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2024年1月28日日曜日

日本人は好景気を実感し始めてきたか?

中国と日本の経済は「逆転」した?3年ぶりに上海を訪れた私が見た“驚きの光景”(ダイヤモンドオンライン)

 本題と関係ないけど上の記事を書いている王青さんは中国語で読むと「ワンチン」という発音となるため、この人の名前を見るたびに魔法陣グルグルに出てくるワンチンを思い出します。

 話は本題ですが上の記事の内容に関して、自分の実感と完全に一致します。外資からの投資で生きていた上海だけにこの1年間の不景気、特に外資投資の鈍化がかなり直撃しており、マジでショッピングモールとか空きテナントが非常に目立って不景気感マックスです。
 対照的に日本は好景気というか、昨日も北千住のマルイに友人と行きましたが午後1時半の段階で管内の喫茶店はどこも満席で空き待ちの客が列をなし、また上海と違って空きテナントスペースは見当たらず、マジ景気いいように見えました。実際、館内の客数も非常に多かったですし。

 この日本が景気いいという話、私はかねてからこのブログで指摘していて去年秋に日本へ行った際も周りにそのように話していました。しかしその際の周りの反応はというと「(。´・ω・)?」といった感じで、自分がどれだけ日本が今好景気にあるかを説明してもいまいちピンとこないような顔をしていました。この点について何人かは、企業業績はよくなっているかもしれないけど実際の給与にはまだ反映されていないから好景気の実感がないのでは、などと話していましたが、給料だけで景気判断するなよという気持ちを当時は覚えていました。

 関係ないけど今急に「間隔の感覚について侃々諤々と議論する」という妙なダジャレを思いつきました。

 話を戻すとそれが今回、前回からわずか数ヶ月しか間隔が空いていないにもかかわらず、前回と比べると自分が日本は今好景気だと話をすると、前よりは「そだねー(´・ω・)」というような感じで思い当たる節はある的な反応をみんな示すようになりました。少なくとも株価では空前の高値を付けているし、また街中でも物価が上がりつつも消費意欲は高まっているように見え、前より景気の好調さを日本人自身が自覚し始めているような気がします。
 仮にそうだとしたらいい傾向であるように私には思え、こうした好景気の感覚が高まって社会全体で消費が増え、景気がいいサイクルに回っていけば、マジで90年代以降としては悲願の完全なるデフレ脱却が見えてくるかもしれません。

 そうは言いながらも、私の好きなPCサプライ品の値段を見るとノートPC用にスタンドが最低でも2000円、平均で4000円近くで売ってるのを見て、「ぼりすぎだろ(´・ω・)」という感覚を覚えます。中国ならマジでこれ400円くらいで買え、その他のサプライ品もマジで日中間に10倍近く差が開いており、なんか日本のPCサプライ市場は原価に比して消費価格が異常に高い気がします。
 これは私に対し、中国からこの手の商品を輸入して売れという天の啓示だろうか(´・ω・)

2024年1月26日金曜日

増え続けるお土産……

 また更新が空きましたが特に深い理由はなくまた日本に入り、昨日と今日は伊豆半島に旅行に行っていたためです。

 さて今回日本へ行くことについて中国人女性の同僚に話し、何か買ってきてほしいものがあれば対応するがと伝えたところ「いえ、特にないです(ヾノ・∀・`)ナイナイ」という答えが当初返ってきました。しかしその翌日には「やっぱり一つお願いしてもいいですか(^ω^)」といってきて、その翌日には「もう一つお願いしてもいいですか(^ω^)」といってきて、なんか1日ごとにオーダー品が増えていきました。

 もちろん代金は人民元に換算して後で向こうが払ってくれはしますが、運ぶ際に荷物がかさばるとかそういうことについて中国人は一顧だにしてきません。以前にも「日本で買えば100円くらい安くなるからじゃがりこ10箱買ってきて(´・ω・`)」といってきた奴もいましたが、じゃがりこ10箱だとどれだけ荷物がかさばるか、そういうことは一切配慮してきませんでした。さすがにこの時は激怒して、「1000円やるから上海で自分で買え!(# ゚Д゚)」ガチで怒鳴りました。
 以上のような経緯について別の中国人に話したところ、「だめですよ花園さん。中国人に旅行日程漏らしたら無茶苦茶なことお願いされるだけですよ(´・ω・)」と教えらえ、それからは内密に旅行することが増えてきています。今回ももう少し、情報緘口敷くべきだった。

2024年1月22日月曜日

中国ロボット業界への関心

【データ検証】生産台数世界一!中国の産業用ロボット市場の規模はどんな感じ?(ロボティア)

 昨日またロボティアへ上の記事を出しました。元々ロボティアはロボット業界ウェブマガジンということでいくらかはその方向に合わせた記事も出した方がいいと思ったのと、実はこの手の中国ロボット業界に関する統計記事があまり手を付けられていないという感覚が前からあり、今回こうして自分の方でまとめて日本語化して出すこととしました。

 何気に中国ロボット業界は以前から関心があり、自分が勝手に好きになっている安川電機や川崎重工なども進出してきていることもさることながら、市場規模ですでに世界1位で、記事にも書いている通り自動車業界とは違い、日系メーカーが比較的優位を保っている有望市場であると目してきました。
 にしても何気にエプソンが中国市場シェアナンバーワンってのは、エプソン関係者でも知らない人多いんじゃないかな(;´・ω・)

 話を戻すとそのような有望市場でありながら自動車業界などと比べこれまで日系メディアに取り扱われることが非常に少なく、ちょっとこの辺で思うところがありました。実際に調べてみたところ業界専門メディアはまだそんなに強くなく、しいて言えば星座宇尾行全般に強い日刊産業新聞がそこそこ記事を出してるくらいで、ライバルは少ないなという印象を覚えました。
 自分のライターとしての強みはやはり中国が読める(あと歴史に詳しい)点だと思っており、その点で現在市場規模が世界一でロボット的に熱い中国市場の市況記事を書くだけでも、そこそこPVを稼げるんじゃないかと取らぬ狸のスキンメソッドを組み立て始めており、今回書いた内容以外にも記事ネタをそこそこ拾ってきています。

 っていうか中国メディアが優秀で、記事翻訳するだけで日本語記事できちゃうの素晴らしい。

 一応、その気になれば中国の日系メーカー相手に取材することも可能なのですが、それは逆にミステイクになるのだろうと内心思っています。この手の業界専門メディアに多いのはそう言った業界関係者のインタビュー記事ばかり載せて、結果的にインナーサークル化して一般読者がついてこれなくしてしまうことだと思います。確かにB2Bで狭いっちゃ狭いですが、部品点数はそこそこあるので必要以上に専門化させず、如何に普通の人が興味を持って読めるような経済記事を作るかという点がこのロボット業界では重要であるように思います。
 そういう意味でまず第一歩として日本の市場規模などと比べた中国のロボット市場記事を今回出したわけで、見出しも意図的に柔らかく「~どんなかんじ?」という言い方にしました。っていうかはっきいえばライバル少ないの勝算があり、マジでロボティアを「日中ロボット市場といえばこれ」的なメディアにしてやろうかと密かに狙っています。

 なおロボティアの連載を開始してから、ロボティア全体のPV数はそれ以前と比べて明確に増えてきているということを運営側より伝えられています。まぁあのプロジェクトEはまさに一般読者をかき集めるような、PV稼ぎを前面に出した記事だったのでそうならなくちゃ困るんですが。

2024年1月21日日曜日

自民党の派閥解消の動きについて

 上海は昨日から寒波が来ていて氷点下近くまで気温が下がっており、今日は自分も家から出ずにひたすら寝ていました。やっぱ普段からゲームばかりして睡眠時間が足りてないのか、よく寝た後は頭も目もいい感じになります。

