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2012年12月12日水曜日

御殿場事件について

 「陽月秘話」をスタートさせたのは2007年の12月ですので、今月を以ってちょうど丸五周年となります。よく五年もほぼ毎日こんな記事書いてるなと我ながらいろいろと呆れてくるのですが、陽月秘話を始めた際によく取り上げていた問題として司法関連の話があります。
 当時は「国家の罠」でおなじみの佐藤優氏の著作から司法に疑問を持った頃で経済対策や憲法改正以前に司法改革こそが日本に必要なのではないかとよく書いてましたが、それからわずか五年しか経っていませんが随分と日本の司法環境も変わった気がします。最大の変化はやはり裁判員裁判が始まって、当初は私もあまり効果が上がる政策だとは思わなかったものの意見陳述などでなるほどと思える話や、それまで司法の専門家につかわからないほど難解だった裁判の運びなどがわかりやすくなり、導入して正解だったと考え直すに至ってます。また裁判員裁判が始まったことが影響していると思いますが、警察や検察の強引な捜査や冤罪に対する社会的な目も随分と変わってきています。

逆転無罪判決の中被告、釈放 女子高生殺害(NNN)

 ちょうど今日も2008年に起きた舞鶴の女子高生殺人事件で、一審で無期懲役だったのが二審で逆転無罪と、かつてであれば考えられない判決がおりました。というのもあくまで私の印象ですが二審を担当する高等裁判所はしばしばトンデモ判決を出すことが多く、一審無罪を有罪にし直すならともかく逆転無罪を出すなんて隔世の感があります。事件の真相は裁判経過を見ていないので何とも言えませんが、この事件は逮捕当初から状況証拠だけでどんなものかなという印象は持っておりました。
 今回の逆転無罪といい、足利事件や東電OL殺人事件で再審が開始されるなんてかつては考えもしませんでした。更に言えば障害者郵便制度悪用事件に至っては検事の不正操作まで明るみになって、こういってはなんですが司法が開かれてきていい感じだと思っています。
 なもんだから、前置きが長くなりましたがそろそろタイトルに掲げた御殿場事件も再審の門が開かないのかなと考えてるわけです。

御殿場事件(Wikipedia)

 四大公害病に数えられる水俣病の事件を誰かが、「これが犯罪でなければ一体何が犯罪となるのかわからない」という言葉を残しておりますが、この御殿場事件に関して私が言うなら「これが有罪となるなら無罪となる刑事事件はないだろう」とまとめます。
 テレビニュースでもよく取り上げられているので知っている人も多いかもしれませんが、簡単に事件の概要を説明します。この事件は2001年9月16日に静岡県御殿場市で発生した強姦事件なのですが、事の起こりは被害者(自称)の女子高生が当日遅くに帰宅したところ、母親に「強姦されたため帰宅が遅れた」といったことから起こりました。この女子高生の被害訴えから中学校時代の同級生だった少年を含む複数の少年計十人が逮捕され、警察の捜査に対して全員が自白を行いました。ただこのうち4人は裁判で自白は警察に強要されたものだとひるがえしたため刑事裁判に起訴され、ほかの6人は素直に警察に従ったので少年院送致、または保護観察などの処分で済まされております。

 これだけ見るなら冤罪なのかどうなのか判断できず被告となる少年らが否認しているだけにも見えますが、その後の裁判の経過というのは凄まじいものがあり、一体どこから突っ込んだらいいのか本気でわからないくらいひどい有様でした。
 ウィキペディアの記述に沿って説明すると、まず4人全員かどうかはわかりませんが被告らには事件当時にアルバイトをしてタイムカードを押してたり、飲食店にいて伝票が残ってたりとアリバイが存在します。この時点で誤認逮捕だったと素直に静岡県警も認めればよかったのですが、その後にはさらに驚愕の事実というか、被害者とされる女子高生のアリバイが崩れることとなりました。というのも女子高生が事件発生時刻とした16日8時、携帯電話の通信記録からその女子高生は富士駅で出会い系サイトで知り合った別の男とデートしていたというのが判明しました。しかもそのデートをしていた男までも裁判に出廷し、「(女子高生は)親には遅れた理由を誰かのせいにすると言っていた」という証言まで残しております。

 もう本当にこの時点でどうしようもないのですがここにきて静岡県警は女子高生がデートをしていたことを認めた上で、「犯行日は9月16日ではなく、本当は9日だった」と、前代未聞といっていいですが裁判中に突然犯行日を変更してきました。犯行日を変更したにもかかわらず警察が少年らに無理やり書かせた自白調書は16日に犯行があったこと前提で出来ているので、もう裁判なんて成立しないと言っていいと思うのですが、高橋祥子裁判長はある意味で期待を裏切らずに被告の少年らに懲役2年の判決を下しております。
 二審ではさらに女子高生の証言で矛盾が出てきています。犯行当時について女子高生は、「雨など降ってなかった、着衣も濡れなかった」と証言していますが、当時は台風15号が接近中で激しい雨が降っており気象台はおろか、犯行現場とされる公園周辺の商店も日誌などに雨と書いております。にもかかわらず警察は「当時は雨など降ってなかった」と、客観的事実を無視した驚異的な主張をかましてきました。そしてそれを裁判所も通し、最高裁も同じ感じで少年ら、といっても三審判決時には成人していましたが、刑務所に入所することとなりました。

 あくまで二次ソースだけの情報ですが、少なくともこれを見る限りだと理性的な判断が全くない裁判としか言いようがありません。星室庁裁判ですらこれよりひどくはなかったんじゃないのかとも思います。最近ネット上では映画、アベンジャーズのキャッチコピー、「日本よ、これが映画だ」というフレーズの改編が流行っていますが、「市民よ、これが日本の司法だ」と声を大にして言いたいです。

  おまけ
 なにかのフレーズを改変するというネットスラングは中国もあるようで、今日読んだこの人民日報日本語版の記事では最近、中国では「○○はとても感動した。そして断った」というフレーズが流行っているそうです。このフレーズが何で流行りだしたのかというと、こっちである男子大学生が女子学生にラブレターを送ったところ、なんとそのラブレターの文字数は16万字という超長文で、「感動した。だけどムリ(>_<)」と言われちゃったことからだそうです。日本だったら「キモい(;´Д`)」の一言で終わっちゃうだろうな。

2012年12月11日火曜日

デフレ経済を読み解く~インフレターゲットの実効性

 この連載もこれが最終回になりますが、今回は自民党の安倍総裁がデフレ脱却策として公約に掲げたことによって注目を集めている、インフレターゲットについて思うことを一気にまとめます。それにしても、選挙前に執筆が間に合ってよかった。

インフレターゲット(Wikipedia)

 最初にインフレターゲットの説明をしますがこれは読んで字の如く、というか日本語だとインフレ目標といって一定期間の間のインフレ率に何%にするかという数値目標を政府、または中央銀行が掲げて目標達成に向けた政策を実行するという行為を指します。このインフレターゲットについて岩田規久男氏はその著書の「デフレと超円高」(講談社現代新書)で、デフレに対する唯一かつ最も効果的な政策だとして、政府や中央銀行が具体的な数値目標を掲げることによって投資家の心理に影響を与え、円安にも誘導することが出来ると主張しております。
 岩田氏によると、投資家というのは現時点の資金の動きや金利だけではなく数年先のインフレ、デフレ率を考慮した上で長期国債を買うのであって、それこそ数年後にインフレとなるかデフレとなるかは非常に重要なファクターになるそうです。そのファクターを推量する上で何よりも材料となるのは貨幣供給を決める中央銀行、日本で言えば日銀がどのような政策方針を持っているかであって、そうした姿勢を見せる上でインフレターゲットを定めることは価値があると説明しています。

 こっからが私の意見となりますが、まずインフレターゲットがデフレ対策として実効性を持つかどうかに関しては運用に仕方によると考えています。仮に設けたとしても政府だけが掲げて日銀が掲げなければ効果はなく、やはり日銀が掲げてこそ意味がある政策です。そしてその目標達成に対する制約もどの程度かも重要で、これは岩田氏が言っているだけで私は確認していないのですが、インフレターゲットを導入している国では仮に目標値から±1%離れた場合、政策担当者こと中央銀行の総裁を力不足として遠慮なく追放するそうです。これくらいやってのけるほどの気概がなければやはり効果は望めず、目標が全然達成できなくても政策担当者が全く処罰されないようであれば画餅に化すでしょう。

 これらを踏まえた上で言うと、日本でインフレターゲットを導入することはやはり難しいと言わざるを得ません。というのも日本では政府が政策の実行をお願いするほどやけに日銀の権力が強い上に、当の日銀がインフレを誘導することに対して拒否といってもいいくらいに嫌っているからです。岩田氏はこれだけ中央銀行がえらそうにしてるのは日本くらいだとまで言っていますが、中国と米国しか私も見ていませんが私もどうもそんな気がします。

 一体何故日銀がこんなに偉そうなのかというと、複数の理由がありますが日銀法がかなり日銀に対して有利に作られているのが一番大きいです。そして第二に、「中央銀行は政府から独立している」という主張が日本で誤って伝えられているということもあります。この日銀の独立性ですが日本では貨幣供給政策の方針から手段はまでべて日銀が決めて、政府は一切介入すべきではないと信じられていますが、仮にこれが通るのであれば日銀は政府以上に権力を持つということになりかねません。岩田氏の解釈では日銀が持つ独立性というのはあくまで日本の国益に沿った政策を実行することが前提で、現在の日銀のように円高を容認してむしろ不利益を誘導している状態ではその限りではないそうです。また私の意見だと、中央銀行の独立性は手段においてのみ認めるべきで、方針に関してはきちんと選挙の洗礼を受ける政府に従うべきであると考えます。
 更に日銀を助長させているものとして、マスコミの誘導など世論もあります。わかる人ならわかるでしょうが安倍総裁がインフレターゲットを口にするや一部メディアでは早速批判を初め、殴られたダルマみたいな顔した経団連の米倉会長なんかもかなり口汚く批判してました。ちょっと偉そうですが強気に出て言わせてもらうと、意外と日本の政治部記者って馬鹿ばかりなんじゃないかとこのところ思います。バブル崩壊から20年間何も成果を上げていない日銀をかばう神経がわからないですし、安倍総裁の主張に対する批判も感情論ばかりで理論的な隙を突いた批判は見受けない、というかインフレターゲットを理解しているのすら疑わしい批判をしている記事も見受けます。

 まぁこんな感じで小泉元首相の言葉を借りるなら「抵抗勢力」がやけに多いので、恐らく導入は難しいというのが私の意見です。また仮に徹底した導入が実現したとしても、果たして本当にインフレに誘導できるのかという懸念も持っています。冷戦期とは違い今の経済は社会保障不安が高いことから貨幣供給量が増えてもみんな貯金や預金に回る事が多く、もう一つ二つスパイス的な政策が加えられなければ効果ないように思え、そして政策担当者もこの方面の実行策に手馴れているかといったらそうでもないでしょうし。
 ただこのままデフレ、ひいては円高を座視してみているというのも癪な話ですし、やるんだったら私も賛成です。やるならやるで徹底するべきで、中途半端に実行するくらいならやらない方がいいという立場を取ります。

 最後に日銀の政策方針について述べると、ここにも書いている通り私はかねがねなんで連中は働いてもいない癖に給料もらってるんだと疑問に感じています。日銀の白川総裁も安倍総裁を批判するなどインフレターゲット導入に反対していますが、彼に至ってはそもそもインフレなんてとんでもなく、安定しているならデフレでもいいじゃないかと本気で信じている節があるように見えます。
 何故日銀がデフレ、円高を容認しているのかというと、一説には90年代に急な引き締め策を取ったことでバブル崩壊を招いたトラウマがあり、多少の損失があってもリスクは避けるべきだという思想が日銀内に蔓延していると聞きます。こういってはなんですが非常に官僚的な思想で多分間違いないと私も思うのですが、恐らくデフレ率を毎年2~3%程度にコントロールできるのであれば、このままを維持した方が日本のためだ、下手に手を付けて急激なインフレを招いてはいけないという風な方針を持っているように見えます。だからこそ金融政策の方針は政府が持つべきで、日銀はそれに従うべきだと私は主張するわけです。


2012年12月10日月曜日

「アクシズの脅威V」プレイ日記

 間隔が開きましたが、また友人とやっている「中国景気観測局」というサイトで経済コラムを書きました。

中国進出地における業種別集中都市

 仕事といいブログといいこのコラムといい、一体自分はどれだけ文字書いてるんだとちょっと詳しく問い詰めたいです。

 話は本題、といってもまたゲームの話ですが、前にもちょこっと書いてこの前コメントももらった「機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V」というPSPのゲームに非常にはまってます。このゲームは序盤があまりにも難しいのですが、苦労を乗り越えてコツをつかみ、ようやく楽しさを覚えてきました。

 このゲームでは限られた予算で新兵器を常に開発し、量産化しながら戦うというのが醍醐味なのですが、一部の開発機体はイベントを通してでしか作れないことがあります。なもんだから今日ちょっと遊んでて変な風になったのか、あるイベントで「ティターンズが新しいガンダムを作っているそうです。強奪しましょう!」とクワトロさんが申すので強奪に行かせたところ、「ガンダムMkⅡ」という機体を見事に奪ってきました。けどこの時点で既に自軍では「ガンダムMkⅤ」という機体を既に開発しており、しかも総大将であるレビル将軍が自ら搭乗して最前線でインコム使って無双していた状態だったので、なんでそんな旧式の機体を今さら強奪してきたのか、そもそも「MkⅡ」がないのになんで「MkⅤ」がもうできているんだとちょっと考えさせられることとなりました。

 こんな感じで一部イベントの順番が崩れるといろいろとややこしいことになりますが、そのカオスぶりがかえって面白いです。やりすぎないように気を付けないと。


2012年12月8日土曜日

アベンジャーズの吹き替え問題について

【大炎上】『アベンジャーズ』ブルーレイ吹替版にファン激怒「購買者をバカにしてる」「予約キャンセルした」「消費者をなめるなよ」(ロケットニュース)

 自分のブログにしては珍しい話題を取り上げますが、上記リンク先のニュースで報じられている通りに今年大ヒットしたハリウッド映画「アベンジャーズ」の日本語吹き替え版が騒動になっているようです。具体的に何が問題なのかというとこの日本語吹き替えには竹中直人氏や米倉涼子氏など声優が本業でない有名芸能人が使われていて、しかもその演技ぶりもあまり評価されていないことから一部ファンが起こっているそうです。ただ同じ有名芸能人でも、ある意味で今一番ホットな宮迫博之氏に関しては肯定的な評価が出ています。

 一体なんでこんな話題を取り上げようかと思ったのかというと、実は自分も以前、飛行機でこの日本語吹き替え版を見ていたからです。でもってこのニュースで書かれているように竹中氏と米倉氏の演技は聞いてて「(;゚Д゚)……」となりました、マジで。特に竹中氏については元々キャラが濃い俳優なだけに映像に移る映画俳優となんかギャップがあるというかイメージが一致せず、正直に言って強い違和感を覚えました。
 念のため書いておきますが私は竹中氏は嫌いではなく俳優としても高く評価しておりますが、上にも書いてある通りキャラが濃いだけに、よっぽどイメージに近いキャラクターをやるのであればともかく声優をやるのはちょっと向いてない気がします。

 さらに同じ系列で話を進めると、ドリームワークスの「長ぐつをはいたネコ」の日本語吹き替え版でも竹中氏は主役である猫のプス役をやっていますが、アベンジャーズほど違和感プンプンではなかったもののちょっと違うような気はなんとなくしました。ただ同じ映画でハンプティダンプティ役を勝俣州和氏が演じているのですが、こっちは物凄いイメージ通りというか、いい演技をしているなぁと心底思いました。勝俣氏も割と特徴のある声してますがそれがこのキャラとマッチしていて、勝俣氏の演技っぷりを聞くだけでもこの映画は見る価値あると太鼓判まで押します。やっぱりキャラに合ったキャスティングが大事ってことなのかな。


中国在住日本人の買春事情

 かなりきわどいネタですが、だからこそ自分が書くべきだと思うし昨日に友人からも是非書くべきだと背中押されたので思い切って書くことにします。そんな今日のネタはタイトルにもある通り、中国に在住する日本人の買収事情についてです。結論から述べると、倫理的にも対外的にもあまりいいものだと私は感じていません。

 まずどっから説明すればいいかちょっと悩みますが、中国で現地女性を買春する日本人は割と多くおり、日本人同士だとどこでどういう人を買ったかという話をかなりあけっぴろげに言い合っています。相手の現地女性はマッサージ店、カラオケスナックに当たるKTBに勤務する女性などが中心ですが、私の印象ですが妻子持ちでも割と頻繁に買春しているという日本人男性も少なくない気がします。
 ここでくれぐれも言いますが、日本人海外駐在員が現地で買春するというのはそれほど珍しくない話です。タイでもカンボジアでも韓国でも話に聞く限りだとどこの駐在員も風俗店を利用していると聞きますし、程度も大きな違いは感じられません。にもかかわらず何故こうして中国を今回やり玉に挙げようとしたのは、あくまで伝聞ですがマナーの悪さが際立っているという印象を覚えるからです。

 これは複数の国で駐在経験がある人からの話ですが、ほかの国では買春をする際に少しは忍ぶというか、人目を気にするように買春を行うのに対し、上海ではむしろあけっぴろげに現地女性を連れだったり人前で平気で値段交渉を始めるなどという行動が目立つそうです。私自身もそういう現場を見ておりますし、中国語の使える日本人の友人に至っては日本からやってきた社長にスナックへ付き合わされた挙句、一晩いくらかという交渉の通訳までやらされたというバカみたいな話すらあります。そういうことばっかだからその友人も会社辞めましたが。
 また先程の駐在経験が多数ある人の話に戻りますが、その人によると今私がいる上海が最も買春をする際のマナーが悪いそうです。それこそ中国人から見たらきっと嫌悪感を持つだろうというほどの態度で、人数が多いというのもありますが日本人海外駐在員のレベルで言えば上海が最も低いと言い切っていました。私もこの意見には同感です。

 ではそういう買春を行う日本人に対して中国人はどう思っているのか。サンプルが少ないですが私の友人の中国人は「デマンド&サプライ」と言い、需要に対して供給があるのだから別にいいんじゃないのと言ってました。こういう風に考える中国人が大半だったらまぁありがたいとは思うものの、仮に日本国内、それも東京とか大阪等の大都市で中国人が日本人女性の買春を派手にやっていたら果たして日本人は何も思わないのかといったら私はそうは思いません。
 仮定に仮定を重ねますがそのような中国人の行為に何も言わないのであれば私は何も言いません。だが私は中国人に限らず外国人が日本であけっぴろげに買春行為を行ったら、きっと日本人は口汚く罵って、咎めて、日本からその外国人を追い出せと主張すると確信します。何が気に入らないかといったら、自分達にばかり都合のいいダブルスタンダードを日本人が取りかねないというところが気に入らないのです。

 友人の言う通り、買春を行う日本人もいれば売春する中国人女性もいるわけですから、その行為自体をいちいち非難する気まではありません。それに仮に買春を完全に禁じたら、あまり言いたくないことですが性犯罪を引き起こす可能性は確実に高まるので、沖縄の米兵じゃないですけど買春行為が認められているからこそ最悪のケースは少なくとも避けられるとは思います。
 それでも敢えて言うなら、買春するならするでもう少し現地中国人の目や感情を考えて控えめな態度を取った方がいいのではないかというのがこの件に関する私の意見です。お金を払っているから何してもいいと言い切るのであれば、外国人がお金を払ったらなにされても我慢するべきです。それが出来ないのであれば初めからそんなこと言うなといいたいです。

 なおこんなテーマでブログ書いておきながらですが、私自身は日本国内はもとより中国でも買春したことは一切ありません。理由は単純に金がないということに尽きますが、だからこそこういう記事も書けるんだという気がします。

2012年12月6日木曜日

一つの政策しか主張しない候補について

 今日は久々、というか今週始まって以来初めて9時前に家に帰ってこれました。体力的にはそんなにきつくはないけど、仕事でずっと画面見てるので目が痛いのと、集中力がさすがに落ちているのがきついです。今日なんか早く帰れたこともあって余力ありますが。

 なわけでぱぱっとまた書いてきますが、16日の選挙が公示され選挙戦も本格化してきました。中国も今度の日本の選挙への関心は高くよく特集記事が組まれているだけでなく、写真入り一面で報じている新聞も珍しくありません。全体的な反応としては次の選挙で勝って首相になる可能性が高い自民党の安倍総裁が右翼だとして日中関係を悪化させるのではないかと、警戒する向きが強いです。その一方で野田首相は既に尖閣問題で関係をこじらせているので、民主党が勝ってもまた面倒。映画の「エイリアンVSプレデター」のキャッチコピーは「どっちが勝っても、人理に未来はない」でしたが、敢えてもじるなら「どっちが勝っても、日中関係に未来はない」的な報道が多いように思えます。

 まぁこの辺はまた今度詳しく解説するとして、今回の選挙では小政党が乱立してて第三極とはもはや言えない、有象無象の様な選挙戦となっております。これら小政党についてはっきり言えば物足りなさというか、真面目に資質を疑う候補者が少なくありません。一体どのような候補が私にとって不満なのかというと、タイトルにも掲げている通り一つの政策しか掲げていない候補です。
 主だったもの、というか代表格を上げると滋賀県の嘉田知事が作った未来の党で、ここの人たちは原発廃止しか主張していません。かと思えばかつての民主党よろしく子ども手当も主張してきましたが、ではほかの政策、社会保障から外交、景気対策、国債問題はどういう見識でいるのかが全く見えてきません。またここ以外にもTPPに反対とか、消費税増税反対とか、なにかこう目立つ政策一つ反対するということをオウムのように繰り返し、じゃあほかの分野に関してどういう考えを持っているのか詳しく問い詰めたくなる政党、候補が今回の選挙では特に多いです。

 もっとも連中もまかり間違って政権与党になるわけないとわかっているから何も考えないのでしょうが、私個人としてはそういう、何か一つの政策に反対するから立候補するという人には国会議員になってもらいたくありません。何故なら当選してしまえばその人は国会審議で一票を持つことになります。原発反対しか主張がない人が予算案の承認から刑法、民法の改正等に対してほかの国会議員と同じ一票を持つことになります。何か一つの政策を重要視して優先的に主張するというのは全く問題ありませんが、国会議員となるからにはその他の分野、財政から外交、民政に関してもやはり一定度理解してその一票を投じてもらいたいと強く感じます。
 もうこの際だから実名を挙げてしまうと、タレントの山本太郎氏の出馬は如何なものかと思っております。国会議員となれば時間に制約もつく上、資金管理などに膨大な労力が食うことを考えると、何か一つの政策を主張するなら市民運動をしっかり続ける事の方が価値があるでしょう。本人も当選する気はさらさらなさそうですが、今回は政治を少し茶化した行動ではないのかとここで強く主張しておきます。

 ただ候補者、というより政治家の資質を言ったらこれまでの与党も同じようなものだったのかもしれません。タレント候補に○○チルドレン、杉村太臓氏のような明らかに資質に問題のある人もこれまでにいましたし、民主党に至っては前の前の党首が人間としても明らかに問題だったわけだし。
 そういえば陰に隠れてですけど、先々月あたりに野田首相は鳩山元首相が国際会議でいきなりぶち上げた、2020年までにCO2排出量を25%削減するという目標を、達成は難しいとして引き下げてました。ネットでも、「鳩のフンの処理は大変だ」と書かれていましたが、全く以ってその通りでした。

2012年12月1日土曜日

デフレ経済を読み解く~デフレと円高の関係

 この連載も今回で三回目ですが、久々に骨のあるテーマに向かったという気がします。それもこれもこのところは余裕のある日が続いているというか、先月にたまってた仕事がまとめて片付いたというのが大きいです。それで三回目の今回ですが、デフレが円高を誘導しているという説について解説します。
 今回も引用元は岩田規久男氏の「デフレと超円高」(講談社現代新書)という本です。何度も引用しているんだし、もし会う機会があったらサイン位書いてもらおうと思うほど大活躍中ですが岩田氏はこの本で、このところはやや持ち直しておりますが日本が過去かつてないほど長期的な円高となっているそもそもの原因はデフレにあると指摘しております。その主張について私が理解した範囲で今日は書こうと思いますが、やや複雑な話なのでかなり噛み砕いて書くことにします。

