・独VW、米排気ガス検査での不正認める-制裁金は2.1兆円超か(ブルームバーグ)
最近ちょっと気になったニュースが上の記事なのですが、もう読んでいる人には早いですがドイツのVWが新車として売り出すディーゼルエンジン車の排ガス試験の際、実際に販売にする車両より極端に排気ガスが出ない車を米国の検査に出し、そのまま空気清浄化能力を過大に偽りながら販売し続けたことがばれたそうです。実際の販売車両の排気ガスの量は基準の10~40倍に達するそうで、VWさんもまたまたやるわねぇなんて何故か女言葉で皮肉を言いたくなるニュースでした。
ただ米当局はこの事態を重く見ており、実際排気ガスの基準を大きく上回る車がカタログスペックを偽って大量に販売されていたわけなのですから、環境に悪影響を与えたとして2兆円を超す罰金をVWに課すとのことです。VW自身も事実を認めているようですが、私がこのニュースを見て改めて思った内容として、クリーンディーゼルにおいてはマツダがもう世界トップなんじゃないのかという考えでした。
ディーゼルエンジン車は石原慎太郎氏が都知事時代に黒い煤を振りまくパフォーマンスをしてから日本では環境の敵として長らく否定的な目で見続けられましたが、その間欧州では技術革新が進み、ハイブリッド車以上に環境にいい車だとして登録車両の約半数を占めるほどの人気を得るに至りました。その一方で日本ではハイブリッド車が主役となって普及し続けましたが、この流れに一石を投じたのがマツダで、誇張抜きで非常に画期的で環境への影響も小さい自社開発のクリーンディーゼルエンジンを搭載したCX-5を発売し、日本でクリーンディーゼル車市場を本当に1社単独で作り上げるに至りました。
一応、東京都が以前に出したクリーンディーゼル車の基準に対して三菱と日産がそれぞれ1台ずつ合格となる車両を作りましたが正直言ってスペシャリティカー的な車両で、価格も高かったことから普及するどころかほとんど話題にも上らずに埋もれていってしまいました。それに対しマツダのCX-5はその年のカーオブザイヤーをゲットしただけでなく一定の人気を得て、その後に続いたアテンザやCX-3などにも同じクリーンディーゼルエンジンを積んで着実にこの方面の市場を拡大し続けています。
・クリーンディーゼル、補助半減=環境車支援、16年度から圧縮―経産省(時事通信)
マツダがディーゼルエンジン車市場で無双を続ける中、突然出てきたのが上記のニュースでした。見出しそのままの内容ですが、クリーンディーゼル車がそこそこ普及もしてきたうえに価格も落ち着いてきたので補助金を見直すと政府が発表したわけですが、政府の言い分も全く分からないわけではないものの、折角市場として盛り上がってきているのからもう少し応援してあげた方が良いのではという気がしてなりません。
特に同じ環境対応車であるハイブリッド車に対しては長年、大量の補助金が配られています。もちろんトヨタのハイブリッド技術はそれだけ応援されるほど価値がある素晴らしいものであると私も認めますが、トヨタは円安であろうが円高であろうが下請けにたゆまぬコストダウンを要求し続けた甲斐あって営業利益が2兆円を超すほど体力のある企業で、応援するとしたらやっぱり後を追ってて企業体力のないマツダの方が理に適っているように思えます。
さらにこうした考えに拍車をかけたのが最初のニュースです。これまでクリーンディーゼルエンジンの技術といったらVWが世界一と言われておりましたが、このニュースを見ているとというかこんな不正をする辺り、案外それほど大した技術でもなかったりするのではという疑念がもたげます。となると世界一はどこか、いろいろ話を聞く限りだと真面目にマツダのような気がして、この不正事件をてこに猛プッシュをかければこのディーゼルエンジン車市場でマツダのシェアを一気に増やせるチャンスではないかという期待がもたげてきたわけです。
最後に結論をまとめると、国の言い分ももっともだと思うものの、状況は明らかに変わりつつあるので出来ることならマツダを応援してやってほしいというのが私個人の意見です。そんなにマツダは好きな会社というわけではないですが、今この時代にあって応援する価値があるとしたら私はこの会社を自動車企業の中で挙げます。
おまけ
環境対応車としては先日トヨタが発売した燃料電池車(FCV)のミライもありますが、燃料電池車はやっぱりコストがどうしても大きくなる傾向があり、将来的に年間で何十万台も生産・販売できるかとなると正直疑問で、結局は環境にはいいスペシャリティカーで終わってしまうのかという気がします。敢えて例えるなら極端に切れ味のいい刀一本と、そこそこの切れ味の刀千本のどっちを選ぶかのような価値観で環境対応車というものは考える必要があるでしょう。
ここは日々のニュースや事件に対して、解説なり私の意見を紹介するブログです。主に扱うのは政治ニュースや社会問題などで、私の意見に対して思うことがあれば、コメント欄にそれを残していただければ幸いです。
2015年9月21日月曜日
2015年9月19日土曜日
塩爺の逝去
今日は今朝から西口選手や森本選手など一時代を築いたプロ野球選手の引退報道が次々と出たかと思えば胃癌を発症したと報じられていたフリーアナウンサーの黒木奈々氏が32際の若さで逝去するなど、聞いてて物悲しくなるニュースが驚くほど連続で出てきましたが、最後に出てきたこのニュースが一番驚かされました。
・「塩爺」塩川正十郎氏死去 小泉内閣で財務相 93歳(産経新聞)
上記リンク先の記事にある通り、元代議士で閣僚経験もあった塩川正十郎氏が本日逝去されたそうです。塩川氏とくると見出しにも書かれている通りに小泉内閣で当時としても高齢であったにもかかわらず財務大臣に就任し、好々爺然とした答弁と閣内最年長という立場から当時の小泉政権にあって記事にも書かれている通りに後見役のような仕事を行っておりました。実際の経済政策に関しては経済産業大臣(当時)の竹中平蔵氏が切り盛りして塩川氏は立案や運営にはほとんど関わっていなかったと言われておりましたが、記者への答弁やコメントはコテコテの関西弁で答えるなどユーモアに溢れ、小泉内閣初期の政権維持においては重要な役割を果たしていたと私は考えております。