 さて話は本題ですが先の安倍派を中心としたパーティ券代キックバック不記載問題を受け、岸田総理は派閥の解消を提唱し、まず隗より始めよとばかりに自派閥である宏池会の解散を発表しました。これを受け疑惑が取りざたされている二会派、安倍派も解散を発表し、麻生派などが必要論を唱えて抵抗している有様です。
 これらの動きに対する私の感想を述べると、たとえ今回解散したとしても党内議員グループというものは自然とできるものであり、またぞろ復活するのではないかという気がします。また今回の問題はパーティ券代のキックバック、そしてそれの不記載であり、派閥をなくしたからといってこの手の不記載問題がなくなるかといえば果たしてどうかなという疑念があり、派閥をつぶさないよりはマシかもしれませんがその効果については限度があるとみていて、正直冷めています。

 敢えてその影響について述べると、派閥が亡くなることで打撃を食うのは派閥幹部たちです。「一日外出録ハンチョウ」の大槻じゃないですが、派閥幹部は派閥が集金する金を行使することで派閥内の議員を従わせている面があり、派閥がなくなることでこの手の使えるお金が減ることから、その統制や影響力は目減りすることには間違いありません。もっともポケットマネーから支援することもできますが、かつては「傘下議員から集めたお金で傘下議員を統制する」ことができたのと比べると、いくらか財布が心もとなくなるでしょう。

 では逆にどこが強くなるのかというと、間違いなく自民党の幹事長でしょう。派閥が運用してきたお金が無くなるため党の資金がより重要化し、これら資金の差配を決める幹事長の権限はさらに増してくると思います。樽俎も幹事長は55年体制の頃はめちゃくちゃな権力があったとされますが、小泉内閣のあたりから若干名誉職的な扱いになり、多大な権力を行使したのは金の差配以上に選挙戦略を作ることのできた二階氏くらいでしょう。
 実際にというか二階氏を紹介するときメディアはほぼ必ず「二階元幹事長」と呼ぶのに対し、ほかの幹事長経験者はあまりこの敬称を使ったりしません。ちなみに一時期、二階幹事長の上にはもしかしてさらに「三階幹事長」という裏ボスがいるのではないかと無駄に勘繰ってたりしました。

 以上の観点を踏まえれば今回の自民党の派閥解消は国政改革というより党内改革としての面が強く、党内で勝手にやるのは構わないけど国政として評価できるかと言ったらあんまそうでもない気がします。まぁ菅内閣、岸田内閣は大多数の安倍派への対応というか言いなりになっていた面もあり、官邸としての権力はあまり強くなかったことから、安倍派を分断させることは官邸強化につながるといえば間違いありません。また自民党全体でも安倍派に振り回されているというところもあり、自民党執行部の復権という点で岸田派と二会派が合意したというのが背景じゃないかと思います。
 もっとも裏で糸引いているのは、私は菅元総理だと考えています。仮にそうであれば、この後菅前総理がより前面に出てくる可能性があるでしょう。

2024年1月20日土曜日

旧メディアから移り変わるタレコミ先

《現役社員が告発》トーヨータイヤが「N-BOX」の部品をめぐりホンダに“不正報告”の疑い 〈管理基準を満足していない〉実験結果を伏せたまま納入か(文春オンライン)

 昨日出た上の記事の影響を受け、昨日にトーヨータイヤの株価は一時ストップ安となり、つられてホンダの株価も7%低下していて見ながら笑ってました。報道内容の真実性に関しては後続の動きを見なければなりませんが、仮に真実であった場合はリコールに発展する可能背も高いので株価下落も当然と言えば当然ですが。
 なお真実性に関しては、文春の取材に対しトーヨータイヤ側よりもホンダ側に奇妙と感じる節があるので、現時点で自分は高いのではないかとみています。

 そんなこの報道ですが、実は読んだときに気になったのはそうした株価とかリコールの影響とかではありませんでした。では何かというと、「タレコミ先が文春だったんだな」という点でした。
 記事内容を見る限りこの報道はトーヨータイヤ側の社員による内部告発が起点のようですが、その内部告発者は新聞やテレビメディアではなく、雑誌メディアの文春を選んだという点に思うところがありました。もしかしたらほかにも垂れ込んでいたものの相手にしたのが文春だけだった可能性もありますが、この手の告発先としてかつて権威のあった旧メディアではなく雑誌を、しかもどちらかといえば芸能ニュースを中心に報じて経済ニュースはそんな専門としていない文春が選ばれた当たり、近年の文春の勢いによるものかと感じさせられます。

 以上のような感慨を持つと同時に、恐らく今後この動きはますます加速していくように思いました。こう思った理由としては先のビッグモーターの報道においては、こっちは経済情報が専門の東洋経済が比較的早期から内部告発を取り上げつつ報じており、そこへフライデーがタイヤに穴を空ける衝撃的動画を出しましたが、どちらも昔なら新聞かテレビが内部告発先となった気がします。
 一体何故、これらの内部告発者が新聞やテレビを選ばなくなったのか。理由はいくらでも考えられますが単純にかつてほど権威や波及力を失ったこともさることながら、告発先として信用が薄れてきているところもあるように見えます。

 特に直近で言えば、ジャニーズ問題に代表されるように芸能関連の不祥事の内部告発を新聞やテレビにしたところで、握りつぶされる可能性は非常に高いと断言できます。実際にジャニーズ問題は長年握りつぶされ、その検証報告も「90年代当時は本当だと思わなかった」といいながら、BBCが報じた時に何も後追いで報じなかったことについてはスルーしたあたり、全く信用がありません。松本人志氏の問題も文春が報じていますが、仮に新聞やテレビに被害を訴える人が出ていても、彼らは絶対に報じなかったでしょう。


 またTBSに至っては農協に内部告発した人物が使うのはやめてくれといっていた映像を無断で流して身分がばれる事態を招き、結果的に内部告発者は退職を余儀なくされています。TBSは過去にもオウム事件で坂本弁護士殺害事件も引き起こしているだけに、はっきり言えば一番内部告発を行ってはならない危険なメディアでしょう。
 新聞に関してはテレビほどずさんではないにしろ、やはり近年は文春と比べると見劣りすする点が大きいです。それ以上に新聞の部数減はこのところ拍車がかかっており、先日も「あと10年持つか」と語る新聞販売店関係者のまとめ掲示板を読みましたが、ビジネス的に完全に崩壊したモデルであるのに間違いありません。タレコミが来る来ない以前に、生き残るかどうかっていう話でしょう。

 また最後に補足すると、逮捕されましたがガーシー氏のようにネット配信者に告発が回るという例も近年増えています。裏取りという点で新聞や雑誌メディアと比べると不安なところがありますが、影響力というか波及力では前者をはるかに上回っているだけに、今後ネット配信者にタレコミが回ることも増えていくと思います。その分だけ、新聞やテレビへ廻るタレコミは減るだけなので、見方を変えればこの二つは今後ますますスクープが取りづらくなると言えるかもしれません。

2024年1月18日木曜日

どの業界にもスターは欲しい


 上のまとめ記事ですが、一時は「ポスト宮崎駿」といわれていたアニメ監督の細田守氏ですが、その後「君の名は」で一気にスターダムに上がった新海誠氏にすっかりお鉢がとられたことについていろいろ議論されています。それでこの見出しですが、あながちとてっつけた見出しではなく、実際かつてはこのようにしてアニメ業界は細田氏をもてはやし、かなり熱心に祭り上げようとしていました。

 何故こう断言できるのかというと、実際に当時のことを非常によく覚えているからです。具体的な時期としては「サマーウォーズ」が公開された後の2011~2012年ごろで、これから世界のアニメを率いる名監督などとあっちこっちで宣伝記事が出ていました。それと同時に、「一体何故細田氏が祭り上げられるのか」という、上記まとめ記事と全く同じ趣旨の記事を2012年当時に出ていました。
 その記事では単純に、「アニメ業界が一般にも通りのいい、スターとなる監督を欲しがっているため」と言い切っていました。最近また「君たちはどう生きるか」を公開しましたが、大仁田厚氏と同様に宮崎駿氏もしょっちゅう引退宣言を出しては撤回する人で、2012年ごろももう新作は作らないなどということを言っていました。宮崎市がアニメ業界からいなくなった後、「この人が作っている」とばかりに名前だけでも売れるアニメ監督を当時のアニメ業界は熱望しており、ちょうどそのころに名前が売れ出した細田氏がまさに格好の候補となったことで、業界の期待を集め祭り上げられるようになったという風に書いていました。

