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2025年2月14日金曜日

うなぎマスコット一族

 すでに上海に戻ってこの記事を書いていますが、日本と違ってVPNを介した回線の遅さに辟易しています。日本だと回線速度が速いからネットで調べものするときもめっちゃ短時間で終わるため効率もいいのですが、こっちだとともかくだれて気が散ります。

 そんな悪環境にもめげずに話を続けると、日本滞在中には九州地方も周り、その中には立花宗茂が治めていた福岡県柳川市も入っていました。今回ここへ行ったのは近くを通ったことと、近年彼の人気が高まっており自分自身も興味を持ったからです。
 そもそも何故立花宗茂の人気が高まっているかについて、恐らくきっかけはゲームの「戦国無双」からだったんじゃないかと睨んでいます。もともと、立花とくれば彼の養父で信長の野望で鬼つよな立花道雪の方が通りがよくこっちの方が人気も高かった気がしますが、戦国無双が女性キャラを増やすため宗茂の嫁で道雪の娘である立花誾千代(ぎんちよ)を登場させたことで宗茂の露出も増え、もともと評価の高かった武将でもあったことからいつしか誾千代を追い越す人気を得るに至っていったように思います。

 話を戻すとそんな宗茂が関ヶ原前に治め、関ヶ原後に没収され、そのあと再び支配するようになったのが柳川市です。立花家は明治維新に至るまでこの地を治め、また明治維新後も藩主別宅をホテル兼レストラン(御花)に変えて運営するなどこの地に根差しており、地元の人も立花家に対する関心は明らかに現代でも強く残っています。
 実際、柳川市を歩いていると「立花夫妻を大河ドラマに!」と書かれたのぼりをあちこちで見かけました。私自身も立花宗茂主人公なら普段あまり取り上げられない九州の戦国時代後期が舞台となるので、大河ドラマにするのにいい題材だと考えていますが。

 なおお土産屋の人に大河について話を振ったら、さも当然かのように「もちろん目指しています!」と力強く肯定されました。

 そんな具合で柳川市を巡っていたところ、お土産屋さんに奇妙なおみやげというかマスコットキャラがいるのに気が付きました。そのマスコットキャラというのも、これです。


 キャラクター名は「うなしげくん&うなちよちゃん」とのことで、柳川市にある伝習館高校のマスコットキャラだそうです。「何故うなぎに?」と誰もが思うことでしょうが、実は柳川市は「柳川鍋」という名物料理があるくらいだからドジョウばかり食べているかと思いきや、うなぎ屋が非常に多い街でした
 マジで街全体がうなぎの匂いに包まれてるんじゃないかってくらいうなぎのたれ臭く、実際どこ歩いても隙間なくうなぎ屋があり、歩いててめっちゃ腹減りました。

 そんな土地柄ゆえにこのようなうなぎとフュージョンさせたキャラクターも飛び出してくるのでしょうが、実はこのキャラを見たときに自分は別のマスコットキャラを連想していました。そのマスコットキャラというのも、これです。


 多分知る人ぞ知る、っていうか普通の人はまず知らないであろう空港のある千葉県成田市のマスコットキャラこと「うなりくん」です。

 私自身、うなりくんを初めて知ったのは去年のことで、成田市内の土産屋で最初見たときはSUICAのマスコットキャラのペンギンの派生グッズだと最初思いました、マジで。またその時になって初めて成田市もうなぎ屋が多く、JALやANA関係者は成田のうまいうなぎ屋に詳しいという事実をうちのソ連人民の敵である親父から聞きました。

 柳川市も成田市も、その市内にうなぎ屋が多いという共通点からマスコットキャラもうなぎで共通していたというわけですが、私が声を大にして言いたいこととしては「こいつら絶対親戚だろ!」という一点に尽きます。同じうなぎ同士ということもさることながらビジュアルも結構似ており、土地は違えどきっと遠縁の親戚同士に違いないと睨んでいます。
 なおその親戚には例のSUICAのペンギンも含まれているだろうともみています。あっちはうなぎじゃなくてペンギンだけど、親戚じゃないと説明できないほどにビジュアルが似通ってるし。

 ただマジな話、柳川市も成田市もともにうなぎが盛んでマスコットもこれだけ似てるんだから、姉妹都市提携などしてもっと揃ってうなぎをプッシュしたら面白いんじゃないかと思います。東西うなぎ対決しても楽しそうだし、うなぎ消費量とかで競ってみるのもありかもしれません。
 なお柳川市では朝早くに訪れすぐ次の目的地に移動したためここのうなぎ屋を試すことはできませんでしたが、次行く機会があれば柳川のうなぎを堪能してみたいと思っています。にしてもドジョウといい、柳川の人はぬるぬるしたものが好きなのだろうか(。´・ω・)?

