体のストーリーはいつも通りに学級裁判の半デスゲームですが、舞台は閉鎖された学校に戻り、この点は単純に良かったでしょう。でもって賛否両論となった結末については、「このまま延々と同じ展開を見続けるつもり?」というアンチテーゼに対する回答となっており、私も前作でまさにこの点が非常に気になってたというか不満に感じていた点だったので、制作側の方から一つの回答を出してきたことになかなか感じ入りました。

 なおその結末以外の部分に関してはほぼ全員が傑作と褒め称える出来で、普通に遊んでいても楽しい作品となっています。個人的には、王魔小吉(漫画「「王様はロバ」の作者のなにわ小吉氏から取られたらしい)役の下野紘氏の怪演がとにもかくにも凄まじかった印象があります。レビューでも、このキャラが出てこない場面がつまらなく感じたという人がいましたが、それには激しく同感です。

4、極限脱出 9時間9人9の扉 評価:A
 「極限脱出シリーズ」の第一作目ですが、ジャンルとしては脱出ゲームで、固定された空間の中で脱出する扉のキーを探し出して進めるという内容のゲームです。この脱出の謎解きが程よい難易度で時間をかければ確実の解けるくらいであり、尚且つステージを進めるごとに進むストーリ内容も秀逸で、終わりどころが分からなくなるほどのめり込む内容でした。
 評価は最大のAとしていますが、何故かというとこの作品はシリーズ第一作目で、特に矛盾点がないからです。というのも次作以降、細かい点ですが前作などとの矛盾点が所々で出てくるようになり、突っ込みだしたら切りがなくなるからです。

5、善人シボウデス 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の二作目で、私が最初にプレイしたのはこのゲームでした。プレイ当初は気にならなかったものの、後から前作を遊んでみたら画面上のキャラクターの3D造形が今見るとひどい出来で、なぜ前作同様に2D立ち絵にしなかったのだろうかと思えてきました。
 そうした画面上の問題点はあるとはいえ、相変わらず程よい難易度と、謎の地下空間という閉鎖環境で結構サスペンスなシナリオ内容は非常にのめり込めりました。静的な恐怖というか、グロテスクな画像は少ないのに真相がだんだんわかってくるにつれて寒気を感じるシナリオという意味では秀逸な作品でした。

6、ZERO ESCAPE 刻のジレンマ 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の三作目で最終作。ぶっちゃけ前シリーズ作品との矛盾点がそこらかしこにありふれていますが、相変わらず程よい難易度でシナリオが秀逸なのと、前作で課題だった3D造形が劇的に改善したこともあって、ゲーム自体の完成度は高くなっています。
 シナリオに関しては多少の矛盾に目をつむれば一応完結には至っており悪いものではないのですが、前シリーズ作品と比べると暴力描写が桁違いに増えており、且つ冒頭から数人死ぬのは当たり前、でもって死者の死に方も桁違いに凄惨という意味で、そういうのが苦手な人には向いてないかもしれません。

 なお声優ではぶっちぎりで、能登麻美子氏の声が怖かったです。能登こわいよ、能登。

7、AI: ソムニウム ファイル 評価:B
 上の「極限脱出シリーズ」と同じクリエイターが脚本書いているアドベンチャーゲームで、刑事となって生きた人間の片目をくりぬき殺害していく異常者をAIとともに追いかけていくハートフルなアドベンチャーゲームです。ついこの間クリアしましたがシナリオは申し分なく、ゲーム性はソムニウムパートという、相手の夢の中に潜り込んで制限時間内に脱出するくらいでやや深みに欠けるものの、それを補うくらい声優らの演技がどれも凄かったのでB評価にしました。あとイクラマンふとし。
 ダンガンロンパでもそうですが、この会社はとにもかくにも声優のキャスティングが毎回絶妙過ぎる気がします。ここでは取り上げてないものの「ザンキゼロ」も違和感を感じたキャラは一人もいなかったし、むしろあれ以上の適役を見つけるのは無理ってくらいいいキャストが演じています。逆にキャスティングの悪かったゲームを挙げるとしたら、「グローランサー2」かな。

 ちなみにこの作品の声優の中では、並み居る実力派の中で、みずき役の黒沢ともよ氏がぶっちぎりで演技がうまいと感じました。声だけであれだけ演じるというの末恐ろしい人です。

2020年2月20日木曜日

自分の声はどんな声?

 例のクルーズ船の報道は未だに激しいままですが、以前後輩に自分は航海士など船乗りの方が意外と気質に合ってて仕事選びとしては良かったかもしれないと話したところ、「花園さんみたく和を乱すタイプは向いてませんよ(´・ω・`)」とすぐ否定してきやがったことがありました。

 話は本題に戻りますが、時効だと思うので明かすと昨年末に日本のラジオ局から自分に対する出演依頼がJBpress編集部に来ていたそうです。なんでも中国のゲーム業界について話をしてほしいということだったそうで、去年にたくさんこの方面の記事書いていたのが目についたのだと思います。
 ただ自分は記事はたくさん書いたけどそもそもゲーム業界の人間ではないし、ましてや記事で書いたこと以上の話の引き出しはなく(むしろ90年代のゲーム業界のが詳しい)、出演しても記事以上の内容は話せないと思ってその話は断りました。もっともそれ以上に、自分の場合は声だけで人物が特定される恐れもあり、身バレ防止という目的の方がずっと大きかったです。

 何度かこのブログでも書いているように、自分の声はやたら特徴的な声質をしているそうで、昔テレビの街頭インタビューに答えた時も音声が耳に入っただけで自分だってわかったという知人が続出しました。
 本人としては自分の声はくぐもって聞こえるためどんな声しているかいまいちわからないものの、以前中国人にも早口だけと活舌がいいから日本語が聞き取りやすいと言われたことがあり、単純に日本語発音がはっきりした声なんじゃないかと考えています。

 その私の声についてこれまで比較された声としては、戦場カメラマンと、アニメ「幽遊白書」のエンディングテーマを歌ってた高橋ひろの二人に似ていると言われたことがあります。両者の声に何の共通点も見いだせないのでいろいろ不思議ですが、やや高めの声調で、後になっていくにつれで音程が下がるような声かなという風に分析しています。なんで急にこんなこと書くのかって、久々に高橋ひろの歌を聞いてて思い出してたからです。

 紙幅も余っているのでさっき起きたことを書くと、自宅勤務なのにこの一週間は毎日残業が続いてる上、無駄に器用貧乏なことから変に複数の業務を同時に担当する羽目となり、気が狂いそうなくらい忙しい日々が続いています。おまけに自宅勤務なので昼食時も外出し辛く、そもそも開いているお店も少ないことから、うどんとかお茶漬けを食べてはしのぎ、夜にたまに外出してごはん食べに行くという引きこもりの吸血鬼みたいな生活を強いられています。
 その外食ですが、現在上海市内の飲食店は入室時に絶対に体温測られ、アルコールスプレーを両手にかけられるようになっています。その上、マクドナルドやバーガーキングといったファーストフード店は店内での食事が禁止され、持ち帰りしかできません。

 そのせいでさっき、バーガーキングから帰る時はコーラを背嚢に入れるわけにもいかないから、自転車で半分片手運転するような感じで帰る羽目となりました。しかもその途中、バナナとリンゴも買って帰るし。
 ただ帰宅途中に思ったこととして、ほんの三日前と比べてもなんか急に人気や車が多くなっているような気がします。どちらにしろ今の状態が三月まで続くとしたらさすがに参ってくるので、この辺本当に何とかしてほしいです。プラモでも大量に買っておけばよかった。

2020年2月18日火曜日

野村監督と赤星

 自分の記事が読まれないのはコロナのせいだと最近散々文句ばかり言っていますが、日本にいた先週、一回だけテレビのワイドショー、ニュース番組でコロナウイルスがトップニュースでなかった日がありました。それはどんな日かというと、プロ野球の野村(元)監督が逝去した日でした。
 この日に限っては多くのメディアでコロナそっちのけで野村監督の逝去を報じ、その現役、監督時代の映像や発言だけでなく、かつての教え子たちのインタビュー映像が繰り返し報じられていました。生前からも高く評価されていた人物ですがその死に触れて改めて、日本プロ野球界における戦術、分析、育成方面において史上最も大きな功績を残した人物であったと私も感じ入っていました。

 特に育成方面において野村監督は、選手だけではなく多くの指導者すらも育成している点が他の名監督らとは一線を画しています。現在、いわゆる野村チルドレンと呼ばれる野村監督の指導を受けた元選手らは各球団で監督やコーチとなるなど指導者として活躍しており、経験者を含めると相当な人数に上ります。大半がヤクルト時代の教え子たちですが、阪神の矢野監督を含め、実に多くの球団に大きな影響を残しています。
 もっとも、野村監督が特に目をかけていた元ヤクルトの古田氏、宮本氏は現在指導者をやってないというのがなんか皮肉な状況です。古田氏に関してはどっかの球団がもっとチャンス与えてもいいと思うのですが、反ナベツネ試合ボイコット事件があったから控えられているような気がします。

 やや前置きが長くなりましたが、野村監督の逝去時に私が一番コメントを聞きたいと思ったのは、実は元阪神の赤星氏でした。

ノムさんが赤星憲広さんに謝罪したワケ 生涯一野村番記者が明かします【竹下陽二コラム】(中日スポーツ)
赤星憲広氏、ノムさんから入団1年目に贈られた忘れられない言葉(スポーツ報知)
赤星憲広氏 野村克也さんとの思い出「野球以外で唯一怒られたこと」(スポニチ)
虎の元F1セブン赤星氏、ノムさんに「感謝しか…」(日刊スポーツ)

 知っている人には有名ですが、赤星氏はプロ野球選手となるには体格が小さく、また単純にパワーもなかったことから、アマチュア時代は足は速いけどプロとしてはやっていけないというのが各球団のスカウトたちで一致した見方でした。当然阪神でもそのような評価をされていたのですが、最終回の代走だけでも使えるからと言って、当時阪神の監督をしていた野村監督が強く推してドラフト獲得に至ったと言われています。
 実際、プロ入りしてキャンプインした後も赤星氏の打球は内野線すら越えることがなく、同期の藤本氏からも「失礼だが、赤星さんはプロでやってけるとは思わなかった」とまで言われていますが、普通の目からしたらこの言い方も決しておかしな発言ではないでしょう。しかしいざシーズンが開幕すると、赤星氏はその圧倒的な走力からルーキーイヤーにして盗塁王と新人王を獲得し、2000年代における阪神のスター選手として攻守にわたり活躍し続けました。