 一体なんでこんなことを細かく覚えているのかというと、友人に勧められて「サマーウォーズ」を私も見ましたが、あの作品に関して全く面白いと感じることができず、むしろそのひとつ前の「時をかける少女」のほうがよかったのにという印象を覚えていたからです。宮崎氏とまでいかずとも、細田氏が何故これほどまでに名監督だといわれるのかが端的に疑問だっただけに、上記のスタートして祭り上げようとしているという記事の内容がストンと落ちたことから、当時の空気なりもかなりはっきり覚えています。
 なお新海氏に関しては、確かにこの人はすごいと感じています。単純に背景の色の使い方が非常にうまく、またその色が映えるような展開をきちんと作るという意味でこっちは間違いなく歴史に残る人物だという風にみています。にしても細田氏との比較で言えば、なんかマー君とハンカチ王子みたいになったなぁ。

 話は戻しますが、アニメ映画業界に限らずどの業界においてもスターというのは望まれます。スターがいるかいないかで消費者の拡大や維持は大きく変わるだけに、業界がスターがいないってんなら無理やりにでも作ろうという気持ちは非常にわかります。
 例えばスポーツ業界なんかは、野球だとやはり王、長嶋時代は特別で、その後は桑田、清原のKKコンビが大いに業界を引っ張りましたが、近年は大谷選手が活躍し過ぎてなんか日本国内のスターがちょっと出辛い雰囲気になってきています。むしろOBだけど張本勲氏のほうがお茶の間にも浸透しているスターな気がします。

 またゴルフ業界についていえば、男子ゴルフなんかは石川遼選手が活躍したころは非常に盛り上がりましたが、彼以降はやyスターが不在で、それに伴い人気も凋落してきているように見えます。女子ゴルフも同様で、ばくだんいわに似ていると言われた宮里藍氏などが活躍したころは華やかなり氏でしたが、なんか近年は渋谷日向子氏しか話題にならず、また彼女も絶大というほどの浸透度を持っているようにも見えないため、業界が物凄い推しているのはわかるけどなんか暖簾に腕押しみたいにも見えてきます。

 このほかクリエイティブな業界に関して言うと、今回改めて思ったこととして、スターとなる人物が思ったよりいないのがゲーム業界です。元々、若手クリエイターで特に顕著ですが、引き抜きが激しいためにゲーム業界では制作者名をあまりアピールしない傾向があるものの、それを推しても漫画やアニメ業界と比べるとザ・この人的に知名度の高いクリエイターが少ない気がします。
 強いて挙げるとしたら、「メタルギアソリッド」シリーズの小島秀夫氏、あと「タクティクス」シリーズの松野泰己氏なんかは強い支持を受けていますが、それ以外だとアニメ業界における宮崎駿氏的な人物はあまり出てきません。まぁドラクエの堀井雄二氏なんかも通りがいいですが、ドラクエ以外あまり作らないし、制作本数もやや少ない感じがします。

 また昨日一気に炎上したレゴランドの社長みたく、ゲーム業界は世間慣れしていない人が多いのか、一時は高い知名度を得ながらもその後の発言で顰蹙を買い、フェードアウトしていった人も少なくありません。代表格は「龍が如く」シリーズの名越稔洋氏で、10年前と今とで比べるとその名前のヒット数は文字通り桁違いに下がってるでしょう。彼の場合は完全に自身の発言で人気を落としており、余計なことを言わなければシリーズも続いているんだし、高い評価を維持できたのになという気がします。

 一方、初代ドラクエの制作者でありチュンソフトの創業者である中村光一氏は、会社を経営してきただけに発言は落ち着きながら、長くこのゲーム業界をリードしてきています。ただ、発言が落ち着きすぎてて若干キャラが濃くないこともあり、一般への知名度はそれほどではなくスターだと言い切れないところがあります。いや凄い人だとは思ってますが。

 以上のようなことを帰宅途中の電車の中で考えいたところ、やはり一般にも通りのいいクリエイターがゲーム業界は少ないからこそ、よくゲーム作品のアピール時に「大物声優が出演!」などと声優名をやたら前面に出してアピールしてくるのかなということに気が付きました。なおそうした声優名を前に出したゲームはクソゲー率が高いと言われており、実際自分もそう思います。大物声優が出演するとしても、その名前をアピールしないゲームのほうが面白いことが明らかに多いです。

 それにしてもスターといえば、さっきも挙げた楽天のマー君こと田中選手のフェードアウトぶりは色々残念に感じるところがあります。先の安楽騒動での批判もありますが、いくら成績が以前ほどではないにしろ、近年の人気の低下ぶりはちょっと目に余ります。
 もっとも彼の場合、本人というよりイーグルスというチームが安楽騒動をはじめなんかギスギスしていて、ファン離れを引き起こしているようにも感じます。同じく成績の振るわない中日なんかは逆にコメ騒動などネタ的な話題に事欠かず、妙に盛り上がっているのと比べると対照的です。

2024年1月16日火曜日

周期性を前提とした地震予知に対する疑念

 元旦に起きた地震の影響で現在も能登半島では多くの被災者が避難生活を送っていると報じられており、中国にいる身でありますが心配を続けながら報道を見守っています。
 さて今回の能登半島の地震ですが、日本の地震学会ではほぼノーマークであったといわれています。実際に大地震発生予測で能登半島付近はほぼ最低ランクに入れられており、「今すぐにでも起こりうる」といわれている南海トラフ大地震と比べたら全く予期されていないも同然でした。

 この手の地震予測ですが、基本的に過去の歴史資料的な文献から予測が行われています。具体的には、江戸時代や平安時代などの日記をはじめとする文献を見て、どの地域で何年おきに大地震が発生しているのかを調べて周期を作り、直近の地震から現在まで何年離れており、周期と比較して次の地震まであと何年といった具合で確率を弾き出します。

 一見すると合理的に見える上記の予測ですが、ならば何故今回能登半島では大地震が起きないと予測していたのか。その言い訳として地震学会が述べているのは「何千年に一度というレベルの大地震だったから」というものでした。
 要するに過去に地震の記録が残されないほど、周期が千年単位にも上る地震であったため能登半島はノーマークだったということです。これは逆を言えば、記録が残らないほど周期の長い地震に関しては一切予測できないと言っているも同然であり、なおかつ周期が長いほど地震規模も大きくなることを考えると、規模が大きければ大きいほど地震は予測できないということとなります。

 こうした今回の能登半島地震予測に関する見解に加え、過去の記録から周期を類推する地震についても正直なところ、どれだけ信用できるものかと私は怪しんでいます。地震について調べていた2003年の時点で南海トラフ地震は「2004年までには必ず起こる」と地震学会などが主張していますが、現在に至るまで東海地方ではまだ大地震は起きておらず、この間に東北、能登半島で先行して大地震が発生したわけです。このほかの地域に関しても、周期で予測するといっても誤差は最低でも数年単位で、十年単位も十分あり得ることを考えると、果たして予測することに価値があるのかと疑います。

 そもそも日本の地形の特徴から言って、ほぼ全地域で大地震が起こりうる可能性があるということを踏まえ、特定の地域で大地震が起こりやすい、起こりにくいなどとゾーニングせず、全地域で地震に備えるよう心掛ける方が適切である気がします。そのうえで地震に伴う二次災害として津波が存在し、且つその被害は地震そのもの以上に大きくなることも考えると、津波が起こりうる地域の避難経路や防災対策により力を入れることも、地震を予測するよりも重要である気がします。

 以上のような見解を踏まえていると、地震予測そのものを完全に否定するつもりはないものの、周期性を前提とした地震予知はあまり重視しないというかそこまで研究に力を入れる必要はないのではないかという気がします。むしろ今後の技術革新を待たねばなりませんが、地震発生につながる地下深くの地層の変動やその兆候を見つけ出す研究のほうが、周期性をいちいち気にするよりも重要になってくると思います。
 そして何より、繰り返しになりますが日本ではどこでも大地震が起きるという前提を国民全員で共有し、災害対策や避難経路を意識して、津波への対策を強化することが一番大事だと思います。