ただ塩爺の活躍というのであれば、政治家であった頃よりも政治家を引退した後、テレビなどのコメンテーターとして活動していた頃の方が華々しかったというような気もします。テレビ番組でも現職時代と変わらぬなにをか恐れんと言わんばかりの発言ばかりで、テレビコードに引っかかる「この顔は気違いのもんですな」などきわどい言葉を連発していたほか、長い政治家経験に裏打ちされた確かな知識も披露されてて私も関西にいた頃はテレビを見ていてよく楽しまされました。
大体00年代中盤はこの塩爺のように、政治評論家であった三宅久幸やハマコーなど政治に対して「ご意見番」的な人物が数多くのテレビ番組に出演して聞いててこちらも唸らされるような意見をよく聞かせてくれましたが、日本にいなくてテレビ番組も全く見てないでいうのもなんですが、このところはそういったご意見番がいないというか、コメンテーターの質がちょっと落ちてるのではと思う節があります。それだけ彼らが抜きんでたと言えばそれまでですが、ハマコーに至っては殺しても死なないような人物だっただけに逝去から何年も経った今でもまだどっか生きてるような気すらする辺り、強烈なキャラクターだったなと思い起こします。
今回、塩爺が逝去されたことでまた一人立派なコメンテーターがいなくなることとなるわけですが、単純に言って寂しさを感じると共にどうして次の人材が出てこないんだという不可思議さも覚えます。もうこの辺りのポジションの人間となると堺屋太一氏くらいしか浮かんできませんが、もっと若い世代で聞いてて参考になるような政治コメンテーター、コラムニストよ出てこいとこの場を使って一応主張しておきます。
最後となりますが、塩川氏に対し改めてご冥福をお祈りします。
・「塩爺」塩川正十郎氏死去 小泉内閣で財務相 93歳(産経新聞)
上記リンク先の記事にある通り、元代議士で閣僚経験もあった塩川正十郎氏が本日逝去されたそうです。塩川氏とくると見出しにも書かれている通りに小泉内閣で当時としても高齢であったにもかかわらず財務大臣に就任し、好々爺然とした答弁と閣内最年長という立場から当時の小泉政権にあって記事にも書かれている通りに後見役のような仕事を行っておりました。実際の経済政策に関しては経済産業大臣(当時)の竹中平蔵氏が切り盛りして塩川氏は立案や運営にはほとんど関わっていなかったと言われておりましたが、記者への答弁やコメントはコテコテの関西弁で答えるなどユーモアに溢れ、小泉内閣初期の政権維持においては重要な役割を果たしていたと私は考えております。
ただ塩爺の活躍というのであれば、政治家であった頃よりも政治家を引退した後、テレビなどのコメンテーターとして活動していた頃の方が華々しかったというような気もします。テレビ番組でも現職時代と変わらぬなにをか恐れんと言わんばかりの発言ばかりで、テレビコードに引っかかる「この顔は気違いのもんですな」などきわどい言葉を連発していたほか、長い政治家経験に裏打ちされた確かな知識も披露されてて私も関西にいた頃はテレビを見ていてよく楽しまされました。
大体00年代中盤はこの塩爺のように、政治評論家であった三宅久幸やハマコーなど政治に対して「ご意見番」的な人物が数多くのテレビ番組に出演して聞いててこちらも唸らされるような意見をよく聞かせてくれましたが、日本にいなくてテレビ番組も全く見てないでいうのもなんですが、このところはそういったご意見番がいないというか、コメンテーターの質がちょっと落ちてるのではと思う節があります。それだけ彼らが抜きんでたと言えばそれまでですが、ハマコーに至っては殺しても死なないような人物だっただけに逝去から何年も経った今でもまだどっか生きてるような気すらする辺り、強烈なキャラクターだったなと思い起こします。
今回、塩爺が逝去されたことでまた一人立派なコメンテーターがいなくなることとなるわけですが、単純に言って寂しさを感じると共にどうして次の人材が出てこないんだという不可思議さも覚えます。もうこの辺りのポジションの人間となると堺屋太一氏くらいしか浮かんできませんが、もっと若い世代で聞いてて参考になるような政治コメンテーター、コラムニストよ出てこいとこの場を使って一応主張しておきます。
最後となりますが、塩川氏に対し改めてご冥福をお祈りします。
2015年9月18日金曜日
減りゆくアメリカの仇敵
昨夜、私の冷凍たこ焼き好きの友人がキューバへ発ちました。何も亡命しに行ったわけでなくタダの旅行ですが、米国との国交回復が噂されているだけに今のうちに行っておきたいと思って計画したそうです。
キューバといえばチャベス大統領時代のベネズエラと共にアメリカの裏庭にありながら米国と対立していた代表的な国で、世界史にも記録されるケネディ政権時のキューバ危機を代表に米国の仇敵として長らくその存在を維持してきました。しかし近年は、米国の経済封鎖による影響もありますが、国内経済が一向に好転しないことと社会主義政策の行き詰まりから米国との対話にも応じるようになり、特に穏健的な外交を展開してきたオバマ政権が成立して以降はその動きが加速して現時点でも先ほど述べたように国交回復が近いのではと噂されるほどです。
ちなみに国交回復が展望された影響でプロ野球選手のグリエル兄弟はベイスターズに来なくなったとされ、日本にも案外余波が来てたりします。
このキューバと共に長年米国の仇敵として存在した国を挙げるとすれば、イランの名前は間違いなく外せないでしょう。二次大戦以降のイランの歴史はまさに米国の暗部の歴史のようなものですが、そうした背景から米国、イラン共に互いを激しく罵り合ってアフマディネジャド政権時に至っては文字通り一触即発の関係にもなりました。ただ現職のロウハニ大統領になってからは大統領本人が外交政策で穏健派であることから米国との関係も急速に改善していったことによってイランへの経済制裁は近く解除される方針となっております。
キューバとイラン、この米国の仇敵二ヶ国が米国との関係で大幅な改善をしつつあることを考えると現在の世界情勢は米国にとって有利な方向に進んできているように見えます。一体何故このような情勢となったのかという理由については先ほども述べた通りに穏健外交、というより対外派兵に消極的な民主党オバマ大政権が前任の共和党ブッシュ政権時と比べて対話の方に力を入れたことが何よりも大きいかと思われます。仮にこのままキューバとイランとの関係改善が進むようであればイデオロギー上の主要な対立国は消え去ることとなり、恐らくオバマ政権もそれを望んでいるでしょう。