 まず何故日本が円高となっているのかというと、単純に国際市場で円が買われまくっているからです。何故円が人気なのか、一つの理由はリーマンショック後に世界経済が不安定となってほかの基軸通貨であるドルやユーロ、ポンドの信用ががたついているということがありますが、それにしたってここまで日本円が買われるというのは奇妙な話です。というのも日本は現在ゼロ金利政策を敷いており、その政策金利はわずか0.3%しかありません。これは仮に1000万円を預けたとしても定期後にもらえる利息は3万円しかなく、仮に政策金利が1%ある国の銀行に預ければ利息は10万円になるだけに、日本円を買うメリットはなくむしろ資金運用で言えばデメリットの方が大きいように一見見えます。

 しかし岩田氏によると、海外の投資家からすると米ドルを日本円に変えて日本で定期預金をする方が実入りが大きくなると考えられているそうです。何故そうなるのかというと、単純に金額が大きくなるのではなく、デフレによってそのお金で交換できる価値が大きくなるというからです。

 ここで簡単にデフレの解説をしますが、デフレというのは通貨の価値が上がる現象、つまり単一の通貨量に対して交換価値が時間と共に高まることを指します。簡単に例を挙げると、たとえば現時点で大根一本の値段が100円だとします。この一年後、デフレが進んだことによって大根一本の価格が10円安くなって90円に下がれば、(100-90)÷100=0.1という計算によってはじき出されるように10%のデフレとなるわけです。この意味は1円の交換価値が10%上がったと言えます。

 話は戻りますが日本は現在デフレの真っただ中で、年率にして大体1%前後のデフレが続いております。これはつまり大根(それ以外の商品も含む)の価格が毎年1円ずつ下がっていくような状態であるのですが、これは外国の通貨と比べた場合、毎年1%の金利が付くのと同じことになるそうです。なんか大根と浅からぬ因縁があるのかもという気がしてきましたがまた例を作ると、以下のような感じです。

<デフレ率が0%の場合、基準年の価格が1本100円の大根を1万円で購入できる量>
基準年→次年:10000÷100=100本→10000÷100=100本(変化なし)

<デフレ率が10%の場合、基準年の価格が1本100円の大根を1万円で購入できる量>
基準年→次年:10000÷100=100本→10000÷90=111本(11本増える)

 非常に大雑把な表で申し訳ないですが、大根を基準とした交換価値で言えばデフレが進むことによって11本ほど購入量が増えるように、その価値が上がります。この交換価値で言えば購入できる量が11本増えるということはデフレ率が0%と比べた場合、金利が11%つくのと同意義となります。
 こんな具合で、金融の世界で言えばデフレが付くということは金利が付くのと同じ扱いだそうです。公民やったことのある人ならわかるかと思いますが金利が5%に対してインフレ率が3%だとすると名目金利は5%で実質金利は5-3=2%で、実質的に価値が高まる量は2%という計算になります。これがデフレ率が3%の場合、インフレとは逆に5+3=8%ということになり、まぁ預金をしていたらウハウハなこととなるわけです。

 わかりにくい話を続けておりますが今の日本で何が起きているのかというと、政策金利こそ低いもののデフレであることから貨幣の実質金利は世界的にも高く、米ドルを円に換えてでも定期預金する価値が高いとみられていることが円が買われる理由になっていると、ややこしいこと全部投げている気がしますが岩田氏は言っているのです。
 ある仮定条件を書くと、日本が政策金利が0.3%を維持するものの来年度も2%のデフレと予想される場合、米国は政策金利を2%にするものの1%のインフレが予想される場合、両国の実質金利は下記の通りとなります。

日本:0.3+2.0=2.3%
米国:2.0-1.0=1.0%

 この場合、同じ金額を預けても日本円であればその交換価値が2.3%高まるのに対し、米国は1%しか高まりません。こうした予想の上で世界のトレーダーは日本円を買い漁り、ひいては円高を誘導しているというのが岩田氏の考えです。
 そこで仮に日本が米国同様に1%のインフレとなった場合はどうなるかですが、下記の計算式になります。

日本:0.3-1.0=-0.7%

 この場合、交換価値で言えば0.7%減少する。つまり大根を買える本数が減るということになり、こんな条件では日本円なんか持たずに米ドルに変えた方が得です。つまりは政策金利はこれ以上下げようがないのだから、トレーダーに対してデフレ予想ではなくインフレ予想を持たせることこそが円高を脱出させる方法ということになります。
 そんなわけで、次回はちょうど今議論が旬なインフレ目標の必要性とかについて書いてきます。我ながら今回は不完全燃焼な記事となりました。


2012年11月29日木曜日

男女の嫉妬の違い

 このところ同僚と顔を合わす度に、「漢字は一緒でも、男と女で嫉妬という感情の意味は変わるよね」というわけのわからない会話を繰り返しているので今日はこの辺について書きます。我ながら素晴らしく意味の分からない出だしです。

 私が男女の嫉妬の違いに着目したきっかけは大きく二つあり、一つは佐藤優氏がその著作の中で「男の嫉妬ほど醜いものはない」と、本人が外務省内にいた時に目撃した外務官僚同士の嫉妬劇に対する言及と、あまり知られていませんが密かに高く評価している楠桂氏の漫画作品の「鬼切丸」からです。前者はともかく後者についてもう少し説明しておくと、この鬼切丸という漫画は「激しい憎悪や嫉妬にかられると鬼に取りつかれる」というお話で作中では男女関係なく鬼となって虐殺を繰り返すという、こう書くと身も蓋もない話なのですが、鬼になる人間、それもとりわけ女性がなる回というのが非常にえげつないというか、よくもこんな話をこの作者は書けるもんだと思うものばかりなのです。
 一例をあげると、女子高生が数人の男に誘拐されて父親が身代金を要求されます。男たちのうちの一人は誘拐された女子高生に同情して身代金を得たら必ず開放するからと声をかけるのですが、父親は身代金を運んでいる最中に事故死してしまいます。もうこうなったらお金も取れないしその女子高生を殺すしかないと別の男が言うのですが、先程同情した男はもちろんここで女子高生をかばい、開放するべきだと主張します。すると、「何言ってやがる、そもそも誘拐してお金を取ろうと言い出したのはお前じゃないか」と、別の男に言われてしまい、その後なんだかんだあって女子高生は鬼になって主人公に斬り殺されてチャンチャンとなるわけです。

 はっきり書きますが上記のお話なんてまだ緩い方です。ほかの話に至っては全く罪もないのに拷問を受けたりとか変に同情してしまったばかりに事件に巻き込まれたりとかで、ハッピーエンドで終わることはほぼ皆無といっていいくらいありません。全体を通して嫉妬とか恨み、憎悪という感情が前面に出てきており、やっぱこういったもの男の自分では思いつくことすらできず女性の感性じゃないと書けないのではと思うに至ったわけです。

 そんなことを先日に同僚に話したことから盛り上がったのですが、やはり同じ嫉妬という言葉を使っていながらも男と女ではそれが指す感情は全然別物だというのが私の意見です。あくまで男である自分の側から具体的な違いを上げるとすると、男はどちらかというと嫉妬の対象となる人物の性格や能力といった本人の資質ではなく、その地位や財産、身分といった保有するものに対して嫉妬するような気がします。一方、女性はこれがまるで逆で相手の地位や財産に対してはあまり無関心である一方、相手の資質こと性格や見た目、さらに具体的に言えばどれだけ男性にモテるかなんかに対して物凄い執着を見せるような気がします。
 更に女性に関してもう一言付け加えるなら、変な言い方になりますが感情という形のないものに対して嫉妬という感情を強く持つようにも思えます。それこそ先ほどのモテるという点でも、男性の感情を集めるという女性に対して嫉妬しますが、その逆にある男性(大抵恋敵)に対して嫉妬の対象となる女性が意識することに対してすらも持つんじゃないかという風にも見えます。

 ここまで書いてようやく気が付きましたが、そもそも嫉妬というものは基本的に同性にしか向かないものなのかもしれません。男の自分が女性に嫉妬するというのも普通はないですし、自分自身でもそんな感情持ったことのある自覚がありません。逆に同性に対しては、情けない話ですが金のない大学生時代にいくらかその手の感情を持ったことがあります。

 最後に嫉妬と聞いて真っ先に思いつくものとなると、昔あった「突撃!パッパラ隊」という漫画でカップルに対して理不尽な攻撃を繰り返す「しっとマスク」というキャラクターが私の中で挙がってきます。「究極!!変態仮面」といい、あの頃の漫画キャラクターはインパクトが今と比べて絶大だったなぁ。

2012年11月28日水曜日

白酒の可塑剤混入問題

 このところ中国の新聞では連日、こっちのやばいほどアルコール度数の高い酒「白酒(バイチュウ)」に可塑剤が混入していたという事件が報じられております。恐らく毒餃子、メラミン牛乳に続く中国食品史の1ページとなること請け合いなので、私もこのブログに書き記しておくことにします。

 この問題を興した会社は「酒鬼酒」という、日本人からしたら「えっ?(;゚Д゚)」と思うような名前の会社です。ちなみに「酒鬼」は中国語で酔っ払いという意味です。
 事の起こりは先週、恐らくタレコミがあったのでしょうがある新聞社がここの会社の白酒を第三者検査機関に持って行って分析を依頼したところ、中国の基準値の2.4倍に当たる可塑剤、具体的にはDBP(フタル酸ジブチル)が検出されました。先に歴史を紐解くとこのDBPの食品含有量に対する規制が始まったのは去年で、というのも台湾の食品メーカー大手の統一集団が作っている清涼飲料から同じように大量に検出されたことがきっかけです。

 話は戻って酒鬼酒についてですがこの報道が出るや型通りに事実無根だ、国の検査機関に鑑定を依頼していると反論したのですが、中国の検査機関でも基準値の2.6倍のDBPが検出され、事ここに至って可塑剤が入っていることを認めました。ただその後の対応が問題というか日本企業も人のこと言えないけど危機管理が弱いというかで、「DBPは食品に対する基準値はあっても、白酒に対する基準値はないから違法ではない」と言い出して、「白酒も食品に入るだろが(#゚Д゚)ゴルァ!!」といろんなところから至極真っ当なツッコミを受ける羽目となりました。さらに製造過程でどうも問題があったらしくて工場の設備を一部取り替えるなどして対応は取るものの、既に流通している商品の回収は行わないとこれまたツッコミがいのある行動を取ってきました。こんな感じなのでこちらの新聞でも、このまま倒産するだろうと書かれています。

 私は元々アルコールに弱いのもあって白酒なんて飲まないので気になりませんが、ここの会社の白酒飲んでた人からするとまたショッキングな内容でしょう。なおこのDBPは相当量を摂取しないと身体に影響は出ませんが、どうもホルモンバランスを崩させる作用があるようです。
 ただ同じ問題がほかの白酒メーカーにも起こっていないのかが少し気になっていたのですが、発覚から一週間たった現在に至っても特にニューカマーは現れていないので、この酒鬼酒の単独の問題だったのかなと考えています。恐らくマスコミも他社製白酒を検査機関に持って行っているでしょうし。

 最後に蛇足ですが、以前にやっていた「太閤立志伝5」という歴史シミュレーションゲームで自分オリジナルの武将が作れるのですが、私はこの武将エディットでその武将の説明乱の末尾に、「毒餃子の食べ過ぎで死亡」、「メラミン牛乳の飲み過ぎで死亡」、「段ボール肉まんの食べ過ぎで昇天」などとよくわからない末路にいつも仕立てあげておりました。中国のこういう食品事件を見る度に毎回思うけど、よくもまぁこうもいろんなことを思いつくなぁとつくづく感じます。この前なんか鴨肉を複雑な工程を経て羊肉に偽装して売ってた人が捕まったし、そんな努力するなら真っ当な方向に使えばいいのにと思わずにはいられません。

2012年11月27日火曜日

嘉田滋賀県知事の新党設立について

 今日はまた帰宅が10時過ぎてたからブログは休もうかと考えてましたが、まだシャワーのお湯が沸かないのでさらりと嘉田新党について書きます。

<未来の党>「卒原発で希望発信」 準備途中、連携など曖昧(毎日新聞)

 結論から言えば嘉田知事が設立したこの「未来の党」は小沢一郎の傀儡政党でしょう。第一、小沢が反原発を唱えること自体が奇妙な話で、自分が言うとかっこつかないから嘉田知事を前面に出しただけでしょうし。正直に言ってあまりいい評価をしていないので悪口が続きますが、自民党の安倍総裁が指摘しているように総選挙直前でいきなり新党を設立するというのは理念や政策は置いといて、選挙で勝つだけが目的としか思いようがありません。こういってはなんですが具体的な理念や政策がないのならとりあえず反原発だけ掲げて無所属で戦っても悪くはないんだし、そもそも嘉田知事自体は選挙に出ない方針であることから一体何のために政党を設立するのか、理解に苦しみます。いやまぁ、小沢の傀儡になるってんなら重々理解できますが。

 話を少し広げると、今回の選挙は過去かつてないほど新党が乱立しています。みんな第三極、第三極と口々に言いますがこれだけ乱立した上で似たような政策を並べ立てても有権者は違いが判らず、現時点では共倒れになって小選挙区制から自民と民主が有利になっていく可能性があります。当初は新しく出てくるのは維新の会と民主党下野組くらいかなと思っていましたが、どうも石原慎太郎氏が出てきた辺りから私もわけがわからなくなってきました。
 仮にこれらの新党が議席を取ったとしても、果たして選挙後の特別国会で足並みをそろえられるかといったら非常に疑問です。恐らくは政党の合流が選挙後にも起こるでしょうが、それにしたって極小と極小同士がくっついても利益があるのか、またTPPと反原発と金融政策と今回はやたら論点も多いだけに、下手に組むと支持者から反発が起こる可能性も高いです。

 なおこの論点ですが、意外や意外に消費税増税論議は未だに大きなトピックにはなっていません。てっきり消費税改革見直しを真っ先に掲げる政党が出てくると思っていましたが、私のチェック不足かもしれませんがまだそれほど目立ってない気がします。

 最後に一つだけ詳しく語りますが、みんなの党が維新の会と合流しなかったのは英断だと思います。時事通信の屋山太郎氏なんかは官僚改革が何よりも大事だと言ってみんなの党をよく持ち上げていますが、私は官僚改革は必要だと思うしみんなの党はこの議論に関しては最も熱心だとは認めるものの、それ以外の政策方針がなかなか見えてこず民主党の政策に反対しかしていないからこのところ評価を大きく落としておりました。
 更に言えば代表の渡辺善美氏がテレビカメラの前だとややオーバーすぎるアクションを取ることが多く、政治家にしては落ち着きがないなぁと思うから次の選挙では厳しいんじゃないかと思ってましたが、変に新しい公約やら議論を持ち出さずに維新の会との合流を切ったことによって、固定支持層が生まれてくるんじゃないかと見直しております。実の所、先の選挙で私は比例でみんなの党に投票してます。仮に第三極が出来るというのなら、ぽっと出よりも曲がりなりにも3年間やってきたこのみんなの党が中心になる方がいいんじゃないかと感じる次第です。

2012年11月26日月曜日

昨今の中国の就活事情

 このところ中国ネタが不足しがちなのを自覚しているので、意外と日本では語られない中国の就活事情について書こうと思います。

中国、公務員試験に112万人 倍率53倍
中国、来年の新卒者700万人に さらなる氷河期到来か(人民日報)

 なんでこんなことを書こうと思ったのかというと、実は先週土曜日から中国の公務員試験が開始されたからです。日本でも公務員試験は近年の人気の高まりぶりから狭き門となっておりますが、上の引用先にも書いてある通りに事情は中国も一緒で、というかやたら人口多い国だけあって倍率が53倍にまで跳ね上がったりしてかなり楽しいことになっております。何故公務員が人気なのかというと、日本では雇用が安定していることに加えて給料が減ることない(しかもやや高い)、でもって仕事が楽という3点セットからですが、中国では安定とかそういうこととかよりも単純に副収入が多いということが最大の魅力となっております。

 これは先月あたりに発覚した話ですが、中国のどっかの地方公務員がネット上で、「あいつ、やけに大量の不動産持ってるぞ」と名指しで書かれた事がきっかけで横領罪で捕まるというニュースがありました。その報道によるとその公務員は月給約15万円にもかかわらず数億円の価値のある不動産をたくさん保有しており、いったいどこからその購入資金を得てたのかというとやっぱり許認可とかで袖の下を受け取っていたそうです。
 最近中国では公務員や政治家の汚職問題が非常に大きくなってきて上記の発覚事件のように世間の目も厳しくなってきてはいるのですが、それでもその副収入の果てしない多さから公務員になりたがる人は多いです。これも最近知りましたけど、日本同様に普通に公務員試験浪人も都市部ではたくさんおり、かつての儒林外史じゃないんだから日本を含めてそこまで熱上げる事もないんじゃないかとよく思います。まぁこう思うのも自分が公務員に向いていないというかなりたがらなかったせいもあるでしょうが。

 話は戻って就活事情ですが、日本も来月あたりからまた意味があるとは思えない説明会があちこちで開かれるようになりますが、去年同様に今年も日本企業は各社採用数を絞ってくることが予想されます。ではまだ景気がマシな中国はどうかですが、企業の募集数自体は大きく減少してはいないものの中国もここ数年で大卒者数が急劇に増えており、「大学は出たけれども」という言葉に代表されるようになかなか希望の職に就ける若者は多くありません。
 ただ中国人の友人曰く、「選り好みしなければ大卒は必ず就職できる」だそうで、私の肌実感でも日本よりはまだ雇用環境がマシなのではないかという風に感じます。話が少し飛びますがよく日本でも「中小企業は人手不足なのに最近の若者は大企業ばかり選んで就職機会を失っている」という言葉を言う人がいますが、これに関しては私は嘘だと思います。というのも私自身が就活中に感じた点として中小企業ほど採用に対して熱心ではないというか、はっきり言ってしまってやる気があるようには思えず、なおかつ大企業ですら人員を育成する余裕がない状態だというのに、いわんや資金余力の少ない中小企業がといったところです。この前もどっかのデータで中小企業の求人倍率は3倍超とか書いてありましたが、どれだけ実態を反映しているのか。

 また中国へ話を戻しますが、少なくとも日本の様な大卒ニートの存在はまだ大きくは確認されていないため、就職戦争といわれるほどではない状態だとみております。あと傾向として述べると、最近は発展の遅れている内陸部への外資進出が相次ぎ、給料安くとも地元で就職したいけどなかなか働ける場所がないから北京や上海へ、というような人材をうまく吸収していると聞きます。逆に上海や、中小企業の工場の多い浙江省などでは技能や知識を持つ高級人材の供給が減っており、賃金を上げて募集せざるを得なくなってきております。
 その賃金ですが友人とやっているホームページのコラムにも書きましたが、数年前まで大卒初任給が1500元(約2万円)だったのが今や大都市部では3000元(約4万円)くらいと2倍にまで高騰しており、まだまだ上がっていく気配を見せております。そりゃ製造業もほかの東南アジアへ逃げるわけだ。

 あと人気の企業形態について述べると、10年くらい前は給与が高いことから外資系企業が人気でしたが、数年前くらいからは給与が高くてもバリバリ働くような仕事は敬遠されはじめ、こちらも日本同様に比較的自由に使える時間が多い企業が人気となってきております。業種とかでどこが人気があるかまではわかりませんが、建設銀行など大手国有銀行の就職者はやっぱり周囲の目も違うので人気なのでしょう。
 最後に中国人の外資系企業への就職に関してですが、これは日本人と比べて圧倒的に寛容です。日本では未だに外資系の金融企業とかに勤めることに対して何かしら抵抗感あるような態度を見せますが、中国人は国内の企業とほぼ同じような感覚で外資系企業への就職を選択に入れます。言い方は悪いですが、働き方に関しては日本人の方が中国人よりも価値観がややドメスティックでこうした点は中国を見習うべきだと強く感じます。

2012年11月25日日曜日

中国製タブレットPC購入

 上海はこのところほぼ毎日雨ですが、昨日は珍しく晴れとなりました。そんな晴れの日を狙ったわけじゃないのですが、友人と一緒に電気屋に行って前から購入を検討してたタブレットPCを購入しました。


 買ったのは上の写真の「藍魔」というブランドのタブレットPCです。この「藍魔」はアルファベットだと「ramos」というブランド名なのですが、例のやたらキャラの濃い元サッカー選手とは関係ありません。
 価格は中国メーカー製ということもあって800元(約1万円)と非常にお手頃。ストレージは16GBで大きさはほぼi-Padと変わらず、まずはタブレットPCをお試しで使ってみようと考えてたので十分な性能です。ただ大きさですが、上の写真だといまいちわかりづらいです。何か比較になるようなものはないかなと思って部屋の中を探してみたら、ちょうどいいのがありました。


 タブレットPCの横にあるのは、うちの親父がガシャポンで当ててきた興福寺阿修羅神像です。ちゃんと製作時の色である赤色に塗られてます。親父曰く、奈良県に遊びに行った際に親父の従弟と一緒に仏像専門のガシャポンで手に入れ、何故か去年上海に訪ねてきたときに贈られました。親父の従弟によると阿修羅像が出てくるのは珍しいらしく、出てきたときはいい年したおっさん二人ではしゃいでたそうです。

 
 話は戻ってタブレットPCの裏面です。


 こちらも阿修羅像と比較。

 なお現在私のいる部屋ではWiFiを飛ばしていないため、今朝スターバックスへ行っていろいろとこのタブレットPCを試してみました。入っているソフトはアンドロイドのため表示言語を日本語に直すのはすぐできますが、日本語入力システムが入っていなかったので探してみると「Simeji」というソフトに行き当たり、無事インストールすることができました。このほかネットにつなげてあれこれ弄りましたが、そこそこ大きさもあることからアクセスしたりページを見る分には問題なく、現在スマートフォンを持っていないので代用品としては十分です。
 ただ中国政府の検閲によって現在中国ではGoogle関連のサイトが使いづらく、Gmailなどにアクセスしてアンドロイドのアプリを探すことが出来ませんでした。真面目にこういうことする奴らには死んで欲しいです。


 話は戻って阿修羅像ですが、折角だからいろいろほかの角度でも写真を撮ってみました。


 横っ面。


 背面図。この場合、後頭部と言っていいものか。


 正面どアップ。


 再び横っ面。なんか手のポーズといい挑発されているような。


 この写真は現在の私の部屋のPCを設置しているデスクです。なんか棚の中の一部がPC設置用に出来ているので使っていますが、見てわかる通りに足を入れる下部のど真ん中にガラス板が置かれていて、毎日この板を股で挟むようにしてブログ書いてます。なんでこんな写真を入れたのかというと、小さくてわかりづらいですが一番上の棚に置いてあるのが阿修羅像で、ここが彼の定位置だからです。


 下から見上げるとこんな具合で、いつも拝みながらパソコンしてます。それにしても今日は一体何の話が主題なのかよくわからなくなってしまった。

  追伸
 自分でもしつこいことは重々承知ですが、例の「積み木くずし」のドラマ放映特需を受けて昨日のインスタントアクセス数が26,891回に達しました。それどころかアクセス数を稼いでいる記事に至っては、gooブログ内の記事別アクセス数で昨日トップになりました。なんとなく実感がわきませんが、素直にうれしいです。

2012年11月23日金曜日

デフレ経済を読み解く~デフレの原因

 間に一回挟んで再びデフレ関連の記事です。今日はみんながデフレだデフレだと叫んでる一方で意外と議論されないデフレの原因について私の考えを紹介します。

 まず最初に断っておきますが、これはデフレに限るわけではありませんが人間というのは基本的に因果関係をシンプルに一対一で結びたがる思考をしています。平たく書くと一つの結果には一つの原因があるはずだと思い込みがちという意味ですが、世の中そんなに簡単なわけではなく実際には一つの結果は二つや三つ以上の原因から生まれることもあれば、一つの原因から二つの結果が生まれたり、場合によっては三つの原因から二つの結果が生まれたりすることもあります。
 このデフレも類に違わず、日銀を中心に「これが答えだ!」と怪しい占い師のように主張してくることもありますが、実際には複数の要因が一緒に作用して起こっているというのが私の考えです。ではどんな原因があるのか、世の中に出回ってて間違っているのも含めて片っ端から書いていくことにします。