2025年2月13日木曜日

日産、ホンダの統合破談について

 特に書くこともないのでこちらの話題に触れますが、まぁ結果的に良かったかと思いますホンダにとって。末期症状を呈している日産に比べ、経営がやや迷走気味ではあるもののホンダはまだ売れる車もあれば経営も維持しており、溺れる日産を拾う理由はほとんどありません。

 そもそも今回の統合話はホンダも嫌がっていれば日産も「対等なら考えてやる( ・´ー・`)」などと無駄に上から目線で、双方ともに率先してという態度はありませんでした。一部でも言われている通り、苦境にあえぐ日産を救済してやれと経産省あたりがホンダに働きかけたのが背景だと私も思います。

 今現在で問題なのはやはり今後の日産でしょう。日本国内はもとよりこれまでの収益の柱だった中国市場も、EV普及によって日産のシェアはこのところ激落ちくんとなっています。またEVや水素自動車などの次世代車はもとより、ハイブリッド車や従来燃料車ですらさしたる技術力がなく、むしろ子会社同然な三菱の方が軽自動車の開発力に分があるような状態です。こんな自動車会社ともなると買おうとするところがあるのかと言いたくなる状態です。

 実際に先日うちの親父とも仮に車種単位で切り売りできる分野があるか話したのですが、現行のR35GTRですら陳腐化が激しく、フェアレディZに至っては詐欺的な売り方をしており、敢えて言えば20年以上前に発売したR34GTRの意匠権とかならまだ買いたいというありさまでした。一部でも言われていますがかつてはキューブのような、それこそ今のN-BOXがコンセプトを受け継いでいるようないい車もありましたが、この10年くらいで日産でほしい車はマジで見当たりません。

 では今後日産はどうなるのか。正直言って日本国内はホンダ、三菱を除けばすでにトヨタの息がかかっているというかトヨタ陣営と言ってよく、今回のホンダの破断で提携先は日本国内にはもはやありません。では海外はどうかというとまだ5年くらい前なら中国自動車メーカーも動いたかもと思う節がありますが、現状に至っては中国も大半の自動車メーカーは息切れしており、新興EVメーカーも今更日産を買おうという酔狂なところは現れないでしょう。

 欧米メーカーに至ってはさらに状況が深刻で、VWのように下手すりゃ日産以上に厳しい状態にある会社ばかりで、今更日産と手を組みたがるところは見当たりません。現提携相手のルノーですら、内心日産の株を売りたがっているのではと思う節すらあるし。
 以上を踏まえると、なんだかんだ言いつつゴーンはいいタイミングで日産を脱出したなという感すらあります。あのままCEOを続けていれば彼の経歴に傷がついたでしょうし、退職金も得られなかったかもしれません。

2025年2月11日火曜日

英語の五文型を何故教えない?

・ 【悲報】英語の主語動詞の塊には5つのパターンがあると分かりX民騒然(暇人速報)

 上のまとめ記事で中学時代に英語の基本五文型を教わらなかったと訴える人がいますが、実は私もそうだったりします。何故か私が通ってた私立中学では英語の授業で五文型を教えず、「この文章にはこういう訳」という感じで文章単位での暗記を強く矯正する授業が行われ、単語単位から考えて文章構成を読解するというやり方を教えませんでした。はっきり言えば、あまり教師が良くなかったというほかありません。

 はっきり言って中国語の翻訳に関してはガチプロだと胸張って言える私ですが、外国語の翻訳にあたっては「All you need is kill!」など頻繁に使われる文章フレーズを丸暗記するやり方も否定しませんが、最終的には文章構成を理解し、文法ルールや要素から外国語を読み解いていく方法が勝ると考えます。何故かというと外国語は日本語ではなく、その文章を完全に日本語に転換することは不可能だからです。不可能だからこそ、どのように解釈するのか理詰めで考える必要があり、こうすることによって解釈齟齬を可能な限り縮小できると思えます。