ではこのまま世界は平和になっていくのかというと、そうは言いきれないのが現状です。何故なら現在のオバマ政権は海外派兵に対して消極的であると書きましたが、この影響を受けて米軍が撤退し始めたイランでは反政権派が盛り返し、ご存知の通りISISも跋扈する事態となっております。また同じ中東ではシリアでの内戦が一向に終わる気配を見せず、ようやく日本でも報じられるようになりましたが東欧を中心に難民が大量に発生しており国際社会への大きな課題となっております。
米軍が派兵されればこうした紛争はなくなるかといえばそうでもありませんが、かといってこのまま放っておいてもシリアの内戦が終わりを見せるのかというとそれもまた疑問です。一度は政府軍と反政府軍で和解の仲介が行われましたが物別れに終わり、しかも最近は反政府軍の一部がISISに乗っ取られてシリア政府軍、果てには一部の中東諸国が一緒になってISISへ空爆を行うなど混迷を深めております。
ただこのような混乱極まる中東情勢は、こと米国の世界戦略にとってはかえってプラスかもしれません。というのも米国が敵視するイスラム原理主義組織のアルカイダはISISと対立しており、米国から見たらシリア政府軍を含め敵同士が争い合ってくれているようにみているかもしれません。もしそのような視点であれば米国は介入などせずむしろ対立を煽ろうとする、なんて戦略ではと個人的に推測を立てています。
ここで次に考えるポイントとしては、オバマ政権以降の米国の戦略です。次の大統領が誰になるのか、そもそも民主党が勝つのか共和党が勝つのかまだまだ分からない情勢ですが、歴史的には民主党が消極外交、共和党が積極外交を繰り返すことが多く、案外次の大統領になったらまたあちこちの紛争に介入し始めるんじゃないかなという妙な期待を持っています。
なおこの民主党、共和党のサイクルを考えるにつけちょっと頭に引っかかるのが民主党のビル・クリントン政権です。この時代はまさに米国の絶頂期でしたが民主党の政権らしく紛争介入などには全く以って消極的で、先日私がこのブログで取り上げたルワンダでの虐殺が起こった時も上がってくる現地からの報告を無視するかのようにほとんど相手にせず、結局虐殺が続くのを黙視することとなりました。その結果どうなったかというとルワンダで大量の難民が発生したわけですが、これが今のシリア難民と被って見えるところがあります。まぁアメリカさんなんでもかんでもどうにかしてくれって言うのもよくないんですがね、日本政府に期待するのは大本から間違ってるし。
キューバといえばチャベス大統領時代のベネズエラと共にアメリカの裏庭にありながら米国と対立していた代表的な国で、世界史にも記録されるケネディ政権時のキューバ危機を代表に米国の仇敵として長らくその存在を維持してきました。しかし近年は、米国の経済封鎖による影響もありますが、国内経済が一向に好転しないことと社会主義政策の行き詰まりから米国との対話にも応じるようになり、特に穏健的な外交を展開してきたオバマ政権が成立して以降はその動きが加速して現時点でも先ほど述べたように国交回復が近いのではと噂されるほどです。
ちなみに国交回復が展望された影響でプロ野球選手のグリエル兄弟はベイスターズに来なくなったとされ、日本にも案外余波が来てたりします。
このキューバと共に長年米国の仇敵として存在した国を挙げるとすれば、イランの名前は間違いなく外せないでしょう。二次大戦以降のイランの歴史はまさに米国の暗部の歴史のようなものですが、そうした背景から米国、イラン共に互いを激しく罵り合ってアフマディネジャド政権時に至っては文字通り一触即発の関係にもなりました。ただ現職のロウハニ大統領になってからは大統領本人が外交政策で穏健派であることから米国との関係も急速に改善していったことによってイランへの経済制裁は近く解除される方針となっております。
キューバとイラン、この米国の仇敵二ヶ国が米国との関係で大幅な改善をしつつあることを考えると現在の世界情勢は米国にとって有利な方向に進んできているように見えます。一体何故このような情勢となったのかという理由については先ほども述べた通りに穏健外交、というより対外派兵に消極的な民主党オバマ大政権が前任の共和党ブッシュ政権時と比べて対話の方に力を入れたことが何よりも大きいかと思われます。仮にこのままキューバとイランとの関係改善が進むようであればイデオロギー上の主要な対立国は消え去ることとなり、恐らくオバマ政権もそれを望んでいるでしょう。
ではこのまま世界は平和になっていくのかというと、そうは言いきれないのが現状です。何故なら現在のオバマ政権は海外派兵に対して消極的であると書きましたが、この影響を受けて米軍が撤退し始めたイランでは反政権派が盛り返し、ご存知の通りISISも跋扈する事態となっております。また同じ中東ではシリアでの内戦が一向に終わる気配を見せず、ようやく日本でも報じられるようになりましたが東欧を中心に難民が大量に発生しており国際社会への大きな課題となっております。
米軍が派兵されればこうした紛争はなくなるかといえばそうでもありませんが、かといってこのまま放っておいてもシリアの内戦が終わりを見せるのかというとそれもまた疑問です。一度は政府軍と反政府軍で和解の仲介が行われましたが物別れに終わり、しかも最近は反政府軍の一部がISISに乗っ取られてシリア政府軍、果てには一部の中東諸国が一緒になってISISへ空爆を行うなど混迷を深めております。
ただこのような混乱極まる中東情勢は、こと米国の世界戦略にとってはかえってプラスかもしれません。というのも米国が敵視するイスラム原理主義組織のアルカイダはISISと対立しており、米国から見たらシリア政府軍を含め敵同士が争い合ってくれているようにみているかもしれません。もしそのような視点であれば米国は介入などせずむしろ対立を煽ろうとする、なんて戦略ではと個人的に推測を立てています。
ここで次に考えるポイントとしては、オバマ政権以降の米国の戦略です。次の大統領が誰になるのか、そもそも民主党が勝つのか共和党が勝つのかまだまだ分からない情勢ですが、歴史的には民主党が消極外交、共和党が積極外交を繰り返すことが多く、案外次の大統領になったらまたあちこちの紛争に介入し始めるんじゃないかなという妙な期待を持っています。