1、安い中国製品の流入説
 これは前回の記事でも書きましたが念のためおさらいです。この説は人件費が安い中国で作られた製品が大量に日本に流入してきたことから物の価格が下がりデフレになったというわかりやすい説ですが、これは実際にはデフレの原因にはなっていないと私は考えています。理由は前にも書いたように中国製品とは競合しない散髪や修理といったサービスの価格も下落しているのと、同じく大量の中国製品が流入しているアメリカではデフレどころかインフレを記録しているからです。昔に中国製品が入ってきて価格が下がっていることを「良いデフレ」と評する意見を見たことがありましたが、商品を安くして販売量を増やして儲けた企業、特に家電メーカーがもいたんだからこの点に関してはまさにいいデフレだったと言えるでしょう。

2、生産年齢人口の減少説
 これは日銀が盛んに主張している説ですが、私の知る限り日銀はこの説に対して具体的なデータを出して説明しているのを見たことがありません。そもそもなんで人口減がデフレにつながるのかよくわかりませんが今回下地にしている岩田規久男氏の「デフレと超円高」(講談社現代新書)によると、生産年齢人口が減少しているドイツやウクライナ、ルーマニアなどではインフレとなっており、デフレなのはこれまた日本だけです。これに限るわけじゃないけど、真面目に日銀の連中が働かずに給料もらっていることが不思議です。

3、生産性の向上説
 これもこのところよく見ますが、なんていうかどれも日本国内だけで考えるからおかしな方向に進むんだなと思う説です。これは生産性が向上、いうなれば一つの製品やサービスを生み出すためにかかる労力やコストが減少することによって商品価格が下がり、物価も下落していったという主張なのですが、先進国中で最低クラスの生産性を誇る日本でよくこんな説を主張できるなといろいろ思います。この点に関しても岩田氏のデータによると、OECDが調べた1995年から2007年までの生産性上昇率で日本の1.27%を上回っている国、下回っている国両方でほとんどインフレとなっており、はっきりいって生産性は何も相関がありません。普通に考えればわかることだけど、ある意味でこの説を主張する人は凄い人だと思います。

4、規制緩和説
 大きな原因ではないけど少し影響していると思うのはこれです。小泉内閣時代に日本はあらゆる面で規制緩和を推し進めたことによって、それまで参入障壁が高かった業種を中心に新規参入が相次ぎました。主なのは人材派遣とタクシー業界、あと大店法が緩和された小売業界ですが、サービス競争よりも価格競争が先行する面も見られ、タクシー業界に至っては複数企業が連名で規制を強化してくれと陳情するほどに至りました。まぁ何が何でも規制緩和は悪いと言うつもりはなく、これによって花開いた企業もあれば、規制に守られて時代遅れになっていた企業も淘汰できています。もっとも、一番規制に守られているテレビ業界で規制緩和がないのが私には不満ですが。

5、年代による富の偏り
 これもあくまで遠因していると思う説ですが、今の日本はかつてないほどに年代別で富の偏りが出来上がっております。具体的に言えば年代が高まるほど富が増え、逆に若年世代は異常なまでに富を持っていないばかりか日々の収入も少ない状況です。育児や娯楽など本来消費が活発化する世代に富が行きわたらず上の世代に富が塩漬けされているような状態から消費が動かず、物価も収入の少ない若年世代に合わせて減少しているというのがこの説ですが、じゃあ若年失業率の高いスペインとかほかの国はどうなのかという疑問がまだあります。反証は出来なくはないけど。

6、政府の政策
 何気に一番でかいと思うのがこの説ですが、政府、というより多くの政策決定者の間で「デフレが望ましい」という意識があるのではないかと思います。というのも政治家を始め政策決定者は比較的高年齢層が多く、預金のある人からすればインフレになればなるほどその預金の価値は減り、逆にデフレであればどんどんと価値が高まっていきます。一応口ではデフレは問題だと言いながらも、内心ではデフレに誘導するように政策を動かしているのではないかと疑わざるを得ません。

7、日銀の政策
 こっちははっきりしていて、日銀はデフレが望ましいと公言しているようなものです。昨日今日の報道でも自民党の政策案に対してハイパーインフレになると否定的ですが、日銀というはバブル崩壊の失敗から伝統的に、「インフレになるくらいなら安定的なデフレの方がいい」という思想が強いと聞きます。残念ながら今の姿勢を見ているとやはりその噂は本当だったと思わざるを得ず、1%のインフレすらあってはならないというような思想の仕方をしている気がします。でもってこういう日銀の姿勢があるからこそ為替取引をする世界中のディーラーも、「日本はインフレになりそうになったら日銀が止めてくれる」と織り込んで日本円を買って円高になってるというのが岩田氏の主張です。

8、社会保障への不安
 これは私が以前からも主張している説ですが、年金をはじめとして日本の社会保障、特に失業が定年となり収入がなくなった後の生活をどう切り盛りするか、行政がきちんと支援してくれるのかという不安がこの15年くらいの間で急劇に高まっており、消費を切り詰め預金しようという意識が強く働くようになっているのも大きな要因だと思います。実際にこの前実家帰った時も、家を買うくらいなら賃貸の方がいいと家族会議で結論出しました。


2012年11月22日木曜日

手段の目的化に伴う弊害

 最近はすっかり読まなくなりましたが、以前によく漫画家の小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言」を読んでおりました。読まなくなった理由はもうちょっとついていけないかなーっと思う回数が増えてきたせいでありますが、あの薬害エイズ問題が大きく取り上げられたころの話は非常に面白く、今でも他人に薦めることが出来ます。
 その薬害エイズ問題のくだりで書かれた話ですが、管直人元首相(当時厚生大臣)が被害者に正式に謝罪した後、「運動から日常に帰れ」と小林氏は主張しておりました。この言葉の意味とは薬害エイズ問題でデモ運動を繰り返したことによって政治家、ひいては厚生省を動かす事には成功したのだから、後の処理は政治のプロに任せてこれ以上は必要でない限りデモ運動などするべきではない、普通の日常に戻るべきだそうです。

 当時はなんとなく、「へぇ変わったこと言うなぁ」とか考えてましたが、後年に改めて思い返してみると実に重要な提起だったとこの言葉を高く評価するようになりました。というのもその下りでも書かれていましたが、薬害エイズ問題の被害者への謝罪と補償を要求する手段として運動があり、その目的が達成された後も運動を続けるというのは運動それ自体が活動の目的になってしまっており、本末転倒な行動となってしまうからです。
 以前にも、といっても本人も覚えていませんが私はブログ(恐らく陽月秘話時代)で、手段それ自体を目的にしてはならないと主張しましたが、その源流はこの小林氏の言葉にあります。最近またこのテーマであれこれ思索を進めたのですが、やはり手段が目的化するとどんどんと行動が矮小化していくというか、はっきり言ってしまえばくだらない人生になる可能性が高いという弊害があるように思えてきました。

 いくつか例にとると、「何故働くのか」という問いに対しては普通、少なくとも私の常識では「生計を得るため」が一番まともな答えだと思います。構造的には「生計を得る」が目的であって、その目的達成手段として「働く」があることになるのですが、この例で手段が目的になるということは「働くために働く」という風になります。
 もちろんこんなの日本語の文章としても明らかにおかしく成立するはずはないのですが、一工夫するとこれが成立するようになります。その工夫とは、手段が目的となるのに合わせて新たな手段を作ることです。先程の例だと、「働くために仕事を増やす」、「働くために遅く残る」、「働くために会社を辞めない」という具合で、なんていうか不毛な言葉ばかり並びます。ただ不毛と言いつつも、こういったことが今の日本に起こっているのではないかと本気で考えてます。

 更に話を発展させると、手段が目的化するのは何も一回だけとは限りません。これまた同じ例だと、「仕事を増やすために余計な作業手順を作る」、「余計な作業手順を作るため人員を増やす」と、このように下がれば下がるほど本末転倒というか何がしたいのかだんだんわからなくなってきます。それでも強気で言い続けるなら、これが今の日本の現状だと私は考えます。
 こんな具合で話をまとめると変な感情は挟まず手段はやはり手段だと割り切るべきで、目的というのは窮屈にもなりますし高尚なものへ引き上げる必要は全くありませんが引き下げてはならないものだと思います。引き下げてしまうと本人は満足かもしれませんが、少なくとも私の目から見て楽しい人生にはなりません。

 もっともこう言いつつも、実際には多かれ少なかれ目的が手段化するのは必定なところもあるとは認めます。最近また社会学的な思考が復活しつつあるのか物事を構造でとらえる傾向が高まっているのですが、人間というのは目的と手段がいくつか入れ子構造になっており、一番大事な目的(生存など)を敢えて第一目的とするなら、それを達成するための第一手段というのが第二目的になるのだと思います。でもって第二目的の達成手段が第二手段=第三目的……という具合で、段階欲求論を主張したマズローさんだったらきっと理解してくれそうな感じで今理解してます。
 最後に重ねて言うと、曖昧でもいいから人生の目的こと大目的というのは多少は意識した方がいいと思います。自分の場合は前の記事で書いたような花園家再興とともに自分の実力をどこまで引っ張り上げられるのかがこの大目的に当たりますが、この目的にそぐわない行動はほとんど取らず、逆に沿う行動に対してはかなり大胆に実行できている気がします。少なくとも今の人生にはあまり後悔はなく、悪い気はしないので人にも勧めたいと思った次第です。

  おまけ
 以前に人生の目的などについて友人と議論した際、「僕はニュータイプになりたいから宇宙に行くことを人生の目的にするよ( ゚∀゚)」と言い出す友人がおりました。その友人曰く、「宇宙に行けたのなら帰りは燃え尽きてもいい」、「いざそうなったらシャア少佐ーっ、って叫んでやるよ」とまで話してたので、「いやそこはアメリアっー、だろ」と一応突っ込んでおきました。

2012年11月21日水曜日

デフレ経済を読み解く~構造デフレ論について

 また例の如く本題とは関係ありませんが、ついに鳩山由紀夫元首相が政界引退を決めました。野党などはトカゲのしっぽ切りだなどと引退に追い込んだ民主党執行部を批判しておりますが、私に言わせればトカゲのしっぽどこかがん細胞と言っていいくらいの人間なので、批判したい気持ちはわかりますが今回ばかりは日本政治界全体にとっても明るい話題なので「おめでとう!」、「よくやった!」くらい言ってもいいんじゃないかと勝手に思ってます。

 話は本題に入りますが、デフレに関する議論がようやく活発化してきました。一番大きいのは自民党がデフレ対策としてインフレ目標を定めることや日銀に建設国債を引き受けさせる、さらには日銀法を変えるという内容を公約に掲げていることですが、これに対してデフレの諸悪の根源ともいうべき日銀、野田首相を始め批判する人は多く、恐らく選挙における主要なテーマになっていくでしょう。
 ただデフレ自体が議論されることは私としても大いに歓迎したいです。というのも経済対策として公共事業とか支援策とかあれこれ言う人は多いですが、デフレが解決されないことにはそういった政策ははっきり言って無に等しいです。ではデフレはどう対処すればいいのか、麻生元首相なんかは二の矢、三の矢の公共事業だとかいいそうですが、そんなの借金作って終わりだと私は考えてます。

 そういうわけで頃合いもいいし、前から準備していたのもあってこれからしばらくデフレについてあれこれ書いていこうかと思います。書く前に先に紹介しておきますが、ここで書いていく話は先日読んだ岩田規久雄氏の「デフレと超円高」がベースになっています。

デフレと超円高(Amazon)

 学者ということもあって所々に専門用語が多いのがたまに傷ですが、日本のデフレに関してよくまとめられているのでお勧めの一冊です。そんなこの本で構造デフレ論についてなるほどと感じさせられたので、今日はこの箇所に絞って解説します。

 まず構造デフレ論とはなんぞやからですが、いくつか種類がありますが代表的なのはグローバル化に伴う価格下落です。90年代以降、日本を始め世界各国では中国に代表される人件費の安い国で作られた製品が流入しましたが、これらの価格の低い商品に対して国内メーカーも競争せざるを得なくなり、どんどんと商品単価が下がっていったことがデフレの原因だとする説です。
 この議論で整理しなければポイントはいくつかありますが、まず競合する商品の価格が下落していったのは確かな事実です。それこそパソコンなんて90年代は30万円を超すのもざらだったのが、今や10万円を切るのが当たり前です。このほかの家電、繊維、あと100円ショップで売られる雑貨なども中国製に押されてどんどん価格が下がっていきました。

 そうした状況を見れば確かに中国製品との競争の結果、物の単価が下がっていきデフレになっていったと言われればなんとなく納得できそうですが、上記の岩田氏はこの構造デフレ説をただの一言で否定しています。その一言というの、「海外と競合していない商品、サービス代も下がっている」というものです。
 岩田氏が例に挙げたのは散髪代というサービス費用ですが、統計によると90年代以降はこの散髪代はほぼずっと下がりっぱなしです。仮に家電などの製品が安くなれば手元に残るお金は増え、自然な経済環境であればその余ったお金は別方面に使われていきますが、先ほどの散髪代のようにほぼすべての方面で日本は90年代以降は価格下落が起こっております。ならその余ったお金はどこに行ったのか、言ってしまえば社会保障の先行き不安から大半は預金へと回ったのが実情ですが、こうした競合しない商品・サービス代でも価格が下がっていることから構造デフレ説は間違いだと主張していますし、私もこの説を支持します。

 では何がデフレの原因なのか。これもパパッと語ると預金へと回ったお金がその後どこへ運用されたのか、こういったところがポイントになって最終的な結論として日銀の金融政策と世界の状況が問題だと岩田氏は主張するわけですが、その辺についてはまた次回以降に説明します。


2012年11月17日土曜日

家電エコポイント制度の是非を問う

 前から書きたかったネタなので連投でもう出してしまいます。それにしても夕方5時から6時の一時間を昼寝に費やしたのになんでもう眠いのだろうか。あくびが止まらん。

エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業(Wikipedia)

 日本ではリーマンショック後、政府の景気対策として自動車と家電製品を対象に環境性能の高い商品に限り消費者の購入に際し補助金を支給する政策、エコカー制度とエコポイント制度を実施しました。今回はエコカー制度に関してはそれほど触れずに家電のエコポイント制度に限り主張を展開しますが、結論から言うと果たして投資効果はあったのかという疑問を持っております。
 まず最初になんでこんな話をしようかと思ったのかですが、私の周囲の人間だけかもしれませんがエコポイント制度は失敗だったという人間が非常に多いからです。特に家電業界に近い人間ほど、「あれは市場を歪めた」といって、家電大手企業が現在大赤字を記録する下地を作ってしまったと指摘しています。私としてもほぼ全く同じ考えで、プラスの面よりはマイナスの面の方が大きかったのではないかとみています。

 具体的に何がまずかったのかというと、友人が主張している通りに「市場を歪めた」というべきか、本来そこにないはずの需要を無理やり引っ張り出して利益の先食い現象を作ってしまったということにつきます。眠いのでなんかすっとんだ書き方がさっきから続いていますが順を追って説明すると、そもそもエコポイント制度は2009年のリーマンショック直後、消費が急激に落ち込むことを懸念して作られた消費促進策です。この制度によって家電を安く購入できるようになったことから懸念されていた消費の落ち込みは家電業界(+自動車業界)では起こらず、むしろ売上げ的には一時的に伸びました。しかしこのエコポイント制度が昨年3月を以って終了するやそれまでの反動から今度は急激に売れ行きが悪化し、ソニー、パナソニック、シャープの家電大手3社が揃って大赤字を記録する一因となりました。

 私がエコポイント制度に何故疑問を持つのかというと、上にも書いてある通りに誰も誉めていないということが一つです。「いやぁあの制度には助けられた」という輩は一度も見たことがなく、むしろ今の惨状を作った要因だとして問題視する人が圧倒的に多いです。またもう一つ大きな理由を挙げると、今の中国も似たような感じだからです。
 中国でもリーマンショック直後に家電の購入促進策「家電下郷」、「以旧換新」という2つの政策を実施して一部地域を除いて昨年に終了しましたが、日本ほどではないですがそれまで空前の利益を叩きだしていた家電メーカーが終了後は一転して苦しい経営へと追い込まれるようになり、確か空調が強い挌力(グリー、ゲーム会社と同じ名前なのは偶然の一致)なんかは単期で一度赤字にも転落していたような。成長市場の中国ですら反動の影響がこれほど強いのだから、日本での影響は中国以上なんじゃないかと思います。

 実際に細かい数字を検証したわけではありませんが、エコポイント制度を実施していなければリーマンショック直後に家電メーカーの売上げは大きく落ち込んでいたでしょうが、果たして現在の落ち込みほど落ち込んだのかと疑問に感じます。また更に付け加えると、リーマンショック直後に下手に延命策など取らなければ事業見直しがもっと早くに進んで、無駄な設備投資が行われず今ほどの赤字を先ほどの3社は作らずに済んだのではないかとも思います。机上の空論ではありますが。
 ただいくつか根拠を挙げるとこれもちょっと細かく確認しておらず友人からの情報なのですが、今年上半期に三菱電機は液晶パネル事業で黒字だったそうです。同事業で大赤字を記録したシャープはその原因を世界的なパネル価格の下落と主張しましたが、それだと三菱電機は何故黒字だった野かということになります。友人曰く結局は設備投資の差で、無駄なことをしなかったから三菱電機は黒字となったとのことです。

 事業を見直すのは早ければ早いに越したことがなく、そういう意味でエコポイント制度は本来死ぬべき患者に無駄な延命治療を施してかえって苦しませる結果となったのかもしれず、たとえリーマンショック直後に大赤字を記録することになっても、やはり市場に任せるべきだったのかもしれません。
 政府はエコポイント制度についてCO2排出量削減につながったなどと自画自賛していますが、この制度はもっと検証する必要があるかと思います。敢えて私の方から改善点を挙げるとしたらもっと分野と範囲を絞るべきで、それこそテレビや冷蔵庫は除外してまだ普及途上にあったLED電球などに絞って小規模に実施するべきだったでしょう。

 じゃあ家電と一緒に補助金が出された自動車業界はどうなのか、それほど反動があるのかという論点もありますが、少なくとも家電業界ほど自動車業界は反動の影響を受けていません。一体何故と言われるとちょっと自分もわかりかねますが、両業界でどうしてこう違うのか、原因をしっかり検証することが次回以降の政策に役立つのではないかと思え、ちょっと問題提起を兼ねて今回こうして記事化することにしました。
 なお全く根拠なく推論を述べると、自動車業界のエコカー補助金はなんていうかプリウスの一人勝ち、次点でホンダのハイブリッド車に恩恵が集中したから家電業界ほど影響なかったんじゃないかという気がします。その売れまくったプリウスは今でも納車待ちが長いというし。

次回総選挙に対する雑感

 昨日はプライベートでの嵐の一週間が終わり、なんか燃え尽き症候群のような状態でまたブログを休んでしまいました。というか一週間に取材三回、特集記事数本を抱えるのは無理があるだろう……。そんなわけで今日は頑張って書こうと考えており、まず一本目には折角解散したわけだし次の総選挙について思うことを片っ端から書いてこうかと思います。

 まず今回の解散時期ですが、前の記事で時期を一ヶ月勘違いしたくらいに私も驚いています。昨日になるまで本当に11月16日に解散するのか半信半疑でしたが本当に解散していて、何故だか取材先から帰る際に地下鉄の駅で目の前で乗りたい電車が走り去って「ファッキン……」とつぶやいたら前のおっさんがビクッと反応してたのを思い出しました。ほんとどうでもいい。
 前の記事でも書いてありますが今回これほど急に解散が行われたのは、野田首相が以前から構想していたということもありますが、新党の連中が選挙準備を整える前に勝負に出て突き崩すという狙いが民主、自民で一致したからだと思います。やるべき課題を残してなどあれこれ批判もされていますが、私としてはこのタイミングで解散に出た野田首相はやるなと思うのと同時に、解散するや次々と民主党から離党者が出ていることから割と期待しております。前回の総選挙時の時点で民主党が大勝したら理想と現実に揺れて離党者が相次ぎ、政界再編が起こると各所で予想されていましたが、小沢一派も抜けていることだし三年かかったとはいえようやく実現したと言ったところでしょうか。あと鳩一羽を除名でもしてくれたら民主党は完璧なのに。

 それで次の選挙後の結果ですが、私の予想としては民主から離党者が相次いでいることに加えて新党が乱立していることから、前にも主張した通りに単独過半数を握る政党は出ないと見ております。そのため次の内閣は連立政権になる可能性が高く、日本維新の会などは連立政権に第三局として与し実権を得る方向を目指しておりますが、実際には恐らく民主、自民、公明の民自公の連立になる可能性が高い気がします。それこそ民主党に小沢一派、自民党が谷垣総裁だった時代ならともかく、野田首相と安倍総裁はともに親米保守であるだけでなく考えている方針が近いようにも感じますし、消費税増税でも谷垣時代に公明とと共に一緒にやっていることからこのまま連立化するのが自然な流れに思えますし、その後の政局を考えるとこういう形が私としても望ましいと考えています。連立政権の首相は野田首相が私にとっては好ましいですが、流れとしては安倍総裁になるでしょう。

 一方、第三局についてはやっぱりガタガタになるのがこちらも自然な流れでしょう。今日になって日本維新の会と太陽の党が一緒にやっていくと発表しましたが、この両党では政策方針が所々異なっており、かつ太陽の党はあくまで私の印象ですが初めから選挙後に当選した議員を引き連れて自民党に合流する気じゃないかとにらんでます。また日本維新の会に関しては友人が言っていたようにスポンサーの不在が明らかで、普通の選挙戦を展開するだけでも苦しく、どれだけ候補者を立てられるのか未知数もいいところです。加えて柱に掲げる政策方針がちょっとはっきりしておらず、むしろ民主党がTPP交渉参加を掲げるとしていることに対して反対すると反応し、相手のペースに載せられてしまっている始末です。人気も発足当初から落ち込んでおり、橋下市長の想定通りとはいかないと予想します。
 また付け加えておくと、前回総選挙時にできたみんなの党などのほかの第三局に関しても同様です。みんなの党に関しては私もそこそこ期待しておりましたが主張する政策が公務員制度改革しかなく、この手の議論が下火になるや一緒になってフェードアウトしてほかの政策はみんな反対という当たり前の野党と化してしまったのが残念です。今回出来た新党も早くもそうなる気配があり、その辺を見越して民主党もTPP議論を改めて吹っかけてきたのでしょう。

 それにしても来月選挙時に自分が日本にいないというのが悔やまれます。こんなの私だけでしょうが水野晴郎ばりに言わせてもらうと政治って本当にいいものですねぇ、考えてるだけでも楽しいし。

2012年11月15日木曜日

中国の新指導部が発足

 既にコメントで指摘を受けておりますが、昨日の記事で衆議院の解散時期を正しくは11月16日だったところを12月16日と勝手に勘違いして記事を書いちゃってました。早すぎるからさすがに今月はないだろうとか思ってましたが、しっかり確認しとけばよかったよ……。

中国の新指導陣が決定…中国共産党常務委員「チャイナセブン」(サーチナ)

 話は本題に移って、というかこのところ政治記事ばかりですがようやく今日になって中国の新指導部が発足しました。前にも書きましたがまた簡単に説明すると、中国の最高意思決定機関は中国共産党常務委員会といって、ここのメンバーから総書記や首相といった役職の人間が選ばれます。でもって本日この常務委員のメンバーが発表され、下馬評通りに次の総書記の習近平と首相の李克強がちゃんと入っております。
 今回のメンバーの特徴ですが、リンク先のサーチナの記事に書いてある通りにメンバー人数が9人から7人に減っております。もっともこの辺の仕組みはよくわからないので理由とかそこらは別の解説者に任せますが、あまりまだ共産党の政治構造とか勉強してないのもあって上記の二名以外はあまりどういった経歴なのかはわかりません。ただ敢えて一意見を書いておくと、ちょっと日本のメディアは陰謀論が過ぎるかなという気がします。

 たとえば今一番多く出ているのは「前の総書記の江沢民が裏で糸を引いている」というものですが、影響力が全くないというわけではないものの言われているほど大きくはないんじゃないかというのが私の意見です。さすがに今回の党大会で胡錦濤の横に座っていたのは何かしら意図があってのことだとは思いますが、なんでもかんでも黒幕をこの人に押し付けるのはちょっと無理がある気がします。そんな無理のある話が何故だか好きなところが日本人にはありますが。
 あと今出てきた胡錦濤ですが、前の記事で気になる点として挙げておりましたがどうやら人民解放軍のポストも下りて、事実上政界から完全引退するようです。色々推測は出ておりましたが、前の江沢民は数年間は軍事ポストを渡さなかったこともあって本当にそうなるとは驚きです。もっともこの辺のパワーゲームの内幕は、数十年後にならないとわからないでしょうが。