 現在においても赤星氏の現役時代について、「塁に出したら手が付けられなかった」と当時の相手チーム監督や捕手らからコメントされており、1番打者として稀有なほどの存在感があったと言及されています。また毎年盗塁成功数の数だけ車いすを寄付するなどチャリティー活動にも熱心で、異論はあるでしょうが、私個人としては2000年代における「ミスタータイガース」と呼ぶに相応しい人物だと考えています。

 それほど大きな足跡を残した赤星氏ですが、前述の通り、仮に野村監督がいなければまずプロ選手となることはなかったことでしょう。上記のインタビュー記事で赤星氏もまさに同じことを述べていますが……瓢箪から駒をまさに体現するようなプロ野球人生であったように思います。
 赤星氏に限らず、野村監督が見い出して獲得し、その後スター選手となった人物は他にも数多くいますが、その運命の劇的さで言えば赤星氏が野村チルドレン達の中でも特に図抜けているように以前から思っていました。野村監督自身も赤星氏に対しては他の選手と違うような感慨を持っていたように見え、その師弟関係の深さで言えば他の野村チルドレンと毛色が異なっているように思えたことから、そのコメントは是非とも聞いておきたいと私は思ったわけです。

2020年2月17日月曜日

マジ読まれねぇ

縮小する中国自動車市場、新エネ車もついに失速(JBpress)

 先々週に引き続き出した上の記事ですが、他の日系メディアは報じない各種統計データをグラフで乗っけてて内容は悪くないと思うけど、アクセス数はやはり芳しくないようです。これも全部、コロナのせいだ。

 ただマジな話をすると、コロナ以外のニュースは何も私の記事以外にも、内容があっても今はほとんど読まれてないんじゃないかという気がします。この辺、戦前に軍部批判したら一気に部数が落ちて焦って方針を転換した朝日新聞とかも、案外似たような状況だったのかもしれません。このように考えるとニュースというのはやはり、内容とかよりも読者が求める情報の方がずっと消費されるということでしょう。

 なおそれとは別ですが、今回の自動車記事でも触れている「市場の飽和」についてですが、自動車業界の場合は自動車を持っていない消費者がいなくなることが一種の飽和を指します。もっとも自動車業界の場合は買い替え需要があるためまだいい方なのですが、食品や飲食業界などは食事を消費する人口の数(=食事回数)が事実上の臨界点で、単価変動を除けばそれ以上に消費が増えることはありません。そのため少子化が進む日本市場において今後の市場全体の拡大はほぼあり得ず、だからこそ海外展開に積極的な企業も増えてきています。
 ふと上記の市場の限界というか臨界点について考えた時、ニュースももしかしたらそれを読む(消費する)人間が減ったら結局のところ、食品業界などと同様に市場が縮小するのではないかとこの前思いました。少なくとも新聞業界にとっては、世帯数が減少することは単純に市場の縮小につながるのでこの先待ったなしです。まぁそれ以前に新聞取らない人のが増えてるんだけど。

 私の記事もそういう意味で、普通にPV稼ぐためだったら案外中国語で書いた方がいいのかもしれません。もっとも中国の場合、ニュースは日本以上にタダって感覚が強いから、果たして儲けにつながるかは微妙なところですが。

2020年2月16日日曜日

現在の上海の街中風景


 最近中国記事だとコロナしか当たらない上、他の中国専門ライターもこればっか書くから、JBpressに出す記事はしばらく歴史記事にしようかと検討しています。さりとてこのブログでも中国は今どうなっているのか気になる人も多いので、たまにはためになる記事でも書こうかなというわけで上海の今の風景です。
 上の写真は上海地下鉄の世紀大道駅の改札口です。昨日、最低気温が零下まで落ちた中、知人と食事するために訪れました。撮影時刻は昨日土曜日のちょうど正午頃なのですが、見ての通り人っ子一人もいません。世紀大道駅は重要な乗換駅であるため普段は人民公園駅に次いで最も混雑する駅の一つですが、最近はこんな感じでほとんど乗客がいないとのことです。


 こちらは駅に併設されたショッピングモールです。一応、施設自体は開いてはいるもののテナントの多くは休業していることもあって、視界の中に動く人影はほぼ皆無でした。一応歩いている人こそ存在するものの、土日のショッピングモールでこんな風景拝めるのは日本の廃墟モールだけかと思っていたら、案外そうでもなかったわけです。

 個人的な所感を述べると、先週まではまだ春節休暇の延長みたいな感じで、市内に人気こそないものの市民の実感としてはそれほど危機感やストレスはなかったように感じます。しかし今週水曜に日本から帰国したところ、平日とはいえなんとなく先週よりも街中の人通りが減っているように感じた上、街中の市民もやや表情がこわばってきているように感じました。
 またそれまではまだ比較的緩かった団地の内外への移動が、今週から軽度とはいえ制限されるようになりました。具体的には居住者は公民館で臨時居住証を発行してもらい、団地を出入りする際にはそれを見せなければならなくなりました。これは他の団地でも同じだったようで、現在日本に帰国している同僚はペットシッターを自室に入れるため、電話で身分証明を行うことでシッターに臨時居住証を発行してもらったとのことです。

 この手の作業と門番役は団地居住の自治会組合員がやっていますが、実態としては共産党員ではないかと思います。改めてこの手の共産党員は何か細かいところで指示出して動かすのに便利でいい存在だなと思うとともに、戦前の隣組とかもこんな感じで機能していたのだろうかとか思いました。

 市内の物価に関しては今のところマスクが依然不足しているだけで、極端な物資不足はまだ起こっていません。一部日系メディアの報道では白菜など野菜が高騰しているとの報道がありましたが、少なくとも自分が通っているスーパーではそのような野菜の高騰は見当たらず、品も一時は不足していましたが最近は補充されたのか置かれてあります。
 ただこれは上海市内に限る話であり、先ほどの日系メディアの報道は他の地方では当てはまるのかもしれません。また野菜以外の商品、特に冷凍食品などは明らかに以前より商品数が減ってきており、今後は不足するような事態がより目立ってくるかもしれません。

 今後についての所見を述べると、前述の通り先週まではまだ春節の延長という印象があり、市民はそれほどストレスを感じていなかったように見えます。しかし今週までこうした外出を控えさせられる事態が続いてきたことについて明らかにストレスを感じている節があり、今のような状態が今後もまだまだ続くとなったら、やはりその影響は大きくなるのではないかという気がします。
 私の見方では二月いっぱいまでは今のような状態が続き、小康となった都市は三月くらいからこうした制限が緩和されるのではないかと見ています。ただ言い換えるとこれは、今の戒厳令のような状態は二月いっぱいまでがほぼほぼ限界であり、三月まで続いた場合は市民の不満や鬱屈が相当溜まるとともに、小売・飲食店をはじめとする企業への影響面でも限界を迎えるのではないかと思います。私個人としてはいちいちマスク付けて出なきゃならないのが苦痛で(自転車乗っててメガネが曇る)、あと出入りの度に居住証の確認するのが億劫なため、感染拡大を防ぐという目的はよくわかるもののこうした状況は早く過ぎてほしいというのが本音です。

 その上で、戦時下というのはこれに輪をかけて物資が不足し、外出が制限されるという事態であると想像されることから、やっぱ戦争はダメだなとか無駄にそういうこと思ってます。戦争するゲームばかりやってて言うのもなんですが。

各務原の川崎航空博物館で撮影した研三の模型

2020年2月15日土曜日

ノベルゲーレビュー その六(イエティ系列)

 少し間が空いてのまたこのレビューの再開です。暇なときは好きな記事を書くに限ります。
 今回は最後のを除き、比較的時代が近いパブリッシャーがイエティという会社で、同じノベルゲー専用ゲームエンジンを使っているソフトを紹介します。

1、ルートダブル 評価:D
 レビューサイトで傑作という評価だから買ってみたけど、ただテキストが長いだけであまり評価できるソフトではないというのが結論です。一応、キャラクターの性格にエニアグラム使ったり、各キャラクターに対する親近感を入れることで話を分岐させるなどいろいろな試みがなされていますが、後者はただ面倒なだけで普通に選択肢選ぶのとあんま変わんなくて、それほど画期的なシステムとは思えませんでした。
 次にストーリーですが、自分に限れば中盤の時点で結末がほぼ完全に読めました。具体的には、「きっとこのキャラはあのキャラの生き別れの○○で元凶なんだろう」というレベルまではっきりわかったくらいです。というのもこのゲーム、序盤にものすごい量の伏線を張っているせいで、一つでも伏線の推測が成り立つと、芋づる式に他の伏線の解釈も成り立ち、その後の展開が簡単に読めてしまうようになっているからです。

 また原発事故という深刻なシチュエーションながら、キャラ原画は如何にもな美少女ゲームテイストな造形をしていて、正直萎えました。この点、一般的な美少女ゲームから大きく逸脱したデザインを敢えて採用した「シュタインズ・ゲート」とは対照的で、もっとリアル寄りのキャラデザインにしておけば見方もまた違ったと思います。
 あとこれは個人的な感想ですが、Bルートの高校生の主人公についてははっきり言って、物凄く痛い奴に見えて仕方ありませんでした。Aルートの主人公の方が人気だったことに製作者は意外だったと言っているようですが、私から見ればそりゃ当然で、Bルートの主人公がとにもかくにも痛々し過ぎてて、はっきり言って気持ち悪いことこの上ないキャラです。なんていうか激しい中二病患者を黙って延々みさせられるような感覚ともいうべきか。

2、デイグラシアの羅針盤 評価:B
 この前レビュー記事書いたばかりですが単純に傑作だと思います。ノベルゲーと相性のいい深海という閉鎖空間の中で、科学的考証もよくなされたストーリーに、実質的に分岐は二か所しかないながら、たった二か所の分岐だけで物語の解釈を無限に広げられるほど解釈余地が存分に用意されています。
 元は同人ゲームということからキャラクターの立ち絵や一枚絵、あとBGMなどが貧弱と指摘されていますが、私としてはやはりノベルゲーはシナリオがなんぼであり、他の要素も良ければ大したものですが、シナリオさえよければ気にするほどでもないと考えています。逆を言えばこの作品は、単純にシナリオの出来だけで高評価を勝ち得るだけの素質を備えた作品だとみています。

