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2015年11月2日月曜日

誰のためのハロウィンなのか

 昨夜、友人からスカイプでの文字チャットにて、こんな一言を突き付けられました。

「なにこれ?ハロウィンだからデーモン?」

 この発言の背景を一から説明すると、これまで私はスカイプでのプロフィール画像に漫画「ハンター×ハンター」に出てくるゴレイヌというキャラのイラストを使っていました。顔アップの。なんでこんなの使っていたのかというとこのキャラはお笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリがモデル、というかまんまゴリなキャラクターで、見た目にインパクトあるからプロフィール画像に使うと面白いかもと思ったからでした。
 ただそんなゴリ、じゃなくてゴレイヌの画像をこの度使うのをやめ、代わりのプロフィール画像に選んだのはなんとデーモン閣下の顔アップ写真でした。何故こんなのを使おうとしたのかというともちろんハロウィンだからではなく、元々がインパクトある風貌だし百人が百人とも一目見て、「あ、デーモンだ」とわかるからプロフィール画像として使うのにうってつけじゃないかとふと三日くらい前に思いついたからです。反応は上々で、「なんか右下に緊急気象情報らしき映像が映っているんだが」というツッコミと共に歓迎されています。まぁネットで検索して適当に引っ張ってきた画像使ってるしな。

 このままデーモン閣下について細々としたことを語り続けてもいいのですが本題に映ると、先週末はハロウィンということでなんか渋谷で大騒ぎだったと日本のニュースで報じられています。こちら上海でももちろん盛り上がっていたと言いたいところですが日本ほどこのイベントが普及してないこともあってか、一部の西洋風のバーでハロウィンの特別メニューが作られたり、コスプレした人たちがそのバーでくつろいでいる以外は路上で唾吐くおっさんたむろういつもの中国でした。なお上海人といちゃいちゃしながら歩いている最中に見かけた中だと、かなり本格的にマリオとルイージのコスプレしてた人が一番印象的でした。っていうかハロウィンと何も関係ねぇし。

 このハロウィンについてですが、正直に申し上げるとそんなに興味もないし参加したこともないので本場はどうなのか、どんなお祭りなのかについては詳しくありません。そんなどうでもいい告白をした上で一言言わせてもらえば、「これって子供のためのお祭りじゃないの?」ってところです。
 自分が知るハロウィンは子供が仮装して家々を回りながらお菓子をもらうお祭りだと思うのですが、日本のニュースを見ている限りだと子供というよりは大人がコスプレして街へ繰り出すのがメインであるかのように報じられて、私の知ってるハロウィンとなんか違うようなと感じて違和感満杯でした。でもってそんな変な格好した大人が大量に来るもんだから繁華街は交通整理で大変だし、去った後は大量のゴミが残されてえらいこっちゃで、これは誰のためのお祭りなのかという疑問が湧いてしょうがありませんでした。

 元々、このハロウィン自体が商工業関係者が消費を増やすために流行らせたイベントであって間違いないのですが、それにしたって本旨に戻ってもうちょい子供をメインにすべきじゃないのかと思えてなりません。少なくとも、コスプレすることがメインなお祭りになっては本末転倒でしょう。
 それと同時に、やはり日本社会はもうちょっと子供を大事にした方がいい気がします。以前にも書きましたが日本は他国と比べてびっくりするくらい家族関係が希薄で、特に最近は少子化ということもあって子供向けのイベントがなんか減ってきているような気がします。そういう時期だからこそもっと子供を中心においてイベントは盛り上げなければと思うのですが、そんなのってやっぱり自分だけなのかな。

 最後に私の仮装というかコスプレ遍歴を述べると、大学一回生の頃にバイト仲間に誘われてコスプレイベントに参加した際は麦わら帽子かぶるだけでいいからと「ワンピース」のルフィをやりましたが、「意外と筋肉質だから似合っている」と言われてつくづく自分は着やせするタイプだと思いました。
 これともう一つコスプレ経験があり、知ってる人には有名ですが成人式に新撰組の羽織袴着た上に鉢巻撒いて出陣してきました。自分でやりながら、「成人式とコスプレイベントを間違えてるんじゃないのか?」と思いつつ周りから写真撮られたりして、友人からは「マジてやってきたんだ……」と言われたりしてましたが、そんな経験があるからこそ今年のハロウィンに疑問を感じたのでしょう。