なおこの民主党、共和党のサイクルを考えるにつけちょっと頭に引っかかるのが民主党のビル・クリントン政権です。この時代はまさに米国の絶頂期でしたが民主党の政権らしく紛争介入などには全く以って消極的で、先日私がこのブログで取り上げたルワンダでの虐殺が起こった時も上がってくる現地からの報告を無視するかのようにほとんど相手にせず、結局虐殺が続くのを黙視することとなりました。その結果どうなったかというとルワンダで大量の難民が発生したわけですが、これが今のシリア難民と被って見えるところがあります。まぁアメリカさんなんでもかんでもどうにかしてくれって言うのもよくないんですがね、日本政府に期待するのは大本から間違ってるし。
2015年9月17日木曜日
軽減税率の還付案について
今国会内では安保関連法案の採決で一番盛り上がっておりますが、曲がりなりにも選挙で決まった議席で採決しようとしているのだから籠城などの戦術で採決を遅らせようとするのはちょっとナンセンスかなと思え、安保法案については納得できない面も少なくないもののこのまま可決されるのもまた仕方ないと考えております。むしろ野党の様にわけのわからない行動を取るくらいならこの法案の不足している点や問題点を見つけ出して、修正なりを求めていく方が建設的でしょう。
なわけで安保関連についてはもうこれ以上語りたくないものあり今日は先日少し話題になって急にしぼんでしまった、大不評だった軽減税率の還付案について書いてみます。結論から言うと小一時間ほど「お前、頭おかしーんじゃねぇの?」って問い詰めたくなる内容でした。
この軽減税率の還付案について詳細を知りたい方はニュース記事などを読んでもらいたいのですが私の方から簡単に説明すると、消費税率を2017年度に10%へ引き上げるのに合わせ、食料品など生活必需品の購入に関しては消費者の負担を下げるべく現在の税率を据え置く軽減税率を導入しようと以前から議論されていました。しかし食料品だけ消費税を増税後の10%ではなくたとえば現行の8%に据え置こうものなら処理はどうするのか、普通に考えたってスーパーのレジで大混乱が起こりそうな気配がプンプンです。そこで財務省が先日提示してきた案とは、一旦消費税10%を支払った後で差引き2%分を還付するという案でした。
この還付方式自体は問題なく、他国でも税金還付の方式として採用しております。しかし問題なのはその還付する手段で、これから日本国民に発行する予定のマイナンバーを使い、その情報を含んだマイカードを使って認証するというやり方を財務省は提示してきました。しかも還付額は一人当たりの年間上限が4000円とされ、発表するや否や各方面から激しい批判が出てきました。
この還付手段のどこが問題なのかというとたくさんありすぎて説明する方も大変なのですが、まず最初に言えるのは認証に使うマイナンバーがまだ発行されてないことはおろか利用実績もな意ということです。普及も何もそもそもまだ存在していないツールを頼りに政策を運用しようだなんていくら何でも突飛過ぎる話で、また本当にマイナンバーを使う場合、すべての小売店にカードを認証する装置を導入する必要が出てきますがその費用はどこから、誰が負担するのか。さらには認証に当たって不具合は起きないのか、個人情報の塊であるマイナンバーから情報は流出しないのか、もうどこから突っ込めばいいのかわからなくなるほど現実を無視した絵空事としか思えない構想だったでしょう。
こうしたマイナンバー関連のみならず、還付額が年間上限でたったの4000円だったということも大きく批判されました。批判する声の中には、たったの4000円しか還付されないのであれば面倒な手続きをやりたくないとか、還付金の上限を越えるほど食品を買っても一切還元されない、この制度を維持するのにシステム面などでどれくらいのコストがかかるのかなど、至極もっともな意見が取り交わされておりました。実際私であっても、年に一回4000円返してもらうために役所に通うのなんて馬鹿馬鹿敷く思います。
結局、こうした世論、そして与党内部からも批判が続出したことから財務省はこの還付案について一旦はひっこめると発表しました。しかし財務省の魂胆としては、余所でも言われている通りにこの還付案と抱き合わせでマイナンバー、そしてそれに付随するマイカードを普及させて天下り団体を作ることにあると思われ、多分まだあきらめてはいないと思います。逆に言えば、この制度自体があらゆる点において無駄であることを知っておきながら強引に推し進めようとしていたのが実態でしょう。
ただそれにしたっていくらなんでもこの制度設計は杜撰の一言に尽き、もっとまともな案を出せなかったのか、政府も出す前に「これはやばい」と止めるだけの正常な判断力を麻生財務相を筆頭に持っていなかったのかと、はっきり言えば神経を疑います。麻生財務相に至ってはこの制度の何がおかしいと言わんばかりでしたが、まぁ期待するだけなぁ……。
最後に少しだけ真面目な話すると、こんな杜撰な内容で政策が出てくること自体が日本の行政の能力低下を表しているのではないかと本気で心配になってきます。手っ取り早いのはこの制度を立案した人間を即刻更迭することですが、そうはならないのが官僚の世界なんでしょうか。
なわけで安保関連についてはもうこれ以上語りたくないものあり今日は先日少し話題になって急にしぼんでしまった、大不評だった軽減税率の還付案について書いてみます。結論から言うと小一時間ほど「お前、頭おかしーんじゃねぇの?」って問い詰めたくなる内容でした。
この軽減税率の還付案について詳細を知りたい方はニュース記事などを読んでもらいたいのですが私の方から簡単に説明すると、消費税率を2017年度に10%へ引き上げるのに合わせ、食料品など生活必需品の購入に関しては消費者の負担を下げるべく現在の税率を据え置く軽減税率を導入しようと以前から議論されていました。しかし食料品だけ消費税を増税後の10%ではなくたとえば現行の8%に据え置こうものなら処理はどうするのか、普通に考えたってスーパーのレジで大混乱が起こりそうな気配がプンプンです。そこで財務省が先日提示してきた案とは、一旦消費税10%を支払った後で差引き2%分を還付するという案でした。