3、シークレットゲーム 評価:B
 同じく元は同人ゲーム発のノベルゲーで、参加者全員に殺し合ってもらうといういわゆるデスゲーム物です。分岐はなく用意された複数のシナリオをただひたすらに読むだけの作品ですが、デスゲーム参加者の背景、そしてゲーム参加時のクリア条件などの設定が秀逸であり、また全編にわたってやるかやられるかという緊迫感に満ちたシナリオから、遊んでいる最中は非常に楽しかったです。
 前に出したレビュー記事にも書いていますが、シナリオクリア時に生き残ったキャラクターを見て非常にホッとするというか、読んでるだけなのに生き残ったという実感がさせられる文章で、単純に読ませる文章なのは優れた点です。前評判に違わず、こちらも傑作ノベルゲーだと言えるでしょう。

4、リベリオンズ 評価:D
 正直いって評価はEでもいい気がします。 このゲームは一つ上の「シークレットゲーム」の続編ですが、前作の良かったところをほぼすべてスポイルし切っている稀有な作品です。敢えて例えるなら、何時間もかけて出汁を取ったスープを味見して、納得顔しながら流しに捨てるような。
 シナリオは全編を通して陳腐且つ低次元としか言いようがありません。前作はデスゲームとなる舞台の設定とキャラ背景が非常によく練られており、同じ舞台設定ながら複数のシナリオどれもが読み応えのある作品でしたが、こっちの「リベリオンズ」の方は逆にこの設定面がガバガバもいいところで、話もご都合展開が非常に多かったです。また前作との橋渡しをするある共通キャラクターが存在するせいで解釈余地が極端に狭められるという、やっちゃいけない演出の手本みたいなことをやらかしています

 具体的な内容面に言及すると、前作はデスゲーム参加者だけでなく運営者もゲームのルールに縛られており、運営が特殊な介入をするに当たってはいろいろな制限がありました。しかしこちらではそうした運営側の介入制限はほぼなく、言っては何ですがやりたい放題もいいところで、シナリオライターにとって都合のいい展開がポンポン作り出されているように見えて仕方ありませんでした。
 唯一評価できるのは、粕谷瞳役の声優のひと美氏の達人芸を拝めることくらいです。それ以外に関しては、ただ前作の栄光を貶めることを目的に作っているようにしか見えませんでした。

5、ЫΞδ 評価:F
 先日、名前を出すのも憚られるとあるゲームを遊びましたが、このゲームは普通の人はやってはならないとはっきり思いました。どういうノベルゲームかというと端的に言って「拷問ゲー」で、全編にわたっていろんな登場人物が様々な責め苦を味わされ、目をそむけたくなるような描写と悲鳴が延々と続くゲームでした。あまりの内容の激しさに、銃で撃たれてすぐ死ねるということは本当に幸せなことだと、今現在も本気で信じるくらい価値観をひっくり返されました。
 何が凄いかって、このゲームのシナリオライターはよくあんだけ拷問描写を何本も考えられるなってことです。一応、拷問描写を除いた全体のシナリオ骨子も別のテーマがきちんと踏襲されていて優れているのですが、それ以上に拷問の種類や方法が激しすぎ、あんまり本筋のシナリオは入ってきませんでした。あと声優も、あんなむちゃくちゃなセリフをよく収録したものだと変な意味で感心させられます。

2020年2月14日金曜日

コロナウイルスで恩恵を受けている企業

 今日からキーが既にあちこちぶっ壊れていた中国仕様のキーボードから親父がまとめ買いしてた日本仕様のキーボードに交換しました。キー表面に粗目処理が残っているのと、使い古したキーボードに比べるとタップ音がするのが新鮮ですが、日本仕様のキーボードを叩くのは久しぶりなのでその辺はいろいろありがたいです。
 あまり言われることは少ないですが、国ごとにキー配置は微妙に異なってて、かえってタイピングの上手い人ほどこのギャップに苦しむことになります。中国のキー配置は「=」がシフトキーなしのワンタッチで入力できるのはすごく便利でいいのですが。

 話は本題ですが先ほど知人に、「コロナの記事書けば今なら何でも当たる」といったら、まさにそのコロナの記事を書いてるとか言われました。自分も書けないこともないけど、当局に目を付けられたりしたら嫌だなと思うのとともに、他の人がどうせ書くだろうと思ってあんまこの辺の記事は書いていません。
 ただ、敢えて他の人が書かない内容を書くとしたら、このコロナウイルス騒動で地味に一番設けている日系企業はどこかというと、マスクのメーカーではなく無論、オムロンだと思います。っていうかこのキャッチコピー、オムロンはまだ使ってるのだろうか?

 なんでオムロンなのかというと得意の電子体温計は言わずもがなで、最近は生鮮品を主に扱うスーパーでも目立つところに置かれて販売されるなど、密かにたまごっち並みのブームが盛り上がっています。ただ体温計以上にオムロンの商品で注目すべきは酸素発生器で、これは肺炎治療に必須ともいえる医療機器のため今中国の病院とかはこぞって大量に導入しているのではないかと思います。

【企業特集】オムロン 安定成長期の中国を狙え!中流層向け事業が収穫期へ(ダイヤモンド)
欧姆龙中国捐赠红外线额式体温计,助力新型肺炎防控战(中国質量新聞網)

 上の中国語の記事はオムロンが中国に赤外線体温計を寄付したニュースですが、他の記事ではネブライザーや酸素発生器なども寄付したことが書かれています。オムロンが販売している酸素発生器は基本家庭用ですが、今の状況を考えるとこうした呼吸器系疾患にとって必須な医療器具は家庭用であっても病院では数が足りない状況だと思え、引手数多なのではないかと思います。生憎、具体的なデータや報道がなく推測での意見でしかありませんが。
 この記事でなにが言いたいのかというと、他のコロナ関連記事でも書いているように今回の騒動に対しては経済への影響に関する記事が異常に少ない気がします。マスクが足りないなんて言うのはどこも報じているのだから、もっと他の観点、どの業界でどんな変動があるかなどといった情報も重要性は低くなく、こうした点についてメディア、市民ともにもっと目を向けてもらいたいのが本音です。

2020年2月13日木曜日

どたキャン~どたんば☆キャンセル!

 なんかゆるキャンっぽい記事書こうと思ったので、最近あったドタキャンについて書きます。昨日まで日本に滞在していましたが、ぶっちゃけ誰とも会いませんでした。というのもアポ取ろうとした連中全員にドタキャンされたためです。理由は全員バラバラではありますが、例のコロナウイルスのせいではないかと内心疑っています(・´з`・)

 大体五、六人に声かけていたのですが、全員が全員断り、うち二人については最初はOKと言いながら渡航二日前に急にドタキャンしてきました。もう少し早く判断してくれていたら、別の人間にアポ取れたのになって気がしてなりません。そのため結局顔合わせたのは、馴染みの床屋とカレー屋の人たちで、彼らは自分が忘れたころに中国にやってくると知っていながら、温かく自分を迎えてくれました(´;ω;`)ウッ…

 なお先週木曜日から日本にいましたが、そのころ寒気が来ていたということもありやばいくらい寒かったです。なのになんもアポがないため時間を持て余し、無駄に松戸市内をうろうろする羽目となるなどなんかコロナのせいでひどい目に遭った気がします。仕方ないので当初の予定より早く漫画喫茶に入って、無駄に「彼岸島」を何冊も読むこととなり、無駄な時間を過ごしたなという気がしました(一緒に読んだ「スプライト」は段々つまらなくなっていった)。
 例によってこの時もクソ薄いウインドブレーカー一枚しか上着はなく、寒さに強い私でも日本では寒いと感じましたが、現在のところ何も風邪もコロナもひいていません。ただ寒さに弱くなっているような気がするので、明後日当たり無駄に夜中ずっと窓開けて耐寒訓練でもしようかなと考えています。

 話を戻すと、東京周辺でやることもないから早めに岐阜に移動して親父と合流し、その後友人から頼まれていたSwitchとソフトを計四万円購入したりして、奈良や和歌山とかに足を運んでたりしました。奈良にいる親戚のおじさんは、「こんなに奈良町が静かになったのはこのところ記憶にない」と語っており、中国人観光客の減少ぶりについて驚いていました。
 なおこの時にこのおじさんとは、「奈良には歴史も自然も鹿もあるが、観光資源として唯一料理が足りない」と提言し、奈良の観光関連の人に奈良の名物料理を編み出すよう伝えておくようにと話しました。一応その場では、奈良漬け、茶飯などが案として出てきましたが、どれも一般受けし辛い料理であり、それならまだ市内中心部に店が多い洋食の方がいいのではとかも話しています。あと鹿肉も出たけど、奈良市で鹿食うことはインドで牛を食う並のタブーだという結論に落ち着きました。

 和歌山では安かったのでリゾートホテルに泊まりましたが、従業員に中国人がたくさんいることに正直驚きました。奈良のホテルでもそうですが、こうした観光分野で中国人従業員がこれほどまで多くいるくらい中国の影響が強まっているのだなと思うとともに、ホテル従業員は敬語を使わないといけないから、彼ら外国人従業員は大変だろうと内心思います。
 なお和歌山県の観光について言うと、和歌山城に行きましたが何故か場内のパネル展示に、「徳川吉宗」に関する説明が一字一句たりともなかったことが非常に不思議でした。なんかわだかまりあるのか知らないけど。

 このほかだと今回は前述のSwitch以外だと大した買い物もせず、あまり特徴的な旅行ではありませんでした。おニューの湯飲みは二つ買ったけど。っていうかこんなに誰も会ってくれないってんならもっと別の計画とか組んだのに、本当に不便この上ない旅行でした。

 あと最後本当にどうでもいい話ですが、中国へ帰国する際に空港でチェックインしたらラウンジ使用券がもらえて、えっなんで?と聞いたら「お客様はビジネスクラスを予約されています」と言われ、「そんなの予約したっけ?(゚Д゚;)」と一人でビビってました。後で確認したら本当にビジネスクラスを予約していて、無駄に一人サプライズをやらかしてました。
 ただ折角もらえたラウンジチケットですが、空港内であれこれお土産を眺めてたら搭乗時刻まで余裕がなくなり、結局使いませんでした。また機内に乗り込んだ後も、シートは確かにビジネスクラスでいいシートでしたが、コロナのせいで食事は簡素なものしかなく、尚且つ昼過ぎの便で私がいらないと言ったため、実質シートの差しかありませんでした。よく寝れたけど。