2024年1月15日月曜日

ポスト松本人志に挙げられなかった気になるコンビ

 13日に行われた台湾総統選挙では現在の祭文英総統の後継にあたる民進党候補の頼清徳氏が当選しましたが、この選挙戦の最大のMVPは選挙干渉しようとした大陸側の中国政府でしょう。ぶっちゃけ台湾の人たちは大陸側が干渉すればするほど民進党への支持を強めており、そういう意味では中共は民進党候補を勝たせるためにわざと、かなりバレバレな選挙干渉やってるんじゃないかとみていて逆に疑います。
 っていうか誰か「北風と太陽」の絵本を北京に送ってあげるべきでしょう。口先だけでも「平和裏な統一を目指す」といっておけばいいのに、武力統一も辞さないなんていちいち言ってれば民進党を応援しているも同然です。胡錦涛政権だったら、こうも武力を誇示しなかったろうな。


 さて話は本題ですが今も報道が続く松本人志氏の騒動を受けて、上の記事のように彼の出演が取りやめとなった番組、芸能界において誰がその穴を埋めるかという議論で、吉本所属以外の芸人ばかりが候補に挙げられています。実際にというかこの10年くらいの間に芸能界、特にお笑い業界に関しては吉本一強でなくなっており、まとめ記事にもありますが今吉本の身代を支えているのはお笑いビッグ3の一角である明石家さんま氏でしょう。
 もし彼が引退などしていなくなった場合、多分吉本は今のままではいられず、養成所の閉鎖を含め事業の縮小を余儀なくされると思われます。なんかこう書くと、明石家さんま氏が蜀漢の諸葛亮みたいだな(;´・ω・)

 さてそんな後釜候補について語り合う上の掲示板ですが、これ見て真っ先に思いついたこととしては「ナインティナイン」について誰も言及していないな」という点です。90年代後半における吉本の比較的若手な芸人においてはこのナインティナインが間違いなくトップで、爆笑問題らも当時売れ続けるナインティナインを見て羨ましかったと語るほどでした。
 その勢いは00年代も続き、と書きたいところですが、00年代に入ってからは先の爆笑問題やくりぃむシチューらが台頭し、特に司会を受け持つ冠番組で彼らが席巻するようになります。そして10年代に入ると大器晩成というか元猿岩石の有吉氏が突然の復活とともに多くの番組を持つようになり、同じく多数の番組で司会をするマツコ・デラックスと並んでバラエティ番組を席巻するようになります。

 近年、ナインティナインの二人が司会、出演する番組で話題になることと言ったら、ゴチ企画のメンバー交代の時くらいしかニュースで見ることがありません。っていう過去の企画も内心、ナインティナインの二人が出る必要があるのか、ほかの芸人にやらせたらもっと視聴率取れるんじゃないのと、企画内容がメインコンテンツであるように見えるだけに、前からこのコンビの視聴率への貢献に関しては疑問に思っています。
 私自身が余りナインティナインのファンではないことも影響しているかもしれませんが、それを踏まえても近年の彼らの露出低下は90年代の活躍を知るだけに結構深刻であるように感じます。実際にというか上記のダウンタウンの後釜議論においてもナインティナインの名前は一切出てきておらず、私以外の人たちの間でもナインティナインのフェードアウトはかなり激しくなっているように見えます。

 この辺について背景とかいろいろ述べるとしたら、結局のところダウンタウン以降、幅広い層に人気を持つタレントを吉本が育てることができなかった、否、見つけることができなかったということだと思います。吉本は養成所を作るなどして多くのタレントを輩出することには成功していますが、やはりこの世界は才能が物を言うというか、究極ともいえるダイヤの原石をこの30年くらいの間に見つけることができなかったような気がします。
 まぁ有吉氏の例のように、一度芸人として終わったと思われた人が不死鳥の如く復活して視聴率をかっさらうこともあるので一概にこうと言い切れませんが、ナインティナインというかつてのエースのフェードアウトぶりを見ると、これ一つで吉本の力の落ち込みを強く感じさせられます。

 まぁ吉本の中でも、陣内智則氏は司会もギャラリーもワイプも何でもできるし、もともとピン芸人だからネット配信もこなせるなどものすごい万能ぶりだから、彼が引き立つ番組をうまいこと作れたら松本氏の穴は十分埋められるんじゃないかと内心思っています。むしろ彼が、もちろん今でも十分人気ですが、現状程度の人気でとどまっているのがひそかに不思議に思っており、もっと彼は売れるとかたくなに信じています( `ー´)ノ

2024年1月13日土曜日

キックバックを含む政界の金問題をどう規制すべきか

昨日今日の上海は急に春めいた陽気となって今日の昼間の気温は15度を超えていました。気温と湿度が上がったのと暖房の使用が増えたことからか、今週はほぼずっと街中では霧というかスモッグが立ち込め、昔の上海みたく濁った空気が懐かしくてなんか自分も元気になりました。空気がきれいな中国なんて中国じゃない。

 話は本題ですが自民党の安倍派を中心としたパーティ券キックバック問題について、検察はすでに逮捕、起訴した面々を除いて、これ以上の立件は見送るとの報道が出て、日本人の間からは不満が広がっています。ただ報じられている通りに共謀の意思を証明するのは難しく、またすでに死んでいる安倍、町村に責任を擦り付けられる状況でもあるので、このような結果になるのは私も仕方ないかと思います。
 かといってこの問題を放置すべきではなく、現行法でさばけないなら新しい規制法を作り、爾後に備えるというのがより建設的であるような気がします。

 では具体的にどう規制すればいいのか。結局のところ政治資金規正法の最大の欠陥は何かというと、会計報告書に未記載や誤記載があっても後で修正してしまえばいいという点です。もちろん悪意を持った未記載や誤記載であれば完全にアウトですが、この悪意を証明することが難しく「うっかりやっちゃった(*´σー`)エヘヘ」という風にバレバレな嘘でもつかれたりしたら、よほどの裏証言でもない限りは立件は不可能です。
 この点、過去に企業会計絡みで捕まったホリエモンなどが企業会計と比べるとずるいと主張していますが実際その通りで、企業会計だったらこんな風には通らず、最低でも追徴課税が発生するでしょう。

 以上を踏まえて言うと、「ばれたって素知らぬふりして修正すればOK」というのが最大の欠陥であるように思え、立件の基準を「悪意を持って収入を秘匿やごまかそうとした」ではなく、「会計報告書に修正すべき事項を設けた」という点に設定するのがいいのではないかと思います。具体的には、政治家事務所の会計報告書に未記載、誤記載があった時点で即アウトという風にすることを自分は推奨します。

 そうはいっても一切のミスなく会計報告書を作成するのは不可能、と言い訳する議員もいるのでそうした雑音を封じ、誰がどう見たってアウトかそうでないかの基準として、修正金額ではっきりした基準を作ってはどうかという風に考えています。こちらも具体的に挙げると、

・単年度に1000万円以上の修正が発生
・議員在籍の直近6年間において単年度300万円以上の修正が2度発生
・議員在籍の直近6年間における修正の累計額が1000万円超

 上記の3条件のどれか一つを満たした時点で、どんな修正内容であるかに係わらず即刻で議員資格停止という罰則を設けたら、みんな目の色変えてきちんとした会計報告書を作り、なおかつ裏金も作らなくなるんじゃないかと勝手に考えています。
 モデルケースとして、ある衆議院議員が初年度に300万円超の修正が発生した議員は、次また300万円の修正が発生した時点で議席喪失となるほか、残りの5年間に700万円(1年あたり150万円)の修正が発生しても同じく議員喪失になるというわけです。

 上記の期間と金額について少し解説すると、期間を6年としたらのは参議院議員の任期で一区切りつけようと考えたためです。次に金額については、1000万円は単純に切りがいいのと、国民にもわかりやすい基準だと思うからです。300万円に関してはツーアウト制にするにあたっては合計で1000万円を下回る水準にした方がいいかなと考えたためです。