 話は新指導部に戻しますが、早くも習近平政権になったら日中関係はこうなるとかあれこれ出ていますが、これは断言してもいいですがどれも憶測記事で信用に足るものはないと言っていいです。これも前に書きましたが、中国はトップ個人の意思で外交が動くのではなく党の意思で決められるため、長期的には影響はするでしょうがトップが交代したからと言って急に方針が変わるようなことはあり得ません。中国としても対日交易は重要視しているため今の尖閣問題も落としどころを探しているような状態でしょうし、何かまた動きがあれば、それこそ石原新党がホームラン打つようなことがあるならともかく急激に悪化するようなことはないと私は考えています。

 最後に個人的な話ですが、早くこのネット検閲をどうにかしてもらいたいというのが私の願いです。昨日もスカイプで友人と会話中にきっかり8分ごとに回線が3回切られました。日本にいると信じられないでしょうがGoogleも反応が悪くなっている上、一部のキーワードを入れると検閲されたりと、フランス革命張りに自由を叫びたくなる日々です。

2012年11月14日水曜日

野田総理の解散時期発表について

 久々に大きな政治ニュースが入ってきて解説のし甲斐もあるのですが、既に皆さんも知っての通り野田首相は本日に解散時期を「16日にする」と発表しました。最初聞いた時は「え、16日って明後日じゃん!?」とか思いましたが、どうやら来月16日のようです。いやもしかしたら1月ってこともあるかもしれませんが。
 何はともあれこれで総選挙はいつだ、近いうちとはなんだとかいう低次元な議論は終わりを迎え、制限時間が出来てようやくまともな政策議論が期待できそうです。一番大きな関門は1票の格差問題事議員数削減、区割り議論ですが、今日の自民党の安倍総裁との党首討論を見ている限りだともう合意できているようなのでそれほど難しくなくすんなり決まるんじゃないかと思います。

 その安倍総裁との党首討論ですが、あくまで私の推測ですが二人とも既に合意があった、つまり解散時期は初めからお互いに決めていたのだと思います。政治にはこうした裏の駆け引きも必要ですし、なによりお互いに党内の統制を図るという目的からこれまで敢えて公表しなかったのでしょう。見ている方からすればやきもきさせられますが、まぁこんなもんでしょう。
 それで具体的な時期についての私の意見ですが12月16日で間違いないと仮定すれば年内ということで、日本全体にとっては悪くない時期だと言えるでしょう。少し慌ただしいですが来年度予算の編成作業への影響も最小限で済みますし、天皇陛下の体調を考えるとあまり先延ばしにしない方がいい様な気がします。

 あと少し邪推をすると、急転直下にここで解散時期が決まった最大の理由は第三極潰しではないかと私は考えています。ちょうど今日は石原慎太郎氏が「太陽の党」を結党しましたが、このニュースを目立たなくさせるために敢えて党首会談もこの日にセットされたと言って間違いないでしょう。そして12月に急に解散するというのも、日本維新の会などに選挙準備を整わせる前に選挙にもつれ込ませ、いうなれば先手必勝的に叩き潰すという方針が民主と自民で一致したんじゃないかと思います。厳しいようですが、これも政治の世界でしょう。
 となると民主も自民も既に選挙準備は大分整っているというか算段は出来ていることが想像できます。公約内容やポスターその他諸々はもうある程度できていて、後は如何に党内の反対勢力をなだめるかにつきますが、民主党の場合はむしろここで異分子をあぶりだしてはじくかというのも一つの戦略に入っている気がします。代わりの候補をどこから見つけてくるかまではまだかもしれませんが。

 あまりうまくまとまっておりませんが、選挙関連ではまた何か動きがありましたら今後も書いてきます。それにしても、今日はエコポイント制度について書こうと思ってたのにな……。

2012年11月13日火曜日

中国の業界別天気予報

 なんかちょっと今日は気分があまり乗らないのですが、中国の業界別景気状況を簡単にまとめたいと思います。

1、鉄鋼業界 (;´Д`)
 全体景気が鈍化していることに加えこれまでに設備投資をし続けて生産過剰に陥っていることから、はっきり言って不景気もいいところです。一番最悪だったのは今年の6月くらいでこのところは少しマシにはなってきている雰囲気ですが、恐らく来年前半までは苦心が続くでしょう。

2、太陽電池業界 。゜(゚´Д`゚)゜。
 死亡確認、と言ってもいいくらいに絶望的な状況です。こっちは全世界で生産過剰で価格下落も歯止めがかからず、日本国内でも「液晶の次は太陽電池だ」と言っていたシャープも「た」の字すら言わなくなるほど危機的状況です。さらにアメリカ、EUが中国製太陽電池に反ダンピング措置を実施する準備を進めており(アメリカはもう決まり)、中国国内でも大型倒産や合併が起こり得るでしょう

3、自動車業界 (´・ω・`)
 かつてほどの急成長はないものの、まだ比較的悪い状態ではありません。特に先月からは日本車の売れ行きが悪くなった分、代替先となるほかのメーカーの売れ行きがよくなる傾向を見せており、今年前半に販売台数が落ちていた中国民族系メーカーもなんか10月はそこそこいい業績を出しております。特別景気がいいというわけじゃありませんが、ちょっと明るさを感じます。

4、家電業界 (゚д゚;)
 自動車同様にこれまで急成長を続けてきた家電業界ですが、こっちは危機的というほどではないもののあまり良くはありません。理由を挙げるとしたらやはり日本のエコポイント制度よろしく中国政府が長く実施してきた販売奨励策が終了し、その反動が予想以上に大きかったことが原因だと考えています。

5、レアアース業界 (;゙゚'ω゚')
 かつては一世を風靡した業界ですが、レアアースも価格下落が止まらない上に需要も低下し続けているのではっきりいってやばいです。この原因は至極明快で日本がレアアースを買わなくなったからです。中国のレアアースは今もそうですけど輸出先では日本が確か6割以上を締めているのですが、2010年に中国が輸出規制を行ったことから日本も代替物を使うようになり、またほかの輸入先開拓を始めて消費量が急減しています。いちおう資源保護の名目で通年の輸出枠というものが定められていますが、現状ではそれを使い切ることなく今年も終わりそうです。

6、白酒業界 (゚∀゚)ラヴィ!!
 ここははっきり言ってもうけ過ぎです。白酒はこのところ価格が高騰し続けててこの前自分も調べましたが、高級白酒のマオタイ酒の1本当たり単価はこの10年で10倍にまで高騰しており、利益率も半端じゃなく伸び続けてます。何気に衝撃的だったのは、白酒業界のトップ2社の純利益がこの前、上場しているすべての家電メーカー42社の純利益を上回っておりました。

7、金融業界 ( ´Α`)
 日本も、というより世界中でそうですが株式市場が低迷しており、上海市場もそれほど大きなニュースとか大規模上場がないので盛り下がっています。

8、運送業界 ('・c_,・` )
 あまり大きく取り上げられていませんが、電子商取引が急激に普及している影響から地味に大きくなっています。なんか業界全体で人手不足が問題になっており高給でも配達人、トラック運転手が募集されており、今後も増えてく余地は高いんじゃないかとみています。

2012年11月9日金曜日

共産党中央党大会の気になるトピック

 初めにほんとくだらないですが、下の記事で昨夜大爆笑してました。

「売国クソ禿」で落ち込む孫社長に応援団 高須克弥氏が「植毛をプレゼントします」(J-CASTニュース)

 書かれている内容というのはハリケーンのサンディで被災したアメリカにソフトバンクの孫社長が寄付金を出したことをツイッターに書いたら、「売国クソ禿」と罵られて落ち込んでいたところ、高須クリニックの高須院長が、「バカにも返事をするあなたは偉い。ただで植毛をプレゼントします」とツイッターに書き込んだというものです。高須院長としてははげましているつもりなんだろうけど、フォローになってないだろこれ。
 さらにこれは二年くらい前の話ですが、同じ孫社長のツイッターに「ハゲ割というのがあると面白いと思いました」というツイートがあり、それに孫社長も「ハゲホーダイ?」と返信していたそうでこれもなんかツボにはまりました。孫社長が偉大過ぎる。

 話は本題に入りますが、前から予告していたように今日から中国で最大の政治イベントと言っていい、五年に一回の中央党大会が開幕しました。内容に関してはNHKもやけに力を入れて報じているのであまり書くこともないのですが、今回で何が一番大きいのかと言えば最高幹部会にあたる中央常務委員会のメンバーが刷新されることです。簡単に説明するとこの中央常務委員会は中国共産党の最高意思決定機関であって、この中から総書記、首相、そして全人代の議長が選ばれます。
 今回の中央党大会では総書記職は胡錦濤から習近平へ、首相職は温家宝から李克強へと移り変わることはほぼ確実視されており、それに合わせて複数名がこの常務委員会で入れ替わる予定です。もっともこの辺の話はあまり得意じゃないのでよくわかりません。

 それで敢えて自分の興味ある点を一つだけ書くと、胡錦濤が軍事ポストを維持するかどうかがポイントじゃないかと考えています。というのも一時死亡説も流れた江沢民が総書記職を退いた十年前、彼は総書記職は譲ったものの軍事ポストに当たる人民解放軍の指揮権は保有し続け、確五年前の中央党大会でやっとその軍事ポストも胡錦濤に譲ってます。いくら戦争がないとはいえ軍事ポストはやはり重要で、次の政権への影響力を残すためにも引退する総書記は軍事ポストを保有し続けることが慣例となっております。
 そんなわけで今回も胡錦濤は総書記職を習近平に譲っても人民解放軍の指揮権はあと五年は持ち続けるだろうというのが大方の見方なのですが、日本の一部報道で江沢民派に詰め寄られて、今回の党大会で指揮権も譲るというのがありました。本当かなぁと疑う気持ちもあるのですが、政治とか権力争いは有りえないと前提を作るものではありません。仮に本当だとしたらちょっと想定と変わってくることもあるので、個人的にはこの一点だけはどうなるか注目してます。

 最後に政権交代後の中国の対日政策ですが、基本的に大きな変更はないと断言してもいいです。日本やアメリカはトップが変わると外交方針も多少変わりますが、中国は総書記や首相個人が外交すべてを決めるのではなく共産党が組織として決めるので、長期スパンでは変わることはあっても短期で急旋回することはありません。基本的に中国共産党も日本との経済関係は重視しているし、この前初めて知ったけど上海市の税収の三分の一は日系企業が出していることだし、一部の陰謀論者が言うような日系企業の追い出しなんてことはまずしないというのが私の意見です。

2012年11月7日水曜日

オバマ大統領の再選について

 今日いつもの青果屋でバナナとみかん、計13.9元を購入する際に14元を支払ったら、おつりださないかわりにみかん一個をおまけしてくれました。以前香港でも毎日のようにサンドイッチ買ってたら、いつからか1香港ドルおまけしてもらっていましたが、なんかこういうことが自分にはやけに多い気がします。

 話は本題に入って本日行われたアメリカ大統領選挙で、オバマ大統領が見事に再選を果たしました。下馬評では接戦になると伝えられていたものの結果は比較的差がつき、接戦州もほぼすべてオバマ大統領が制する程でした。そんなわけでちょっとイメージと違ったなと思うのと同時に、あくまで自分の印象ですが日系メディアに関してはやや対立候補のロムニー氏が勝つような報道の仕方で少し寄ってたんじゃないかという気がします。あくまで印象ですが。
 あと下馬評と結果が異なった原因ですがアメリカの大統領選挙方式が州ごとに選挙人が獲得できる方式ということが一番大きいでしょうが、これもあくまで仮説ですが、人口構造の変化も影響あったんじゃないかと考えています。既にアメリカでは有色人種が過半数を越えるのですが、富裕層はやっぱり白人の比率が高いです。根拠もなく書き連ねると所得の低い層に手厚い政策を行おうとして有色人種の間で人気の高いオバマ大統領が今回のようにリードをつけて勝ったのを見ると、調査対象者が人口比で劣る白人に偏っていたのではと少し思います。

 それでオバマ大統領が再選したことによる日本への影響ですが、まずお笑い芸人のノッチがまた仕事にありつける(既にニュースに取り上げられてます)のはさておき、何よりも円高がまだ続くというのが真っ先に浮かびました。アメリカ政治は全くの素人と言ってもいいのでこっからは完全な憶測で書いていきますが、恐らくロムニー氏が勝っていたとしても金融緩和策をアメリカは続けたと思うのですが、現時点で実行しているオバマ大統領が続投することでこの流れはまだ続くと見て確実視していいでしょう。今の日本の円高は一概にアメリカだけのせいではないのですが、少なくともアメリカの金融緩和が止まらない限りは円安への改善はなかなか見込めず、

アングル:オバマ氏勝利でドル安路線のあおり受ける日本(ロイター)

 この辺に関して上記リンク先の記事でロイターも同じような見方を示しているのですが、後半部ではアメリカの経済力の信頼性が高まり円高はそれほど進まないという意見も載せています。ただこの意見の主張者、よく見てみるとある意味でデフレと円高の主犯ともいえる「一部の日銀関係者」と書かれてあり、なんかこの時点で私の中で一気に信頼が持てなくなりました。
 あと中国に対する影響も少し書いておくと、恐らく中国の金融関係者としてはオバマ大統領が再選して内心喜んでいる気がします。というのもアメリカがなりふり構わない金融緩和をやっているおかげで以前みたいに人民元のレート切り上げを要求しづらくなっており、現にこの一年くらいはレート切り上げをアメリカが強く要求する所は見たことありません。中国としてはなるべく今の、実態より低いレートを維持したい思惑があるので歓迎しているでしょう。

 ただこれはほかの所ではあまり書いていませんが、米中の貿易摩擦はかなり激しくなってきています。この前には中国製太陽電池に対してアメリカがダンピング関税をかけただけでなく、ZTEと華為という中国通信大手2社の商品を使うなとアメリカ政府が文書で通知したり、中国建機大手の三一重工の米風力発電企業買収を最後の最後でひっくり返したりと枚挙に暇がありません。特に最後のなんか三一重工も怒って、アメリカ政府じゃなくオバマ大統領個人を提訴するというおもしろい展開になってます。
 オバマ政権というのはトヨタのリコール問題といい、どこか保護主義的な政策を取る所があります。金融的にはよくても中国とはこうした方面で対立が今後ますます大きくなってくるのでは、というのが私の意見です。やっぱ早く仕事終わらないとまともな記事書けないな。

2012年11月6日火曜日

安倍晋三への中国の関心

 今日はというか今週に入りまた忙しくなっているので、さくっと書ける話題で行きます。タイトルそのままですが自民党の総裁職就任以降、中国では安倍晋三氏の関心が非常に高くなっております。

 安倍氏に関しては一度総理になっていることから中国でもそこそこ知名度はあるのですが、やはりタカ派というイメージを持って報じられることがあり、総理在任中は靖国参拝を避けたにもかかわらず彼が今度また総理になると日中関係が悪化するのでは、民主党の前原氏同様に危険人物だとよく書かれております。まぁ前原氏に関しては事務所費問題で、そろそろ党内の地位も危うくなってきましたが。
 それ安倍氏ですが、確かにこのままの情勢が続くようであれば総選挙後は次の総理となる可能性が高いです。もっとも私としては自民が第一党になりきれない可能性もあってどうかなという気がするのですが、仮になったとしても意外とこの人は外交では引くところもあるので、中国が懸念するほど関係を悪化させないと考えております。

 ただこの辺の話でもう少し発展させると、石原慎太郎氏が新党を起ち上げるといったあたりからまた右か左かという論調の報道が非常に増えてきているように見えます。これまでに私も何度も書いてきておりますが右か左かというのは冷戦時には通用したとはいえ、現代の政治力学を測る上ではもはや何の指標にもならないと考えています。更に言えば右だとか左だとか言われている人は実際には言われているほど思想を持っているわけではなく、むしろ利権を代表しているにしか過ぎません。
 そうした人物の代表格は実名を挙げて批判すると社民党の福島瑞穂党首で、かつて起きた中国漁船の衝突事故の際に衝突映像が一般公開されていない中で、「コツンとしか当たっていない」と実態とは明らかにかけ離れたことをのたまっていました。その後に映像が流出してこの発言が嘘だった事がわかりましたが、よくもまぁ堂々とあんな嘘を言えたものだなと呆れた物です。私に言わせると、この人は現実の事実よりも中国側をかばい建てすることで得られる利権の方が大事な人間なのだろうという気がします。元々、社民党自体がそういう党ですが。

2012年11月5日月曜日

万里の長城ツアーの遭難事件について

 本題とは関係ないですが、中国では今週から開かれる中央党大会の影響でネット検閲が非常に厳しくなっています。たとえを挙げるとプロキシサーバーを使うことで見られたYoutubeとか完全に見られなくなり、気になる記事があったので潮風大使さんのブログにもコメント書こうとしたけど駄目でした。おまけに電話も盗聴されているのか、会社の電話は以前は聞こえなかった「サー」って砂嵐みたいな雑音が急に聞こえるようになり、さっきも携帯電話で友人と話してたら2回も突然切れました。実にファッキンです(・ω・)
 話は本題に入りますが、既に大きく報じられているように中国で日本人ツアーの遭難事故が起こりました。

万里の長城遭難:日本人死者3人に 旅行会社下見現地任せ(毎日新聞)

 内容については皆さんわかるでしょうから今回は説明しませんが、このツアーの企画会社であるアミューズトラベルの名前を見た際は正直言って「まだ存続していたのか」と驚きました。こちらも既に大きく報じられているからわかるでしょうがアミューズトラベルは3年前に死者が9人も出たあのトムラウシ山遭難事故を起こしており、とっくに解散していたと思っていただけにエレベーター事故のシンドラーといいどうしてまた同じ過ちを繰り返すのかとやや陰鬱な気持ちにさせられました。早めに予想を言うと、さすがに三度目はもうないでしょうけど。

 それで今回の遭難事故ですが、中国現地でもきちんと報じられております。北京一帯は史上稀に見る大雪だっただけにこのツアーだけでなくあちこちで雪害による影響が出ているためにトップニュースではないものの、注目度としてはそこそこ大きく扱われているように感じます。リンク先に貼ってある記事では「救援隊150人が救助のために全力を尽くした」と書かれてありますが、この点に関しては素直に中国のレスキューの方々に感謝したいと思います。

 恐らくこの事故を見た日本の多くの方は、「どうして一大観光地の万里の長城でこんな遭難が起こるんだ」と考えたのではないかと思いますし、現にネットの掲示板を見ると、「こんな観光地で遭難なんておこるわけない。中国だから何か別の理由で死んだんだろう」などということを書いている人も見受けられました。
 まぁそんな書き込みしたバカはほっといて私の方から解説させてもらうと、万里の長城は確かに観光地ではありますがそれはあの長い長城の一部分だけで大半は奥深い山の中で連々と石塁が連なっているだけです。観光客が主に訪れるのは今回の遭難現場から数十キロ離れた八達嶺(パーターリン)というところでテレビなどに映る長城の姿は大抵はこの場所ですが、この八達嶺ですらかなり山深いところにありたどり着くまでには北京市からバスに乗って数時間かかります。ただ八達嶺は観光地として整備されていることもあり、周辺には道路も作られているだけでなく観光しやすいよう長城を上る階段などが設けられているのですが、実際行ったことはないものの観光地になっていない長城はそういう類のものは一切なく、移動するのも大変だし緊急連絡手段も限られていたのではないかと思います。

 そしてこれだけは強く言っておきますが、長城というのは行ったことがある人ならわかるでしょうが日本人が想像するような生易しい物じゃありません。自分も初めて行った時に驚きましたが長城の通路は意外に地上高が高く、落ちたら確実に死ねます。しかもその通路は平坦ではなく、文字通り山の傾斜に沿って建てられているため勾配が半端じゃありません。それこそ八達嶺にある観光ルートですらなんかSWATとかの訓練場と見まごうかのような急勾配、しかも階段がなく坂になっている箇所が数多くあり、足を滑らせたら大怪我しそうで本気で怖かったです。
 そんな長城に十月なのにやけに暑い時期に行ったもんだから、汗をかきながら必死で傾斜を上り下りしたのを今でもよく覚えています。この時はお袋が一緒でしたが、お袋も急勾配に参ってぜぇぜぇ言っていたものの私の方も必死で上り下りしていたため手を差し伸べる余裕がなく、後ろを振り向いたらいなかった、というようなシチュエーションも有り得ると思いつつ通路を渡り切りました。幸いながらお袋も一時は大分自分と距離が開いたものの無事渡り切ることが出来ましたが、助けなきゃと思いつつ助ける余裕がないというのをこの時に強く感じ、もしかしたら遭難時の心境はこういうものなのかもしれないと、なんか今作ったように見えますが当時は本気でこういうことが頭に浮かびました。

2012年11月4日日曜日

3大学設立許認可取り消し問題について

 このところ忙しくてタイムリーに政治記事を拾えてないので、今日は久々に騒動真っ只中の大学設立認可政府、というより田中真紀子文科相が取り消した問題について私の意見を紹介します。

「生徒のチャンスつぶす」秋田公立美短学長、田中文科相の不認可に反発 入学希望は900人超(産経新聞)

 事の経緯を簡単に説明すると受験者数が定員に満たないいわゆるFランク大学が増加しているような背景から田中文科相は大学の設置基準を見直すべきという持論のもとで、既に設立認可が下りていた3大学に対して突如認可を取り消す命令を出しました。この命令に対して3大学側はどれも「寝耳に水」と答えた上で、既に後者を建設したり指導教員に内定を出しており、さらに受験者の募集や上記リンク先の短大のように既存の短大生が編入する予定でもあったとして、影響が大きすぎるとして命令の撤回を要求しております。

 この一連の騒動に対する私の意見を述べると、やはり3大学側の立場に立ち設立を認めるべきだという立場を取ります。確かに私も日本には大学があまりにも多くなりすぎているために統廃合を進め、新設基準は厳しくするべきだという風にかねてから主張してきましたが、きちんと設立手続きを踏んだうえで来年開校予定だった大学を、それこそ思いつきの様な判断で突然ストップをかけるというのはいくら何でも道理にかなわないでしょう。また繰り返しになりますが設立手続きは問題なく終えており、しかも一度は設立認可が下りていたものをひっくり返すことは制度の信頼性も揺るがしかねません。

 就任以降、産経新聞は事ある毎に田中文科相の動静を伝えて今にボロが出ると書いていましたが、今回のこの騒動を見るとその予想は見事的中したと言えるでしょう。就任直後は大人しかったのでさすがに小泉政権の頃から少しは成長したかと思っていましたが、安西先生じゃないけど「まるで成長していない……」と言いたいくらいです。今後の推移ですが恐らく野田首相をはじめとして民主党幹部はさすがに3大学の設置を認め直すように動くでしょうが、それに田中文科相がどう反応するか。黙って勧告を受け入れるか、自分の考えを理解してくれないなどと言いながら執行部批判を始めるか、こう言ってはなんですが私は後者にベットします。

2012年11月3日土曜日

取材先広報に関する四方山話

 あまり内輪ネタを披露するべきではないと思うのですが、知らない人には参考になるかもしれないので自分が取材したことのある企業の四方山話をちょっと紹介しようと思います。

・ナンバー1な日系自動車メーカー
 何がナンバー1なのかは書かないけどともかくナンバー1な日本の自動車メーカーです。ナンバー1なだけあって広報担当の人も隙がなく、この前に電話取材した時はこんな会話となりました。

自分「天津工場の稼働をストップさせるって本当ですか?」
広報「個別の工場の稼働状況は以前から一切開示しておりません」
自分「では今後、生産調整など行う予定は?」
広報「常に需要に応じて生産調整を行っております」

 全く隙がなく、記事が書き辛かったです。ただ仕事はしっかりしてるなぁという印象は受けます。

・僕の上司はフランス人な日系自動車メーカー
 またも日系自動車メーカーですが、単月の販売台数を確認している際に今後の市場戦略について尋ねたところ、「うちのゴーンもこの前言ってましたけど……」と、CEOの名前を呼び捨てにして説明してくれました。うちのって、猫とか犬じゃないんだから……。

・バイクも作ってる自動車メーカー
 なんか同じのばっか続くけどまたも自動車メーカーで、合弁会社でストライキが起きているというから電話してみたところ、「らしいね!」と、もしかしたら否定されるんじゃないかという予想を裏切りあっさり認めた上で、「ところで中国ではどんなふうに報道されてる?( ・∀・)」と聞かれて、実情を尋ねようと電話したのに逆に私が中国の報道ベースでストライキの状況を説明する羽目となりました。おまけに、