 そのうえで上記の英語五文型について話を戻すと、この五文型を学ぶことで何が一番大きいかというと英単語の属性を意識するようになるのではないかと思います。言うまでもなく単語には名詞、動詞、形容詞、副詞、連体詞があり、これらは体言と用言の二種類に分別されます。
 五文型で言えば、Vが動詞でCが形容詞、Oが目的語となりますが、この文型の配置になぞらえることで各単語が動詞なのか形容詞なのかを自然と理解し、深く意識しなくても単語の属性とその傾向、活用の変化なども覚えていくことになります。

 そのうえでさっきの「All you need is kill!」を例にもっていくと、この文章でSこと主語にあたるものは何かといえば「All you need(お前が今最も求めれるもの)」になります。主語と言っても一単語ではなく一文節となるのですが、まじめに外国語翻訳ではどこからどこまでが文節なのかを瞬時に把握することが一番重要だったりします。
 この辺、中国語が恐らく世界で最も文節の判別しづらい言語である可能性もあるのですが、どこからどこまでが名詞節なのか動詞節なのか、「烈」という単語は動詞にかかる副詞なのか名詞なのかなどの判別がくそむずいです。

 逆を言えば、この文節の範囲を適切に区切ることができれば大きな誤訳はほぼ確実に防げ、この点では英語においても同様かと思います。この辺の感覚は単語の配列順番が非常にあいまいであっても、「~は」あの後には用言が来るなど助詞を用いることで文節を明確に区切られる日本人からすれば若干未知の領域で、文型を意識しないと気づきづらい点だと思います。

 そうした自分の経験を踏まえても、英語教育においては単純な単語を100語くらいひとまず覚えさせた後、この五文型を徹底的に教え込み、実際に文型別に英文を作成させて意識させることが英語教育であるべき一歩だと私は思います。なんか日本の英語教育を見ていると学内より学外の方が重きをなしているように見えるだけに、予備校に通わずとも英語のできる生徒を生む教師の指導とかもっと共有してもらいたいものです。

2025年2月10日月曜日

江戸時代の三大改革をこのまま教えるべきか?

 先日も少し書きましたが知人に勧められ、みなもと太郎の「風雲児たち」という漫画を今読んでおり、その内容の深さというか細かさに非常に驚きつつ楽しみながら読んでいます。もともとこの作品は「明治維新を描いて」と言われて、「明治維新を描くなら関ケ原から始めないと……」といって、十年以上にわたり関ケ原からの江戸時代を描き続け、幕末にはなかなか至らなかったという数奇な経緯を辿った作品です。

 そんな「風雲児たち」において一つの重要トピックとして、「蘭学」があります。端的に言えば医学を含むあらゆる西洋知識に対する学問研究を指しますが、江戸時代において蘭学はたびたび規制され、蛮社の獄をはじめ政治的に弾圧され多くの被害者も生んでいます。「風雲児たち」ではこの蘭学を学ぶ蘭学者を非常に大きく取り上げており、解体新書の杉田玄白をはじめ、高野長英や佐久間象山にクローズアップしています。

 話を戻しますがこの「風雲児たち(さっきからやたら「不運児たち」とミスタイプする)」を読んで改めて疑問に思ったのが、「江戸の三大改革」という言葉です。これは徳川吉宗の享保の改革、松平定信の寛政の改革、水野忠邦の天保の改革を並べたもので、江戸期に行われた政治改革運動をひっくるめた呼称であり日本でも義務教育期間中には必ず教えられるしテストにも出てきます。
 しかしこれら改革の内容を見ると、実際のところは改革とは呼べない、むしろ蘭学者たちが起こした改革に対するムーブメントを抑え込む保守回帰的な反動政策だったのが実情です。

 一つ一つ順に解説していくと、享保の改革には医学をはじめとする洋書の輸入を解禁するなど確かに改革と呼べる要素も多いです。ただ幕府財政に関しては目立った成果はなく、現実には税率引き上げによる財政補填という結果しか生んでおらず、その後の社会矛盾の種もたくさんばらまいています。

 次の寛政の改革は完全な反動政策で、松平定信の前任者である田沼意次が行った政策を否定することしかやっていません。田沼が手配した蝦夷地探検隊の責任者に横領の罪を着せて切腹させたほか、田沼が行楽地にと作った埋め立て地すら掘り返しており、ぶっちゃけこの松平定信がいなければ日本は、いや徳川幕府はどんだけ良くなったんだろうと思うくらいに余計なことしかしていません。