 とはいっても、この規定を作ったら恐らく議員らはそんな詳細な会計報告書を作れないし、不意のミスにより修正が発生してしまう恐れがあるなどとまた言い訳してくると思います。ならば、会計法っく所の公表前に財務省の会計検査院が監査する制度を設け、公表前に完了に収支内容に問題ないか調べてもらったうえで公表するという制度にすればいいと思います。それで修正が発生したら、会計検査院が悪いか、会計検査院にきちんと収支情報を出さなかった議員本人が悪いってことになるんだし。

 これでも、企業改易と比べたらかなり金額的に甘い規制だと断言できます。「無視、修正しても特に問題ない」とされる会計上の重要性の基準値は大体どこも税引前利益の5%であり、この基準からすれば上記の1000万円という基準額なんてざるもいいところだと私自身も思えるだけに、破ったら即議員資格停止としても全く問題ない数字だという風にみています。こんな感じで、破ったら問答無用に終わりという罰則を設け、キャッチオールで政治と金の問題を処理すれば世の中ハッピーじゃないかと思います。

 まぁもう一つ案を出すとしたら、上記の基準を破る議員が一人でも出た場合、議員資格は停止しない代わりに、その議員が所属する政党に政党助成金の交付を停止するっていうのも十分ありかなっていう気がします。金の問題は金の規制によって制すというのが常道でしょう。

2024年1月11日木曜日

堕落したと思う検事

 先日、お勧めに表示されていたので先に亡くなられた半藤一利の「坂口安吾と太平洋戦争」という本を読んでいます。こちらは太平洋戦争期における坂口安吾の行状や視点について、生前に彼の担当編集者として原稿受け取りなどで直接やり取りした半藤一利が当時の思い出を語りつつ、坂口がどのようにあの戦争を見ていたのかを推測する内容となっています。
 なお坂口の家に直接寝泊まりした際に半藤が、「風呂に入るときにふんどしをそのままタオル代わりに使えば、ふんどしも洗えて一石二鳥だぞ」と坂口に言われたと書かれています。さすがにやらなかったそうですが、「合理的な考え方の人だった」と評しています。

 さてその坂口の代表作といえば「堕落論」と「白痴」で、恐らくこの二作品がなければ平成の世まで語り継がれる作家とはならなかったほどの影響力を持っています。私もこの二作品を読みましたが、特に前者の「堕落論」に関してはまだ高校生だったこともありいまいち読み込めず、何となく無垢な人間はかえって美しいということを言っていたのかと読み取っていましたが、解説文を読んだら全然違う風に解説されていました。
 具体的には終戦後に自信を失っている日本人全体に対し、特攻隊員などはその命をなげうってまで国家に尽くそうとして、その崇高な精神については否定のしようがないと踏まえた上で、今回戦争に負けた後はそのような国家に捧げるといった崇高な精神を持ちつづける必要はなく、崇高な精神から堕落といわれようと、自分本位に利己的な人間になり下がっても何も悪いことはない。堕落といわれようが、そもそも人間ってのは自分本位な生物なのだし、元の姿に帰るようなものじゃないかといったような、戦後における自己本位への価値観の転換をためらうな、悪くないと訴えかける内容だったそうです。

 改めて見ると非常に的を得ていると思うと同時に、あの当時の時代背景を考えるとこうした言葉、特に「価値観を変えても悪くないよ」という言い方は本当に世の中に求められていたと思います。そしてこれは終戦後の一時期に限らず現代においても通じるというか、ルネサンス的に自分本位で利己的であってもそれを許そうという提唱につながる気がします。

 そんな堕落論の解説を読んだ上で、坂口の堕落論の本旨とは異なるのですが、近年の現代人で「堕落」という言葉を意識している人はどれだけいるのか、この点が自分は気になりました。

 そもそもこの10年くらいの間、活字に「堕落」という言葉を自分はほとんど見た覚えがありません。しいて言えばファンタジー系のゲームや漫画で、天使と聖職者が「堕落」する展開で使われているだけで、そういう聖なる霊的なもの以外の普通の人間にはほぼ使われているのを見ないですが、現実には堕落というか、一度上がった高みから落ちていく人間というのは少なくないと思います。

 私自身も、「外食に千円も使うなんて外道だ(# ゚Д゚)」などと学生時代に吠えており、日々貧しい食事で糊口をしのいでましたが、今現在となると普通に千円以上で外食もし、「ためてばかりじゃなくこうしてお金使わないと経済はよくならない」などと言い訳を口にするようになっています。もちろんこうした言い訳はおかしいものではないと現在は考えていますが、学生時代と比べるなら自分の精神の糊口さというか自分を高みに置こうという意識は、確実に薄れています。

 もっともここら辺は自分自身の中で完結するのでそこまで問題ではないでしょうが、中には権力を持ちながら精神が明らかに堕落した人間も少なくなく、この手の輩は昔から存在はしますが、堕落を自らは全く意識しない有様には閉口をします。それこそ権力を握るに至るまでの初心にあった崇高さは影もなくなっており、そうした意識が今あれば、どれだけ救われる人がいるんだろうという気持ちを見ていて感じます。

 具体的に指名すると、大原化工機冤罪事件を担当した塚部貴子検事です。彼女はかつて郵便障碍者割引事件に絡む村木厚子氏の冤罪事件で前田恒彦が証拠を捏造した際、当時の検察の上司にこの捏造をしっかり認めないのであれば辞職するといっていたと報じられます。それから約10年の時を経て現在、彼女はこの大原化工機事件で検察側にて明らかに冤罪を主導する立場を維持しており、村瀬氏の事件の際に彼女がとった行動を取る人間が、今の彼女のそばにいないというのを寂しく思うと同時に、近年ではっきり「堕落」を覚える人物だというふうにみています。

 なお前田恒彦に関しては証拠捏造というあれだけの事件を起こしておきながら、Yahooのコメント欄でしたり顔して法律、捜査関連の記事にオーサーコメントを入れているのを見ると非常に強い嫌悪感を覚えます。しかもしょうもない法律系ニュースにコメントを入れるくせに、この大原化工機の冤罪事件については一切触れないあたりは何様だという気がします。
 仮に彼が別の分野で再出発するというのであれば私も応援しますが、少なくとも証拠捏造という権力執行者が絶対にやってはならない行為に手を染めたのだから、法律や捜査関係からは一切足を洗うのが筋だと思います。YahooもYahooで、何故彼を排除しないのかという点で私は不満を覚えます。

 ちょっと話がそれましたが、塚部貴子検事のように当初は崇高な意識を持っている人間であっても、その後意識が変わって堕落するというのは世によくあることです。精神の堕落そのものは坂口安吾の言う通りに何も悪いわけではないですが、堕落を意識せず、ねじ曲がった精神で権力を行使する人間というのはやはり社会にとっては害悪でしょう。

ソフトバンク和田選手の人的補償報道を見て

【速報】ホークス甲斐野投手が西武ライオンズに移籍 山川穂高選手の人的補償 和田投手に打診も方針転換(テレビ西日本)

 今朝起きがけにYahooニュースのヘッドラインを見たところ、「ソフトバンク・和田、西武が人的補償」という文字を見て文字通り腰を抜かしました。その後、最終的に西武は上記リンク先記事のように甲斐野選手の指名で合意したことを発表しましたが、和田選手の指名打診について否定はしておらず、また関係者の先日までの発言との間にぶれがあることから、テレビ西日本が指摘しているように、日刊スポーツがスクープした通りに当初は和田選手の指名を打診していたと私も思います。

 この件、やはり後ろ指をさされることになるのはソフトバンクでしょう。いくらロートルとはいえ近年コンスタントに勝利数を重ね、また長く球団にあって精神的支柱ともいえる和田選手を指名が来ないだろうと見越したのかプロテクトから外していたなんて、いくらなんでも考えが甘すぎるでしょう。逆に西武からしたら和田選手は本当にお得だったというか、彼一人抜くことでソフトバンクの先発ローテに穴を空けることが可能であっただけに、自軍のみならずソフトバンクを弱らせる意味合いでも最善の一手でした。
 っていうか先発ローテをプロテクトから外すなんて、正気の沙汰じゃないにもほどがある(;´・ω・)