自分「なんか総経理も解任されるって言われてますけど」
広報「えー、聞いてなーいΣ(゚д゚;)」

 という具合でした。終いには、「日経さんはこんなこと聞いてきたよ( ゚∀゚)」とこっちが聞いてないにもかかわらず教えてくれて、以前はあまり意識することのないメーカーでしたがこの一件以降は急に好きになりました。記事もめちゃくちゃ書きやすかったし。

・バッグ作ってるサ○ン○タ○サ
 この○マ○サ○バ○は香港で上場するという話があったので電話取材をかけてみたところ、何度電話をかけても「担当者がいない」の一点張りでした。しょうがないので担当者が来たらこちらに連絡をくれないかと伝えたところ、

広報「はいわかりました。それでは失礼します」
自分「まだこちらの電話番号を教えていませんよね?(#^ω^)」

 という具合でした。質問案件に対して回答できないなら回答できないと言ってくれればこっちもそれで済む話だというのに、たった数分の電話でここまで人をイライラさせてくるのもまた珍しいです。というようなことを同僚に話したところ、同僚も以前にサ○ン○タ○サに電話取材をしたことがあったのですが、以前に発表していた事業計画と今回発表した計画になんか齟齬があると感じて質問してみたところ、「それは過去の話です」といった感じで前回発表の内容をなかったことにしていたそうです。もちろん電話の態度も悪く、二人で悪口を一時期言い合ってました。

・日系飲食チェーン(確かラーメン)
 これも香港時代の話ですが、進出するような話があったので私ではなく女性の同僚が電話取材をかけたところ、上の○マ○サ○バ○と似たような対応を受けたらしく、何度も電話をかけ直す途中で同僚が泣き出してしまいました。「なんで聞いてるだけなのに、こんな扱い受けなきゃいけないんだろう(ノД`)」と言われて必死で慰めましたが、回答できないなら回答できないと記事書く側からすると本当に言い切ってほしいです。それで済むんだから。

・某広告代理店、というか電通
 嫌っている会社だし電話かけたくないなぁとか思ってたらプレスリリースの内容で記事書けと指示されたので仕方なくかけましたが、電話に出た人は終始不機嫌な声で「わかりません」とか「リリース文に書いてある通りです」としか言いませんでした。結局何も聞き出せないまま取材は終わりましたが、嫌な会社はどこを切っても嫌な会社だということだけはよくわかりました。っていうか余計なお世話かもしれないけど、あんな問題のある人間に電話対応を任せない方がいいんじゃないかと本気で思います。前に別件で対応してもらった人は普通だったんだけどなぁ。

・財閥系代表オペレーター
 どこでもそうですが最初は取材先の代表電話番号にかけてから広報につないでもらうのですが、財閥系大企業の代表オペレーターはどこも凄い綺麗な丁寧語を話す人が多いです。その方面の専任の人でしょうが、あまりにも丁寧に応対してくるので話しててこっちの日本語のリズムが異常に乱れることが多いです。綺麗なのは美徳ですが、ビジネスシーンなんだしもうちょっと砕けて話せないかなと時々思います。

・ある業務用食材卸売企業
 この企業へは香港に出張していた際に一度だけ電話取材をしたのですが、その時も懇切丁寧に回答してくれてありがたい会社だなと思いました。その後、上海に戻った後で同じ会社がプレスリリースを出してきたので再び私が電話取材を行ったところ、「あれ、この前に香港からかけてきた方じゃないですか?」と、同じ広報担当の人が私のことを覚えておりました。なもんだから取材も非常にやりやすかったのですが、まさか香港と上海跨いで同じ会社に取材、しかも双方覚えていたというすごい偶然を体験したこともあり印象深い会社です。

サイゾーが配信する如何わしき記事

 先日、マイクロソフトが運営するポータルサイトのMSNに以下のような意見文を送りました。

「毎日ニュース記事を拝見しておりますが、「サイゾー」が配信している記事について意見があります。短く言ってしまえば下品過ぎるの一言に尽き、本日配信した「自慰シーン“解禁”の松たか子、今度はヘアヌード写真集に興味津々!?」という見出しの記事も、未成年が見る可能性のあるページで配信するニュース記事としては如何なものかと思います。そもそもサイゾーはこの記事のように「週間実話」、または「週間大衆」の記事を引用しているだけの内容が多く、そのどれもが「そろそろあの女性芸能人がヌード写真集を出す」というものばかりで、どれだけ時間が経ってもそれらしきヌード写真集は一向に発行されない、いわば根拠のない憶測記事が多いです。娯楽には多少の嘘があってはいいとは思いますが、こんな下品な内容の記事が書かれる女性芸能人の立場を考えると、御社サイトで配信するべきではないのではと個人的に思います」

 我ながら随分真面目ぶった意見を言うものだという気がしますが、看過し続けるのもいい大人としてどうかと思ったので思い切って送りました。この意見文に書いてある通りに、MSNに配信されているサイゾーの記事はセクシャルな内容が明らかに多く、また全く根拠がないと言っていい捏造記事が異常なくらいに散見され、最近では「サイゾー」という名前を見るだけで腹立ってくるほどです。
 一例として、また今日も以下のリンク先にある週間実話の捏造記事をベースにした記事が配信されております。

「ヌードOKだった」発言の長澤まさみに複数のヘアヌード計画が浮上!?(サイゾー)

 私は別にヤクザ業界の情報誌のような週間実話と週間大衆がどんな捏造記事を書こうとも特段気にすることはありません。何故なら両誌は雑誌という紙媒体で閲覧する人間には選択する余地があります。ただこのサイゾーの記事は無料のインターネット上で不特定多数に配信され、実際に私も読みたくもない内容にもかかわらずMSNのニュース欄を見ていると目に入ってしまい、ぐだぐだ言うのをやめてしまうと早く商売やめるか目立たないところで一人でやってろと本気で言いたいです。
 実際にこれらのサイゾーの捏造記事に騙されて、友人の上海人も悔しい思いをしております。その友人をだました記事というのも「酒井法子AV転身!? 芸能ブローカーが「のりピーの利権」争奪戦を展開!」という記事ですが、これを見た友人はどうやらマジで酒井法子がAVに出ると考えていたようで、サイゾーの記事はほとんどねつ造だと教えてあげたら本気で残念がってました。無垢な中国人を騙すなんてサイゾーは許せねぇ、と思う一方で、「あの記事を本気に信じる奴がいたとは(;゚д゚)」とも思いました。

2012年11月1日木曜日

東電OL殺人事件の検察による無罪請求について

 なんかあまり突っ込む人がいないので、自分がやるまでもないと思っていましたが一応記録のために触れておくことにします。

東電OL再審 誤判の検証も欠かせぬ(10月31日)(北海道新聞)

 本音を言うとほかの所から記事を引用したかったけど、ちょうどいいのがないので警察には厳しいけど部落には優しい北海道新聞にします。それにしても言うねぇ私も。
 書かれている内容は先日にネパール人、ゴビンダ・マイナリ氏の冤罪が認められた東電OL殺人事件で、ゴビンダ氏を無実の罪で刑務所に追いやった検察が当初はあくまでゴビンダ氏が犯人だと主張しようとしていたものの、被害者の女性の爪から別人のDNA、それも同じ室内にあった遺留物から検出されたDNAと一致するものが出てきたことから白旗を挙げ、再審で無罪請求をしたということに触れております。至極当然な判断と言えばそれまでなのですが、真に注目すべきは検察が白旗を上げたということではなく、何故今の段階で被害者の爪から別人のDNAが出てきたのかということです。

 別に刑事をしているわけでもないので本当かどうかわかりかねますが、よく推理小説とかで殺される際に被害者が暴れるため、爪の中から犯人のDNAが出てくるという記述をよく見かけるのですが、もし仮にこれが事実だとしたらまず真っ先に痕跡が調べられる箇所ではないのかと個人的に思います。私が何を言いたいのかというと、検察、そして警察は事件が起こった当初の段階でこのゴビンダ氏とは異なるDNAが被害者の爪の中から検出されていたのを知っていたのではないかということです。そもそもなんで事件から十年以上も経って突然出てくるのか、どう考えたって初めからわかっていたことを敢えて隠し、ゴビンダ氏が犯人でないとわかっていながら無理矢理罪を着せたようにしか思えません。もっとも、これ以外の証拠でもゴビンダ氏の無実は明らかにわかりきっていたことなのですが。

 仮定の話が続きますが、もし本当に初めから爪の中のDNAの事実を検察が知っていたとするならば、何故検察の中で処分者が現れないのかが私には不思議です。厳しいことを言えば無実の人間に罪を着せるような行為をしていたのであれば、ゴビンダ氏と同じように15年くらい刑務所に入るくらいの処分が必要かと思います。
 それにしても近年の日本の司法は足利事件の冤罪発覚以降、未だひどい状態とはいえ徐々にではありますがマシになってきたなと思います。個人的な印象論で語らせてもらうと、司法に対して目が行くようになった最初のきっかけはいわゆる痴漢冤罪で、その後に足利事件の再審が起こり、そして郵便の障害者割引制度が続いたことが大きい気がします。この東電OL事件なんて、完全に闇に葬られると5年くらい前は私も考えていましたし。

 最後にこれまた踏み込んだことを言うと、うちのお袋は冤罪ではないというものの2000年に起きたというか発覚した筋弛緩剤点滴事件も、犯人とされる男性の逮捕直後の報道のされ方を見ると冤罪の可能性があるのではと考えています。この事件も仮に冤罪なら不幸だろうがひっくり返ることはないだろうと今まで思っていましたが、昨今の状況を見るともしかしたらと少し考えることがあります。

2012年10月31日水曜日

日本人の改善思想

 例の尼崎の事件で各メディアが犯人の写真を間違えて出していた件ですが、朝日新聞だけが、「うちも同じ写真手に入れていたけど、確認が取れなかったから使わなかったぞ(゚∀゚)」とどや顔で報じているのが微妙に笑えます。いやきちんと裏取り作業をしているんだから確かに誉めらるのですが。

 そんなことはほっといて今日の本題に移りますが、既にブログで記事にしていますが先週末は約一年ぶりに香港へと旅行してきました。そんな一年ぶりの香港を見てきた感想ですが、一言でいうと「何も変わっていない」というのが正直な所です。いや実際にはあれこれ変わったところもあるのかもしれませんが、少なくとも自分が見てきた界隈は街の通りや建物、駅舎など、あと香港人のスタイルやファッションなどは一年前と全く変わりがありませんでした。
 一体なんでこういう風に思うのかというと過分に、現在上海市を拠点に生活しているというのが大きいのではないかと考えております。今年はペースが落ちてきているとはいえ世界一の成長市場の一級都市であるだけに、上海市は街のあちこちであれこれ建設工事なり建て替えなり、果てには取り壊しなどがしょっちゅうあります。ちょうど自分の住んでいるサービスアパートメントの前にある商業施設も建て替えが始まっているのですが、それこそ数ヶ月時間を空けるだけでも見た目というか雰囲気が変わっていることが多いです。更に言えば街並みだけでなく、上海人も豊かになってきていることから服装とか仕草がかなりめまぐるしく変わっているような気がします。

 この香港と上海の違いはひとえに、成熟市場と成長市場の違いと言ってもいいかと思います。ある程度経済発展を終えて落ち着いている香港に対しまだ発展途上で変わりつつある上海という具合に、両都市の現況が私の印象の違いを生んでいるのでしょう。では香港と同じく、一応既に経済発展をある程度達成している日本はどんなもんでしょうか。なんかさっきの話をひっくり返すようになりますが、私の印象としては日本の都市は香港などよりも上海に近いというか、意外と変化するところが多いような気がします。
 あくまで私の印象ですが、たまに実家とかに帰ってみると今までなかったところに信号機が出来てたり、通い慣れた店舗が回想されてたり、見知らぬ道が出来ていたりと、上海市ほどダイナミックではないにしろ細かいところで変化している箇所が多いと毎回感じます。またこれは以前にあった人が言っていたのですが、東京の首都高などで以前は渋滞が多発していた箇所を久々に通ったところ、一部ルートが追加されたりしていて全く渋滞が起こっていなかったそうです。その人曰く、日本人というのは地味に改善意識が高く、一度作ったものを細々と改良を加えていく傾向があるそうで、聞いた当時に私もなるほどと感じました。

 ちょうど今回に香港へ行ってみてこの時の改善という言葉を思い出したからこんな記事を書いているのですが、トヨタの改善方式じゃないですが確かに日本人は後から機能なり改良を加えていくような行為を外国人と比べて率先してやるようなところがある気がします。これもやけに印象に残っている話ですが、映画の「ラスト・サムライ」でも「日本人は誰に言われるまでもなく自分の技量を高めて前よりいいものを作ろうとする」というトム・クルーズのセリフがありますが、なんとなく通じるところがある気がします。
 一方、改良を加えていくというのには向いているものの逆に一から土台の様な何かを作るという行為は苦手だとも言えると思います。よくネットのジョークに「アメリカ人が発明したものを日本人が小型化して中国人がパクる、そして韓国人が起源を主張する」というのが以前に流行りましたが、ベースとなるものは今現在を見回してもやはりアメリカが全部作っている気がします。敢えて踏み込んでいうと、日本の漫画を作った手塚治虫は本人自身もディズニーの影響を強く受けたことを話していますし。

 更に歴史を紐解くと第二次世界大戦中に日本はよく、一回の戦闘にまとめて兵隊を送るのではなく実際に戦った後で「もう少し必要」などといって後からどんどん送り込む、逐次投入をよくやらかしています。兵力の逐次投入は軍事上で下策とされており、必要な兵力を一度に送る方が輸送コストや戦闘期間などの関係からずっと優れているのですが、こうしたことからもどうも日本は一気呵成に物事を進めるのも伝統的に苦手なんじゃないかと伺わせられます。
 そんな具合でどうもオチがパッとしませんが、日本人はいわば改善オタクで微量な変化を好む気質じゃないかというのが私の意見です。こうした点をもっと意識して、日本人に向いた組織運営法とか開発方針を作っていくのも一考じゃないかと思うわけです。

2012年10月30日火曜日

石原新党の設立について

 先週末は香港に言っておりましたが、地下鉄(MTR)の車内で流れる電光掲示板ニュースで石原都知事が職を辞任し、新党を作るというニュースを確認しました。発表当時はネットに触れなかったので細かくニュースを追うことが出来ませんでしたが、まぁなんていうか子供のために大変だなぁという気がします。

石原新党参加を表明 平沼氏(産経新聞)

 今日になってたちあがれ日本の平沼氏も石原新党に参加すると発表がありましたが、路線としては同じ保守ですしおかしなことではないと思います。この後は橋下市長が率いる日本維新の会とは提携するからが気になりますが、恐らく橋下市長は手を組まず、あと残ったみんなの党は宙ぶらりんがこのまま続くでしょう。

 そろそろ本題に入りますが石原氏が何故この段階で新党を作ったのか、私見を述べさせてもらうと息子の石原伸晃氏を総理大臣にさせてあげたいからだと私は思います。一応本人は国のためだとか尖閣のためだとか言っていますが政治家というのは大言壮語を構える人ほど私利私欲で動く人が多く、特に石原氏に至っては結構平気で嘘をつくところがあるので素直に信用することが出来ません。
 では何が理由なのかですが、考える決め手となるのはやはり今のこの時期、つまり自民党総裁選が終わって安倍新総裁が誕生したというのが何より大事かと思います。安倍氏が総裁に返り咲いたことによって石原伸晃氏が総裁になるチャンスはあと数年ありません。年齢的にも総理になるには厳しくなってきていることもあり、また民主党が次回選挙で敗北する可能性があることもあって敢えてこのタイミングで新党を作り、息子の総理就任を援護する腹づもりじゃないかと私は見ています。

 というのも意外に石原氏は子煩悩で、小泉政権時に伸晃氏が初めて国土交通大臣に就任することが決まった時も、「純ちゃんは人事の天才だねぇ(´∀`*)」と満面の笑みでインタビューに答えており、更に言えば三男の宏高氏も一回衆議院議員に当選した後で今浪人中の身ということも見逃せません。次回の総選挙は民主、自民共にあまり支持を得ておらずこのままいけば消極的に自民党に投票する人が多くなりそうな気配ですが、それだけに第三極こと新党が乱立すれば票が分散する可能性が高く、石原新党も割と援護しやすい立場になるんじゃないかと勝手に分析しています。

 もっとも私としては動機が何であれ、仕事さえしてくれるのなら気にならないので今回の石原氏の行動も勝手にすればと考えています。ただ伸晃氏を総理につけるというつもりなら話は変わり、あまりにも頼りにならないので何かスキャンダルでも踏まないかとちょっと願ってます。
 なお同じスキャンダルと言えばまた民主党の前原氏が秘書の自宅で事務所経費を計上するという大ポカをやらかしています。本人は必至であれこれ言い訳していますが、自分が前に見た報道だと家賃代が年によって異なっており、仮に事実だとすれば不正経理で間違いないでしょう。過去に同じ行為がばれて政治生命が絶たれた議員が何人もいるというのに、本当にこの人は致命的なまでに危機管理ができない人だなと呆れています。

2012年10月29日月曜日

香港旅日記~インド尽くしカレー地獄 後編

 昨日に続きインド、じゃなくて香港旅行の続きです。今日は怒涛の後篇です。

・二日目
 早朝、いるだけで嫌になってくるほど狭いホテルの部屋で起きるといきなり上海人の友人が衝撃的な告白をしてきました。
「あのさ、ズボンがずり下がるんだけど」
 友人曰く、昨日と同じベルトの穴にもかかわらずズボンがずり下がるとのことで、要するにたった一日でウエストが細くなったそうです。何故細くなったのかというと、「きっと君の歩く速度が速すぎるせいだ」という仮説を突きつけられました。
 これも知ってる人には早いですが、私は歩く速度が極端に速いです。文字通り走るように歩くのでこれまで一緒に出掛けた人間を「ちょっと待って」と言わせてきた数は数知れず、上海に渡ってからは一区画がでかいことからますます速くなってきており、この前日本に帰ってきた時なんか日本人が止まっているように見えたし。そんな具合で街中を歩いていても誰かに後ろから抜かれることなんてほぼないのですが、香港人も歩くのが極端に速く、今回の旅行中は何度も追い抜かれて地味にショックを受けておりました。そうした香港人に感化されたのか前日は友人と一緒にいながらやはりすごい速度で歩き続けて、口には出さなかったものの友人も一緒に歩いてて疲れたそうです。たった一日とはいえこのロードワークによって一気に痩せたといいますが、自分も極端にウエストが細いだけにうなずける話です。

 話は香港旅行に戻してこの日は早朝にラマ島(南Y島)という、香港島からやや離れた離島へと出かけました。この島へは以前にも何度か訪れていたものの、いい場所なので今回も訪れることにしました。取り立てて大きなイベントはなかったものの、昼食に訪れた海鮮レストラン内で猫が段ボールの上で寝ていたので以下のような写真を撮っておりました。


 なんか寝相がしっくりこないのか時々動いていましたが、実に客慣れした猫で何度も撫でまわしておりました。
 そんなラマ島から午後には香港島に戻り、セントラルやコーズウェーベイという繁華街を回っていろいろとブランドショップを見て回り、日が落ちた頃に一旦荷物を置きにホテルへ戻りました。

 ここでまたひと悶着があったのですが、本来なら取り替えてもらっているはずのバスタオルが室内にありませんでした。またホテル側へ電話で文句を言うと、「すぐに持っていく」と返答を受けましたが30分くらい待っても何も来ません。たまらずもう一度電話すると、「あと10分」というのでまた待ち、大体15分くらいしてようやく従業員がタオルを届けに来ました。インド人はこれだから信用できないと友人と言いあった後、次の目的地である香港最大の観光地、ビクトリアピークへ向かいました。


 ここも取り立てて大きなイベントもなく、夜景と言ってもそんなにビル群に感動しない性格もあってとっとと離れました。ただ帰りはタクシーを使ったのですが、山道を頭文字Dもびっくりなスーパーテクニックで駆け下りていくもんだから友人と一緒に車酔いしました。あのタクシー運転手、腕は確かなんだけどね。


 ビクトリアピークを降りた後はランカイファンという、飲み屋街へと向かいました。ちょうどこの日はハロウィンだったので欧米人が大騒ぎし、上の写真のように妙な飾り付けがつけられておりました。


 よく見ると腕とか足とか、妙なものがぶら下がっています。

 ここでは大音量で大騒ぎする店が多く、どこか席が空いてたらゆっくり酒でも飲もうかと話していましたがとても落ち着ける雰囲気じゃなかったのでそのままホテルへと帰り、また馬鹿みたいに狭いシャワーを浴びてこの日は就寝しました。

・三日目
 この日は自分の買い物のため、シャムスイポーという電気街へと朝早く出かけました。実は前からタブレットPCを買おうと考えており、香港なら関税もないしきっと安いだろうと乗り込んでみたのですが、中国本土と違ってi-Padとかギャラクシーなど有名メーカー製しか置いてなく、レノボのLe-Padすらおいてない残念な場所でした。なのでタブレットPCは本土で買い直すことに決めて、再びホテル最寄駅のチムシャアツイに戻ってセンターオブアベニューという、香港の映画スターの手形がある場所へと向かいました。


 九龍半島の海岸沿いなので、向かいの香港島のビルが一望できます。こうしてみると有名企業の看板がたくさんあります。


 写真に写っているSHARPの看板が、もうすぐなくなるのかなぁとか思いながら写しました。


 見づらいですがジェット・リーの手形です。


 こっちはジャッキー・チェン。


 最後になぜかサモハン・キンポーの手形。


 ブルース・リーの銅像。同じポーズで写真を撮る人が後を絶たない。


 無駄に顔面アップ。


 得体のしれない豚の銅像。誰か出典知らないかな。


 しかも妙に人気だし。

 こんな具合で堪能した後、昼食を取ってから荷物を預けているホテルフロントへ向かいました。これまで何度も煮え湯を飲まされている例のホテルですがここでもまたひと騒動があり、なんとホテルフロントの呼び鈴を鳴らしても誰も出てこず、預けていた荷物が受け取れませんでした。飛行機の時間もあるし、このまま30分くらい誰も出てこなければドアを蹴り破ろうかとか物騒なことを言っているとようやく従業員が出てきてドアを開けてくれましたが、もうインド人と関わるのはよそうなどと言いながら空港へと向かいました。

 空港での出国審査などは特に問題なく、香港のきれいな空気ともおさらばでまた上海の汚い空気が懐かしいと言いつつ飛行機に乗り込みましたが、最後にまたトラブルというかイベントが起こりました。ちょうど自分の席より二列前の席で離陸の際に子供が泣きだし、乗客全員で視線を一点集中。しかも笑えることに、ちょうどその子供と連れてきた母親の隣の席に友人が座っているもんだから、一歩間違えれば自分もあの席にいたんだなぁと思いつつ泣き声を聞いておりました。もっとも友人は途中でフライトアテンダントに言って席を変えてもらいましたが、なんでも変えてもらった席はトイレの真ん前で、乗客が来るたびに音が鳴って眠ることが出来なかったそうです。
 こんな具合で今回も楽しい旅行でした。少なくとももうインド人のホテルには泊まるべきではないというのが教訓です。

2012年10月28日日曜日

香港旅日記~インド尽くしカレー地獄 前編



 別に隠す必要もなかったのっですが、昨日までの三日間に香港へ旅行に行ってきました。以前からブログを見ている方なら話が早いですが、香港へは去年の十月から十二月までの三ヶ月間出張で滞在しており、実に一年ぶりの再訪となりました。なので今日、そして明日は今回の香港旅行について珍しく写真と共に紹介していきます。それにしても自分の写真だが、なんかどれも左にやや傾いているような。カメラの持ち方が悪いのか?