 ひとつだけ特殊なエピソードを語ると、私が座ったビジネスクラスのシートの隣は中国人客でしたが、飛行機に乗り込むややおら透明なビニールシートを広げ、それを全身に被っていました。体にはマントっぽいシートで、頭はシャンプーハットのようなものを被り、全身ビニール武装してそのまま上海に降り立っていましたが、いくらなんでも過剰反応し過ぎでは、っていうかそこまでするならちゃんとした防護服とガスマスク買った方がいいのではとか思ってみてました。帰り際に客室乗務員にも、「それどこで買ったの?」とか聞かれてたし。

2020年2月11日火曜日

ノベルゲーレビュー その五(PSP、Vita系列)

 大分時代が現代に近くなって今回はPSP、Vitaで遊んだ作品のレビューです。もっともこの頃の作品だとマルチプラットフォームが一般的なため、PS2とかPS3でも大体発売されているのですが。

1、雨格子の館 評価:B
 いわゆる「一柳和」シリーズの一作目。非常に気弱でなよなよした大学生が探偵役となるこのシリーズですが、他のアドベンチャー作品と一線を画す点では、展開の進め方によって本来死ぬ予定だった被害者が生還してその後もストーリーに関与し続けるという点です。
 ストーリーとしてはよくある閉ざされた洋館で連続殺人事件が起きるという奴ですが、犯人を当てないまでも次のターゲットを正確に予想することで、何もしなければ殺されるキャラが殺されずに済みます。同時に、犯人を名指しするタイミングも序盤から終盤にかけて毎日1回ずつあり、一人目の被害者が出た段階で即犯行を止めることができます。こうした、ストーリーにプレイヤーが介入できる余地に関してはアドベンチャーげむの中でも屈指のものがあり、非常によくできたシステムだと感じます。

 惜しむらくは、ベストエンドにするためには非常に詳細に証拠を集めたり、聞き込みして動機まで解明しなければならず、これは攻略法なしだと非常に難易度が高いということです。
 もう一点、犯行を防いでターゲットを生還させたとしても、生還したターゲットは他のキャラクター同様に事件に巻き込まれないよう、その後もずっと部屋に閉じこもりであまりストーリーに絡まない点です。もっとも絡ませるとしたらフラグ管理がとんでもないことになるので、この点は仕方がないでしょうが。

 このシリーズはその後第三作まで制作され一応全部購入しているのですが、第二作目がバグが多く、私もプレイ序盤から何度もバグに悩まされ一向に進行できなかったので結局やらずに終わりました。

2、密室のサクリファイス 評価:D
 ジャンルとしては脱出ゲーに入るのですが、ノベルパートのシナリオが非常によくできている作品です。ある日突然主人公となる五人の少女を除き誰もいなくなった世界が舞台なのですが、この五人の少女が妙にリアルというか、一緒にいるとすごいギスギスし合い、実際に進行によっては互いに実質的に殺害し合ったりするなど、非常に先の気になるストーリ―でした。
 このようにシナリオ面はすごくいいのですが、脱出ゲームパートに問題があるというか、やばいくらい難しかったです。普通に序盤で一切先に進めなくなって攻略サイトに頼ったのですが、後半に至っては攻略サイトを見てもどうしてこれで正しいのかすらわからないくらいの難解ぶりで、ノーヒントでエンディングまで行った人は多分怪盗ルパンだと思います。そのためシナリオはいいのですが人には進められる作品とは思えず、評価はDとしています。

3、特殊報道部 評価:C
 「流行り神」シリーズを作ってきた日本一ソフトウェアの、テレビ局を舞台(メーテレが協力)にしたXファイル的なアドベンチャーゲームです。一応アドベンチャーゲームとなってはいますが、分岐などのゲーム性は皆無に等しく、実質的にシナリオを読むだけのノベルゲーです。ただシナリオ自体は比較的面白く、先が気になるもので、あと声優も実力派の大物揃いで音声聞いてるだけでも正直楽しかったです。
 問題点はボリュームで、シナリオ数が少なくすぐ終わってしまいます。もっともあのゲーム性で長くしてもプレイヤーもダレるだけだったので、初めから普通にサウンドノベルとして作ればもっと違ったかもしれません。

4、√letter 評価:D
 島根県に過去の文通相手を探しに行くというコマンド選択型アドベンチャーゲームで、セールス的には海外販売も行われ非常に大きな成功を収めています。よかったと思う点を挙げると、ビジュアルが非常によくできており島根県の実際の観光地などの風景をきれいに再現しており、実際に旅した気分にさせられました。
 にもかかわらずなんで評価Dなのかというと、単純にシナリオがクソだからです。文通相手の友達を一人一人探り当てて、本人に一人ずつ認めさせるという展開なのですが、そんな展開必要なの?と、思わざるを得ない内容でした。シナリオ分岐はあるっちゃありますが、終盤とエンディングの展開しか変わらず、実質的にほぼ一本道なシナリオです。唯一、ホラーエンディングに分岐した場面は素直に恐怖を感じましたが、それ以外はさほど感じ入るシナリオはありません。

 あとレビューサイト見ると、主人公がまるでヤクザみたく文通相手の友達に追い込みをかけているとよく書かれていますが、私はそうは思いませんでした。あれくらいは日常よくあることだし、ひっぱたいたり拉致ったりはしてないんだから、そこまで大げさに感じるほどかレビュー見てて逆に不思議でした。日本の平和ボケもかなり来ているように感じます。

5、死印 評価:C
 出てきたらもうすぐ死ぬっていう刻印が出てきた主人公らが、助かるために街の怪異を解決していく昔ながらの市街系ホラーアドベンチャー作品です。この手の一般的なアドベンチャー作品と違って、ダンジョンを探索するかのようにポイントを巡って、パートナーと協力しながら手がかりを探していき、最後は怪異たる存在とバットとか拳銃使って戦うという展開になります。
 控えめに言っても、コンセプトデザインを仕切った友野るい氏のセンスが非常によく、恐怖を感じさせる表現面では屈指の出来と言っていいでしょう。またシナリオも破綻がなく、実際にやってて怖いと感じさせる忍び寄る恐怖がよく演出できており、完成具合に関して言えば文句なしに傑作だと言えます。

 しかし他のレビューでも書かれているように、致命的なほどボリュームが少ないということを考えると、一つのゲームとしては凡作とせざるを得ないところです。3000円くらいの価格だったら、十分傑作といえるのですが、フルプライスではさすがに文句なしのお墨付きは出せないでしょう。
 なおこの作品でヒロインの声を演じているのがりっかすこと立花里香氏で、自分はこの作品でこの人の声を初めて聴きましたが非常に印象に残り、さらにその後「ザンキゼロ」やったらまた綺麗な京都弁でいろいろ唸らされました。オリックスの若月選手とついこの前結婚されましたが、前にパワプロで若月選手からオリックスの捕手レギュラーを奪い取り、引退に追い込んだことがあるからなんか微妙な気分になりました。っていうかこの情報いるのかと、自分でも思います。

6、VA-11 Hall-A 評価:C
 評価はCですが内心ではBをあげたい作品です。近未来のSF都市を舞台に女性バーテンダーとして、バーにやってくるお客の話をカクテル作りながら聞くという作品です。一番特徴的なのは、ゲーム画面がPC-98時代のレトロゲームを模している点で、古臭くて懐かしいドット絵のアドベンチャーって点だけでも他にはない強い個性が光ります。
 シナリオもSFらしいというか、非常にタブーが低く、またバーという場所柄、かなり大人の世界な会話が繰り広げられます。主人公からしてバイセクシャルで、携帯の待ち受け画面にするくらいの思い人は女性上司だったりして、その手の会話や下ネタもガンガン投入してきます。恐らくこうしたシナリオ内容も、PC-98時代の影響でしょうが。

 既に取り上げた「Eve burst error」と「YU-NO」について私は、「時代に愛された作品」と評し、あの時代だからこそタブーとされるような内容が物珍しく映り、評価されたのではと述べました。この点を強く意識したのはまさにこの「VA-11 Hall-A」をやった時で、正直こっちの作品の方が引っかかるタブーの内容が「Eve burst error」と「YU-NO」とかよりも多いです。
 しかし、ことさら目につかないというか現代においてはもはやタブーでなくなりつつある話題でもあり、そうした内容を「重く」扱うことはもはや滑稽にしかならず、「軽く」扱うことこそが現代の価値観に沿うのではないかという気がします。そういう意味でこの作品は、こうした方面の話題の塩梅が現代にマッチして非常にいい塩梅だという気がします。

2020年2月10日月曜日

ノベルゲーレビュー その四(5pb.系列)

 今回はあんまり量は多くないけど5pb.系列の作品です。

1、コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー 評価:D
 エログロで有名なシリーズのコンシューマー版第一作目ですが、生憎私の中の評価は高くありません。音声に関してはバイノーラル録音しているだけあって確かに見事な臨場感を作っていますが、それ以前にゲームとしてしっかり作り込めておらず、エログロなシナリオやグラフィックとかよりも使い勝手の悪いUIとかへのストレスの方がずっと強かったです。
 私が遊んだのはPSP版ですが、ともかくローディングが長く、その上バットエンドも多くてなんかずっとイライラしながらクリアまで遊んだ覚えがあります。特に個人的に腹立って仕方ないのは、「この先行くな」と貼り紙に書いてあるので行かなかったらバットエンドに直行させられた点で、「この先危険」くらいに表現変えろよとか凄いムカつきました。

 あとエログロとよく言われますが、実際そんなに激しいって程ではないと思います。なんていうか見せ方が良くないというか、内臓の飛び散った死体をポンと見せられて、「如何でしょうか?」とか言われてもピンとこないような感じです。やはりこの辺は演出というか料理の仕方でしょう。

2、コープスパーティー Book of Shadows 評価:C
 上のブラッドカバーの続編にあたるこちらですが、前作はマップ探索型のエログロホラーでしたが、今回は画面コマンド選択型という一般的なアドベンチャーゲームになっています。ジャンルが切り替わり、それほど大したプログラミングが要求されなくなったこともあってか、ローディング時間が減った上にバグとかも非常に少なくなってて、UIもこちらに関してはあまり不満はありませんでした。
 内容も前作と比べるとノベルゲー要素が高まり、黙々と文章を読んでいけるようになって、余計なストレスにさらされなくなってシナリオに集中できるようになりました。シナリオの内容も章ごとに独立していてすんなり楽しめるようになり、またフラグ管理も比較的適切でわかりやすく、分岐もそれなりにあって手堅いものがありました。このシリーズはこのままこの路線で走ればよかったのに。