 そのうえで、今回の騒動は記事や掲示板などでも指摘されている通りに実際に和田選手がプロテクトから漏れていて西武が指名したところ、ソフトバンクが泣きを入れて甲斐野投手に切り替わったとみてほぼ間違いないでしょう。そのうえで、これに関しては確かめようがないでしょうが甲斐野投手はもともとはプロテクトに入っていたという説も真実味があります。年齢も若く救援投手としての去年の実績は立派なもので、彼もプロテクトに入れていなかったとしたらソフトバンクの編成は正気の沙汰じゃありません。
 つまりは、和田選手の指名を回避してもらう代わりに、本来プロテクト対象だった甲斐野投手をソフトバンクは差し出したとみられます。これは噂レベルではあるものの、私にもそう思える、っていうかそうとしか思えない状況証拠が多すぎる気がします。

 以上を勘案すると、ちょっと今のソフトバンク編成はおかしい水準にあると思え、だから去年までの3年間にオリックスに優勝をかっさらわれるなど詰めが甘いのも納得感があります。っていうか和田選手を外すって、ほんと何考えてるんだろう。

2024年1月9日火曜日

松本人志氏で気になった過去の言動

 昨日音の出るおならが出そうになった際、「拳銃みたいにおならのサイレンサーとかないだろうか?」などと考えたものの、あったらあったでどこに差すのかを考えたらやっぱいらないやと思い直しました。仮にあって使ったとした場合、どんな音になるんだろう。

 話は本題ですが依然として能登半島の大地震被害がニュースの主役ですが、昨日から今日にかけては久々に芸能ニュースが大きく騒がせています。そのニュースというのは言うまでもなく人気タレントの松本人志氏の謹慎発表で、最初の文春報道時はみんな大人しかったのに今回の発表が出るや芸能関係者らが急に口を開くようになったのは内心どうかと思います。

 ただ、この騒動の発端になった文春のセクハラ報道に関しては、本当なのかどうかを含め正直私はあまり関心がありません。松本氏のファンではないということが大きいのかもしれませんが、発生時期がそこそこ前なのを考慮すると一部でも指摘されているように、ジャニーズ問題と違って女性側が何故今になって急に声を上げたのかがやや不審だと思うし、どことなく泥仕合になりそうな感じで見ていてあまり面白さを感じません。
 もっともこの件で関与しているとされるスピードワゴンの小沢氏について、今日になってようやく活動を続けることが発表されましたが、これまで一切動静を伝えず、また吉本側と足並みをそろえていないのを見ると、こっちもこっちでやっぱ不審だなとは思っています。

 そんなセクハラ疑惑よりも、実は以前の松本氏の発言で気になるものがありました。その発言というのもこちらです。


 上記の記事はは4作も作ったけどどれも一切ヒットしなかった映画に関して、「映画が好きじゃなかった」と言ってのけた松本氏の発言を取り上げたものです。やや気にし過ぎかもしれませんが、ちょっとこの発言を聞いて今回のようなスキャンダルがきっかけになるとは思わなかったものの、つまらないことで足をすくわれ、お笑い界の大御所にはなれないだろうなと内心感じました。

 一体この発言の何が気に入らなかったのかというと、ヒットしなかったとはいえ一生懸命映画製作に協力してくれたスタッフらに対する配慮がまるで感じなかったからです。いうまでもなく映画は一人で作れるものではなく、実際に作るとなったら多くの人出と資金が必要です。
 実際にというか松本氏の映画製作資金は松本氏個人のポケットマネーではなく、その大半を吉本が負担したといわれ、そのあまりの興行成績の不振により吉本の財政は大きく悪化したとも聞きます。この点、映画製作資金が足りなくなるや急にCMや映画、ドラマに出始める北野武氏とは大違いです。

 話を戻すと、そのように資金を含め多くの人間が関わった過去の映画製作に対して、「好きじゃなかった」と今になってこのような言い方をするのは果たしてどんなものかと正直感じました。たとえそのように思ったとしても支えてくれた人たちのためにもこれは絶対に口にしてはならないと思う内容だと私には思え、言うにしても1作目でこけた後ならまだわかるものの、4作も立て続けに興行的に失敗した後でこんな風に言うなんて、何考えてるんだという気持ちを覚えました。
 せめて「自分が映画作りに向いていないことが分かった」であれば自戒がこもっておりわかりますが、映画好きじゃないんだったら初めから作るなよと言いたくなります。そもそも、ウッチャンナンチャンの内村氏のように自分が見た映画の批評なり感想を日ごろから口にしている人と比べると、松本氏が既存の映画作品について何か口にしたことを聞いたことがないだけに、多分映画そのものに初めから興味なんてなかったんじゃないかと疑っています。ならなんで作ったかっていえば、単純に功名心からでしょう。

 もちろん、功名心から映画を作ること自体は別に何も悪いことだとは思いません。ただせめて支えてくれた人に対する感謝なり配慮なりは持つべきだと思うのに、それを一切持っていないかのような上記の発言を聞いて、「ああこの人は周りの支えてくれる人たちのことをもう全く意識しなくなっているんだな」という印象を覚えました。そのうえで、古来よりこうした周りの人たちに配慮しない人物が大成することはほぼないだけに、今でこそお笑い界の大御所といわれるがどこかつまらないところで転げるだろうなという予感を抱きました。まさかこんなに早いとは思いませんでしたが。

 逆を言えば、どんなクソ映画を作ったとしても「スタッフたちは一生懸命やってくれました」という監督は、いつか這い上がれる、ヒット作を作る可能性があると感じます。監督というのはヒット作を作れば称賛を、失敗作を作れば批判を一身に受ける立場であるだけに、そうした覚悟が初めからないのであればそもそも手を出すべきではありません。そういう意味で、こと映画に関しては松本氏の覚悟のなさに私は正直呆れた見方を持っています。

2024年1月7日日曜日

大河でやるべきなのは北条氏では?

 このところのテレビ離れも反映しているのか、NHKの大河ドラマは年を追うごとに評判が悪くなっている気がします。朝ドラも「あまちゃん」あたりがピークで近年はニュースの話題にすらならなくなっており、視聴者もどんどん縮小していることを考えると今後もさらなる縮小を続けるのではないかとみています。

 さてそんな今年の大河ドラマは全然内容を調べていませんが、源氏物語の作者である紫式部が主人公とのことです。
 関係ないけど源氏物語大好きな日本語に堪能な知り合いの中国人OLがある日源氏物語の話題を振ってきたので、「あの作者、日記に同時代の女流コラムニスト(清少納言)は高慢ちきでいけ好かない奴だとめっちゃ悪口書いてたよ(´・ω・)」と教えてあげたら軽く引いていました。

 話は戻しますが今年の大河は内容が余り史実に沿わず、また篤姫以外の女性主人公の大河ドラマは朝ドラを意識したファンタジーな展開が多くてあまり評判が良くないこともあり、前評判はあんまいいように見えません。かといって毎年ファンが付いてきやすい戦国時代ばかり取り上げるわけにもいかず、なんかよくわからないノリでファンタジーでもいいから平安時代をやるようになった感がある気がします。

 なら一体どんな大河ドラマだったら受けるのかですが、個人的には近年徐々に研究が深まり、関心も高まっている後北条こと、戦国時代に小田原を拠点とした北条氏一族を取り上げるのがベターなんじゃないかとひそかにみています。
 戦国時代は基本的に近畿と東海に注目が集まり関東はあまり取り上げられないのですが、もう一つの理由として当時の関東は非常に勢力争いが激しいうえに群雄割拠が続いており、あまりまとまりがないというのも関心が低くなる理由だと思います。そんな中で北条氏が徐々に勢力を拡大し、一時は上杉謙信と激しい攻防を繰り広げますが、こちらがひと段落ついてからというものは関東支配をほぼ確立しています。

 最終的には秀吉の小田原征伐によってその歴史を閉じることとなったものの、北条氏の時代の関東地方は非常に治安が行き届き、また検地が熱心に行われていたことから当時の各地の石高なども事細かに記録が残されているといわれます。実際、小田原征伐の際に住民らはこぞって北条氏に味方したといわれ、領民の信頼を強く得ていたそうです。
 それ以上に、伊勢新九郎こと北条早雲はかつては素浪人から大名になりあがったといわれていましたが、実際は京都の室町幕府直参、つまり中央官僚で、関東の混乱を視察し、収拾するために派遣されてきたことが近年になってわかってきました。その中央官僚が何故関東に覇を唱えるようになったのか、この辺は親戚関係にある今川氏との絡みを含め今後の研究を待たねばなりませんが、こうした最新の知見を一般に広めるうえでも北条氏で大河ドラマを作る価値はあるような気がします。