  前夜
 今回の香港旅行は友人の上海人との二人旅。ホテルからチケット予約まで全部上海人に任せたのですが、出発便が早朝8時フライトだったので、出発前夜に上海浦東空港と連結しているMOTEL168というホテルに泊まりました。



 費用はツインの部屋で200元程度、日本円だと2500円くらいなので非常にリーズナブルです。仮にここに泊まらなければ早朝にタクシーでも取らないとフライトには間に合わず、タクシー代だけで200元くらいかかる所だったので、施設も問題ないことから、今後も機会があれば使おうかと思っております。
 この日に自分は仕事が終わるのが遅くて友人と合流して最終的にホテルに着いた頃には11時を回っておりました。ただ「折角の二人きりの夜だから」などと妙なことを友人が言ってしきりにビールを飲ませようとするので、しょうがなくビール一缶だけ付き合うことにしました。飲んだのは雪花というブランドのビールでしたが、瓶と違って缶だとやけにまずかったです。そんなわけのわからないことしつつ、就寝は12時半でした。

  1日目
 朝5時半に起床、そしてすぐ出発。空港はホテルからエレベーターを降りて目の前なので何も焦る必要はありませんでしたし、イミグレーションも難なく通過することが出来ました。また中国では飛行機の出発が遅れることが非常に多いのですが、自分たちが載った便はほぼ定刻通りに出発して2時間半の飛行時間の後に無事香港空港へと辿り着きました。香港空港にたどり着いてからはあらかじめ上海で買っておいた、香港市内の地下鉄、エアポート線が三日間乗り放題のチケットを使用して早速市内に向かいました。まずは自分の会社の香港事務所を訪ねて簡単なあいさつを済ませてから予約していたホテルへと向かったのですが、こっからがある意味旅の本番でした。



 今回、我々が利用したのは香港一の繁華街、チムシャアツイにある重慶大厦(チョンキンマンション)という、インド人がいっぱいいるビルの中のホテルでした。その名も「New Tokyo Hostel」といって出発前に同僚からも「なんでトキオやねん」と突込みを受けたのですが、友人曰く交通の便が良くて安いから選んだそうです。早速訪れてみるとやっぱりチョンキンマンションはインド人だらけでやたらカレーの臭いのする場所でした。香港らしく狭い場所に電化製品を売る店やら通貨換金所やらがびっしり入っているわけですが、そんな店を潜り抜けつつちっさいエレベーターを上って件のホテルフロントへとつきました。
 出迎えたのもやっぱりインド人、というよりインド系香港人というべきか。友人がチェックインを済ますと何やら奥から別のインド人が現れ、「じゃ行くよ」と言って我々を外に連れ出していきました。というのもチョンキンマンションにはホテルフロントしかなく、実際に泊まる部屋は別のビルだったからです。予約を取った友人もこんな展開は予想しておらずこの時点でもういろいろとあれでしたが、本当に驚愕したのはこの直後でした。

 案内されたのは目抜き通りのネイザンストリートを挟んだ、歩いて数分のビルでした。もう見るからにビル自体が古く、エレベーターも30年くらい前の骨董品の様なものだったのでこの時点で嫌な気がしてたのですが、部屋の中を見て友人と共に目を丸くする羽目となりました。一体何故かというと、部屋が6畳くらいしかないのはまだ理解できるものの、ツインの部屋なのにベッドが一つしかなかったからです。ベッドが一つしかないのを見るや、やたら権利を主張する中国人だけあって友人は案内した従業員に食って掛かりましたが、その横で自分はシャワー室を見ながら愕然としていました。



 上の写真を見てもらえばわかりますがシャワーとトイレが同じ空間、というか並んでついてあり、こんなところでどうやってシャワーを浴びろというのか、仮に浴びたらトイレの便器がびしょ濡れになるのではといろいろな考えがよぎってちょっとふらつきました。その横で日本語のみならず英語も達者で便利な友人がかなり激しく言い合っており、ホテルフロントに戻って話をつけようと再びチョンキンマンションへリターン。戻る最中に友人は、「中国語のサイトできちんとシングルベッド二つの部屋を予約したはずだ」と言い、私も「部屋数が足りないから俺たちを無理やりあの部屋に押し込んだのかもしれない」などと話し合いつつ、「そもそもカップルじゃあるまいし、男二人の俺たちをあの部屋にあてがうことに奴らは疑問を感じなかったのか?」という、ややウホッな内容へと展開していきました。
 ホテルフロントに戻ると再び友人がオーナーに食って掛かり、予約の不備を追及。一方オーナーも「ダブルベッド一つの部屋で予約会社から依頼を受けた」と反論。すると友人は予約会社を出せと言って電話をつないでもらい、中国語のできる人間に予約を確認してもらったところやはりシングルベッド二つと相手は言ったそうですが、これが英語担当の人間になるとダブルベッド一つと回答が変わりました。

 結論としては予約会社の中で我々の予約内容を中国語から英語に翻訳した時に齟齬が生じたのではないかということで落ち着きましたが、だからと言ってこのままダブルベッドで二晩一緒に過ごす気など毛頭なく、シングル二つの部屋に取り替えろと要求するものの既に予約が満杯だとしてホテル側も応じません。そこで妥協案として友人は、「ならマットと毛布をもう1セット用意しろ」と言い、それならとホテル側も快く応じました。友人としては早い段階で落としどころをここへ持ってくるつもりだったらしく、前段階としてここまで抵抗したと言ってました。さすが中国人、日本人もこういうところは見習うべきだ。

 こうしてすったもんだの挙句に床にマットと毛布を敷いてどうにか寝床を確保することが出来ました。その後、例のシャワーをどうするかなんか暗い感じで話し合いましたが、悩んでもしょうがないし、余計な時間を長く食ったので飯食って観光に行こうと気分を切り替えることにしました。



 既に三時頃でしたが遅い昼食に、チョンキンマンション内にある上記写真のインド料理屋でカレーを食べました。これがのちの悲劇につながるとは知らず。昼食後はお互いに社会学を専攻していたこともあり、ニューテリトリー(新界)と言って香港でもちょっと妙な歴史をたどって行政区に入った土地へ訪れました。といっても実際にはただの住宅地で、これと言って珍しいものなど特にありませんでしたが。
 そして夜8時、再び自分の会社の香港事務所を訪れて先に約束していた通りに事務所の人間らと一緒に夕食へと出かけました。ただここで予想外だったのは、てっきり自分は夕食に来るのは出張時代の上司くらいかでほかに来るのは一人か二人と思っていたら、なんと事務所内のほとんどの人間が待っており、そのまま大人数で食べに行くこととなりました。しかも行く店も事務所近くにあるインド料理屋に既に決まっており、自分も断りきれず小声で友人に対し「本当にすまない……」と言いつつ二連続でカレーを食べる羽目となりました。しかも昼間、自分が食べたマトンカレーが出てくるし……。

 夕食後、「もう香港で絶対カレーは食べないぞ」と言いながらホテルへ戻り、例のシャワーへと挑戦しました。便器がびしょ濡れになることを想定してあらかじめトイレを済ませた後で友人からチャレンジしましたが、「意外と行ける!」ということで続いて自分も試したところ、比較的お湯の出が良く、疲れていたのもあってさっぱりしました。その後はすぐ布団に入って寝たのですが、先行で自分が床に敷いたマットで寝たのですが、ダブルベッドにいる友人は「寝心地悪いならこっち来てもいいよ」としきりに誘ってきました。もちろん行かなかったけど。

 残りはちびまる子ちゃんばりに、明日以降に書く後半へと続きます。

2012年10月23日火曜日

ブレスオブファイア4をクリアして

 今日もちょっと書く内容があまり浮かばないので、前にも書いたカプコンのRPG「ブレスオブファイア4」をクリアしたのでその辺をちょっと書こうかなと思います。
 まずこのゲーム、前にも書いたとおりに展開が非常に面倒くさいです。割と次の展開という目的がしっかりしていてサクサクすすむている図シリーズと比べると雲泥の差で、誰かに会いに行くと決めると会うために大体三つか四つはお使いをこなさなければならず、キャッチコピーにするなら「急がば回るRPG」といったところでしょうか。

 ただそんな面倒な展開も中盤までで、逆に終盤に入ると恐ろしい勢いで展開が早くなります。ストーリーの頭から探し求めていたヒロインの姉が見つかるや、その次にはもうラスボスとの対決が待っており、それまでグダグダ進んでいたのが嘘みたいなくらいな急展開を見せます。こんな仕様になった背景にはどうも、開発が間に合わず後半は予定していたイベントを大分切ったということが原因らしいですが、それにしたってあの序盤の面倒くささを考えるにつけアンバランスさが目立ちます。あと後半の面でやけに経験値が多く入るのも、こうしたことが影響しているのかな。

 改めて書きますがはっきり言って私のこのゲームへの評価は非常に低いです。ストーリーの展開の悪さに加えて所々で目立つユーザーフェースの悪さ、そして何と言っても戦闘の面倒くささです。このゲーム、後半に入るとやけに回避率が高く、例えるならドラクエのメタルスライム級に攻撃が当たらない敵がばかすか出てきて、物理攻撃じゃ埒が明かないから魔法攻撃しか使わなくなります。仮にこれが一部の敵ならともかく、ほとんどの敵がこんな感じなので本当に面倒くさいです。 
 さらに呆れたのは、ラスボスに物理攻撃がほとんど効かないことです。どれだけ攻撃力が高くてもほとんどダメージが通らず、逆に魔法だとよわっちいのもそこそこ通ってしまうのでひたすら魔法ばっか使ってると簡単に買ってしまいます。パーティの戦略もあったもんじゃない。よくこういうゲームをしていて思いますが、誰か止める奴はいなかったのでしょうか。

 ただほかのレビュアーも言っておりますが、全体のストーリー展開は非常に陰鬱で確かに目を見張るものがあります。特にこのゲームで有名なのは「呪砲」といって、人間を大砲の弾にして打ち込んだ場所を草木も生えず人が住めなくさせてしまう兵器の存在です。弾にされる人間はそのまんま「ニエ」と呼ばれるのですが、このニエは苦しみや絶望感があればあるほど威力があるという設定で、弾にされる前には拷問が加えられるという素晴らしい設定となっております。惜しむらくはゲーム中、実際にニエとなってぶっぱなされる人が一人だけという点ですが、もう二、三人くらい飛ばしておけば違ったんじゃないかなとちょっと思います。

 なおそのぶっ放される人ですが、偶然の一致でしょうが名前が「マミ」というキャラです。知ってる人には早いですが、昨年放送されて非常に話題になった「魔法少女まどかマギカ」というアニメにも「マミ」という名前のキャラクターが出てくるのですが、このキャラは話の途中で凄惨な最期を迎えて退場することとなります。詳しくは言及しませんがその退場シーンがシャレや冗談じゃなく本当に凄惨であることからこのアニメも話題性を持つようになったのですが、あまりにもインパクトが強いことからネット上では突然凄惨な最期を迎えることを「マミる」とするスラングが生まれ、現代用語辞典にも見事に入れられました。本当に偶然なんだろうけど、なんでマミって名前のキャラはこうも不幸な最期を迎えるんだろう。

 最後に連絡ですが私用により明日より数日間家を離れるので、この間ブログをお休みさせていただきます。再開は28日か29日頃を予定しております。


2012年10月22日月曜日

橋下市長への週刊朝日の報道について

 本当は先週あたりに書こうと考えていましたが、なんかやけに忙しいのとほかにも書かなきゃいけないネタ満載で今日までのびのびとなってました。タイトルを見てもらえばすぐにでも内容がわかってもらえますが、大阪市の橋下市長に対して週刊朝日がルーツをたどるとして家系に関する連載を始めようとしたところ当の本人から抗議、さらには取材拒否が行われ、週刊朝日は報道内容について謝罪することとなりました。今回のこの事件について私の所見を述べると、まずほかのメディアの記事が浅いなぁと個人的に思います。

 最初に橋下市長に関する報道について所感を述べますが、なんでこの人はこれほどまでにメディアに嫌われているのかがよく不思議に感じます。以前にも週刊文春が完全に差別的な内容で出自に関する報道を行い、その低俗さから私も同じ文芸春秋社が出している文芸春秋の購読をやめたくらいでしたが、いくら若い人間だからと言ってこれほどまでに叩く報道が出るのは何が原因なのかいろいろと考えてしまいます。同じ改革派首長でも、新党日本の田中康夫代表が長野知事になった頃もこれほどまではひどくなかった気がします。
 考えられる原因としては、メディアの既得権益を壊しかねない思想の持ち主、またはメディアにとって都合のいい政治家や財界の対抗馬となりかねない人間だと、メディアの側から思われているからだと思います。具体的にどの辺がと言われるとポイントは挙げ辛いのですが、割と政治景気者ってなんでもかんでも敵味方に分けて考える人が多いように思え、自分とちょっと思想が違うだけで敵視する記事を書く人が多いような印象を受けるのでこう思う限りです。

 話は戻って週刊朝日の件です。週刊文春の時もひどかったのに一体なんで週刊朝日もこんなバカみたいな連載を始めたんだと思っていたら、書いているのがあの佐野眞一氏だということがわかってようやく合点がいきました。佐野氏についてはかねがねこのブログでも取り上げておりますが、とにかく取材に関してはマムシの道三もびっくりなくらいにしつこく細かいことで有名です。一体なんでそんな取材姿勢なのかというと、あくまで佐野氏の著作を読む限りでは単純に物事の背景とか詳細を佐野氏自身が知りたいと思う欲求が強いからだと思います。なので橋下市長についてもその政治思想を読み解くとかそういうのより、弁護士からタレント、政治家という変わった経歴からその生まれる前まで全部たどってみたいと考えたんじゃないかと私は見ます。

 更に佐野氏に関して言うと、彼には一つの前科というか同じことを以前にもやっております。この点がほかのメディアが甘いなと思うのですが、佐野氏は以前に同じような感じで鳩山氏のルーツをたどると言って、鳩山家に関することを細かく調べ上げて「鳩山一族 その金脈と血脈」(文春新書)という本を出版しております。自分もこの本は読みましたし、出た直後に佐野氏の講演も聞きましたが、

「鳩山一郎の祖父の鳩山和夫は、一夫多妻制は古い時代の遺物で悪しき習慣だと常日頃言っていたが、そういう自分は常にたくさんの愛人を囲っていた。鳩山一郎も統帥権の干犯という言葉を初めて用いるなど、鳩山家というのは昔からそういう嫌な人間の一族だ」

 と話していたのをよく覚えていますし、まさにその通りだなぁと思っています。
 なので私の感覚だと、この鳩山家の時と同じようなことを橋下市長に対してやってみようと佐野氏は考えて連載を始めた、もしくは引き受けたんじゃないかと考えています。更に言えば佐野氏は結構タブーに敢えて踏み込むところがあり、「東電OL殺人事件」の本でも女性からしたらあまりいい気分がしないであろう表現を非常によく使っています。それが今回、橋下市長の逆鱗に触れたわけなのですが。

 最後にまとめると、これまで佐野氏が取材したどの相手よりも橋下市長が高い情報発信力を持っており、使い方にも長けていたというのが大まかな構図だと思います。まぁ内容自体ゲスな内容ですけど、佐野氏が書くんだったらちょっと自分も読みたかったなというのが本音です。佐藤優氏といい、最初に会社辞めた時にこの人の書生になろうかと思ったくらいだったから自分ものめりこんでるんだなぁ。

2012年10月20日土曜日

PC遠隔操作事件の誤認逮捕について

PC遠隔操作:神奈川県警、誤認逮捕認め男性に謝罪(毎日新聞)

 もはや説明は必要ないかと思いますがウイルスに感染したPCを経由して小学校などに脅迫状が送られた事件で、経由したPCの所有者が犯人だと誤認され全国各地で4人が逮捕される結果となりました。このうち二人は最後まで否認を続けていたことと、真犯人が犯行声明を出したことによって起訴される前に無実がわかりましたが、別の二人は意にそぐわぬ自白を強要された結果、冤罪の実害を被るととなりました。今回の事件に関わった捜査機関は警視庁、三重県警、神奈川県警、大阪府警の4つですが、どれもIPアドレスを割り出しただけでパソコンの所有者を犯人だと決めつけて捕まえたというのだから恐ろしいものです。ネット上でもよく言われておりますが取り調べでは、「IPアドレスという確たる証拠がある」と問い詰めたそうですがこれが証拠になるとは勘違いも甚だしく、よくそんな知識で捜査に関われるものだと呆れるしかありません。
 更にこの4つのうちに神奈川県警と大阪府警がきちんと入っているのもある意味納得というか、本当に反省がない連中だとこればっかりは強く批判せざるを得ません。警察不祥事とくれば神奈川県警と来るほどにここは問題の多い捜査機関ですが、大阪府警についても過剰な取り調べや証拠捏造がこの頃次々と明るみになっているだけに根本的になにか問題あるのではと感じます。

 ただこの事件、犯行声明文を全部読んだわけじゃないですが真犯人は恐らくこうなることを見越したうえで犯行を行ったのではないかと思います。もちろんそんな犯罪行為を是認するべきではなく警察には早く汚名返上とばかりにきちんと捕まえてもらいたいものですが、少なくとも真犯人が提起した警察の捜査の問題性についてはしっかり考える必要があるかと思います。
 何もこうした冤罪は今に始まるわけじゃなく、「国家の罠」の佐藤優氏に然り足利事件障害者郵便制度悪用事件など日本では枚挙に暇がありません。こう言ってはなんですが仮に今回の事件が十年前に起こっていたのであれば、警察や検察は犯行声明が出たとしても、「IPアドレスなどの証拠から、PC所有者が犯人であるという可能性はぬぐえない」などと言って無理矢理に起訴、または釈放しても謝罪なんて絶対にしなかったろうと思います。今回すぐ謝罪に至ったのも、ここ数年の冤罪事件発覚があったからだと個人的に思います。佐藤優氏の事件は無罪にはなってませんけど。

 あと本題とは少し離れますが、今回の事件で最も大きな影響を受けたと思われる19歳の明治大学の学生は逮捕後、保護観察処分となり大学も退学していたそうです。本当に不憫で非常に残念に感じるのですが、ちょっと前から思う内容として、どうして有名大学だけ事件があったらすぐに明かされるのか不満です。この事件に限らず有名大学の学生、またはその関係者が事件を起こした場合はまず頭に大学名がつけられますが、逆に無名の大学であればスルーされます。有名大学だと読者の注目が引けるからというのはわかりますが、それにしたってダブルスタンダードな気がしないでもなく、載せるなら絶対載せる、載せないなら絶対載せないという基準をメディアは持つべきだと思うのと、事件の影響がほかの関係ない同じ大学の学生に及ぶ可能性があるなら後者が筋じゃないかというのが今日の私の意見です。

2012年10月19日金曜日

中国の経済成長鈍化の背景

 先程友人の上海人と焼き鳥屋に行ってご飯食べてきましたが、飯食ってる最中に後ろからえらく大きな声で「ニャー」という音が聞こえて来たので店員に尋ねたところ、店主が猫を飼い始めたとのことでした。早速だが是非見せてくれと頼んだところいきなり店主が出てきて、まだ飼ったばかりで見かけが汚いので、来週以降に来てくれと言われました。新手のマーケティングだろうか。

 それはともかく話は本題に移りますが、昨日に中国は第3四半期のGDP成長率が7.4%のプラス、数年ぶりに8%を割った前期の7.6%をさらに下回る結果になったと発表しました。このところ中国の成長鈍化、停滞関連で非常に多くの質問を受けるので、猫の声も久々に聞けたわけだしちょっと今日は気合入れて持ってる情報を一気に吐きだそうかと思います。なお少し強気に出ると、ここで書く内容はなかなかよそでは見られないというか、推測も含まれるので紙面には載せられない情報も入るのでそこそこ希少性がある内容になると思います。

Q1、中国バブルは崩壊するのか
 今回、というよりも以前から少しでもGDP成長率が以前より落ちる度にすわ中国バブル崩壊かという意見が日系メディアを中心にかまびすしく聞かれますが、さすがにバブル崩壊に至ることはまずないでしょう。そもそも何を以ってバブル崩壊というのか恐らくこの手の主張をしている人たちもはっきりとした基準を持っていないでしょうが、日本の様な急激な株価、不動産価格の下落は起こらないと断言できます。根拠としては今の経済状況はある程度中国政府の予想範囲内でマーケットも確かに株価は落ちておりますが、今回のGDP成長率もある程度織り込み済みで極端な株安は起こっていません。さらに不動産価格は現時点で急激な高騰を防ぐために購入に際して様々な規制をかけておりますが、一時は落ち込みを見せたもののここ数ヶ月でまた上昇傾向に入ってきています。その気になれば規制を取っ払うことでいくらでも引き上げることだって不可能ではないでしょう。

Q2、中国経済は停滞し始めてきたのか
 これに関してははっきり「YES」と言わざるを得ません。確かに7.4%成長と書くと日本と比べて非常に高い成長率ですがこれまでの伸びが激しかった分、メーカーを中心に年率10%くらいで成長することを見越して設備投資とかしてきましたが、鉄鋼業を中心に明らかに供給過剰の業界が多数見受けられます。また市民や企業経営者の景況感も悪化しており、今後の改善を見込んでいる人も少ないです。

Q3、何故停滞してきたのか
 一番の原因はなんといっても欧州の債務危機による世界経済の冷え込みです。これは中国に限らず世界中どの国でも輸出産業において共通していますが、中国の最大貿易相手先はEUであるため、逆にEUとはほとんど取引のない日本と違って直撃を受けているような状況です。そのため中国では輸出産業を中心に景気の冷え込み、業績の悪化が広がっているのですが、中国政府もある程度この状況を見越して国内の消費市場を活発化させるために対策を打ってはいるものの、私の見立てだと輸出産業の落ち込みが予測より大きい上に輸出産業に従事している人の消費も鈍ってきたため狙い通りにいっていないのかと思います。
 このほかこれは他の日系メディアも言っていますが中国国内で急速に人件費が高騰しており、それこそ十年前と比べて最低賃金が二倍以上になっているような状況なので、以前より競争力が低下していることも眼前とした事実です。まぁこれは逆に見るなら国内市場が拡大しているともいえるので一概にデメリットだけではありませんが、落ち込んでいる輸出産業にとっては弱り目に祟り目になっています。

Q4、いつまで停滞するのか 
 中国の経済成長率は今年に入った段階で減速し始めてきましたが、自分の周辺では第2四半期、つまり7月までに底を打ってまた盛り返すという予想が正直に言って強かったです。その根拠というのも今年上半期は急速な成長を抑えてでも一般市民の生活安定化を目指す方針でしたが、夏頃から本格的にテコ入れを始めて現にこれまで凍結されてきた鉄道工事に加え地方空港の新規建設が認可されるなど、政府による無理矢理なGDP引き上げ政策が実行されてきたからです。なので第3四半期はまた8%台に戻ると当初は思っていたのですが、7~9月の間は新聞を見ていても盛り返す話はほとんどなく企業業績も悪化の一途をたどっていたので、8月の段階で底打ちはまだ先だと自分も考えを改めました。
 じゃあいつ良くなるのかですが、少なくとも今年いっぱいはこのまま低調な景気が続くかと思います。根拠としては未だどの業界も改善を示す動きが全くないのと、中国の輸出を巡る状況が悪化しているからです。来年前半も続くかな。

トピック1、欧米との貿易摩擦
 さすがに日本では大きく報じられていませんが、ここ数ヶ月の間にアメリカとEUが中国に対して物凄い貿易規制を打ち出してきました。代表格は太陽電池で、ダンピング疑いをかけて関税引き上げの準備を着々と進めているため現時点でも多くの企業が中国の太陽電池メーカーとの取引を敬遠し始めております。このほか一度は合意していた中国企業による米企業の買収も、「核心技術が流れるから」という理由でよくひっくり返されているのですが、この前見た例なんか笑っちゃいましたが中国企業が買収額に3.5億ドルを提示しているのに、最終的には別の米企業が1.5億米ドルで持っていきました。さすがアメリカ、やることが清々しいくらい露骨です。
 あともうひとつ面白い話ですが、こっちの建機メーカーの三一重工が昨日か一昨日にオバマ大統領を提訴してきました。これも三一重工の米法人による米企業の買収交渉が最後にひっくり返されたからですが、私としては日本企業もこれまで煮え湯飲まされてきたのもあるので三一重工をちょっと応援してます。
 このほか通信設備のZTE、華為といった中国企業も難癖つけられて欧米市場から締め出されてます。この動きは今後ますます激しくなるでしょうから、さっきから何度も言ってますが輸出産業はまだしばらく苦しい状況が続くのではないかと思います。