3、コープスパーティー BLOOD DRIVE 評価:E
 結論から言うと、途中で遊ぶのやめました。なんでも、発売当日の時点で重大なエラーバグを抱えていて発売日にパッチが配布されたという、別な意味で曰く付きのゲームです。
 そのようにゲームシステムが初めから非常に不安定であるだけに、遊んでいると頻繁にエラーが起こってしょっちゅう強制停止させられました。おまけにゲーム内容もまたマップ探索型に戻り、しかも暗くてただでさえ見えづらいのに懐中電灯の電池に制限かけたりして(パッチで無制限となる)、何考えてこんな機能入れたんだよと疑問に思う仕様が多々ありました。

 さらにはシナリオも私からすれば完全意味不明な代物で、元々は学園ホラー的なジャンルだったのに、前作の最終盤からとはいえ突然西洋黒魔術がうんたらかんたら、それまで聞いたことない怪しげな横文字魔術集団が予告なしに登場とか、これ続編で作る価値あるのと思うくらい脈絡ないシナリオでした。普通に学園ホラーの路線を歩んでりゃいいというのに。
 そんな具合で辟易したことから結局クリアもしないまま放棄しました。これに限らず5pb.作品はどれもゲームシステムやプログラム面で問題が多いだけに、5pb.の名前を見た時点でもうそのゲームは買わないようになりました。あとこの作品に関しては、マップ探索中に動く死体に「バシッ」って叩かれるのが妙にムカつき、「叩きよったでこいつ!」などと何故か関西弁をプレイ中に発してました。

4、STEINS;GATE 評価:C
 遊べないわけじゃないが名作じゃない、というのが私の評価です。

 こちらも発売当初は爆発的な人気を呼び、至高のアドベンチャーゲームと崇められシリーズ続編作が未だに量産されています。もっともその続編作が出る度にシリーズとしての評価が落ちているようにも見えますが。
 この作品が世間で評価されている点としては、タイムマシンという存在への科学的アプローチと、終盤に至るにつれて解き明かされる数多くの伏線、あとこの手のゲームらしくない独特なキャラデザインとかだと思います。このうち化学的アプローチとキャラデザインに関しては私も納得同意し、シナリオの文章も決して悪くなかったと考えますが、恐らく最大の評価点である伏線については私は全く評価できませんでした。何故かというと、中盤の時点でシナリオのラストをほとんど推測できたからです。

 正確には一つ目のエンディングを迎えた時点ですがその時点で、「ああこうやって順繰りに元に戻していき、冒頭の事件に戻ってあの人死んで、それをどうにかするためには……順当に行くならこのキャラが助けに来るんだろうな」などとかなりはっきりと読めました。で、実際そうだったし。
 自分がたまたま予想できただけかもしれませんが、「最高のカタルシス」と呼ばれるほどにはこの作品のシナリオ展開は予想しづらいものではないと思います。

 また科学的考証部分は確かによくできていますが、個人的に気になった点として、主人公の電子レンジが何故主人公一味のメールしか過去に転送しないのかについて、何故誰も突っ込まないのかが不思議でした。
 この点について知人は、「レンジの近くでメールを送信する、距離的な制限では?」と擁護意見を出しましたが、冒頭や終盤の方では大分距離の離れたところからメールを打ってるのに転送されており、この論で行くなら周囲の他の人らが送信したメールも大量に転送されて、過去が改変されるはずではないかと思います。まぁ受信者の位置を使えば説明できなくもないですが。

 あとなんとなくな意見を言うと、この作品も時代に愛されたというべきか、リリースされた時期が非常に良かったのではという風にも考えています。なんとなく舞台となる秋葉原への世間の注目というか評価が最も高かったと思えるのがこの作品の発売時で、「アキバズトリップ」といい、他にも秋葉原を舞台にした作品が当時多かった気がします。
 無駄に対抗して松戸を舞台にした暗黒ドラゴンファンタジーなシナリオとか書いてもいいっちゃいいですが、多分どうあがいてもそんなゲーム売れない気がします。むしろ書くなら90年代後半のバスケットコートとかあった時代の秋葉原の方が個人的にもまだ楽しめる気がします。

2020年2月9日日曜日

ノベルゲーレビュー その三(プレステ時代作品)

 三回目のこの連載。ぶっちゃけため記事として書いているため、掲載時期はいつかまだ決めてないけど書いているのは今2/3です。この日のブログ記事書いて、JBpress向け記事を清書して送って、ようやくこの記事を書き始めたところです。
 今回はプレステ、サターン時代のノベルゲー作品を書いてきます。

1、赤川次郎 夜想曲 評価:C
 スーパーファミコンで「魔女たちの眠り」をリリースしたスタッフらによる赤川次郎原作シリーズの第二段。テイスト的には前作と似たような作風ですが、原作が魔女たちと比べるとそこまでショッキングじゃないので、死人はもちろんたくさん出るけどのんびり楽しめる感じの作品です。
 ただドキッとする演出が比較的序盤の、主人公の知人の顔面ドアップくらいしかないのと、この時代の作品としてはスキップ機能やクイックセーブ機能がないやや時代遅れなUIでこの点は問題としてみるほかないです。「夜想曲2」も出ていますが生憎私はそちらを遊んでいません。

2、厄 友情談疑 評価:E
 超クソ。どれくらいクソなのかはこちらの記事にまとめてあります。
 視点を切り替えるザッピング機能がついてるものの、切り替えたところで話が分岐したりすることはなく、むしろ切り替えると前後脈絡なく場面が切り替わって読みづらくなるだけです。またそのシナリオも電波臭くて全く評価できないし、グラフィックも不気味ではある者の稚拙で、ノベルゲー史上でも屈指のクソゲーです。なのに何故か続編が出ており、クソゲーハンター以外には意味のないゲームでしょう。中古とはいえマジ買って損した。

3、ダブルキャスト 評価:B
 ソニーが出してた「やるドラシリーズ」の第一弾で、記憶喪失の少女と映画撮影のドタバタ系ラブサイコサスペンス作品です。シナリオ自体は比較的ありがちというか王道であるものの、全編にわたりアニメーションと音声が付いており、尚且つ演出もそこそこ優れていて遊んでて楽しかったです。何気にBGMも今調べたら、今じゃアニメBGM業界の超大物である梶浦由紀氏だったし。
 特にキャラデザは当時恐らく最も人気の高かったであろう後藤圭二氏が担当しており、声優らのキャスティングもイメージ通りで、全方面で完成度の高い手堅い名作というのが私の評価です。やるドラシリーズは他にもいくつか作品が出ていますが、生憎私が遊んだのはこのダブルキャストだけでした。「サンパギータ」くらいはやっとけばよかった気がするけど。

 全体的にはラブコメっぽい雰囲気で進むものの、選択肢次第では結構ハードな描写が描かれ、非常にかわいらしいキャラデザと相まってなかなかショッキングな場面は心動かされます。こういっちゃなんだけど、北斗の拳のモヒカンが血反吐を吐くより、美少女とかが血反吐を吐く方が単純に演出としては印象に残りやすいです。そういう意味で美少女とグロ描写というのは実はかなり相性がいいものだと私は考えています。

4、EVE burst error 評価:D
 90年代中盤において伝説的な評価を受けたアドベンチャーゲームであり、今も最新機種に移植版が発売されているこの作品ですが、上記の通り生憎私の中の評価はそれほど高くはありません。この点に関してはファンの方には申し訳ないと思いますが、批判を覚悟で批評を続けます。

 この作品の最大の特徴は政府系諜報員の女主人公と、一介の私立探偵の男主人公がそれぞれ別々に、異なる事件を追っていく中、事件の背景や登場人物が複雑に絡み合って徐々に交差していくというシナリオにあるでしょう。またその交差するシナリオを見せる手段として、二人の主人公を任意の場面でザッピングしながら進める、つまり二人分の主人公の話を同時に進めるというシステムとなっています。
 リリースされた当時、このザッピングシステムが非常に受けたことと、あと他のアドベンチャー作品にないシナリオの斬新さが評価されて名作の名をほしいままとしましたが、時代が下ってからプレイしてみた私からすると、そこまで評価されるほどの作品なのかという疑問を覚えました。

 理由はいくつかあり、一つは90年代と違って2000年代以降は複数のキャラクターをザッピングして進めるアドベンチャーゲームは他にもたくさん出てきて珍しくなくなっていた点があります。次に、シナリオの内容も当時としては斬新であったろうものの、時代が少し下った後であれば、そこまで斬新性を感じられるものではなくなっているように私には思えました。またゲームシステムも昔ながらのコマンド総当たり方式で、やはり冗長さを覚える仕様であることから、現代における評価としてはDになるというのが結論です。

5、この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO 評価:C
 こちらの作品もリリース当初は伝説的評価を受けた、「EVE burst error」と同じく故管野ひろゆきの代表作です。評価された点は非常に複雑なシナリオと、主人公が行うタイムリープをゲームシステムに組み込んだ点で、多分当時批判でもしたら袋叩きにあったくらいの高い評価を受けていました。版権関係が複雑であったことからその後なかなか日の目を浴びなかったものの、少し前に最新ハードでリメイクが出されています。

 さてこの作品もやや批判寄りのCという評価を付けましたが、理由としては「EVE burst error」同様に、「当時だから評価されたのでは」と思う節があるからです。自分がこのゲームを遊んだのは2000年以降ですが、ゲームシステムとUIの古さは仕方がないにしろ、シナリオ面に関してはそこまで崇拝されるほどのものかと正直疑問に感じました。
 具体的に述べると、この作品では近親相姦やカニバリズムといったタブー的なテーマが数多く出てきますが、90年代であればそれらタブーを組み込むことは勇気がいるし画期的だったと思うものの、現代においてこれらテーマのタブー要素はやや薄れ、他にもシナリオに組み込んだ作品は既に数多く出るようになっています。実際私も他の作品でこれらタブー要素を見聞きしていたこともあり、「YU-NO」をやった際もそこまで意外性は感じませんでした。

 また先ほどの「EVE burst error」同様に、謎解き要素が設けられていることもありますが、単純にゲームとしてのテンポが非常に悪かったです。当時だからということもできますが、「かまいたちの夜」なんかはそういうテンポの悪さは感じなかっただけに、ゲームシステムを優先するあまりシナリオのテンポを崩してしまっている面が菅野ひろゆき作品には顕著であると感じます。やったことはないけど、「エクソダスギルティ」もそんな感じだと聞くし。
 そういう意味で「EVE burst error」及び「YU-NO」はどちらも、時代に愛された作品であり普遍的な名作足り得ないというのが私の見方です。