 もっとも北条氏を主役に取り上げた場合、如何に武田信玄が信用のならない奴だということがはっきり見えてくるため、山梨県辺りは制作に反対するかもしれません。マジで北条市の視点で見ると、武田信玄は藤原竜也氏が演じてばかりいるクズにしか見えなくなってきます。

2024年1月6日土曜日

中国のネットローンの問題性

【官製アプリ開発の実態】新型コロナ接触確認アプリCOCOAはなぜパッとしなかったのか?(ロボティア)

 配信自体は去年でしたが紹介してなかったので、遅ればせながらこちらの記事をこの前書いて載せました。失敗プロジェクトとして2回連続で官製IT案件を取り上げましたが、変に分けるより2回連続でこの手の話をやった方がいいのかなという思惑からで、明日書く予定の記事ではソフトウェアではなくハード案件にするつもりです。

 それで話は本題ですが、大体2年くらい前に上海人の友人から、「最近中国ではスマホなどで利用するネットローンが急拡大し、返済に困る人が増えているなど大問題になっている」といわれ、この問題をぜひJBpressで記事化すべきだと言ってきました。ただこの友人に対し私は、日本のサラ金のほうが大手を振ってやっているのに比べると中国のネットローンはそこまで深刻だとは思えないとして、この友人の提案を断り、結局記事化しませんでした。

 そんな感じで数年の時を超えた現在、昨日にちょっと中国人の同僚に大学時代の生活について尋ねたところ、このネットローンの話が少し出てきました。というのも、親の仕送りに満足できない子が一部使っていたという話だったのですが、これを聞いてようやく自分もこのネットローンの問題点に気が付くことができました。

 知ってる人には早いのですが、中国の大学生は基本アルバイトをしません。しないというよりできないに近く、学生アルバイトを募集する企業や商店がほとんどないためです。その理由は何故かというと日本ほど中国の学生は自由な時間が多くないというのもありますが、中国の場合だとフルタイムの労働者もその辺にたくさんおり、パートタイマーを雇うくらいならフルタイマーを雇った方が店の側にとって都合がいいため、アルバイトをいちいち募集しないという背景があります。
 そのため、中国の学生の収入は基本的に親の仕送りと奨学金頼みとなり、家賃なんかは基本的に大学の中に寮があるので比較的安く抑えられるものの、食費や生活費は全部親の采配次第となります。

 さて、そんな中国人の大学生がネットローンを使ったらどうなるのか。恐らく使うとしても大半の人は「どうしても欲しいものがあるから今月使って、来月の仕送りから返済しよう」的に、消費の繰り上げ的に使うと思います。しかしある意味で最も消費意欲が高い年代ともいえることを考えると、消費能力を超えて、具体的には月1000元(約2万円)しか仕送りがないのに5000元(約10万円)を借りてiPhone買ったりした場合、果たしてその後に返済できるかとなるとだんだん怪しくなります。

 日本であれば仕送り以上にお金を借りたとしても、アルバイトの時間を増やしたりするなどして収入を増やすことにより返済に至ることができますが、中国だとアルバイトによって収入を増やすことはそもそもできません。そう考えると、何かの拍子に消費能力を超えた融資を受けてしまうと、親や友人に泣きつくしか中国人の大学生はできなくなります。

 以上を踏まえると、中国の大学生は消費意欲が満々ながら収入が制限されているため、こうしたネットローンはかなり危険な果実なのではないかという見方がもたげてきました。しかもこのネットローン、本当にスマホ一つですぐに契約できたりするので、親の目が届きづらい点もあります。
 実際、ものすごい金額を借りて首が回らなくなる若者増えてきているといいます。特に中国なんか高校までの勉強がものすごい厳しくて大学デビューする若者も多いと聞くだけに、見ていて危うさしか感じません。

 以上を踏まえると、18歳以上という条件だけでこの手のネットローンを使わせるのは、中国だとかなり危険であるような気がします。実際に就労しているなら話は別ですが、扶養されている学生の間であれば親の承認が必要とするなどの対策が、中国だと必要であるような気がします。

 なお中国人の友人はネットローンは金利も高いと話しており、先ほど調べてみると5%から20%台まであり、確かにこれは中国の市場金利と比べても高めな印象があります。なお日本のサラ金の金利は18%など10%台後半に集中しており、これと比較すると確かに高いでしょう。

 ちなみに自分はサラ金などの消費者融資はこれまで一切利用したことがありません。そんなに消費しない、っていうか生活費以外には漫画とゲームとプラモにしか使わないため貯金はたまっていく一方なため縁がないのですが、高額のために1回くらいは利用してもよかったような気がします。

 最後に余談ですが、前述の通りに中国の大学生は親の仕送りに頼る生活をしているため、人によっては非常につつましい生活を送っており、贅沢をかなり我慢しなければなりません。自分の友人の中国人も2000年代前半に学生だった頃、仕送りは月400元でその中で食費などの費用を賄っていたのですが、「どうしても我慢できなかった……」といい、ある日イージスガンダムのプラモを月の仕送りの半分に相当する200元で購入するという賭けに出たそうです。
 これを聞き、日本人からすればちょっとした消費に思えるガンプラが、当時の中国の若者にとっては生活を犠牲にして初めて得られる高価な贅沢だったということを知り、なんかすごい衝撃を受けました(;´・ω・)

2024年1月4日木曜日

自然に対する養老孟司氏との認識齟齬

 養老孟司氏といえば書籍「バカの壁」でおなじみの解剖医で、現在も講演や執筆活動を旺盛に行っています。「バカの壁」が出たのはもう随分と前ですがその発売時は大いに話題となってベストセラーとなり、当時はよくテレビにも出演していたのを覚えています。
 私も当時、よく売れて話題になっているということからこの本を手に取って読んでいるのですが、自分でも非常に不思議なのですが、「バカの壁」の定義を含め、この本に何が書かれていたのか当時も今も全く覚えていないのです。

 読んだ本の内容が全く記憶に残らないなんていうことは他にはほとんどなく、同時期に読んだ渡辺淳一の「鈍感力」なんかかなり良く覚えているだけに、自分がなぜ「バカの壁」の内容を全く覚えていないのか当時から非常に不思議でした。そのため、「バカの壁」は確か3回くらいは繰り返し読んだはずなのですが、それにもかかわらず内容を覚えることができませんでした。
 一体何故「バカの壁」は私の記憶に残らなかったのか。結論から言えば、私と養老氏で根本的な価値観や考え方が大きな開きがある、特に自然に対する認識で大きな齟齬があるためではないかと、この度ようやく気が付きました。

 なんで急にこんなことに気が付いたのかというと、養老氏の別の本を読んだのがきっかけでした。その本は最近文庫化された「自分は死なないと思っているヒトへ」という本で、養老氏の結構前の講演内容をまとめた本です。
 主に生活スタイルが都市化していくことで意識ばかり先行するようになった現代社会の特徴を指弾する内容となっているのですが、この本の中で養老氏は「自然」こそが大事で、その対となる存在にあたる都市、人工物に対しては全体を通して批判的に語っています。

 この養老氏の言う自然についてですが、養老氏が子供だった頃の鎌倉にはたくさんの自然があり、趣味の昆虫採集にもいそしむことができたなどという風に語られます。そのうえで、海外、特にブータンなんかはこの手の自然が残っており、東京などには公園などはあるけどああいうのは人の手が入った人工物であり自然ではないと否定しています。

 以上のような養老氏の自然観を読んでいる最中、自分の中である疑問がもたげました。具体的には、「真冬で極寒の中にある北海道の平野とか、水一滴存在しない高所山岳地帯などは、養老氏の中の自然に含まれているのか?」という疑問です。
 書籍を読む限り、養老氏が「自然がある場所」として挙げられている環境というのはどれも、昆虫がたくさん生息する森林しかみられません。そうした場所の自然のありがたみや恵みについて養老氏は度々強調しているのですが、私にはこれが腑に落ちず、そもそも自然というのは恵みだけをもたらす存在ではないという風に認識しています。