トピック2、伸びている輸出産業
 さっきから散々悪い悪い言っている中国の輸出産業ですが、これは日系メディアにはほとんど出ておらず知ってる人も少ないと思いますが、陰で世界最大の雑貨市場と呼ばれる浙江省義烏市で、クリスマス用品の輸出額がえらい勢いで伸びてます。もう中国語記事ですがリンクもつけちゃいますが、今年のこれまでの輸出額は前年比1.5倍にも達しており初めて見た時は見間違いかと自分も思ったくらいです。というのもクリスマス用品の輸出先はやはり欧米がメイン、さらに義烏市の商品はほとんどが不景気な欧州に行くので最も大きなダメージを受けると思っていたのですが現実はさに非ず、むしろ例年にないほどの需要を甘受しています。
 何故世界全体で不景気な中でクリスマス用品がバカ売れするのかですが、自分が読んだ現地報道だとクリスマスは年中行事のためあまり景気の影響を受けないのと、義烏で取引される雑貨は低価格品が多く、むしろ不景気であることからより価格の低い商品を買い求めるバイヤーが増加したと書かれてあり、私もこの説を支持します。変な話ですが不景気になると牛丼が売れるように低価格商品は売り上げが伸びます。ある意味では中国はそういった低価格品が強いこともあり、この際だから安い方がいいと思える商品なんかは今後も輸出量が増えていくかもしれません。

トピック3、日系企業の現状
 これもはっきり言って非常に悪いです。原因はこの前の尖閣問題に絡む反日デモにほかなりません。不買運動、とまではいかないですけど同じ価格なら車を中心に韓国製、ドイツ製を買う人は明らかに増えており、たまたまさっき読んできたSPAの記事で、「中国人が日本製品の高品質性を恋しくなるまでは我慢しなければならない」と書かれていましたが私もその通りだと思います。なお一番影響を受けているのはやはり自動車と家電ですが、逆に全く影響を受けていない日本製品、というか日系企業の製品もあります。これも同様にSPAに書いてありましたがそれは粉ミルクとヤクルトで、粉ミルクに関しては以前のメラミン騒動以降は中国人も国産製品を全く信用していないためですが、ヤクルトは中国市場における日系企業商品では今年最大のヒットと言っても過言ではありません。テレビCMも飽きないのかっていうくらいバンバン流れいますし、どのスーパーに行っても置いてあります。来年くらいにヤクルトの成功エピソードを書いた本が経済書で出るんじゃないか、っていうかほかに書かれる前に自分が書いてしまおうかとちょっと思案中です。

2012年10月17日水曜日

ソニータイマーの真実

ソニータイマー(Wikipedia)

 知ってる人には早いですが世の中ではしばしばソニータイマーと言って、ソニーの製品は保証期限を越えた直後に壊れるという都市伝説があります。何故壊れるのかというとソニーがあらかじめ壊れるように設計、もしくは自壊機能を搭載しており消費者に買い替え需要を促すためだといろいろ説がありますが、これらはさすがに都市伝説であって私も本気では信じていません。なおこのソニータイマーという言葉が急速に普及し始めたのはインターネットが流行して、「ソニー製品って壊れやすくね?」という言質が交わされるようになってきたのが一つの原因などと言われておりますが、私自身はいわゆるソニーショックと呼ばれる株価下落が起こった2003年に初めて聞きました。それにしてもソニーショックなんて、随分懐かしいこと。

 なんでこんなソニータイマーを今回取り上げようと思ったのかですが、もちろんソニーに恨みとかあるからではありません。なお私はソニーの製品となるとプレステ以外はあまり使わず、特段壊れやすいと思ったことはありません。プレステに関しては一回だけ読み込みの遅さに腹立って殴り壊したことがありましたが、これは自業自得だと自覚してます。
 実は先日、中国人の日本製品に対する印象を聞く機会があったのですが、中国人から見て日本製品というのはやはり高品質で信頼が置けるものの、あるタイミングというか期間を過ぎると一斉に壊れると思われていると言われました。「え、それってソニータイマーのソニー製品?」と私も聞いたのですが、別にソニーに限らず日本製品全般に共通する特徴だと考えているそうです。

 中国人曰く、ドイツ車やアメリカ車は購入から3年で壊れることもあれば10年以上もつこともあり、同じ車種でも故障するタイミングはバラバラだが、日本車は同じ車種なら8年なら8年、5年なら5年できっかり同じタイミングで故障するものだと考えているそうです。そのため壊れるまでの期間は安心して使えるけど、壊れると言われている時期になると途端に信頼が落ちると言います。
 というようなことを知り合いで、化学品扱っている中国人の友人に聞いてみたところ、「その通りだよ。データが証明している」と言ってきました。その友人によると材料素材には耐久性テストをあれこれ行うようですが、日本のメーカーはこの耐久性というか精度をきっかり合わせてくるようでほかの国のメーカーと比べてムラが少ないそうです。そのためそれこそソニータイマーの様な、保障期限内は何が何でも故障とか破損が起こらないように管理しており、そうした精度がある意味で高すぎるせいかほぼ同じタイミングで壊れる現象が起きるそうです。

 改めて言われてみると私自身もなんとなくわかる気がします。日本人の性格からして精度とか濃度の管理はやけに徹底しそうですし、いわゆる品質管理においては世界的にも明らかにトップクラスにも感じます。逆にそれ故に、融通が利かないというかムラがなさすぎるところがあり、変に同じタイミングで故障が起こるもんだから上記のような見方がされるのだと思います。言ってしまえばソニータイマーも、それだけソニーの品質管理能力が保証期限きっちりに合わせられるほど高いということなのかもしれません。
 ここで私が何を言いたいのかというと、少なくとも中国人にとってソニータイマーはソニーだけでなく、日本のメーカー全体に多かれ少なかれあるものだとみられていることです。こうした見られ方は日本製品のブランドイメージにプラスかマイナスかと言われたら明らかにマイナスでしょうが、じゃあ絶対壊れないようにするなんてのは無理ですし、かといって壊れるタイミングに意図的にムラが出るようにしてしまったら本末転倒dす。ただこうしたイメージを持たれていることを意識して何らかのブランド戦略を持っていくことは大事なのではないかと、個人的に感じた次第です。

2012年10月14日日曜日

復興予算を巡るNHKの報道

 このところ東日本大震災に対する復興費用の用途を巡り本来の目的とは関係ないものに使われたという報道が増えてきておりますが、これらの報道を見るたびに実はちょっと違和感を感じます。その違和感というのも、何故誰も先月にNHKが報じた番組の内容をもっと引用しないかという思いです。

 件の番組はたまたま自分が日本に帰国している最中に放送されたのですが、復興予算がどのように使われているのかをあくまで中立的な立場で鋭く調査しており、一緒に見ていた親父と共に、「さすがはNHKよ」と見ているこっちが舌を巻く内容でした。具体的な内容をいくつか紹介すると、まず一番衝撃的だったのは各自治体のがれきの処理費用の差です。
 震災後、宮城県や福島県を中心に海岸沿いの自治体では大量のがれきが生まれましたが、これらのがれき処理に際して政府は事実上、青天井の予算を組んだのですが、震災から一年半経過してがれき処理にかかった費用を自治体別に比較してみると、なんと処理したがれき量はほぼ同じにもかかわらず自治体によっては10倍、実数を出すとたしか300億円以上使った自治体もあればわずか30億円で済ませた自治体も存在しました。

 調べれば簡単に該当の自治体は出てきますが敢えて出さずにこのまま話を進めます。一体どうしてこれだけの費用の差が生まれたのかについてNHKは、がれき処理のやり方の違いが10倍の差を生んだとはっきり指摘しておりました。300億円もかかった自治体ではとにかく早くがれき処理を優先するために各地で集めた瓦礫を片っ端から集積場に集めて、集積場でがれきの種類を仕分する方法を採ったそうです。ただこの方法は結果的にはあまり効率が良くなく、次から次へとがれきが運ばれてくるため仕分が追い付かず、集積場ではハエなどの虫が大量に発生することとなりました。そのためこれらの虫を殺虫するために保管費用がかかり、現在も毎日殺虫剤を撒いているそうです。
 一方、わずか30億円に抑えた自治体では以前に起きた新潟県中越地震で同じようにがれき処理の経験があったことから、がれきを現地で分類した上で集積場に持ってくる方法を採用したそうです。担当者によるとこの方法が一番効率がいいと判断し、実際に先の自治体と比べて格段に保管費用が少なく、処理も早く進んでいるそうです。また同じように費用を格段に安く済ませた別の自治体では、業者にがれき処理を発注する前にまず自分たちで崩壊した家屋の破壊処理をやってみたそうです。実際に破壊処理してみて一軒当たりどの程度の費用がかかるのかを綿密に計算した上で、業者に対し費用の交渉を行ったそうです。

 いくら処理を急ぐと言っても、費用は安く抑えるに越したことはありません。別に300億円かかった自治体を批判するつもりはありませんが、今後もこういった大災害が起こる可能性を考えると費用を安く抑えた自治体の取り組みを大きく取り上げ、次回の反省に生かすべきだと思います。そういう意味でこのNHKの報道は実に見事なもので、見終わった後には次の日のネットではこの番組の内容についてみんなネット上で議論するだろう、どんな意見が交わされるのだろうと楽しみに待っていたら、自分が思っていた以上にネット上ではあまり取り上げられず、約一ヶ月経って復興予算の使い道についてあれこれ他のメディアが報道される段階になっても未だに見ません。
 もちろん検索をかけたらいくつかのブログでは取り上げられているのですが、それにしたって内容が非常に良かっただけに何故共通認識になるくらいみんなで共有しないのか不思議でしょうがありません。念のために友人にこの前確認したところ、やっぱり全く知りませんでした。

 今現在起こっている復興予算の不当な使い道では、今日見たのだと公安が「被災地で過激派が活動する恐れがある」として車を買ってたという突っ込みどころのある使い方などあり確かにこれらもこれから精査しなければなりませんが、この不当な使い道に関連して政府、特に民主党を批判する人を見受けますが私としてはあまりいい気分がしません。もちろん民主党は与党であるためにある程度責任は持たないといけませんが、震災が起きて数ヶ月間は「なんでまだ復興予算をきちんと配らないんだ」などという批判が多く、自分のブログにも管元首相の悪口を書いたコメントとか当時受け取りました。
 早く配れれば早いに越したことはないですが、急いでやろうとすれば何事も齟齬が生まれます。かといって抜け道がないように綿密に相談するために配布が遅れてもいいわけではありません。私が何を言いたのかというと、こういうのは結局どっちを取ってもとっちかで転ぶロスであって、過去のことをあれこれ批判するより次回の反省につなげる思考の方が大事だということです。差し当たってさっきの公安のわけのわからない予算申請した責任者のクビを飛ばせば無能が一人減るわけですし、何故管理できなかったのかとあれこれ議論するくらいなら無能の排除と費用を安く抑える有効な方法を周知することの方が未来につながるのでは、未来志向なのではというのが私の意見です。

2012年10月13日土曜日

おもしろ超人のいる国

 また関係ない話からですが、「中国製」というと日本製より価格は安い物の品質が悪いというイメージが付きまといますが、これを「中華製」と言い換えるとまた別なイメージが持たれるのではとこのところ考えてます。具体的には「中華製タオル」、「中華製電子レンジ」、「中華製クレンジングオイル」など、なんか中華料理のイメージからか全部厨房で作られているような感じがします。

 話は本題、といってもまたおちゃらけた話ですが、私が中国に興味を持ったのはこのブログでも何度も書いてあるように三国志など中国史に興味を持ったことが大きいですが、それと共におもしろ超人がたくさんいたということも一つのきっかけとなっております。よく取り上げていたのはテレビ番組の「世界まる見え特捜部」ですが、気功の力などと言いながらレンガをひたすら頭突きで割る人とか、足の指で筆をつかんで上手に字を書く人とか、確かにすごいんだけどなにかおかしいというおもしろ超人とくれば大抵が中国人かインド人でした。今でもそうですがわけがわからないんだけど珍しい感じがするものに対して私はよく興味を持つところがあり、こうしたおもしろ超人が多くいたということから中国が好きになった気がします。なおやっぱりインドも同じ理由からやっぱり好きです。

 ただ昨今は経済成長が著しい中国。資本主義の浸透による影響か、残念なことにこうしたおもしろ超人を見にする機会は確実に減ってきているような気がします。日々の新聞を見ていてもそういうおもしろ超人に関する記事は見ることはなく、話をでっかくしてもしょうがないですけどこういったおもしろ超人がいるということは社会がやっぱり寛容な証拠であるように思えて、表に出なくなったのは社会全体で「無駄なものは無駄」と切り捨て、精神的な余裕がなくなっているのかなという風に感じます。もっともそれを言ったら日本なんか以前からそのような社会になっており、風船おじさん以降は「そんなしようもないことをなんですんねん」と突っ込みたくなる人がほとんどおりません。芸人であれば江頭2:50のように尻で割りばしを割る人はいますが。

 そういう意味では日本も余裕のない国と言わざるを得ないと言いたいところですが、なんか日本は別方面でこのところ凄いと思うニュースが良く報じられます。そのニュースというのも性犯罪者関連のニュースですが、アンサイクロペディアの「変態番付」を見ていると、「なんなんだろう、日本人って」とつくづく思え、こういう常識外で生きる人達もいることだし、世の中捨てたものじゃないなとなんか一人で物思いにふけってしまいます。ちなみにこの変態番付の中で私が一番好きなのは大関の「改造した釣竿を使い、足掛け30年で500枚もの女性下着を盗み続けた通称、釣りキチ助平」です。

2012年10月11日木曜日

平成史考察~玄倉川水難事故(1999年)

 まだなんか掲載周期が安定していないこの平成史考察ですが、このところ畑村洋太郎教授による「失敗知識データベース」にはまっているので、今日は1999年に起きた玄倉川水難事故を取り上げようと思います。

玄倉川水難事故(Wikipedia)

 恐らくこの事故の名前を見てもパッと思い出せる人は少ないでしょうが、内容自体はここで書いてある内容を見ることで思い出す人は多いのではないかと思います。というのもこの事故、ほかの一般の事故とは異なり被災するシーンがリアルタイムで放映されていたからです。
 事故のあらましから話していきますが、1999年の8月13日、キャンプ場として有名な神奈川県足柄上郡山北町にある玄倉川の流域ではその日もキャンプ客でにぎわっておりました。お盆真っ只中ということもあって多くの客が訪れていたのですが、その当時に熱帯低気圧が日本へと近づいており、現場でも午後三時ごろから雨が降り出しておりました。

 この玄倉川キャンプ場を含む周辺は元々雨の多い地形で、川沿いにあるキャンプ場は豪雨時には毎回水没する場所だったようです。こうしたことから上流にある玄倉川ダムの職員は雨の降りだした頃にキャンプ客に対して避難を呼びかけ、実際にこれに応じて大半の客は非難したそうです。ただこうした中でとある企業の社員とその家族による団体は呼びかけに一向に応じず、直接ダム職員が避難するよう伝えても動こうとしませんでした。そうこうする中でも雨足は強まっており、最終的にはダム職員が警察とともに再度避難するよう伝えたものの、数人が移動に応じたものの後に遭難する18人は中州から頑として動かず、あくまで報道ベースですが警官らに対して強い態度で出たと言われております。

 ここでちょっと先にキャンプ場の上流にあった玄倉川ダムについて解説しますが、このダムは小規模の発電用ダムで水の貯水力はほとんどなく実質的には堰の様な施設だそうです。そのため大量に水をためるとダム自体が決壊する恐れがあるため、豪雨時にはゲートを開放して放流する仕組みとなっておりました。この時の豪雨時も決壊の恐れがあるためダムを開放しており、それが現場の急な水位上昇へとつながっています。

 話は元に戻り翌14日、雨はますます強まり玄倉川の水位も徐々に上昇し、午前8時半には遭難者がテントを張っていた中州も水没します。この時点で水位は1メートル以上に達し、自力での脱出は不可能となっておりました。こうした状況から前夜に先に避難した人物から避難要請が出されレスキュー隊員が午前9時に現場へと到着しますが、当日はお盆期間ということもあり大半の職員が出払っており、駆けつけられたのは少ない当直メンバーだったそうです。しかも水位はこの間も上昇し続けており、二次災害の恐れもあることからうかつな救助活動すらできない状態でした。
 午前10時にはテレビメディアが到着して事故状況の撮影が開始されますが、既にテントは流され、遭難者は大人の男性数人が上流に向かって立ち、子供や女性がその後ろで流されまいと懸命に耐え続けている状態でした。この時の映像は当時自分も見ており、未だによく覚えております。

 もうこの後もぐだぐだ書くのも気が進まないので結果を書いてしまいますが、結局救助は間に合わず、遭難者一行は一斉に水流に流され運良く対岸に流れ着いた5人を除き13人が死亡しました。下賤な話ですが、この時の救助とその後の遺体捜索にかかった費用は総額で5億円にも上るそうです。事故当時は一行が流されるシーンの映像も放送しており、恐らくうちの家に限らず全国でショッキングな事件として見ていたかと思います。また事故後は当時の状況が明らかになるにつけ、ウィキペディアにも書いてある通りに避難の呼びかけに応じようとしなかった遭難者に対して強い批判が行われました。
 かくいう私自身もその一人で、未だにやけに覚えていますが夏休みの水泳部の部活の帰りに後輩を捕まえて、「お前どう思うよこの事件」、「俺は大人が自分で残ることを決断して流されて自分一人で死ぬのは自業自得だと思うけどさ、生き残った子供はこれから親なしで生きてくと思うと行動に責任感なさすぎるよな」などと、今思うと中学生の癖してなにわけのわからないことを言ってるんだよという気がします。

 ただこの事件が一つの議論の種となって、どうもこの事件以降から「遭難する側の責任」というものが大きく取り上げられるようになった気がします。大きな災害や事故につながる恐れがあったにもかかわらず必要な対応を取らず、いざとなったらレスキューにおんぶ抱っこはよくないのではという意見が出るようになり、昨今の遭難事故では必ずこの点がやり玉に挙がってくるようになたっと思います。ただ近年はこれがやや過剰になりつつあるのではと思う節もあり、特にネット上では不必要なほど遭難者を批判する意見も目立つようになってきています。責任を全く問わないのは問題ではあるものの、必要以上に問うのも問題だというのがこの事件、並びに現状に対する私の意見です。

2012年10月10日水曜日

大学受験のセンター試験について

 あまり時間がないので簡単にまとめられる話というか前から言いたかったことを書こうと思います。
 センター試験と聞いて何のことかわからない人は多くないでしょうが、このセンター試験は日本の受験制度にかなり根付いてはいるものの未だに批判する声も多いです。具体的な批判点を挙げると、

1、マークシート方式のため数学などで解答幅が狭まる
2、統一的な試験のため大学の個性が出ない
3、思考、読解を問う問題が少ない

 上記の3つの批判点は私も理解できなくはないのですが、しいて言うと2番目の「大学の個性が出ない」というのは無視してもいいかと思います。この批判というのはどの大学も受験問題を独自に作成してこそ入学する学生に校風というか個性が出来るという主張で、センター試験のように統一的な問題ではそういった個性が出ず、入学する学生にも学校にもよくないという奴です、私個人的な意見としては、確かに大学ごとに試験内容が異なれば、たとえば思考力を問う問題が多い大学と素早く解いていく必要が多い問題が多い大学とでは個性が多少変わるでしょうが、それにしたってそれほど大きく違いは出ないかと思います。試験よりもやはり伝統というか学生の間にある空気というものが個性を作るのであって、試験ではないと思います。

 とまぁこんな具合でとにもかくにもいろいろ議論の種になっているこのセンター試験ですが、率直に言って私としては存続させるべきだという立場を取ります。確かに1番目、3番目のような試験方式上の欠点はあると認めますが、それを推しても地方の高校生らの負担を考えるとやはり恩恵の方が大きいと考えています。
 私自身は東京駅まで電車で一時間以内という比較的恵まれた場所に実家があったからよかったものの、地方の学生は東京の大学を受験するに当たってその度に上京しなければならず、滞在費用や移動費用を考えると受験費用でただでさえお金がかかっているというのに余計な負担が多すぎます。一部の大学は地方にも試験場を設けて対応していたりしていますが、センター試験による併願方式を使えばそうした移動を全くせず私立大学などを受験することができ、地方の高校生からしたら非常に助かるのではないかと思います。

 逆を言えば東京近辺の高校生はこういった地方の苦労をまるで理解していない節があるように見えます。私自身は極端に珍しいタイプで関東出身の癖に関西の大学に行きましたが、進学先で地方の高校生の話を聞いていると受験一つとっても都心部と地方部では大きな差があると強く実感させられました。
 なお私は進学した大学の試験を東京に設けられた試験場で受験しました。仮に東京に試験場が設けられなければ受験していなかったかもしれず、そう考えると進学先が肌に合ってたこともありますがよくぞ東京に試験場を設けてくれたと大学運営関係者に強く感謝したくなります。なお関西の私立大なんかこうして地方試験場をあちこちも受けますが、関東の私大はまだあまりそうしたことはしておりません。そのため私の大学の恩師なんか、「関東の大学が地方試験場を作らず王様商売をやってくれているからうちも受験者集まるけど、もしやられたらこっちも困るな」と話しておりました。

2012年10月9日火曜日

山中教授のノーベル賞受賞について

 既に日本国内でも大々的に報じられているため説明するまでもありませんが、京大に在籍する山中教授が今年のノーベル賞を受賞することが決まりました。なんか日本の報道を見ているとやけに中国や韓国がこのニュースをどう取り扱うかを大きく報じておりますが、少なくとも中国に限れば日系メディアが報じる通りに大きく扱っており、実際に一面で報じる新聞も見受けられました。もっとも個人的にもっと気になったのは、「日韓和解?」という見出しで韓国の李明薄大統領と麻生元首相の2ショットを国際金融報という新聞が一面で報じていたことでしたが。

 話は山中教授に戻しますが、今回のノーベル賞受賞は私としても文句なしだし順当な結果だと思います。確かに実用化にはまだ至っておらず検証作業などもまだまだ進める必要がありますが、iPS細胞の発見はES細胞の研究捏造事件で一時研究が止まった再生医療を復活させる原動力となっており、その功績を考えれば確かに早いとはいえ十分受賞するだけの内容があるでしょう。
 ネット上では山中教授への研究費助成金の額を巡って民主党が減額したなどといろいろ書かれておりますが、はやぶさの時といいこの点については私も確かな検証が必要かと思います。何も今回の例に限らず、どの方面にどれだけ研究費を割り振ってどれだけ成果を上げたのかは公表する必要はないと思いますが、やはり専門的な立場にある人たちの間で検証し、有効な資金活用が出来るようにしていくべきでしょう。

 最後にこのiPS細胞の研究で言っておかなければならないと思うこととして書きますが、山中教授は2006年の8月に科学雑誌でマウスにおけるiPS細胞の作成方法を発表しましたが、この時に私が知る限り日本のメディアは完全に黙殺しておりました。一方、同時期にアメリカの新聞各紙は画期的な発見として今日の中国紙みたいに一面トップで報じていたと、ワイドショーに出ていた宮崎哲弥氏がかなり怒りながら主張しておりました。
 ES細胞の研究が盛り上がっていた頃によく友人と生命倫理の議論で話をしていただけにこの時の宮崎氏の話をやけに印象的に覚えているのですが、その後日系メディアが山中教授を取り上げるようになったのは3ヶ月くらいたった同年の12月頃でした。宮崎氏も言っていましたが、国を挙げて科学技術を振興させると言いながらメディアが関心を持たないようでは意味がなく、科学分野は取っつき辛くとも目を向けるべきだと考える大きなきっかけとなりました。

2012年10月8日月曜日

安倍内閣を振り返る

 どうでもいい近況ですが、この前にゲームアーカイブスでダウンロードした「ブレスオブファイア4」というゲームを現在しています。相変わらずストーリーはいいのですが展開がもっさりしているうえにRPGなのにキャラのモーションが無駄に長く、伝統的なまでに長所はあるのだけれど短所も目立つ作品です。ちなみにストーリーのもっさり具合を一つ説明すると、

<主人公の正体がわからない→風の竜に会おう→風の竜に会うために故郷に帰ろう→故郷で親父さんから、「風の竜に会う前に竜の巫女に会えば」と言われる→竜の巫女に会ったら、やっぱり風の竜に会えと言われる→風の竜に会うには風の笛が必要だと言われる→風の笛を手に入れるために、再び故郷の城の地下に行く→笛を持って風の塔に登ってようやく会える>

 決して誇張ではなく、全部が全部こういう感じで無駄なお使いイベントが多いです。っていうか、風の笛なんて取りに行く必要があったのかと思うくらいで、作っている最中に誰か止めなかったのかこれ。