この還付方式自体は問題なく、他国でも税金還付の方式として採用しております。しかし問題なのはその還付する手段で、これから日本国民に発行する予定のマイナンバーを使い、その情報を含んだマイカードを使って認証するというやり方を財務省は提示してきました。しかも還付額は一人当たりの年間上限が4000円とされ、発表するや否や各方面から激しい批判が出てきました。
この還付手段のどこが問題なのかというとたくさんありすぎて説明する方も大変なのですが、まず最初に言えるのは認証に使うマイナンバーがまだ発行されてないことはおろか利用実績もな意ということです。普及も何もそもそもまだ存在していないツールを頼りに政策を運用しようだなんていくら何でも突飛過ぎる話で、また本当にマイナンバーを使う場合、すべての小売店にカードを認証する装置を導入する必要が出てきますがその費用はどこから、誰が負担するのか。さらには認証に当たって不具合は起きないのか、個人情報の塊であるマイナンバーから情報は流出しないのか、もうどこから突っ込めばいいのかわからなくなるほど現実を無視した絵空事としか思えない構想だったでしょう。
こうしたマイナンバー関連のみならず、還付額が年間上限でたったの4000円だったということも大きく批判されました。批判する声の中には、たったの4000円しか還付されないのであれば面倒な手続きをやりたくないとか、還付金の上限を越えるほど食品を買っても一切還元されない、この制度を維持するのにシステム面などでどれくらいのコストがかかるのかなど、至極もっともな意見が取り交わされておりました。実際私であっても、年に一回4000円返してもらうために役所に通うのなんて馬鹿馬鹿敷く思います。
結局、こうした世論、そして与党内部からも批判が続出したことから財務省はこの還付案について一旦はひっこめると発表しました。しかし財務省の魂胆としては、余所でも言われている通りにこの還付案と抱き合わせでマイナンバー、そしてそれに付随するマイカードを普及させて天下り団体を作ることにあると思われ、多分まだあきらめてはいないと思います。逆に言えば、この制度自体があらゆる点において無駄であることを知っておきながら強引に推し進めようとしていたのが実態でしょう。
ただそれにしたっていくらなんでもこの制度設計は杜撰の一言に尽き、もっとまともな案を出せなかったのか、政府も出す前に「これはやばい」と止めるだけの正常な判断力を麻生財務相を筆頭に持っていなかったのかと、はっきり言えば神経を疑います。麻生財務相に至ってはこの制度の何がおかしいと言わんばかりでしたが、まぁ期待するだけなぁ……。
最後に少しだけ真面目な話すると、こんな杜撰な内容で政策が出てくること自体が日本の行政の能力低下を表しているのではないかと本気で心配になってきます。手っ取り早いのはこの制度を立案した人間を即刻更迭することですが、そうはならないのが官僚の世界なんでしょうか。
2015年9月16日水曜日
千葉のマッドドッグ~紀州犬射殺事件
最初は記事にするつもりなんてさらさらなかったけど、例の松戸市の紀州犬の話題がやたらと長く報じられているのと、マッドシティこと松戸の話題なので取り上げます。
ニュース概要を簡単に説明すると、千葉県松戸市の路上で人に噛みついている大型の犬がいたことから警察は飼い主の了解を得て射殺しました。その際に警察は拳銃を13発も撃っており、いくら何でも犬に対してこれほど発砲する必要があったのか、流れ弾が人に当たったりしたらどうなっていたのかなどと批判が集まった上、そもそも犬を射殺する必要があったのかなどという声もあって大きな話題となっております。
射殺されたのは体長1メートル超の紀州犬だったそうですが、今回の事件以前からもこの犬に噛みつかれるといった被害が出ていた一方、一部報道によるとやや劣悪な環境で飼われていたともされ、何発もの銃弾で射殺されたことといい同情論も少なくありません。
まず射殺の是非について個人的な意見を述べると、やっぱりやりすぎだったのではないかと私は思います。さすがにライオンや豹など確実に人間を殺害してきたり(松島トモ子)するような猛獣であれば射殺もやむを得ませんが、大型犬とはいえ軍用犬みたいに訓練されているわけではなかったようですし、暴れて人間の指とか耳をもぎ取るほどの脅威かといえばそこまではいかないでしょう。しかもそれほど脅威のない動物に対して住宅街で流れ弾の恐れがある発砲を13発も撃つだなんてちょっと大袈裟だと思え、飼い主を含めた複数人で取り押さえるとか周囲に逃げ出さないようにするだけでもよかったのではないかという気がします。現場にいなかったのでやや無責任な言い方な気もしますが、夜中にパンパン発砲する方が危ないように思えますし。
千葉県警は今回の発砲は適切だったと話していますが、折角だからメディアはほかの都道府県の警察とか警察OBに意見を聞くべきでしょう。
あとこの事件をより大きく注目させている要素として、この事件が起きたのが私も連載記事で紹介しているマッドシティこと松戸市である点も見逃せません。ネットの声を見ていると「これだからマッドシティは」、「なんでここ全国で報じられるような事件が多発してるんだよ」などともはやすっかり「危険な都市、松戸」と認識されている模様です。
私自身は一連のマッドシティ記事でも書いているように日本の潜伏拠点がたまたま松戸にありますがそこまで愛着があるかといったらそれほどでもなく、ただ幼少時より関わりのある街だからやけに昔の名残とかそういうのは確かによく覚えている方です。一応フォローを入れておくと普段住んでてそれほどバイオレンスな雰囲気を感じる街ではなく、私個人の感覚で申せばインドのニューデリーや京都府京田辺市に比べれば怖くもなんともない平穏この上なき所です。もっとも友人に言わせれば、「君自身が危険人物だからそう思うんだろ」って言われそうですが。
最後にマッドシティでの犬絡みの思い出を一つ語ると、確か去年の四月頃に夜中自転車で走ってたらどっかの家の犬が庭先から私に向かって吠えてきたのですが、ちょうどその時めちゃくちゃイライラしていたので、「うるせぇっ!」って町内中に響き渡るくらいでかい声で犬に怒鳴り返したことがあります。犬自体は吠えるのをやめませんでしたが私の前を自転車で走ってたおっさんがやけにビビッてて、すぐ次の曲がり角を急ぐようにして曲がって去っていったのですが、その後私がしばらく走った先にある信号で待っていたらそのおじさんと再び合流してしまい、おっさんはなんかそわそわした感じで私の方を向こうともしませんでした。