 前述に挙げた、人間、それどころか虫を含むほとんどの生物にとって生存し続けることが困難な場所もまた、人の手が全く入っていない自然地帯です。むしろ、森林以上にナチュラルな場所だとすら考えています。
 そのうえで、自然というのは人に恵みをもたらすだけでなく、時に善人であろうと悪人であろうと関わらず、容赦なくその命を刈り取る厳しさも持っていると考えています。人が死ぬほどの暑さや寒さ、そして乾燥だけでなく、台風や地震などといった災害もまた自然の一部だと私は考えており、ただ一方的に人へ恵みをもたらしてくれるありがたい存在ではありません。敢えて例えるなら人を導く一方であっさり消し去ることもある、一神教における神のような二面性を持った存在として私は自然を見ています。

 そうした見方から私は自然に対し恵みをくれるありがたい存在とは見ず、如何にしてその逆鱗に触れずにおこぼれに預かるかを考える、畏怖の対象としてみています。そもそも自然を管理、支配するということは人類にとって土台無理な話であり、昨今の環境対策とかに関しても、人が及ぼせる範囲内で自然を人類にとって有利な方向へ誘導する程度の小細工に過ぎないという風にも見ています。

 あくまで私の解釈ですが、養老氏の自然に対する概念にはこうした自然に対する畏怖感、そしてその厳しさに対する警戒感が見られず、自然はいいものと全面肯定しているようにしか見えません。そのうえで都市、人工物に対し非常に否定的なことを何度も述べられていますが、私は人が密集して暮らす都市ができたからこそ人同士の距離感など初めて得られた感覚もあると思え、「都市だからダメ」という風に言い切ることは早急ではないかとも思います。

 そもそも前述のような認識から、私は自然そのものが美しいとは思っていません。あくまで自然というのは美しさも内包しているだけで、むしろその全容は呵責なく人間を一度に大量に弑することもある恐ろしさをはらんだものとみています。
 そうした自然の脅威に対し、寒さや暑さの対策を盛り込んで組まれた住宅や、水害を防ぐための信玄堤をはじめとする治水措置などは完全な「人の手によるもの」でありナチュラルな存在ではありませんが、私はこれら人工物は自然の脅威を抑えようとする人類の叡智の結晶であり、そこには強い美を内包していると考えます。

 また養老氏が「人の手が入ったもの」と批判する公園、特に庭園などに関しては、自然の中に含まれる美を人間が見出し、抽出、再構成したものであり、これこそが自然の美であるとも私は考えます。山岳地帯の風景など、全く人の手が加えられていない自然の美も確かに存在するとは思いますが、人の手が入ったからと言って自然の美ではないと全否定するのは間違っているような気がします。

 以上のように、自然に対する認識で私と養老氏の間にはかなり埋めがたい認識の齟齬があるように思え、恐らくこの根本的な価値観の違いから、養老氏の主張する内容を私がほぼ全く飲み込めず、その著作を読んでも記憶に残らないのではないかと思います。
 そのうえで養老氏が述べる「自然」というのは、はっきり言えば子供時代を過ごした鎌倉の風景、いわば憧憬のことを言っているのではないかという気がします。だから人を寄せ付けない自然は含まれないし、当時の鎌倉とは程遠い現在の東京などの姿を否定的に語っているのではないかと思え、この辺の「自然」という言葉の定義の差が、自分との間で認識齟齬を生んだのではないかと推測しています。

2024年1月3日水曜日

能登半島地震と羽田空港事故に対する中国人の反応

 日本はまだ三が日でしょうが自分は昨日から普通に働いています。ただオフィスの日本人はほぼ全員が日本に帰省中とあって、自分とチーム内の後輩一人だけがオフィスにきて出勤しました。
 そんな三が日の今日、一昨日に能登半島での地震があり、昨日には羽田空港の接触炎上事故があって、「まさか三日連続で大きな事件が起きたりしないだろうか」とやや戦々恐々な気持ちでニュースを見ていましたが、地震被災者の救援活動こそ続いているものの、今日においてはまだそこまで大きな事件や事故がなく、ややほっとする気持ちでいます。

 そんな大きなニュースが新年早々二日連続で続いた日本ですが、中国においてもこれらニュースはトップニュースとして報じられています。その反応についてあくまで自分がネットでさらっと見て、周りの中国人同僚に話を聞いた限りの水準で話すと、まず能登半島の地震については発生当初、そこまで大きく関心は持たれていなかった気がします。
 四川省などの内陸部は別として、中国の大半の地域は基本的に地震と縁がなく、日本で震度7と聞いてもどれほどの災害なのかいまいちピンと来ていない気がします。また発生当初は死傷者を含めた被災状況がまだ詳細にわからず、報道でも映像がまだあまり報じられなかったこともあり、何となく中国の報道を見ていると実態より小さく報じられているような印象がありました。この点に関しては、関心が低いというより感覚がつかめないところが大きいと思え、仕方ない気がします。

 一方、昨日の羽田空港の事故に関しては発生当初より大きく注目されました。自分自身も、報道を見た中国人の友人から連絡があって初めて事の次第を知ったのですが、その後に海上保安庁の機体からは死傷者がでてしまったものの、日航機の乗客乗員は全員避難できたという報道を見て、中国でも非常に大きな驚きとともに受け止められています。
 同僚が送ってくれたネットのコメントでは、「俺はこれからは多少値段が高くてもJALの便を使う。彼らはその優秀さを証明して見せた」といった内容が書かれており、基本的にJALの対応を褒める内容で溢れています。実際、それだけのすごいことをやってのけたと私も考えています。

 一方、中国で当初一部で報じられた内容には、「民間航空機が軍用機に接触し……」という風に、海上保安庁をどうも海上自衛隊と誤解したような記述がみられました。友人なんかまさにこれに引っかかっていたので、海上保安庁はさすがに軍ではないと訂正しました。
 まぁ自衛隊も軍隊ではないと日本政府は言っていますが、さすがにそれは無理があると自分は考えています。

 ちなみにたまたまですが、中国人の同僚がこの年末年始に初めて日本を訪れていたのですが、その初めての日本旅行で東京とはいえ能登半島の地震の揺れを体感した上、発生後とはいえ、事故当日に羽田空港を訪れていたというのを今日聞きました。事故の影響で出発が遅れたものの上海行の便は夜中に出発することができ、今日早朝に上海についたそうです。でもってほとんど寝ないまま、今日出勤してきました。

2024年1月1日月曜日

元旦の大地震

 今日元旦は午前中にゲームし続け、午後からプラモ(A-6イントルーダー)を作り、作り終えた後にお年玉とばかりに同僚が送ってくれたスターバックスのオンラインクーポン券を使うためスタバに行きました。クーポン商品を受け取ってそのまま席について何気なくスマホでニュースを見たところ、石川県能登半島付近で大きな地震があり、震度七も記録したことをそこで初めて知りました。
 被災者の方々にとっては寒い冬のこの時期に避難を余儀なくされ、大変な目に遭われたことに深く同情するとともに、無事であることが願われます。同時に、今も余震が懸念され現場では混乱が続いているとのことですが、迅速な救助や救援が進むことも併せて願われます。

 今回のこの自信を見てまず真っ先に思ったこととしては、災害は時期を選ばないという点でした。縁起のいい元旦だから災害なんて起こるわけがない、というわけはなく、どんな吉日であろうと自然災害は時と場所を選ばず発生するものであり、用心を欠かすことはできないということを改めて痛感されました。私のいる上海においても「中国では一部地域を除いて地震は起きない」という楽観視はする者ではないでしょうし、日ごろから備蓄食料を含め災害への対策を忘れてはならないものだと考えさせられます。

 むしろ年の初めだからこそ、こうした災害への警戒感を引き締める上で重要かもしれません。まとまりのない記事ですが、2024年の最初の記事としてはやはりこの点について触れておかねばならないと感じた次第です。