 天保の改革も似たようなもので、こちらは幕府権威を高めることが重視されて蘭学者を弾圧したほか、迫りよる西欧列強に対する対策も放置し、いるかいないかでいればいないほうがいいような人間が政権主導者でした。まぁそのかいあってたった二年で終わっていますが。

 むしろ上記の三大改革と比べるならば、田沼意次が行った数々の政策の方が改革としての先進性を備えており、真に改革と呼べるのは田沼の政策だけだったようにすら私には思います。もっとも彼の行った政策は浅間山の噴火によりほとんどすべてが水泡に帰し、松代定信によってなかったことにされ、唯一残った功績としては最上徳内を後世に残したくらいですが、それ一つだけでものちの日本に大きな足跡を残したように思います。

 以上を踏まえると、享保、寛政、天保の改革を「江戸の三大改革」と呼ぶどころか、改革と呼ぶことすら憚られるような内容であるような気がしてなりません。少なくとも後ろ二つは「江戸の二大失政」と言ってもいいくらいの体たらくであり、実際に二つとも徳川幕府の権威を高めるどころか下げています。そのように考えると、これらを三大改革として義務教育で教えることは逆におかしいと私は声を大にして言いたいです。
 反対に、田沼の政策は改革と呼ぶべきないようで、子供に現物経済から資本主義への経済転換を理解させるうえでも彼の行った政策を学ばせることは意義があると思います。この辺り、マジで教科書とかも書き換えてほしいものです。

2027年が中国経済の山場

 昨日は新潟に日帰りで友人を訪ねに行ってましたが、新潟より千葉のが寒い気がします。家の中だと動かないでじっとしているから余計に寒く感じるのかもしれませんが。
 話は本題ですが結論から述べると中国経済が大きな山場というか本格的などん底に至るのは2年後の2027年ではないかと密かに予想しています。

 中国の不景気についてはこれまで何度も取り上げていますが年々厳しさを増しており、いまだ底打ちしていない状況が続いています。ではいつまでこの盛り下がり傾向が続くのかが議論の的となりますが、底打ちする時期については正直まだ見通せないものの、決定的にこの不景気が一時的でなく生半可なものじゃないと中国自身が気付き、社会の各方面に年金崩壊など目に見える大きな影響が出るのは今から約2年後の2027年くらいになるのではという風に見ています。

 このように考える根拠ははっきり言って大したものはなく、ほぼ勘です。ここで述べるまでもなくすでに中国の地方、国家財政は火の車状態で、特に地方はバス運転手などの地方公務員に対する給与すら遅配するなどまともに支払えない状態となっています。それもこれも2020年のコロナ流行開始以降にロックダウンをはじめとして異様な対策費を数年間消費し続けたことによります。

 私は当初、日本も1991年にバブル崩壊が始まって1997年まで政府が景気刺激策の名のもとにバラマキを続けたことで、企業業績はともかく個人消費は拡大し続け社会景気もある程度の安定を保っていたことから、中国も不景気に転じたとしても10年くらいはバラマキで持つとみていました。
 しかし前述のように中国の財政はすでに破綻しかかっており、だからこそ去年から明確な不景気を認識しつつも政府支出の拡大など思い切った対策を打てなかったわけですが、これらを踏まえると日本のようにバラマキで命脈を保たせる手段は限られるというか、生命維持できる期間はより短くなるのではと考えています。去年に中国政府はすでに国有銀行などへバラマキを行うことを表明していますが、恐らくこういった政策はもう何度も行うことはできないでしょう。

 そのうえで、中国は根本的な対策となる不良債権処理にはいまだ手を付けていません。もし2023年の段階で不良債権処理に手を付けていれば2026年くらいには景気の上向きを迎えられていたかもしれませんが今から手を付けるとしても最低3年はかかるでしょう。
 ちなみに日本の場合は小泉政権下の竹中財政では3年で半減という目標に対し、2年半で半減を実現しています。主導した竹中平蔵氏も相当根に持っていたのか、「野党は3年でできっこないと言ってたけどね(# ゚Д゚)」と話してますが。