2020年2月8日土曜日

ノベルゲーレビュー その二(スーパーファミコン時代)

 果たして需要があるかわからないこの連載レビュー記事ですが、周囲の声は無視して続けていきます。書いてるこっち側としては結構楽しいのですが。

1、夜光虫 評価:E
 チュンソフトの「かまいたちの夜」のヒットに続いて現れた最初のフォロワーでしたが、正直言って惨澹たる出来でした。音楽、演出ともに拙く、何よりもシナリオの破綻ぶりがひどかったのが記憶に残っています。シナリオは大まかに二種類にしか分かれず、しかもどちらへ行っても舞台となる貨物船が難破するのであまり変わり映えがありません。単純にシナリオ量を確保できなかったことが失敗の原因でしょう。

2、月面のアヌビス 評価:C
 イマジニアから「ざくろの味」とともに出されたサウンドノベル作品ですが、当時としては珍しく、宇宙ステーションを舞台にしたシナリオとなっています。やはりサウンドノベルのシナリオは閉鎖空間と相性がいい傾向があるだけに、絶対に救援など期待できない宇宙空間を舞台にしたSFホラーという点で着眼点が良かったと感じます。
 シナリオは決して抜群にいいとは言えないものの十分及第点といえるレベルで、それなりに先の気になる内容で遊んでて楽しめました。まぁチンパンが露骨に怪しいというのはお約束と割り切れるかに寄りますが。

3、ざくろの味 評価:D
 上の「月面のアヌビス」とほぼ同時期に出されたサウンドノベル作品ですが、アヌビスの方は宇宙ステーションを舞台に多国籍なキャラクターが登場するのに対し、こちらのざくろの方は日本の出版社と同じビルの住人らという、非常に狭い舞台となっています。
 シナリオのショッキング度はそれなりに高いのですが、逆を言えばそれしかなく、非常にツッコミどころの多いシナリオです。ご都合展開が非常に多く、突然ビルが陥没した後、「なんということだ、会社の地下に旧日本軍の研究施設があったなんて……」という事実が会社のパソコン弄ってたらわかるというような無理な展開が延々と続きます。

 また地味に選択肢の使い方も工夫が感じられず、メインシナリオでグッドエンディング行くためには終盤で複数の選択肢をほぼノーヒントで一度も間違えずに選ばなければならず、このため何度もバッドエンドを見る羽目になりました。魅力あるキャラもおらず、アヌビスと比べるなら向こうの方が数段優れていたというのが私の評価です。
 なおキャラクターの描写に関しては「かまいたちの夜」同様にシルエットで表示されます。このシルエット表示は近年あまり見なくなったのが寂しいです(´;ω;`)ウッ…

4、魔女たちの眠り 評価:C
 赤川次郎氏の小説「魔女たちのたそがれ」、「魔女たちの長い眠り」を原作とした作品で、下地となっている原作の良さもあってシナリオは十分及第点です。また一枚絵も割とショッキングなものが多く、「おまえの血がほしい」の場面で出てくる絵は今でも十分な迫力があると思います。
 ただ欠点もないわけでなく、シナリオの分岐にあまり幅がありません。またシナリオは第一部と第二部に分かれてるのですが、一度エンディングを迎えた後はそれぞれのスタート箇所からしか再開できないため、フラグを埋めるのが地味に面倒くさかったです。もう少し完成度を高めていたら文句なしにB評価を出せたと思うだけに、詰めの甘い作品だったと思います。

 なおこの作品のシナリオはかなりショッキングですが、原作の小説はもっとショッキングです。どんな具合にショッキングかといったら、割と皆殺しが続くといったところでしょうか。

5、学校であった怖い話 評価:A
 単純に文章を読みながら選択肢を選び進めるだけの純粋なノベルゲームの中でいうならば、この「学校であった怖い話」こそが史上最高傑作ではないかと密かに睨んでいます。一体何故そう言えるのかというと、この作品はとにもかくにもシナリオの量、本数ともにスバ抜けており、長年遊んだプレイヤーですら久々に取り出して遊んでみると未見のシナリオやテキストに遭遇することも珍しくないからです。
 またそのシナリオも六人の語り部から「学校の怪談」を聞くという形式をとっており、語り部の話し方やキャラクターも色濃くシナリオに反映されているため、従来の一人称視点で進んでいくだけの述べるゲームとは違った味わいがあります。それでいてシナリオ内容もどれも読ませられるものであり、且つ無意味な選択肢が少なく、本当に選んだとおりの数だけシナリオが広がっていくという点でも高い完成度を誇ります。

 このほか地味に音楽や、やや粗雑だがそれ故に恐怖感を煽るグラフィックも非常に優れているのですが、それ以上に演出の妙も非常に光る作品でした。徐々に音量を上げてくるBGMなどいろいろありますが、何と言っても一番印象深いのは隠しシナリオで、決まった手順で進めないと登場しないものの、苦労して登場させた甲斐があると思うくらい他のシナリオとは群を抜く出来栄えとあって、プレイしていていろいろ感動がありました。
 もっともその隠しシナリオの「仮面の女」は、今やっても寒気を覚えるくらい怖いものでした。あと「人形」シナリオも、迫りくる恐怖という意味ではぜひ模範としたい文章となっています。なおその「人形」シナリオを遊んでいる最中に友人が、「この語り部の話し方、後輩に似てね?」と言い出したせいで、シナリオ読んでると後輩の音声が頭の中で再生されるということとなってしまいましたが。

6、晦 評価:C
 上記の「学校であった怖い話」の製作チームが作ったサウンドノベルゲームですが、その出来栄えは前作からガクンと落ち込んでいます。理由はいくつかありますがまずはシナリオで、前作同様に六人の語り部から話を聞くという形式ながら前作と比べると選択肢の幅が少なく、シナリオ本数もガクンと少なくなっています。また前作が学校内の話に限定されていたのに対し今回は学校外のあらゆる場面がシナリオに登場しますが、なんていうかシナリオの舞台は広がっているのに幅は狭くなっているような感じがするというか、全体として統一感を欠いてしまったのが失敗だった気がします。
 またゲーム性の面でも、選択肢を一つ間違えたら即バッドエンド行きというパターンが増え、単純に面白味が低下しました。他の作品にも言えますが、バッドエンドはあまり多く作っても、プレイヤーに無駄にストレスをもたらすだけにしかならず、極論を言えばむしろない方がいいとすら思います。

 いま改めてこの「晦」でどんなシナリオがあったか思い出そうとしましたが、ほとんど記憶に残っておらず、唯一思い出せたのが廃墟となった洋館を探索するシナリオだけです。あれはそこそこ怖かったけど、結末がまたひどい出来だっただけに、やはり全体として完成度が低い作品と言わざるを得ません。

2020年2月7日金曜日

ノベルゲーレビュー その一(旧チュンソフト系作品)

 やることがあまりにもないからノベルゲーのレビュー記事をこの際まとめることにします。初回は旧チュンソフトが出したサウンドノベル作品をおさらいします。
 なお評価ランクはA~Fで、基準としてはざっと以下のような感じです。

A:マジ名作!
B:面白い、ぜひやるべき!
C:遊んでみて楽しめるけど、率先してやるほどではない
D:好みに寄るかもしれないけど、あまり楽しめなかった
E:やめとけ
F:判定不能、規格外


1、弟切草 評価:B
 サウンドノベルの初代作品であり元祖。初代ということもあるからメッセージスキップや読み返し、バックログ、クイックセーブなど現代では当たり前の機能こそ備えていないものの、スーパーファミコン初期という時代を考慮すればどれも仕方の無い物です。
 ただ、上記のハンデを考慮したとしてもこの作品は十分におすすめできるものです。特に近年のリメイク作なら上記のような機能も追加されているので、大分遊びやすいと思います。

 この作品が何故優れているのかというと、サウンドノベルというノベルゲージャンルを開拓したことはもとより、地味にシナリオと演出が優れているからです。ゲームの表現力が限られる中、主要人物を二人に限定し、その他の登場人物(ミイラとか怪魚とかだが)は背景で表すなど、限られたリソースで違和感なく演出しています。またBGMやSEなど音楽の演出もうまく、一つのアドベンチャー作品としても十分評価できるものです。

2、かまいたちの夜 評価:A
 弟切草がサウンドノベルの元祖なら、こっちのかまいたちの夜は第二作目にして実質このジャンルを完成させた作品といえるでしょう。
 サウンドノベルと非常に相性のいいミステリーを本筋のシナリオに据え、そのシナリオから派生する形で、同じ舞台設定で複数のシナリオを同時展開するというやり方は現在におけるノベルゲーにおいても主流の形態です。こうしたノベルゲーとしての骨格を築いた上にそれを普及させていることから、日本アドベンチャーゲーム史に残ると言っても過言ではないでしょう。

 上記の点もさることながら、かまいたちの夜は単純にシナリオと演出も他の作品を大きく凌駕しています。特に人物をシルエットで表現するというやり方は、最近はあまり踏襲されていないものの、表現方法としては非常に画期的でした。またシナリオもミステリーのトリック自体はそれほど意外性はないものの、それをゲームに落とし込み、選択肢を選ぶことで推理していくという組み立て方は見事というより他ありません。
 あと細かい点だけど、ある特殊な場面にてリセットボタンを押すことで見られる特殊演出は、あの時代としてはあり得ないくらいにすごいものでした。っていうか普通にミステリー編のトリックよりよくできてた気がする。

3、かまいたちの夜2 評価:B
 そんなかまいたちの夜の続編としてPS2で作られたかまいたちの夜2ですが、本筋のミステリー編のシナリオははっきりってひどいというかむちゃくちゃなトリックで、あんなシナリオだしちゃミステリー作家としておしまいだよというくらい惨澹たるものでした。ただそれでもB評価としたのは、他のシナリオがそれなりに面白かったのと、ハードがPS2に切り替わって表現方法が非常に多彩となり、アドベンチャーゲームとしてはよくできていると感じたからです。
 賛否両論ある作品ではありましたが、私個人としては陰陽師編を始めそれなりに楽しめました。