2015年11月1日日曜日

上海の新世界大丸百貨店に行ってきた



 昨日は上海に遊びに行って、一泊して、今日昼間に昆山潜伏地へと帰ってきました。上海を訪れたのは友人の上海人に日本で買ってきたお土産(太田胃酸)を渡すためでしたが、待ち合わせ場所に指定された上海体育館(上海スタジアム)で地元上海のサッカーチームである上海上港集団足球俱楽部の監督で前にイギリス代表も率いていたスヴェン・ゴラン・エリクソン氏を見かけたので写真をパチリしてきました。正直サッカーはあまり詳しくないのでこの人がどういう人かわからなかったら、「いいから写真撮っておけ」と上海人に言われて取ったので記念にはっつけておきます。

 エリクソン氏のパパラッチに成功した後は日系ラーメン屋で食事して繁華街の南京路へ行ったのですが、その際に今年5月から正式オープンしている「新世界大丸百貨店」を訪れてみました。ここは日本の大丸百貨店が出資は一切せず、中華系デベロッパーに運営業務などを指導する形で作られた百貨店なのですが、上海一の目抜き通りというか一番人間がごった返す交差点にあるだけあってなかなかもって大きなお店でした。
 でもってその中身も凄かったというか、香港を含む中国のホテルや百貨店は風水を気にする関係から必ずと言っていいほど吹き抜けを設けるのですが、この新世界大丸百貨店では一階から最上階に至るまでとんでもなく幅広い吹き抜けを設けており、よくもまぁ床面積を犠牲にしてまでこれほどの吹き抜けを作ったものだと度肝を抜かされました。しかもその吹き抜けをつなぐエスカレーターも趣向を凝らしており、生憎写真は取ってきていませんがなんと螺旋式の自動エスカレーターとなっており、普通に見ていて「あれ乗ってみたい」と思う設備でした。

 訪れたのは夜遅くだったので既にほとんどのお店が締まっており、ゆっくりお茶することも出来ず結局その晩はホテルで上海人と裂きイカを食べる羽目となったのですが、控え目に言ってもなかなかよくできたデパートで、今後も客入りがかなり期待できるのではないかと思います。テナントも日系ではパッと目についたのがJINSくらいだし、いい感じにコラボ出来ている気がします。

 ちなみに螺旋式エスカレーターで登っている最中、中央にある透明なエレベーターの中でカップルがキスしている所を目撃したので、「なんやあいつら、エレベーターの中でちゅっちゅしとるで」と言ったら上海人が、「僕たちもエレベーターに乗るかい?」と妙な誘いをかけてきました。もちろん乗りませんでしたが、アルコール入ってなかったのにやけにこの晩はテンション高かったな。

2015年10月30日金曜日

一人っ子政策の廃止について

 昨夜突然発表されて今朝はどこの新聞やネットも報じていたので皆さんも知っておられるかと思いますが、中国が人口制限のために過去36年間にもわたってこれまで実施してきた一人っ子政策を中国政府は昨夜、廃止することを発表しました。この一報は新華社電で一行だけ、「一人っ子政策を今後廃止する」という文字だけで告知されたとのことですが、これだけ長期に渡って行われてきた中国の政策なだけに文字通り歴史が変わった瞬間に立ち会えたと喜びたいのが偽らざる私の心情です。

<一人っ子政策の背景>
 説明するまでもないですが中国は世界最大の人口を保有する国で、その多すぎる人口は様々な面で歪みを生むことから36年前、一人の夫婦に対して出産は一人しか認めないという一人っ子政策が打ち出されました。二人目以上の子供を産んだ夫婦に対しては罰金を科すなどして厳格に人口制限を行い続けてきましたが、それが今回廃止に至った背景は何なのかというのが誰もが気になる所でしょう。
 大方の所はほかのメディアでも解説されているようにこれ以上の人口制限は国家運営に当たってマイナスになると政府が判断したためと見て間違いないでしょう。私の記憶が確かならそれまでずっと増え続けてきた16~60歳までの中国の労働人口は2011年か2012年に初めてマイナスへと転じ、このまま一人っ子政策が続けば極端な少子高齢化社会を生んで社会の混乱を招くという指摘は以前からありました。

<どうして廃止したのか>
 中国は現時点で10年前ほど労働人口が余っておらず人件費も大分上がってきており、目下人件費という面では他の東南アジア諸国と比べてもそれほどアドバンテージはなく、もはや輸出を中心とした経済成長は前みたいに上手くいかない状態にはあります。しかし、だからと言って労働人口はこれ以上増やさなくていいかとなるとまた話は別で、今後は国内需要、特にサービス産業を振興するためにも労働人口の確保が重要となってくるため、それこそ都市部での3K労働の担い手が依然と必要であるため今回の一人っ子政策廃止に動いたと私は見ています。