 さて話は本題に入りますが、先日に野党第一党の自民党についてですが、安倍新総裁が就任して何故だか大手メディアからはやっかみもいいくらいに叩かれていますが、私自身としてはまだ何もしていないんだしちょっと今の叩き方はずるいと思います。ただ一部メディアが批判している安倍政権時代の功罪についてはきちんと比較分析するべきだと思いますし、そこで今日は安倍政権時代について私の評価をまとめようと思います。

安倍内閣(Wikipedia)

 まず安倍政権の最大の功績としてよく挙げられているのを見るのは教育基本法の改正です。教育基本法はかねてから野党や日教組が議論すら許さなかった程の聖域であったため確かに改正したのは歴史的と言ってもいいとは思いますが、ただ私自身としてはあまり評価しておりません。というのも不勉強なだけかもしれませんが、教育基本法が改正されたからと言って日本の教育環境や内容が改善されたかといわれると改正から数年経つのに未だに見えてきません。それどころかいじめ問題を筆頭に結局以前のまま、さらに言えば以前に私がブログで指摘したように教師の高齢化も歯止めがかかっておらず、理念だけ変わったところで成果があまりにもなさすぎるという風に考えております。
 ただ唯一、この時の改革で評価しているのは教員免許更新制の導入です。現在も存続か廃止かで非常に揺れている制度ではありますが、発足当初は中学校の数学問題すら解けなかった高校の数学教師がこれで解任されたりと、あまりにも能力のない教師の淘汰に一役買ったと思いますし、この手の議論に大きな一石を投じたと思います。もっともおしむらくとして、教員の再教育というか研修制度があまりしっかり組み立てられておらず、現在もこの点が大きな問題となっているところがありますが。

 次に同じく安倍政権の功績とみられているのが、防衛庁の防衛相への格上げです。これについては以前は野党が議論すら許さなかった内容ですが、確かに評価はできるもののなるべくしてなったもので大きくポイントを挙げるべき評価項目ではないと考えております。このほかパチンコ業者への締め付けを厳しくした点などは私自身は大きく評価しておりますが、安倍政権全体を通して観念的な部分での法改正は多いものの、具体的に成果を上げる細則実施はやはり少ない気がします。

 逆に安倍政権のマイナス評価ポイントですが、恐らく私だけでしょうが最大のターニングポイントとなったのは「ホワイトカラーエグゼンプション」と呼ばれる裁量労働制の導入を検討したことだったと思います。元々、安倍政権は発足当初は内閣支持率が異常に高く国民から期待された政権でしたが、「再チャレンジ」などを叫んで雇用対策などを強化すると主張していたところ、このホワイトカラーエグゼンプションが突然出てきて「ああやっぱり財界寄りだったんだな」と私もこの時にグッと距離感を感じました。
 念のためホワイトカラーエグゼンプションについて説明すると、幹部級社員に対してあらかじめ定められた時間に縛られず自由に働くことを認める制度という触れ込みでしたが、仮にこの制度が認められるとサービス残業を国が公に認めてしまうことになるのではないかと批判が起こりました。はっきり言いますが政府、というかこの制度導入を強く求めた財界の本音としてはまさにその通りで、当初は対象となる社員を年収300万円以上(途中で800万円以上に訂正)と言っており、日雇い派遣など低賃金過重労働が問題となっているところでこんな制度案が突然出てきたことは面食らいました。また当時、というか現時点において日本企業では年収500万円以上の社員を大抵は管理職扱いにしており、この裁量労働制を事実上実施しております。うちの親父なんか、なんで既にみんなやっていることをいちいち法律で追認するんだと当時批判してました。更にもう一言加えておくと、日本でカタカナの名前の法律は大抵が何かしら裏があります。

 と、このホワイトカラーエグゼンプションが出てきた時点で私も一気に評価しなくなったのですが、一番致命的となったのは消えた年金問題において間違いないでしょう。この年金問題に関しては逆に私は同情的に考えており、それ以前の政権が放置してきたために大ごとになった問題を、何故か安倍政権の時期に今は無き社保庁が不必要なまでにリークを行い選挙で大敗する要因を作りました。この時に社保庁は何故リークを行ったのか、恐らくは安倍政権が渡辺善美氏(現みんなの党党首)を据えて進めていた公務員改革に対する反抗だったのではないかと考えております。なおこの消えた年金問題で何が一番問題なのかというと、この時に散々騒いだにもかかわらず、現時点においてもこの問題は何も改善されずくすぶっていることです。恐らくまたどこかの政権で一気に問題が噴出して大騒ぎしてなにも変わらないまま次代に引き継がれていくことになるでしょう。

 消えた年金問題同様に、直接的に安倍氏自身の責任ではないものの閣僚の度重なる不祥事も短命政権を生む要因となったでしょう。何とか還元水で最後は自殺に至った松岡利勝元農水大臣はもとより、その後を継いだ赤城徳彦に至っては、ウィキペディアの記事を見るにつけよくもまぁ大臣在任中の2ヶ月の間にこれだけ問題を引き起こしたなと呆れてきます。存命中の人物に唾を吐くのはどうかと思うものの、この人はほんまもんのクズでしょう。

 以上のような具合であまりまとまりがない書き方をしておりますが、総じて必要性や優先度の高い改革を行ったとは言いづらく、過分の安倍氏の「やりたかったこと」だけが実行されていた政権だった気がします。とはいえ安倍氏自身はそういうブレの少ない性格なために、恐らく野党党首としては十二分に才能を発揮して自民党自体にとってはこれからいい方向に持っていくと予想してます。
 ただそれは野党党首としての話であり、仮に次の総選挙で自民党が大勝し、総理大臣に再登板することになれば元から才能なんてないんだからまともな国会運営が出来ず、晩節を大いに汚すことになるということも予想しておきます。というのも安倍政権は小泉政権の遺産ともいうべきか、衆議院で三分の二以上という圧倒的多数の議席を保有していたのですが、この議席数に胡坐をかき強行採決することが異常に多かったです。当時は参議院でも自民党が過半数を握っていましたが、ねじれ国会の今に総理に就任したところで安倍氏にまともな国会対策が出来るとはとても思えず、すぐに運営に行き詰まることでしょう。厳しい評価ですがかつて「KY」と呼ばれただけあって、安倍氏には致命的なまでにこの方面の能力が不足しております。悪いことは言わないから、選挙で大勝したら総裁を降りて、総理職はほかの人に任せた方が無難かと個人的に思います。

2012年10月7日日曜日

経済記者の得意分野、不得意分野

 自分が今の仕事を始めるに当たって、経済学部も出ておらず経済方面の知識が少ないにもかかわらず経済記事がきちんと描けるかどうかが正直な所不安でした。ただこの不安は結果論から言うと杞憂に過ぎず、というのも自分以上に経済のことよくわかっていない人が社内には多かったです。というのも今の会社は経済がわかる、わからない以前に中国語と日本語の能力が求められるため、あまり経済方面の知識力が問われることが低いということが大きな要因なのですが、ただどうも業界内を見回していると大新聞の経済部記者でも知識的に結構怪しい人がちらほらおります。

 私がこう思うようになったきっかけは先日にイギリスで問題になったLIBOR事件の記事なのですが、当時にこの問題について書かれた記事をいくら読んでも内容が全く把握できませんでした。単純に私自身の理解力が不足しているだけだったかもしれませんが、どうもあの時の記事を思い出すにつけ、書いてる記者自体があの問題の本質を誰もわかっていなかったのが最大の原因だと思います。というのもどの記事も、「イギリスでLIBORが問題になっている」、「イギリス当局が銀行に怒っている」としか書いておらず、何の理由で、しかも英銀がどういう不正をすることによってどんな利益を得るのかという構造を誰も説明していませんでした。
 LIBORに限らず、金融関連ニュースは複雑な話が多いために基本的にどの経済記者も書くのを苦手としております。さすがに日経(読んでてわかりづらいが)ならまだしも、朝日や読売といった大手新聞ですら内容を理解していないと見える上っ面だけの記事が載ることもあれば、問題の核心を敢えて濁して書いていると感じる向きも多いです。かくいう自分のいる会社でも金融関連はみんな書きたがらないので上海証券取引所のシステムが一部変わるとかそういった関連の話は無視することの方が多いです。ただこれが香港だったら話は変わってきます。香港は金融と不動産が経済ニュースの8割を占めるために必然的に取り扱わなければならず、自分も香港にいた頃は吐きそうになりながらブルベア証券とかいうデイトレードの話とかを一生懸命書いていました。幸いというか元バンカーの記者が同僚にいたのでわからないところはすぐ確認できましたが。

 金融に限らず、ちょっと面倒な分野というか業種の話はやっぱり書くのが苦手な記者は多いです。所詮は物書いてるだけでその業界で働いたというわけでもないので限界があるのはしょうがないですが、日本の場合は自動車をはじめとして製造業が多いせいかこっち方面の記事だけが得意という人も少なくありません。まぁこれは逆説的に言うと製造業関連の記事は書きやすく、生産能力とか投資額とかをそろえて書けばそれなりに出来上がってしまうという裏事情があるためですが。ただ製造業でも、電機・電子というかエレキ分野は苦手な人は本当にどうしようもないという人もおります。特に通信関連だと多少専門用語が出てくるため、「LTEって何?」から聞かれることもあります。

 参考までに自分の得意分野、苦手分野を書きに簡単にまとめます。

・エレキ(△):必要最低限のことは書けるが、特集記事とかはそういうのは書かないし書く気も起きない。
・自動車(○):決して詳しいわけではないが、社内に車好きがほかにいないために相対的に質問が集まってくる。
・金融(○):同じく詳しいわけではないが、ほかに書ける人があまりいないため集中して書くことが多い。
・小売・流通(×):自分自身がこの業界に全く興味がないため、書く記事も淡白で社内で評判が悪い。
・繊維(△):中国でも年々盛り下がっている業界なだけに、書く機会自体がほとんどない。
・ゲーム(◎):ほかに書ける人がいないというのもあるが、興味が強いことから社内で恐らく一番上手く書けると自負してる。
・IT(○):一通りの用語は知っているのと、ネット広告の仕組みがまだわかることから質問がよく来る。
・エネルギー(×):専門性が非常に高く応用し辛い分野。中国では石炭の話がメインで、標準炭という単語がよく出てくる。
・観光(×):ホテル経営関連のニュースは壊滅的。パリス・ヒルトンのスキャンダルなら書けるが……。

 私の場合はざっとこんな感じです。一番ベストなのはどの業界でも万遍なくいい記事を書けることですが、やはり興味のある分野の方にこういうものは偏っていくと思います。ただこれはあくまで経済記者における基準であって、ほかの社会部とか芸能部の記者と比べればどの業界でもまだ強いという自信があります。その分、芸能関係は本筋の人には負けるでしょうが。
 なお敢えて一つ苦言を呈すと、日本の政治部記者はもっと経済を勉強すべきだと私は感じます。政府の経済政策批判もとんでもなくピントが外れた記事が多く見受けられ、今読んでいる本で学者も指摘しておりますが、円高の責任は日銀にあるのに政府ばかり批判し、日銀がほくそ笑んでいるという現状もあります。経済に限るわけじゃないですが、日本の政治記事は批判ばかりでなんていうかつまらないです。

2012年10月5日金曜日

何故秦は強かったのか

 先月に日本に帰国した際に以前から読んでいた「キングダム」という漫画の新刊を一気に読んできました。以前から高く評価しておりましたが先日からはNHKでアニメ化を果たしており、非常に読み応えのある作品でどうしてこの作者がこれまでに世に出なかったのが不思議に感じるほどです。
 そんなキングダムですが知らない人に簡単に説明すると中国の戦国時代(紀元前3世紀あたり)が舞台で、後に中国を統一する秦で将軍を目指す少年が主人公です。漫画ではやっぱりドラマ性を掻き立てるために戦争で何度も秦が窮地に追いやられたりしますが、実際の歴史では当時の臣はこの後に中国統一するだけあって国力は圧倒的で、ほかの国が束になっても敵わないくらいに強かったです。これまた先日にこの「キングダム」について語られている掲示板で、一体何故当時の秦がそれほどまでに強かったのかという議論があったので、私なりに秦の強さの秘訣を教派解説しようと思います。

(Wikipedia)

 まず自体背景から説明すると、封神演義で有名な周王朝が衰退していくと中国では各地域に王が立ち分裂国家となります。この分裂時代の序盤を春秋時代、途中で晋という国が三国に分裂して以降は戦国時代と呼称を呼び分けられているのですが、はっきり言って秦は春秋・戦国時代を通して一貫して強かったです。何かの戦争に絡んだたら大抵は勝ってましたし、常にパワーバランスを握る大国として君臨し続けておりました。何故最初から秦が強かったのか、その理由を箇条書きにすると以下のような点が挙がってきます。

・西の果て(現在の陝西省)という防御に強い地の利に恵まれていた
・常に異民族と戦っていて兵の練度が高かった
・中央の争いにあまり巻き込まれなかった

 言ってしまえば三国時代の蜀と同じような具合で、根拠地が圧倒的に守りに強い場所にあったことが大きいです。ただその一方でデメリットもあり、こちらも蜀と同じく食糧生産量は少なく複雑な地形から外征には出辛い国でした。もっともあまり外政にでられなかったことから、国力をじっくり蓄えることもできたとみれますが。

 こうした地政学的な利点に加え、秦が最強国となった最大の理由は商鞅の改革にほかなりません。商鞅に関しては世界史でも習うことがありますが法家の代表格ともいうべき人物で、当時はまだ蛮地とみられていた秦で厳しい法制度を敷いた人物です。商鞅の改革は授業では刑罰関連ばかりが取り上げられますが、実際には知行制から俸禄制に切り替えたことの方が影響力としては大きいです。
 当時の中国では日本の戦国時代のように、功績のあった人物には土地とその土地に住む住人の支配権を与えることで報酬としておりました。ただこのやり方だと与えられる土地はどんどん減っていくばかりか一度与えた土地は取り返せず、中には王を超えるほどの土地を所有する大貴族も生無ことにもなり王の支配権にもいろいろ影響しておりました。これを商鞅は土地をすべて王の管理下において、その土地から得られる穀物を報酬として与える俸禄制に切り替え、王の実権を高めるとともに実力のある人物を採用しやすくするよう改めました。

 この商鞅の改革の結果、秦の貴族は弱っていったのに対し秦王の権力はどんどんと強まっていっただけでなく、俸禄制で気兼ねなく積極的に人材を採用することから有能な人物も次々と集まるようになっていきました。あまりよそでは指摘されておりませんが、秦ではほかの国と比べて圧倒的と言ってもいいほど宰相職に外国人が就任するパターンが多いです。この商鞅もそうでしたし、その後の范雎や李斯も外国出身者で実力主義が非常に浸透していたことも見逃せません。
 これまたはっきり言ってしまえば、秦が中国を統一できたのはこの商鞅の変法によるものと言い切っていいでしょう。一応、隣の魏が秦に先駆けて呉起が知行制から俸禄制に切り替えましたが、実権を失ったことを恨んだ貴族たちによって呉起が殺されて後に魏は元の知行制に戻してしまっています。仮にこの時に魏が俸禄制を維持していたら、歴史が変わっていた可能性は高いと思います。また商鞅自身も後に恨んでいた貴族によって殺害されますが、秦は俸禄制をちゃんと維持しました。

 この知行制から俸禄制への切り替え、後の中国ではスタンダードになりますが日本では織田信長が初めて大規模に実行しております。結果は言わずもがなですが、やはり戦国時代は実力主義者が強くなる傾向があるようです。

2012年10月4日木曜日

セブンイレブンのカレー弁当:((´゙゚'ω゚')):

 愚痴っぽい話になりますが聞いてください。
 やや古い話ですが今年7月、昼食にこちら上海で売っているセブンイレブンのチキンカツカレー弁当を買って食べたのですが、食べた直後から明らかにお腹が痛くなり、例えるなら胃の中にねずみ花火放り込んだような痛みでその日は嘘ではなくまっすぐ歩くことすらできなくなりました。こんなことあったもんだからもうセブンイレブンのカレーは食べないでおこうと決めたのですが、「さすがにあの時はたまたま手に取ったものが悪かったのかもしれないし、そもそもあのカレーが腹痛の原因とも限らないしね(*´∀`)」などと言って、一昨日にまたセブンイレブンのカツカレーを昼食に買って食べました。やっぱりお腹壊しました。

 お腹壊すといっても一回下すとかそういうレベルじゃなく、致命的なまでに胃の機能が低下しております。最初のチキンカツカレーも食べた日から二週間程度腹痛が止みませんでしたが、一昨日にカツカレーを食べてからも現在に至るまでも、前ほどじゃないけど時たま激しく痛くなります。感染源がセブンイレブンのカレーとは限りませんが、さすがにこうも二回連続で、しかも長期にわたって痛みが続くということまで共通していると疑わざるを得ません。そもそも一回で懲りてれば話は早かったのですが……。
 ちょっと今回は私もマジになり、本当に痛いもんだからセブンイレブンに文句入れようかとすら考えました。さすがにクレームは出してませんが、ほかにも被害者がいないか百度で確かめはしましたが、同じような話はあいにくありませんでした。

 なおコンビニのカツカレーとくれば私は普段、ファミリーマートのカツカレー弁当を食べてます。あまりにも昼食に使う回数が多いものだから同僚からも「栄養偏るよ(*´・ω・)」と言われるくらい食べてますが、こっちのファミリーマートでは今の今まで一度もお腹を下したことはありません。あとさすがに中国に留学に来た直後はこっちの辛い料理になれず比較的壊しやすかったですが、この一年間はほとんど全くお腹を壊すことがないくらい中国の食事に適応していると自負しております。
 とはいいながら、以前に会社の同僚と四川料理屋に行った後、一回壊したことがありました。次の日になんとなくその同僚と話してみると、なんと同僚も同じようにお腹を壊しており、二度とあの店には行かないと誓い合いました。

2012年10月3日水曜日

猛将列伝~朱元璋

 このところずっと中国史ネタをやってないので、意外と知らない人も多そうなので朱元璋について私なりに簡単に紹介します。

朱元璋(Wikipedia)

 朱元璋とくると世界史をやってる人には早いですが、14~16世紀に中国を支配した王朝である「明」の初代皇帝です。この明のひとつ前の時代は「元」といって、説明するまでもないですがモンゴル人の支配による王朝です。朱元璋は元々農民出身(しかもかなり貧乏)で、この元に対する白蓮教徒による反乱である紅巾の乱に参加したことから世に出ます。この反乱軍参加時に責任者の郭子興に気に入られ養女を嫁にもらったことから徐々に頭角を現し、郭子興の死後はその軍を実質的に引き継ぎ戦国時代と化していた中国で覇権を争うようになります。
 この時の朱元璋の行動で注目すべきは、自分が農民出身ということで同じく皇帝にまで上り詰めた前漢の劉邦を意識して参考にしていることです。たまに朱元璋を日本の豊臣秀吉と比較する人がおりますが、同じ農民出身ということでなくこう言った一種のパフォーマンスを取っていたということからも悪くない比較の仕方だと思います。

 朱元璋が後に中国の皇帝になれた大きな理由は知略に長けた功臣に恵まれたことはもとより、早くに南京を中心とした江南地方を手中に収めたことが何よりも大きいでしょう。当時の中国はたとえるなら今の北朝鮮と韓国のように南北で大きな経済格差があり、南方が圧倒的に裕福でした。元朝をはじめとしたその時々の王朝は隋朝時代にできた大運河を使って南方の物資を北に運ぶことで経済をまわしてきていたのですが、ライバルの漢民族の軍閥を蹴落としてこの裕福な南方を得たことによって、北京に居座る元朝との対決を非常に有利に進めることが出来るようになりました。
 私見ながらやはり朱元璋が偉大だと感じるのは、彼一代で軍閥を起ち上げた上にモンゴル民族を打ち破り中国統一を果たしていることです。ほかの王朝なんかは大抵は初代が王朝というか軍閥を起ち上げるところまでやって、中国統一は二代目以降がというパターンが多いのですが、朱元璋の場合は彼一代でこの難事業をやり遂げております。そういう意味では行動力というかパワーというか、とにかくそういったものに溢れている皇帝像を思い浮かべます。

 ただこの朱元璋、知ってる人には有名ですが性格に色々難があります。とにもかくにも猜疑心が強く、中国統一後は創業の功臣を片っ端から誅殺しております。何もこんなところまで劉邦をまねなくったっていいのに。そのため現代に伝わる彼の肖像画は二種類あり、片っ方はいかにも中国画って感じの恰幅のいいカーネルサンダース然した叔父さんですが、もう片っ方はネズミみたいな顔した、なんていうかヤクザのチンピラっぽい顔で書かれておりこちらの方が実像に近いと言われております。
 彼の誅殺ぶりを表す一つのエピソードして空印事件というものがあるのですが、これは帳簿の数字を修正する場合は今の日本のお役所仕事と同じように一からやり直さなければならなかったことから、あらかじめ印鑑を押した記入前の帳簿を作っておくという裏テクが明代のお役所でも公然の秘密のような感じで行われていたようですが、これを朱元璋が「意味ないじゃん!」と言って関係部署の人間、または作っていた人間をまとめて死罪にしたそうです。このほか彼の奥さんの馬皇后も、病気になった際に夫が送ってきた医師の診察を一切受けなかったそうです。というのも仮に診察を受けても治療できなければ、怒って旦那がその意思を殺すとわかってたからです。

 このように朱元璋は苛烈な性格をしていたことは間違いなく、中国語で「我的东西是我的,你的东西还是我的」と中国語がわかる方なら即意味が取れるでしょうが、「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物だ」とジャイアンに約600年先駆けてこんなことを言うくらいな人だったらしいです。ただこうした苛烈な性格は周囲、特に本人の学歴コンプレックスもあって文人官僚などに向けられることはあっても、一般庶民に対しては自分が貧農出身だったことから比較的寛大な政策が取られており、反乱軍参加時も略奪などの行為は他の軍の比較して極端に少なかったそうです。そのため庶民からの人気は絶大で、上記のように豊臣秀吉といろいろかぶってくるわけです。

 ただ彼の不幸は後継者と目論んでいた長男が早世し、二代目を継いだのが長男の息子、つまり朱元璋の孫(建文帝)になったことです。政権を盤石にするために功臣をすべて排除していたものの、親戚には甘かった朱元璋は第四子である朱棣には北京で大規模な兵権を預けたままで、朱元璋の死ぬとこの朱棣があっさり反乱を起こして建文帝を殺害し、自らが第三代皇帝の永楽帝となります。
 中国文学者の高島俊男氏なんかはこの過程を現代中国にも当てはめ、重農主義だった朱元璋(毛沢東)の後に永楽帝(鄧小平)が立ち、永楽通報という通貨を流通させるなど市場経済主義に改変せしめたと指摘し、明代と同じように今の中国共産党帝国は寿命の長い王朝になると分析しておりますが、なかなか頷ける話だと私も思います。

10月6日:西宮冷蔵社長のトークイベント開催

 以前に書いた「平成史考察~BSE騒動(2001年)」のコメント欄で以下のイベント開催告知を受けたので、このブログでも紹介することにします。


『ハダカの城』アンコール公開記念イベント
■日時:2012年10月6日(土) 12:30開場/13:00開始 
■登壇者:水谷洋一(西宮冷蔵株式会社社長)/水谷甲太郎(同社専務)
/香川今生(TVディレクター)/柴田誠監督
■料金:前売1500円/当日1800円
■場所:「Space&Cafeポレポレ坐(ポレポレ坐ビル1階)」
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)  E-mail:event@polepoletimes.jp
■定員:70人

ポレポレ坐サイト(http://za.polepoletimes.jp/news/2012/09/2012106.html

 西宮冷蔵とは雪印牛肉偽装事件の際に内部告発を行った倉庫会社のことです。この経緯については過去記事でも取り上げていますが、不正を見逃さず内部告発を行った西宮冷蔵はその後、偽装に関わったとして行政から営業停止処分を受け一時は休業に追い込まれますが、その後各方面からの支援を受け営業を再開した会社です。まだ黎明期とはいえ内部告発のあり方に一石を投じた会社であり個人的にも興味を持っている会社なのですが、社長の水谷氏が東京でトークショーを行うとともに、あの事件をつづった映画「ハダカの城」も公開するイベントだそうです。

 生憎私は今日も明日も明後日も中国にいるので見に行くことはできませんが、興味のある方などは足を運んでみてはいかがでしょうか。