4、かまいたちの夜3 評価:E
 そんなかまいたちの夜2を擁護する私ですらも、このかまいたちの夜3は擁護し切れないというか救いようがないと感じました。はっきり言って原作レイプもいいところで、どうしてこんなダメな作品を彼らはリリースしたのだろうかと内心不思議です。
 ミステリー編のシナリオは前作にましてひどいもので、あんなシナリオだしちゃミステリーじゃなくても作家としておしまいと断言できるくらい唾棄すべきものでした。しかもトリックとか裏背景とかすぐわかる癖に、複数キャラをザッピングして進めなければいけないという操作面の特徴からなかなか思い通りに話が進まず、無駄にストレスを感じさせられました。っていうかあのザッピングシステムは蛇足以外の何物でもないでしょう。初めからシナリオキャラクターは一人に絞っていた方が、もっといいものができたかもしれません。

 演出面も同じPS2であることから2より進化は感じられず、個人的にはむしろ退化した感すらありました。ガチでこの作品はクソもいいところで、存在を抹消した方がいいとすら思います。

5、街 ~運命の交差点~ 評価:A
 かまいたちの夜から離れたこちらの「街」ですが、一言で言って名作です。実写取り込みで8人の人物の5日間(2人だけ3日間)を追っていくというゲームですが、シナリオが8人それぞれで完全に独立していながらも、ところどころで主人公同士が接触し、その接触場面で適切にザッピングしていくことでシナリオロックを外していくという内容です。
 まず単純に各シナリオがどれも粒ぞろいで、尚且つどのキャラもそれぞれ魅力があり、非常に感情移入が出来ました。また実車取り込み映像も比較的よく、俳優は有名どころは限られているものの、それぞれ個性が光っていた上にキャスティングされたキャラとも良く合致していました。

 文字通り、先が気になってやめ時が分からなくなるほど中毒性のあるシナリオばかりで、一本の作品としての完成度はすさまじく高いです。それだけに、続編も非常に期待していたのですが。

6、428 ~封鎖された渋谷で~ 評価:C
 「街」とシナリオは関連しないもののほぼ同じシステムで作られたこちらの「428」ですが、決して遊べない出来ではないものの、「街」の続編とするには物足りませんでした。

 この作品で何が不満だったかというとシナリオとキャスティングで、「街」では8人の主人公が完全に独立したシナリオを進めていくのに対し、「428」では当初バラバラだった主人公らが最終的に一本の結末にみんなで向かっていく内容で、個人的な意見を述べると、シナリオが段々と尻すぼみ化していくような感じがしました。その結末も、大団円とはなりますがそこまで感動的とは思えないもので、「あんだけ大騒ぎしてこんな終わり方かよ」と内心思いました。
 またキャスティングされた俳優も「街」と比べるとあまりそのキャラクターと合致していたようには思えず、尚且つ、これはシナリオのせいだと思いますが、主人公らについてほとんどだれも共感なり感情移入をすることが私にはできませんでした。感じ方で言うと、「街」では主人公同様にどうしようとか焦りとか色々感じたのに、「428」では全部が他人事みたいで、「勝手にやれよ」って感じでシナリオ読んでました。いうなれば、単純にキャラクターたちの魅力がなかったといったところでしょう。

 実際にというかキャラクター人気投票したら、並み居るキャラクターを抑えて着ぐるみがトップに立ったらしいです。もうこの時点でいろんな試みが失敗していることが見て取れます。
 あと細かい点で言えば、ハードがPS3などかなりハイエンドとなっていることで画面効果などの演出は非常に多彩となっているものの、こと演出力で見ればスーパーファミコンのかまいたちの夜にすら劣っているのではないかと内心思います。そう思う理由としては、まず「428」で使われているBGMを全く思い出せない(「街」とかだとまだ思い出せる)、次に意表を突く演出がほぼ全く感じられなかったからです。年月が経っていることで、クリエイターたちの実力がかえって劣化していたのかもしれません。

2020年2月5日水曜日

コロナ対策が進む中国の都市の閑散ぶり

 コメント欄で質問が来たので、コロナウイルス対策が行われている現在の中国の都市の現状について、日本の報道などが正しいのかなどを含めてまとめます。

中国在住日本人が語った! 街はひっそり 武漢から距離のある都市でも厳重警戒の様子(ENCOUNT)

 初めに、この記事を書こうとしたらたまたま見かけた同じ内容の記事を紹介します。こちらは上海市から約80キロくらい先にある江蘇省蘇州市(何度か自転車で日帰りしたことがある)に住んでいる日本人男性の話ですが、現在の街の状況について私の見解と基本一致しています。この記事に書かれている通り、現在上海市も不要な外出は控えるよう政府から通達が出ており、商店も大半が閉まっていて街中はひっそりしており、バスとかに乗っても乗客はほとんどいません。
 なお地下鉄に関しては、一応上海市はまだ運行はしているものの、私も春節入ってからは一切乗車していないので乗り込み具合はわかりません。ずっと自転車、後たまにバスでしか移動しておらず、考えてみるとこんだけ長い期間電車乗らないというのもかなり久しぶりな気がします。

 また公共施設でも対策はいろいろ進んでおり、先日も少し書きましたがマクドナルドに行ったところ私の様にマスクをせずに入ってきた客にはスティック状の非接触型体温計で体温が測られ、熱がないかを確認されます。
 何気に今日ビビったのですが、私の住んでるアパート団地でも入り口にて、マスクをせずに入ってくる人にここに住んでいるのかとか、何の用できたのかをチェックしていました。しかもちょこっと話をしている間にいつの間にか体温も何かしらで測られており、「マスクしてなかった人」名簿に名前と電話番号を書いてたら、すぐ横に測定された体温(恐らく額の)まで書かれていました(35.1度だった)。

 ここまで書けばわかるでしょうが、実は春節以降、ほぼ全くマスクせずに出歩いてます。なんでかというとどこにもマスク売ってないからで、さすがに準備しないとなぁとか思ってたらいつの間にか売切れてました。上記の通りショッピングモールを含む公共施設でマスクしてない人への対応が厳しくなってきて困ったなぁとぼやいたら、見かねたのか通っているカレー屋のインド人店員が一枚分けてくれました。マジ助かるし(・ω・)
 なおマスクの値段が高騰しているとの報道が日系メディアからも出ていますが、この件に関しては正直真実かどうかわかりません。というのも前述のように、マスクを売っているところを春節入ってから一度も見ていないからです。真面目に、春節直前に日系スーパーで売ってたのを一箱買っとけばよかった。

 話は戻りますが、団地入口では体温測定のほか、帰郷者のチェックも行われています。これは他の団地でも一様に行われていることから政府の指示だと思いますが、春節中に帰省したり旅行して、上海にまた戻ってきた人はきちんと申告して、いついつどこにいたのかを団地入口でいちいち報告しなければならないようです。内心、ここまでやるのかという気も少ししますが。

 また春節休暇のスケジュールは当初1/30まででしたが、今回の事態発生を受けて中国全国で2/2まで延長されました。その後、上海市など一部都市では2/9まで企業は休業するよう通達が出ており、友人が勤務する日系企業でもこの指示に従って今もまだ休暇中です。
 一方、私の会社は上海市以外にも事業所があることもあって、表面上は政府指示に従う形で上海市などは2/9までは本人の自由意志で働くかどうか決めるということになってますが、実際には「2/3から出社せずリモートで自宅勤務ね」と裏メールで指示されました。まぁほかの会社が動いてないんだからやることはほとんどないのですが。

 このほか街のひっそり具合に関してもう少し述べると、2/2までは本当に人通りがほとんどなく、また雨も多かったことからゴーストタウンみたいな状態でした。もっとも春節の間、上海市は外部からの流入人口が1000万人くらい帰省していなくなるということから、毎年同じように閑散としていますが。
 ただ、一応全国的には春節休暇期間が終わった2/3以降はやや人通りが増え、自宅の外から聞こえるやけに声のでかい中国語のおしゃべり声も聞こえることが増えてきましたが、通常の都市の春節明けと比べるとやはり小さいです。今日も外を少し歩いてきましたが、昼間にもかかわらず車の交通量も少なく、通りも人がなく、先週と比べれば人が増えてはいるもののそれでも異常なくらいの閑散ぶりです。

 店を再開する商店は確実に増えてきてはいますが、見る限りどこも客数は少なく、私の通っているカレー屋もやはり厳しい状況にあると話していました。そうした環境もあるだけに、自分一人が何したところであまり変わらないとは思いますが、このところはなるべく飲食店でお金使うように過ごしています。もっとも気が付いたら結構消費額行ってて、ちょっと焦り気味ですが(;´・ω・)
 やはり商店関係者としては来週、2/9以降からはもっと外出が緩和され、少しは以前のようにお戻ってほしいという願望を持っているようですが、現状考えると2月いっぱいは今のような状態が続くのではないかと私は考えています。既に湖北省に続いて感染者数の多い浙江省の一部都市でも外出禁止令が出ており、地下鉄も運行を完全に取りやめたそうです。感染者数の広がりはまだ続けており、小売りや飲食関係者の現状を考えると素直に胸が痛いです。

 最後にどうでもいいことですが、冒頭のリンク記事を読んで最初に思ったこととしては、「どうして俺にはこういう話を聞きに来ないんだろう?」ということでした。記事書きやすくなるようにコメントしてあげられるし、連休中にクリアしたゲームのレビューとかでもいくらでもできるというのに、なんかお呼びがかからないことに少し不満を感じます(´-ω-`)

2020年2月4日火曜日

観光強化指定都市構想

 最近ずっと経済関連記事を書いていない気がするので観光ネタと合わせて一本書きます。それにしてもさっきもため記事書いたけど、一日何回自分はキーボードを叩いているのかたまに不思議になります。

 さて今回のコロナウイルスの影響で中国人観光客が来なくなり、日本の運輸や小売、観光方面で既に多大な影響が出ています。なんなら来月あたり、依然調べた小売業界団体の統計をまとめてコロナショックの影響額をまとめる記事を出してもいいかなと、密かに記事ネタを狙ってたりしますが。
 そうした観光方面の影響ぶりを見てか、やはり中国人頼みの経済は良くない、観光立国など向かうべきじゃないなどという否定する声も見られるようになりました。一概に否定するつもりはなく、観光を強化すればするほどこうした疫病や地震といった自然災害の経済への影響は強まることは事実で、私自身も観光一本足打法は危険だと考えています。