<緩和策では効果少なく>
 なお一人っ子政策自体は以前からも緩和され続けており、特に上海を始めとした大都市部では一人っ子同士の夫婦には二人目の出産を許容するというか、むしろ二人目を生んでくれと市職員が回って伝えるほどでした。しかしそうした緩和策はどうやらほとんど機能していなかったようです。
 理由は簡単に、中国でも育児費用が激しく高騰し続けているからです。小学校入学前の幼稚園費用などの面では既に日本の水準を上回っているんじゃないかというくらい高騰しており、また大学進学までを考えるととても二人以上は育ててられないというのが都市部中国人の考え方で、恐らくこう言った背景からこれまで大都市限定で行われていた緩和策はほとんど効果を生まなかったのではと思います。

<二人目以降を産む夫婦は増えるのか>
 では今回の完全廃止で二人目以降を生む夫婦は増えるのか?私の考えとしては「YES」で、大都市部においては先ほど述べたように育児費用、学費の問題からそれほど増えないでしょうが農村部では未だに子沢山信仰が強いように思え、こういった地方でも二人目出産がOKとなれば生もうとする夫婦はたくさんいるのではと思えます。
 更に言えば中国政府として一番求めているのは、先ほど挙げたような都市部で3K労働を担う底辺労働者でしょう。現在この層を埋めているのは地方からの出稼ぎ者で、そういう意味では地方で出産が増えるのは願ったりかなったりだし、都市部の人はそれほど産もうとしないから政策廃止したって劇的に、爆発的には増えないだろうという見込みもあったのではと推測しています。

<無戸籍者の扱い>
 最後にもう一つ、他のメディアが全く触れていなくてやや不満に感じた点として、今回の一人っ子政策廃止と共に今後どうなっていくのかが気になるカテゴリーとして無戸籍者の扱いがあります。
 これまでは一人っ子政策によって二人目意向を産むと罰金が科せられ、特に収入の少ない農民は大きな打撃となっていました。そのためもし二人目以降が生まれた場合、その子供はきちんと認知せず戸籍上存在しないまま育てられ、そのまま義務教育を始め何の行政サービスも受けられない大人となってその地域で細々と生きていくしかありませんでした、生きているのに戸籍上は存在しない人たちで、正直に言って同情に余りあります。

 変な話ですがこちら中国にいてもこういった無戸籍者の話はあまり目につかないというか、普段生活していて話題に上がることはほとんどありません。むしろ日本にいる時の方がこの問題に触れる機会が多く、以前訪れた飲食店の店長から、「この近くに立っている外国人娼婦はみんな中国の地方からきている女性で、本国には何人も子供がいるそうですが一人目しか戸籍がないそうです」などと、ダイレクトな事情を聞くことが出来ました。
 その店長によるとたまにその飲食店に来て身の上話をする娼婦がいるそうなのですが、日本で街に立って数ヶ月我慢して働けば本国で数年暮らせるお金が手に入るだけに、そういったわけありの中国人女性が日本へ来るのに後が絶たないそうです。また街に立つにはちょっと年齢行ってしまった女性になると、今度は手配屋になって後から来る女性をまとめて仕切り屋となってお金を稼ぐなどと、時間あれば直接インタビューして社会学の論文に使いたい内容を教えてもらいました。

 正直な所、無戸籍者というのはどれくらいいるのか、本当にいるのかそれまではピンときませんでしたが、やはり大都市部ではなく地方では未だにたくさんいるような感じがします。今回の一人っ子政策廃止によって二人目までは無許可で産めるので少しは減るかもしれませんが、それでも今いる人たち、また三人目以降に生まれてくる人たちがまだまだ戸籍がないままの存在でいるでしょう。
 ここで私が何を言いたいのかというと、中国は統計以上に労働人口を抱えているということです。一見すると少子高齢化に見えますが実体的には統計で出ているほど歪ではなく、労働人口層はもっと太いというか多くいるでしょう。それこそこういった無戸籍者救済のため正式な戸籍登録を罰則なしで認めてやれば、人口バランスは一気にとまではいかなくとも多少の改善が期待できるかもしれません。まぁきちんと実態調査がされていないのでどれくらいかはわかりかねますが。

