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2008年12月11日木曜日

雇用・能力開発機構の廃止について

雇用能力機構を廃止=職業訓練機能は別組織へ-政府(YAHOOニュース)

 既に今年の前半において当時の渡辺元行革相が廃止を訴えたにもかかわらず一度は流れたあの雇用・能力開発機構の廃止がとうとう政府で決められたそうです。

 話せば大分古くなりますが、この雇用・能力開発機構はかねてより何かと問題に上がっては槍玉にされていた行政法人で、最初に大きく取り上げられたのはここが運営していた、年金財源を元に作られた「私のしごと館」でした。この「わたしの仕事館」には以前に住んでいた場所から近いこともあって私も行ったことがありますが、まずなんといってもその施設の豪華さに目を見張りました。それこそ柱から装飾に至るまで一級品の材料で作られており、果たしてここまで豪華に作る必要はあったのかという疑問を持ちました。
 しかし施設内の講習で私は「マーケティングリサーチャー」を選んで受けたのですが、講習の内容は非常によく、また講師の方も私からの個人的な質問に付き合ってくれるなど熱意もあり、施設はともかくその機能においては評価するものがありました。

 しかし知っている方はわかるでしょうが、この施設の運営に毎年非常に多くの税金が投入されており、同じような内容のこちらは民間が運営している「キッザニア」は黒字を出しているのに比べると、やはり問題のある施設という結論に至ります。
 そういう背景からこれまで何度もこの「わたしの仕事館」とその運営母体の雇用・能力開発機構の廃止が取りざたされてきたのですが、天下り先を失いたくないために厚生官僚やそれを支援する族議員によってその動きは阻止されてきたのですが、どうやら今回ばかりは形だけになるかもしれませんが、廃止が本格的に行われそうです。

 実はこの雇用・能力開発機構については田原総一朗氏も私が以前に行った講演会にて言及しており、なんでも元々はエネルギー革命によって主要エネルギー源が石炭から石油に移ることによって、仕事にあぶれる大量の炭鉱労働者の再就職の支援を行う目的で作られた行政法人だったそうです。田原氏によると既に現在において元炭鉱労働者というのは皆無に等しく、雇用・能力開発機構はその役目を終えており本来ならもっと早くに廃止すべきだったと述べていましたが、言われるとおりだと私も思います。

 それが今回ようやく遡上に乗ったということで一安心なのですが、以前に知り合いの上海人から、
「日本の政治はなんに関しても決断が遅いね。中国だったら上がやるといった時には既に政策が行われているよ」
 という風に言われ、私も素直にその通りだと言い返しました。
 中国はそれこそ裁判においても死刑判決から二週間後に即執行などと、共産党一党独裁の強みとも言うべきなくらいに行政のスピードが早い国で、その分間違った政策もどんどんと行ってしてしまうという弱点も持っています。
 その分日本は議論にゆっくり時間をかけて確実に成果の期待できる政策だけを実行している……と言いたいのですが、この雇用・能力開発機構一つとっても、日本は最初に政策を作るのに延々と長い議論の時間をかける割には実行されてみるとやっぱり間違った政策だったということも珍しくなく、また間違えた政策だったとわかっても今度はそれの改善や廃止をするのにまた延々と長い議論が必要だという、きわめて不効率な政治環境といえます。

 私の意見としては、政治の世界というのは前例があるのならともかく基本的には未知の領域に対してどう対応するかということの連続で、全く議論しないというのは論外ですがたとえ長い時間議論をして政策を作ったとしても、それが正しい政策となるかどうかは常に世の中が変動する影響から確率的には非常にランダムなものだと思います。
 それならば物は試しとばかりにどんどんと小規模に政策を打ち出し、その政策の実効果や反省を元に改善を素早く加えてから大規模に実施するという方がよっぽど確実だと思います。そしてもしこれをやるとしたら何が肝心かというと、それはやはりスピードになります。

 中国などは70年代の改革開放期に「経済特区制度」を設けてシンセンにて実験的に資本主義経済を導入し、徐々にそれを他の主要都市から全国へと広げていった実績があり、また日本としても小泉内閣字に「構造改革特区制度」を設け、一部の地域限定で実験的な政策を素早く行えるようになり、私としてもこの動きを歓迎します。

  追伸
 「中国官僚覆面座談会」(小学館)によると、中国でも官僚は利権や天下り先を持っており、給料は低くても賄賂などによる副収入から優雅な暮らしが約束されているそうですが、日本の外務省に当たる外交部は一切利権がなく月々の給料の4,000元(60,000円)しか収入がないため、他の官僚たちからは「あいつらの国の忠誠心は本物だ」と誉めそやされているそうです。

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