 以上の要素を勘案し、2年後の2027年くらいにはバラマキに使える資力も失い、今以上に大きな不景気のインパクトが中国を襲うのではないかと予想しています。今回のトランプ政権の成立、対中関税発動によってその時期はより早まる可能性ももちろんありますが、それ以上に人民元の流動化政策によってもいろいろ混乱が起こる可能性もあるのではないかとも考えています。

 こうした予想から本音を言えば自分もそろそろ中国から引き上げたいという気持ちも既に抱いています。実際この2年間に自分の給与は一切変動がなく、かつては毎年のベースアップが当たり前だった時代はもう来ないともみており、変動があるとしても下がる一方だろうとかなり悲観的に予測しています。
 とはいえ今いる職場には恩義もあればやるべき仕事もあるため、実際にすべて放り投げてやめるようなことはさすがにできません。可能ならば自分の代わりに若い子を入れて業務が回るような体制をこしらえてから去りたいものですが、一体いつになることやら┐(´д`)┌ヤレヤレ

2025年2月8日土曜日

完全に逆転した日中のデパート人出

 前回記事で書きそびれましたが先週訪れた大阪梅田の阪急デパートですが、平日にもかかわらず大賑わいな人出で密かに驚いていました。ここに限らず大阪周辺ではドコモ人でごった返していて傍目にも景気が良く、万博準備の影響かもしれませんが東京以上に景気がいいように感じました。

 話は阪急デパートになりますが、ここに限らずこの1ヶ月デパートやショッピングモールなどの商業施設ではどこも人で溢れていて、密かに驚いていました。平日昼間でも喫茶店では主婦層らしき女性らによって満席でなかなか座れず、販売店の方でも多くの人で賑わい、一体何故これほど客が来ているのに日本人は好景気だといわないのかが余計不思議に感じました。
 それと同時に十年前と完全に逆転したというか、日中で商業施設、特にデパートの人の入りようが現在また正反対になっているということも痛感しました。具体的には、現在中国のデパートではあまりにも客が来ず、閑古鳥が鳴いて閉鎖するところも少なくありません。

 十年前であればこの状況は逆で、日本はまだ中国人の爆買いブームが起こる前でどこのデパートも売上の落ち込みが続いており、「消えゆく業界」などと語られていました。反対に中国は経済成長を追い風にデパート、ショッピングモールともにどこも大賑わいで、私も十年前に日本のデパートを訪れた際はこんなにも人がいないものかと中国とのギャップに驚いていました。

 しかし現在はその状況は完全に逆転しています。外国人観光客も多いとはいえ前述の阪急デパートでは日本人客も少なくない、というより大半を占めており、下手な観光地よりは中国語などの外国語はあまり耳にしませんでした。
 ちなみにその前々日に訪れた奈良で利用したタクシーの運転手は、「今日の奈良公園は絶対日本人より外国人のが多かった」と話していました。

 話を戻すと、以上のように活況を呈す日本と違って中国では、比較的建設から日が浅いショッピングモールはまだ別ながら、古くなったショッピングモールやデパートではマジで人が来なくなり、テナントが入らず空いたスペースがあちこちにあって目立ち続けています。こうした状況は中国の近年における不景気も大きいでしょうが、それ以上に要因としてでかいように思うものとして、異常に発達してしまったネット通販ことECショッピングの影響があると睨んでいます。

 日本でもECはもはや一般的で、二十年前と比べるなら利用したことない人はもはやほとんどいないといっても過言ではありません。しかし中国では日本以上にECが発達しており、送料も消費者負担はほぼゼロという手軽さもあり、マッチ一本買うのにもネットを使って自分でお店に買いに行かないという人も珍しくありません。
 ちなみに私がネットで買うのはUSBハブなどPC周辺機器が一番多いです。日本だと2000円以上はするUSBハブが中国だと500円くらいで気軽に買えるのと、あんまり場所取らず収集できることから同じ機能の周辺機器を何故かやたらと買い込んでいます。

 また話を戻すと、何となくこの以上に発達したEC社会によって、中国の実体小売はもはや成り立たないくらいにまで苦境に追いやられているのではないかというように見えます。商品だけでなく食材や調理済み料理まで中国はスマホ一本で注文でき、お店へ行って買い物するという人がマジで日本と比べると少ないです。それこそ、いろんなお店を回って商品を吟味するような人となるとレアキャラとなってくるでしょう。