 私個人としては一人っ子政策を廃止するのであればこうした無戸籍者に対しても目を向けてほしいものです。政策がなくなるのだからもうそこに存在する人はしょうがないと割り切って、少しでも救済に動くのであればまだ評価できるのですが。

  おまけ
 本日、日本のゴム製品メーカー大手のオカモトの株価が10.14%も下落しました。例の上海人が教えてくれたのですが最初は何のことがわからずなんやねんと聞き返したら、「一人っ子政策が廃止され中国という巨大なコンドーム市場の需要が落ちると見られたからだろう」という回答を聞き、日本も全く部外者ではなかったのかとちょっと驚きました。実際、日本製ということもあって中国でも人気だそうだし、どこのスーパーやコンビニ行ってもオカモトの名前を見たりします。

2015年10月29日木曜日

千葉のマッドシティ~バーガーキング松戸西口店(閉店)


 昨夜、友人からスカイプで、「知ってるかもしれないけど松戸駅前のバーガーキングが潰れたぞ」という通知を受け、何故かやたらとショックを受けて今日はこの記事を書こうとその場で決心しました。ってか昨夜は友人とスカイプで日本シリーズの実況中継を楽しんでたので久々に休んじゃったけど。

 知らない人にはさっぱりちんぷんかんぷんでしょうが松戸駅の西口を出て伊勢丹方面へ向かって立体歩道を歩いて階段を下りると、不二家レストランの隣にこのバーガーキングがありました。このバーガーキングには私自身もよく行ってて、多分松戸に潜伏している最中は週一くらいのペースで通っててポイントもどんどんたまるもんだからスチール製マグカップももらうくらいに通ってました。
 なんでそんなに通ったのかというと、一に駅から近いので帰りに寄りやすかったのと、二にバーガーチェーンでこのバーガーキングが実は一番好きだったためです。バーガーキングはマクドナルドと比べてバーガーのボリュームが大きく、晩飯に食べる量としては私にとってちょうどいいボリュームだったので数年前から好んで通うようになりました。

 ちなみに昔の自分であればファーストフード店に週一で通うなんて不健康じゃないかと懸念したでしょうが、香港で働いていた時に毎日夜遅くに帰るもんだからマクドナルドかバーガーキングしか選択しなくてしょうがなく通っていても健康は全く崩れる様子はなく、「要は栄養とかよりも日々のストレスの方が体に悪い」と開き直ってからはファーストフードに抵抗がなくなりました。そのせいか今でも毎週マクドナルドかケンタッキーに行っては優雅に食事しています。

 話は戻りますがこの松戸店は潜伏地にも松戸駅にも近いもんだから本当によく通っており、仕事帰りにここでメシ食いながらパズドラするのが私の中で一種ステイタス化していました。ある日などは「1000円出せば30分おかわりし放題」のキャンペーンに乗ってハンバーガーセットを2セット食べたこともありました、重量的にはそれほどでもない量であるものの、元々のカロリー数が半端じゃないせいかこの時はさすがに私も「ねこあつめ」の「まんぞくさん」みたいにお腹パンパンになって帰る足取りが重くなったこともありました。それでも翌週にはまた来たけど。

 そんなそこそこ思い出のあるバーガーキングが潰れてしまって、まぁショックと言えばショックです。松戸駅周辺の店ではここ以外にも地下にある喫茶店と元ラリーストがやってるカレー屋にもしょっちゅう通っていましたが、それらに負けず劣らず通っていた店なだけに文字通り行きつけの店の消失と言っていいでしょう。潰れたってことはやっぱり客が多くなかったってことでしょうが、マクドナルドを含めてファーストフードチェーンはこのところ逆風が吹いているだけにきつかったのかもしれません。

 あとこれは友人の意見ですが、「松戸じゃやっぱりハンバーガーよりもラーメンの方が受けるんじゃないか」という、ジャンルの違いも原因として考えられます。何度かこの連載でも取り上げていますが松戸は知る人ぞ知るラーメン激戦区で、松戸駅前にも「なんでこないいっぱいあんねん」と思うくらいにラーメン屋がたくさんあります。まぁ自分がいつも行くのは松戸駅東口前の日高屋で味噌ラーメンしか頼まないんだけど、この前店の中で宮崎大医学部に通う友人と携帯で話してたら店員に、「携帯での通話はご遠慮ください」と注意され、「あ、そういやここ中国とちゃうんや」と思って反省しました。