こういうことをしでかす辺り、犬より危険というか鬱陶しいな自分って思えてきます。
ニュース概要を簡単に説明すると、千葉県松戸市の路上で人に噛みついている大型の犬がいたことから警察は飼い主の了解を得て射殺しました。その際に警察は拳銃を13発も撃っており、いくら何でも犬に対してこれほど発砲する必要があったのか、流れ弾が人に当たったりしたらどうなっていたのかなどと批判が集まった上、そもそも犬を射殺する必要があったのかなどという声もあって大きな話題となっております。
射殺されたのは体長1メートル超の紀州犬だったそうですが、今回の事件以前からもこの犬に噛みつかれるといった被害が出ていた一方、一部報道によるとやや劣悪な環境で飼われていたともされ、何発もの銃弾で射殺されたことといい同情論も少なくありません。
まず射殺の是非について個人的な意見を述べると、やっぱりやりすぎだったのではないかと私は思います。さすがにライオンや豹など確実に人間を殺害してきたり(松島トモ子)するような猛獣であれば射殺もやむを得ませんが、大型犬とはいえ軍用犬みたいに訓練されているわけではなかったようですし、暴れて人間の指とか耳をもぎ取るほどの脅威かといえばそこまではいかないでしょう。しかもそれほど脅威のない動物に対して住宅街で流れ弾の恐れがある発砲を13発も撃つだなんてちょっと大袈裟だと思え、飼い主を含めた複数人で取り押さえるとか周囲に逃げ出さないようにするだけでもよかったのではないかという気がします。現場にいなかったのでやや無責任な言い方な気もしますが、夜中にパンパン発砲する方が危ないように思えますし。
千葉県警は今回の発砲は適切だったと話していますが、折角だからメディアはほかの都道府県の警察とか警察OBに意見を聞くべきでしょう。
あとこの事件をより大きく注目させている要素として、この事件が起きたのが私も連載記事で紹介しているマッドシティこと松戸市である点も見逃せません。ネットの声を見ていると「これだからマッドシティは」、「なんでここ全国で報じられるような事件が多発してるんだよ」などともはやすっかり「危険な都市、松戸」と認識されている模様です。
私自身は一連のマッドシティ記事でも書いているように日本の潜伏拠点がたまたま松戸にありますがそこまで愛着があるかといったらそれほどでもなく、ただ幼少時より関わりのある街だからやけに昔の名残とかそういうのは確かによく覚えている方です。一応フォローを入れておくと普段住んでてそれほどバイオレンスな雰囲気を感じる街ではなく、私個人の感覚で申せばインドのニューデリーや京都府京田辺市に比べれば怖くもなんともない平穏この上なき所です。もっとも友人に言わせれば、「君自身が危険人物だからそう思うんだろ」って言われそうですが。
最後にマッドシティでの犬絡みの思い出を一つ語ると、確か去年の四月頃に夜中自転車で走ってたらどっかの家の犬が庭先から私に向かって吠えてきたのですが、ちょうどその時めちゃくちゃイライラしていたので、「うるせぇっ!」って町内中に響き渡るくらいでかい声で犬に怒鳴り返したことがあります。犬自体は吠えるのをやめませんでしたが私の前を自転車で走ってたおっさんがやけにビビッてて、すぐ次の曲がり角を急ぐようにして曲がって去っていったのですが、その後私がしばらく走った先にある信号で待っていたらそのおじさんと再び合流してしまい、おっさんはなんかそわそわした感じで私の方を向こうともしませんでした。
こういうことをしでかす辺り、犬より危険というか鬱陶しいな自分って思えてきます。
監視カメラと治安
・JR連続不審火 42歳男を威力業務妨害容疑で逮捕 品川変電所被害に関与 一連の不審火との関連捜査(産経新聞)
このところ話題になっていたJR線への放火事件についてどうやら容疑者が捕まったようです。交通インフラへの放火事件とあって内心けしからんと思っていただけに、まだ確定ではないものの容疑者が捕まってよかったと心の底から思います。
ただそれにしてもこんな事件でも容疑者を捕まえられるとは、警察の捜査もなかなか捨てたものではありません。犯行はどれも夜中に行われていたようで、しかも犯人は変装をしていたとのことですが、周辺の監視カメラなどの情報を元にこうやって特定するところまできたそうです。
ここで話は中国に変わりますが、会社の同僚によると何でも北京での強盗や殺人といった事件の検挙率は99%超に及ぶそうです。こうした重大犯罪を犯した場合はよっぽどのことがない限りは検挙されるそうですが、これほどの高い検挙率の裏にあるのは先ほど出てきた監視カメラの存在が大きいようで、実際中国の大都市で歩きながら観察していると確かに監視カメラがあちこちについているなという気がします。
何気に上海人である友人の父親は監視カメラを作る会社で働いていたそうなのですが、どうも話を聞いていると国有企業だったそうで、このことを前の会社の同僚に話したら、「中国は監視社会なだけあって監視カメラも国が自分達で作るんだね」と指摘され、妙に納得したことがありました。
ただ中国が監視社会であることは置いておいても、こと治安に関しては監視カメラが多い方が良いに決まっています。日本では私の見る限りだとまだ監視カメラに抵抗を持っている人が多く、曰くプライベートが覗かれそうだとか見られたくないところを見られるとかありますが、私に言わせれば「見られて恥ずかしいようなことをする方が悪い」ように思え、こうした声は参考に値するのかというと疑問です。
さすがにトイレの中とか銭湯の脱衣所にまで仕掛けたりするのはやりすぎだと思いますが、人通りの少ない通りや、ひったくりなどの軽犯罪が多発している現場などには今よりももっと多く置いた方が示威効果も期待できるだけに価値がある気がします。あと極端な話、電車の車内にも置くことで痴漢犯罪、痴漢冤罪、暴力行為なども抑止できたりするのではとも思えます。
最後に、監視社会についてもう少し述べておくと、見られること自体は何の束縛でもありません。真の束縛とは発言を許さない言論統制のような行為で、何かの発言を門に処罰されたり拘束されたりすることがあって初めて監視社会だというような気がします。その点で言えば日本は天皇に関する危険な発言以外は何でも許されるだけに、別に監視カメラを置いたとしてもそれほど問題ではない気がします。