 日本のデパートが現在のように今後も活況を呈するかはまだわかりませんが、中国に関しては今後もずっとデパートには人が戻ってこないような気すらします。そう考えると、中国政府は個人消費を促すため現在あれこれと手を打っていますが、それらの政策はECの異常発達によってあまり奏功しない可能性があります。それ以前に、個人消費がネットに集中し過ぎて外出→電車→商品購入→外食などといった外出によって連鎖的に生まれる消費も発生しづらくなっているかもしれません。まぁ昔の日本もデパートに人いなかったんだから、あまり人のこと言えませんが。

2025年2月6日木曜日

統計情報を報じようとしない日系メディア

名目賃金は28年ぶり高水準、所得環境の改善続き日銀正常化を後押し(ブルームバーグ)

 昨日何気なく、中国の検索エンジンの百度で「日本」というワードでニュース検索したところ出てきたのが、上の記事でした。記事内容を引用すると、2024年12月単月の名目賃金上昇率は1997年以来28年ぶりとなる4.8%増という高水準を記録したとのことで、市場予想(3.8%)を上回っただけでなく、実質上昇率も0.6%増を記録し、着実にデフレから脱却しつつある傾向が報告されています。ただこれはブルームバーグの記事であり、日系メディアはほとんど報じていません。
 近い報道としては、下の読売の記事だと思います。もっともこっちは年率データに重きを置いているけど。ちなみに賃金上昇率に関しては、年単位の前年比データより月単位の前年同月比データの方が重要であることは常識だと、私は思うのですが……。


 この賃金上昇率のデータは少なくとも、テレビメディアでは全く取り上げられていなかったような気がします。寒波のニュースがトップに来るのはまだわかりますが、それでも二番目くらいにこの賃金データも取り上げられるべき重要度だと私は思うし、中国では実際それくらいの扱いなのですが、何故だか日本では取り上げられません。
 もっともこれに限らず、統計に関するニュースは何故だかほとんど日本では報じられません。冒頭に書いているように私は今回のニュースを中国の報道で初めて目にしており、なぜこんな重要な情報を日系メディアが大きく報じようとしないのか、いろいろ暗澹たる気持ちにさせられます。


 ただ統計データの中でも、上のリンク記事のように倒産件数だけはほぼ毎月目にします。上の記事のようにこの半年くらいの倒産件数は毎月「大幅増」という見出しとともに報じられているのですが、私は逆に何故このデータしか報じないのかといつも疑問に思っています。
 それは何故かというと、企業の倒産件数は増えているのに失業者は減っているからです。


 上は統計局の雇用・失業率データですが、このところ失業率は右肩下がりに減っており、2024年12月も前月比0.1ポイント減の2.4%と好調な数字を見せています。
 当然ながら企業が倒産すれば一人社長企業を除き失業者が発生します。なので企業倒産件数が増えていれば失業者が世にあふれるはずなのにさにあらず、是は如何にという話になってくるのですが、私が見る限り日系メディアでこの両データを組み合わせて言及している人はまだ見たことがありません。

 結論から言えば、「倒産によって発生する失業者数<既存企業の新規採用数」という構図が今の状況です。言うまでもなくこれは好景気であることを示すサイクルで、効率の悪い企業が市場から淘汰され、より効率のいい企業へ労働者が移っているともいえるかと思います。このサイクルが続けば経済的にも非常にプラスであるだけに、倒産件数が増えているということは別に何の懸念でもないでしょう。

 しかし倒産件数のニュースはほぼ毎月見るものの、失業率というか雇用統計については自分がこうして統計局行かないと見ることができませんでした。以前からも同じようなことを話していますが、何故日本のメディアはこれほどまでに重要な経済統計をあまり報じようとしないのか、また複数のデータを組み合わせて分析しようとしないのか、10年前から何も変わっていません。
 経済というのは市井の声も大事ですがそれ以上に統計の方が先を見るうえでもっと重要です。にもかかわらず適当な街角の反応で「物価が高くて辛い」などと念仏のようなインタビューばかり報じ続け、今回私が日本にいる間に「日本は今好景気だ」と言っている人は誰もおらず、私一人でさながら狂人のごとく唱え続けるばかりでした。先の失業率のデータを前にして、何故日本が今好景気だと誰も言わないのかと話しててこっちが気が狂いそうです。

 愚痴っていてもしょうがないですが、もう少し日本人は科学的、客観的に世の中を見るというか考える人間が増えてほしいです。印象論だけで議論しても意味なぞないのだし。