 ただそうは言うものの、現在の日本の産業で明確に成長余地が残されているのはもはや観光くらいしかないとも考えており、他の産業も育成すべきだとは思うものの、やはり観光産業育成を軸にするしかないという考え方には変わりはありません。
 その上で現況を見ると、少なくとも中国やタイといったアジア圏の若者をはじめとする顧客層、リピーターの取り込みに関して日本は比較的成功しているのではないかと思います。では次に取るべき手段は何かですが、単純によりお金を取る手段を講じるべきで、デービッド・アトキンソン氏が言っているように高級リゾートホテルをはじめとする長期滞在型ツーリズムを強化すべきだと思います。

 それ以外に何かほかにいい案ないかなと5分前くらいに少し考えたのですが、出てきた案としては「京都を増やす」という案でした。なんかこう言うと、京都人がガチでせせら笑う「小京都」が浮かんできますが、私が考えているのは「テーマパークとしての京都」です。

 確かこれもアトキンソン氏の本で読んだような気がしますが、京都は町並みから住人に至るまで、古い京都の街並みや生活をみんなで守り維持していこうという意識が強く、京都市内全体でディズニーランドみたいな一つのテーマパークと化しているという指摘がありました。この指摘には私も強く納得でき、実際に京都市で和服の着用を推奨したり、町屋の維持保存なども市民ぐるみで非常に熱心です。熱心過ぎて、マクドナルドが一軒増える度に、「こんなの京都に相応しくない」と文句が出てくるのはご愛敬です。

 こうした京都の取り組みは観光面でも非常に強い武器で、京都に行くだけで観光客は旅行を楽しむことができます。こうした取り組みはもっと広げるべきというか、都市単位で日本の情緒や風景を楽しめるような観光都市をもっと全国各地に作るべきだと考えます。
 浮かんできた第一候補としては日光で、やはりここの持っている観光ポテンシャルはすさまじく高い気がします。東照宮に合わせて江戸時代の江戸をモチーフとしたような街づくりを進めれば、東京都の距離の近さも相まって相当なパワーを発揮できる気がします。

 このほかだと金沢市、高松市、飛騨市、長崎市などが観光都市化が期待できる私の中で有力な候補ですが、最強のダークホースだと忍者一色に染められる伊賀市、甲賀市もあります。こうした都市を一つのテーマ、モチーフに合わせ地元の過去の文化や歴史を織り交ぜ、古い形態を維持しつつ開発していくことで、将来的には強力な観光資源が出来てくるのではないかと思います。
 こうした都市についてははっきりと環境強化指定都市みたいに指定し、お金を出して開発を支援するのも一つの手だと考えます。もっとも私は日本であまり税金払ってない立場ですが。

 やはりというか観光産業の面では京都が群を抜いているところがありますが、逆を言えば京都の強さをもっと他の都市も学ぶことでまだまだ掘り起こしができる面があるはずです。そういった点を考えて今後の観光計画などを考えて行ってもらいたいものです。

2020年2月3日月曜日

全部コロナのせいだ

2年連続マイナス、中国自動車市場に反転の兆しなし(JBpress)

 っていうわけで今日出した2019年中国自動車統計記事ですが、ランキングを見る限り全くアクセスを得ていません。理由ははっきりしており、今中国ニュースというとコロナウイルスの全盛期で、それ以外のニュースは全くお呼びじゃないようです。割とこの自動車統計記事は安定したアクセスが見込める内容だったのですが、コロナの前ではこうも脆いものなのかと結構がっくり来ています_( _´ω`)_ペショ

 愚痴っててもしょうがないけど、この次の記事も高級車と新エネ車の話題だから、ちょっとアクセス的につらい状況が次回も続きそうです。ちなみにコロナコロナと散々話題になる中でこの記事書いてたので昔懐かしきトヨタのコロナを連想していましたが、「コロナ」って単語は冠状を意味するということを今回のコロナウイルスで知り、もしかして「クラウン」つながりでトヨタはコロナって名前を付けたのかなとようやく気が付きました。同じ系統だと、「カムリ」も「冠(ムリ)」からきてるそうだし。

 そんな風に思ってたら、ヤフコメでもまさにこのトヨタのコロナと被せたコメントする人がいて、何となく心が通じ合えたような気がしました。

コロナウイルス禍に触れて

 明日から約一週間半の休暇を経て勤務再開となりますが、休暇前と比べると随分と状況というか世界観が変わったなとつくづく思います。さすがに昨日今日の上海市内は徐々に人が戻っていることもあって人どおりも以前よりは増えているものの、それでも平常時と比べると閑散とした状態でした。

 個人的に見ていて胸が痛くなるのは飲食店関係者で、今日も馴染みの飲食店を訪れましたが客は自分一人だけで、知り合いの店員も閑古鳥に苦しい状況にあることを吐露していました。その店員に言わせると、この際完全封鎖などはっきりした指針を出してくれれば店の営業を止めるなり決断できるのにと言っており、不満を漏らしていました。
 無論これは飲食店に限らず、春節という中国最大の連休をフイにした観光業にとっても大打撃が続いていることでしょう。中国政府は今回のウイルスによる経済的打撃への保障として十数兆円に上る予算を立てるとしており、また金融機関などへのつなぎ融資に関する通達も先ほど出しているのを確認しましたが、それでも大半の中小企業がこのまま耐えきれるかとなると難しいところです。

 先週木曜の春節休暇が始まる直前に武漢の封鎖が発表されましたが、当時においてはまさかこれほどまで大規模な事態になるとは私も思っておらず、幸か不幸かすごいタイミングで中国にいるなど今現在感じます。今日訪れた飲食店の店員は、毎年流行するインフルエンザと違い、今回のコロナウイルスは適切な治療薬が存在しないことから混乱に拍車がかかっていると指摘していましたが、実際その通りだと私も思います。
 とはいえ既にコロナウイルスの培養自体は成功しているものの、治療薬を開発し量産するとなると今シーズン中に期待するのは難しいでしょう。今やはり問題なのは、現在のような中国全土での戒厳令のような状態がいつまで続くかですが、少なく見積もっても二月いっぱいは確実で、三月いっぱいも続く可能性も十分あり得ます。特に武漢市に関しては三月中も確実に藩封鎖状態が続くとみられ、同市内に展開しているホンダや日産、そしてそのサプライヤーを含む日系企業への影響を考えると、日本にとっても対岸の火ではないでしょう。

 また前述の通り、製造業でなくても飲食店関係者もほぼもれなく大打撃を現在進行形で受けています。また日本国内でも何故か奈良が取り上げられていましたが、中国人旅行者のキャンセルに伴い打撃を受けているとされ、こうしてみると日中も随分と近い関係になったものだと思えてきます。

 敢えて未来に目を向けるとしたら今後、どのタイミングからまた正常な状態に戻れるか、そしてその後にどう動くかではないかと思います。先ほど書いた通りに私の予想としては三月いっぱいまでは正常化を期待するのは難しいだけに、楽観論で言えば四月以降にどう巻き返すかです。
 日本はちょうど桜のシーズンに重なるので観光客が期待はできるものの、意外と中国のことだから、「春節休暇が多かった分、四月以降は土日も働こう!」と言い出す可能性もあり、こうしたことを考慮すると四月も日本への観光客誘致は厳しいかもしれません。

 一方、製造業に関しては自動車は明日ちょうどJBpressで記事を出しますが、ただでさえダウントレンドだというのにここにきて長期にわたる稼働停止も見込まれることから、日系メーカーも含めかなりのダメージが予想されます。その一方で医薬衛生品需要は急激に高まっており、来年以降も防疫対策意識が強く残ることが見込まれるだけに、この方面では日本国内に工場のあるメーカーが追い風を受けるでしょう。

 それにしても改めて疫病というものの影響の計り知れなさを今回思い知りました。江戸時代なんかは飢饉と合わせるとこういった事態が頻繁に起こっていたと考えると、現在の日本の防疫体制などは本当によくできているのだと改めて思います。
 もっともそうした疫病以前に、またあと半年したら夏が来て、仕事の繁忙期を迎えるのだという事実の方が私にとっては怖いです。前より人員は増やしてもらったけど、果たして今年も自分は文字通り忙殺されず生き残れるのかが不安です。

2020年2月1日土曜日

明後日が怖い((((;゚Д゚))))

 今日も朝九時に起きて、ゆっくり食事して、ネット見て、JBpressの記事書いた後にバーガーキングで昼食した後、ぐっすり昼寝して過ごしました。街中は三日前と比べても段々人通りが増えてきており、朝早くの時間帯もちょっと前まで無音だったのに、今朝は会話する声が聞こえるなど人が増えてきたという実感があります。
 もっとも、朝早くからおばちゃんらがおしゃべりする声は大きく、よくそれによって起こされます。なお以前は朝五時くらいに手を叩きながら(中国人は叩くと肌がよくなると信じてる)徘徊するおばさんがいて、毎朝五時くらいに起こされて、本気でこのおばさんを射殺したいと願ってたあのころに比べると今はまだマシですが。

 一応、会社の方からは明後日月曜から勤務を再開し、当面は自宅作業を継続するという通達を受けています。といっても来週中ごろからまた休暇を取っているのですが、春節前の時点でこうなることを予期しており、あらかじめパソコンは自宅に持ち帰ってきていました。なので自宅作業すること自体は問題はないものの、会社オフィスと比べると自宅は寒いので、その点なんだか損した気分になります。
 とはいえかなりぐーたらして一週間半も休んだ後となると、さすがに勤務に戻るのは一言で言って嫌になります。外出が制限されていたとはいえこんなに長く休むのなんて失職していた時以来なだけに、果たして通常の日々に戻れるか今から軽く不安です。

 なお上海市は市内企業に対して2/9まで休むよう通達しており、この通達に応じた企業は2/9まで休みです。自分の会社は中国中央政府の通達に合わせて休みは2/2までですが、この差はかなり大きい気がします。

 あと他のところで書く場所がないので書きますが、先日マクドにご飯食べに行ったら、店員に「兵ミスター、ちょっといいかしら?(你好先生,让你检体温可以吗?)」と聞かれ、小さい棒のようなものの先を額に向けられました。何かと思ったらそれは体温計で、直接接触していなくてもすぐその場で体温が測れるという代物で、私の額の表面温度もあっという間に33.1℃と検温されました。多分外を自転車で走ってきたから低かったんでしょうが。
 その結果を見て店員も「ありがとうございます」と言って去りましたが、こういう飲食店でも検温している、しかもめっちゃよさげな体温計使ってると思って、なんか印象に残りました。