逆に中国はですが、この前リアルに取引先の中国人に、「中国にはもちろんありますが、でも日本にも多少は言論統制ってあるでしょ?」って言われ、やっぱこっちの人は言論統制があること自体が自然なんだなと再認識させられました。
このところ話題になっていたJR線への放火事件についてどうやら容疑者が捕まったようです。交通インフラへの放火事件とあって内心けしからんと思っていただけに、まだ確定ではないものの容疑者が捕まってよかったと心の底から思います。
ただそれにしてもこんな事件でも容疑者を捕まえられるとは、警察の捜査もなかなか捨てたものではありません。犯行はどれも夜中に行われていたようで、しかも犯人は変装をしていたとのことですが、周辺の監視カメラなどの情報を元にこうやって特定するところまできたそうです。
ここで話は中国に変わりますが、会社の同僚によると何でも北京での強盗や殺人といった事件の検挙率は99%超に及ぶそうです。こうした重大犯罪を犯した場合はよっぽどのことがない限りは検挙されるそうですが、これほどの高い検挙率の裏にあるのは先ほど出てきた監視カメラの存在が大きいようで、実際中国の大都市で歩きながら観察していると確かに監視カメラがあちこちについているなという気がします。
何気に上海人である友人の父親は監視カメラを作る会社で働いていたそうなのですが、どうも話を聞いていると国有企業だったそうで、このことを前の会社の同僚に話したら、「中国は監視社会なだけあって監視カメラも国が自分達で作るんだね」と指摘され、妙に納得したことがありました。
ただ中国が監視社会であることは置いておいても、こと治安に関しては監視カメラが多い方が良いに決まっています。日本では私の見る限りだとまだ監視カメラに抵抗を持っている人が多く、曰くプライベートが覗かれそうだとか見られたくないところを見られるとかありますが、私に言わせれば「見られて恥ずかしいようなことをする方が悪い」ように思え、こうした声は参考に値するのかというと疑問です。
さすがにトイレの中とか銭湯の脱衣所にまで仕掛けたりするのはやりすぎだと思いますが、人通りの少ない通りや、ひったくりなどの軽犯罪が多発している現場などには今よりももっと多く置いた方が示威効果も期待できるだけに価値がある気がします。あと極端な話、電車の車内にも置くことで痴漢犯罪、痴漢冤罪、暴力行為なども抑止できたりするのではとも思えます。
最後に、監視社会についてもう少し述べておくと、見られること自体は何の束縛でもありません。真の束縛とは発言を許さない言論統制のような行為で、何かの発言を門に処罰されたり拘束されたりすることがあって初めて監視社会だというような気がします。その点で言えば日本は天皇に関する危険な発言以外は何でも許されるだけに、別に監視カメラを置いたとしてもそれほど問題ではない気がします。
逆に中国はですが、この前リアルに取引先の中国人に、「中国にはもちろんありますが、でも日本にも多少は言論統制ってあるでしょ?」って言われ、やっぱこっちの人は言論統制があること自体が自然なんだなと再認識させられました。
2015年9月13日日曜日
ルワンダ虐殺の歴史伝承
このブログでも解説記事を多く載せているのでわかるでしょうが、私は相当な歴史好きです。この傾向は小学生時代から始まっており、この手のタイプとしてご多分に漏れず自分も歴史に名を残したいという野心は少なからずあり、このブログも将来誰かに資料として読まれることを前提として書いている記事もあったりします。とはいえ現時点ではとても歴史に名を残すようなことはおろか重大な歴史事件にも関わることもない平穏平生な人生を歩んでいるのですが、唯一といっていいものか微妙ですが、世界史に刻まれたある事件に対してほんの一瞬、ちょっとだけですが触れたような感覚を持つことがありました。
それがあったのは私が北京に留学していた頃で、当時週に一度行われる会話の授業にてアフリカ出身のクラスメートと一緒になりました。最初は、「あ、黒人だ」っていうくらいで別に意識することもなく、また授業中でもそんなにから見なくて一回だけ、「日本語にも中国語の発音法則の四声ってあるの?」と聞かれたくらいしか関わりがなかったのですが、授業中のふとした会話から彼がルワンダ出身だということがわかりました。その際に授業の講師は、「ルワンダというと、あのフツ族とツチ族の内戦があった場所だね」とだけ話し、それ以上はどちらも深く会話せずにまたいつも通りに授業へ戻りました。ただこの瞬間、あの虐殺の現場にいたかもしれない人と自分は今同じ場所にいるんだと、私一人で強い意識を持ちました。無論、当人に詳細を確かめるようなことはできませんでしたが。
・ルワンダ虐殺(Wikipedia)
ルワンダというのは中部アフリカにある国の事で、他のアフリカ諸国同様にかつてはドイツ、次いでベルギーの植民地でした。この地にも元々住んでいた民族がいたのですが、植民に来た白人は彼らのうち遊牧を主としていた人たちをツチ族、農耕を主としている人たちをフツ族と分け、恐らくは支配を合理化するために片方のツチ族を優遇するといった政策を取りました。
なおこの民族を分ける境界線はほとんどあってない物で、両社ともに言語や文化を共通しており、見かけには多少の違いがあると言われるものの互いにIDで確認する以外はどちらに属するか判断できないくらいに差はなく、民族系統的にはほぼ同じ民族だと言っても過言ではないでしょう。しかし白人による政策での扱いの違いから多数派のフツ族はツチ族に対して根深い反感を持つようになり、独立を果たした後もその感情はずっと積もっておりました。
そうした中で起きたのが、1994年のルワンダ虐殺です。詳細は上記リンク先のウィキペディアに詳しく解説されておりますが、フツ族を中心とした政府、民間団体が結託して入念な準備が成された上で、当時の大統領が暗殺されたことをきっかけにルワンダ全土で一斉に引き起こされました。
この虐殺は文字通り民族浄化を目的としたもので、怨みがあるからとか戦略があるからなどという理由はなく、ただツチ族であるという一点でもって住人が大量に殺害されました。その犠牲者は当時のルワンダ人口の10~20%に当たる50万から100万人と言われ、老若男女の区別なく多くの人間が近隣の住民らの手によって殺されました。
この虐殺の計画自体は決行前から噂されており、国連平和維持軍の指揮官などは危険な状態にあるとして増援の派遣も要請しておりますが、これらに対して国連を始めとした国際社会はほとんど無視し続け、フランスに至っては虐殺を実行した政府軍を陰で支援していたとすら言われております。そして虐殺が開始されその実態が伝えられた後も国際社会は何の反応も示さず、隣国にいたツチ族の反政府軍が政府軍を打破して紛争が終るまでずっと続けられるのを放っておかれました。
仮にこういった虐殺が先進国内で起こっていたら、言うまでもないでしょうが国際社会は軍隊を派遣するなどして虐殺を止めるか住民を保護するようにと動くでしょう。しかしこの事件を取り扱った「ホテルルワンダ」という映画にて虐殺現場を撮影したカメラマンがルワンダ人の主人公に対し、「この映像が世界に放映されたとしても、きっと先進国の人間は『怖いね』とだけ言ってまたいつもの夕食に戻るだけだ」と、悔しげに話すシーンがありますが、私自身この言葉を否定することができません。
このルワンダの虐殺は時代的には非常に新しい事件であるものの、この事件について覚えている人間は現時点でもかなり少なくなってきているように思え、また事件以降に生まれた世代に至っては事件そのものを全く知らないという人も多いのではないかと思います。私自身もそこそこ年齢を積むまで文化大革命からクメールルージュについて全く知識がなかったですが、それでも小学生の時代でもナチスのユダヤ人虐殺を知っていたということを考えると、リアリスティックな意見を言えば人一人の命の重さには明確な差があると言わざるを得ません。
ただでさえ話題に上がることも少ないので伝わる量にも限界があることは百も承知ですが、知られないよりはやはり知っておくべき事件だと思え、ちょうど欧州でシリア難民が問題となっている時期でもあるだけにここでひとつ紹介しようと思い立ちました。
それがあったのは私が北京に留学していた頃で、当時週に一度行われる会話の授業にてアフリカ出身のクラスメートと一緒になりました。最初は、「あ、黒人だ」っていうくらいで別に意識することもなく、また授業中でもそんなにから見なくて一回だけ、「日本語にも中国語の発音法則の四声ってあるの?」と聞かれたくらいしか関わりがなかったのですが、授業中のふとした会話から彼がルワンダ出身だということがわかりました。その際に授業の講師は、「ルワンダというと、あのフツ族とツチ族の内戦があった場所だね」とだけ話し、それ以上はどちらも深く会話せずにまたいつも通りに授業へ戻りました。ただこの瞬間、あの虐殺の現場にいたかもしれない人と自分は今同じ場所にいるんだと、私一人で強い意識を持ちました。無論、当人に詳細を確かめるようなことはできませんでしたが。
・ルワンダ虐殺(Wikipedia)
ルワンダというのは中部アフリカにある国の事で、他のアフリカ諸国同様にかつてはドイツ、次いでベルギーの植民地でした。この地にも元々住んでいた民族がいたのですが、植民に来た白人は彼らのうち遊牧を主としていた人たちをツチ族、農耕を主としている人たちをフツ族と分け、恐らくは支配を合理化するために片方のツチ族を優遇するといった政策を取りました。
なおこの民族を分ける境界線はほとんどあってない物で、両社ともに言語や文化を共通しており、見かけには多少の違いがあると言われるものの互いにIDで確認する以外はどちらに属するか判断できないくらいに差はなく、民族系統的にはほぼ同じ民族だと言っても過言ではないでしょう。しかし白人による政策での扱いの違いから多数派のフツ族はツチ族に対して根深い反感を持つようになり、独立を果たした後もその感情はずっと積もっておりました。
そうした中で起きたのが、1994年のルワンダ虐殺です。詳細は上記リンク先のウィキペディアに詳しく解説されておりますが、フツ族を中心とした政府、民間団体が結託して入念な準備が成された上で、当時の大統領が暗殺されたことをきっかけにルワンダ全土で一斉に引き起こされました。
この虐殺は文字通り民族浄化を目的としたもので、怨みがあるからとか戦略があるからなどという理由はなく、ただツチ族であるという一点でもって住人が大量に殺害されました。その犠牲者は当時のルワンダ人口の10~20%に当たる50万から100万人と言われ、老若男女の区別なく多くの人間が近隣の住民らの手によって殺されました。
この虐殺の計画自体は決行前から噂されており、国連平和維持軍の指揮官などは危険な状態にあるとして増援の派遣も要請しておりますが、これらに対して国連を始めとした国際社会はほとんど無視し続け、フランスに至っては虐殺を実行した政府軍を陰で支援していたとすら言われております。そして虐殺が開始されその実態が伝えられた後も国際社会は何の反応も示さず、隣国にいたツチ族の反政府軍が政府軍を打破して紛争が終るまでずっと続けられるのを放っておかれました。
仮にこういった虐殺が先進国内で起こっていたら、言うまでもないでしょうが国際社会は軍隊を派遣するなどして虐殺を止めるか住民を保護するようにと動くでしょう。しかしこの事件を取り扱った「ホテルルワンダ」という映画にて虐殺現場を撮影したカメラマンがルワンダ人の主人公に対し、「この映像が世界に放映されたとしても、きっと先進国の人間は『怖いね』とだけ言ってまたいつもの夕食に戻るだけだ」と、悔しげに話すシーンがありますが、私自身この言葉を否定することができません。
このルワンダの虐殺は時代的には非常に新しい事件であるものの、この事件について覚えている人間は現時点でもかなり少なくなってきているように思え、また事件以降に生まれた世代に至っては事件そのものを全く知らないという人も多いのではないかと思います。私自身もそこそこ年齢を積むまで文化大革命からクメールルージュについて全く知識がなかったですが、それでも小学生の時代でもナチスのユダヤ人虐殺を知っていたということを考えると、リアリスティックな意見を言えば人一人の命の重さには明確な差があると言わざるを得ません。
ただでさえ話題に上がることも少ないので伝わる量にも限界があることは百も承知ですが、知られないよりはやはり知っておくべき事件だと思え、ちょうど欧州でシリア難民が問題となっている時期でもあるだけにここでひとつ紹介しようと思い立ちました。
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