 話が横道逸れてばっかですが松戸で求められるファーストフードはハンバーガーではなくやはりラーメンなのか。確かにそういう雰囲気があり、マクドナルドも東口のゲームセンターと同じビルに入ってるけどなんか激しく混んでいる印象ないだけに、案外そうなのかもしれません。
 それにしても、あのバーガーキングがなくなったのか……。ちなみに今住んでる昆山市内にもバーガーキングがなく、しょうがないから今夜はマクドナルドでビックマック食って帰ってきました。

2015年10月27日火曜日

このところの車内広告

 今記事書いている最中ですが日本シリーズでスワローズの山田選手が三打席連続でホームランを打つという快挙をしたと速報が出て、文字通り目を疑いました。本当にこの人はこれからの日本野球界を日ハムの大谷選手などと共に引っ張ってく人なのかもしれません。

 話は本題に入りますが、今月初めに日本へ帰国した際にいつもの如く電車の車内広告を細かく観察しておりました。なんでこんなことをやるのかというと広告というのはその当時の社会を映す材料としては大きなもので、トレンドを見る上ではどんな広告が多いのか、またその広告に使われている効果はどんなものかを見ることで少なからず把握できると広告屋の息子なだけに子供の頃から意識してみていました。

 それで今回の帰国時に気になった点を挙げると、第一にまず「消費者金融からお金を取り返します」といった類の弁護士事務所の広告がすっかりなくなっておりました。2014年くらいまではいやでも目に付いたような気がしますが、どこをどう探しても一件も見つからないほど駆逐されてて時間の流れを感じるくらいです。その一方、空いた広告欄には何が入ってきたのかが気になる所ですが、私の見る限りだと一番広告量が多かったのはアコムやプロミスに代表される消費者金融だった気がします。

 さらっと書きましたが非常に皮肉な話で、グレーゾーン金利の撤廃によって大手を振っていた消費者金融が社会から散々叩かれ、その先鋒を弁護士事務所が行っていたというのにひとたび時間が流れたらまた消費者金融が大手を振って広告を出してしまうという。やっぱり叩かれても死なない連中というか企業というか。昔学生時代に友人が、「消費者金融の広告があちこちに貼られている社会ってどんなもんやろか」って言ったセリフが思い出されました。

 なおほかの車内広告となるとやっぱり疲れたサラリーマンに見せると効果があるのか転職会社関連が多く(ドアの窓に多い)、他は栄養剤とか学校の募集案内が目立つくらいでした。これらは万年同じで変化はなくそれほど興味はなく、電化製品とかの広告が昔と比べてずいぶん減ったなぁという印象くらいしか湧きません。
 あとこれは逆の話というか、都内の列車を見ていても広告欄に空きがある車両が数多く見られました。これは単純に広告主が出ていない証拠でもあるのですが、以前は地方ならともかく都内では確実にすべて埋まっていたことを考えると随分と人気が落ちたもんだなと思え、広告業界の苦しい現状が見て取れます。

2015年10月26日月曜日

平家物語と日本人


 いつも変な行動ばかりとっているヤクルトスワローズの畜ペンことつば九郎ですが、この写真には一瞬うるっとさせられました。まぁこの時は高橋由伸選手の監督就任はまだ決まってなかった段階でしょうが、発表された後で見ると一味違います。

 それで話は本題ですが、先日私は「腐女子のDNA」という記事で源氏物語が日本古典文学の最高峰の様に取り扱われるのは過大な評価では、支持層の大半は昔も今も女性ではないのかということを主張しました。ならば日本古典で何が最大の傑作なのか少し考えたところ、すぐ出てきた結論というのは平家物語で、下手すればこれは現代にも続く日本人の価値観を形作った作品ではないかと思えてきました。

 平家物語とは何かについての解説はするまでもないでしょうが、この作品のテーマは何かとなるとそりゃやっぱり「無常観」という言葉に尽き、言い換えれば「滅びの美学」といったところになるでしょう。権勢絶頂期の平家の記述から始まり、その平家が源氏によって徐々に追い詰められ没落し、またその平家を打倒した源義経もまた兄頼朝によって追い込まれるという過程は冒頭で語られる「諸行無常」以外の何物でもありません。
 こうした滅びの美学をテーマにした悲劇作品は日本に限らず他の国や文化圏においても数多く見られますが、それらを考慮してもやっぱり日本人はこういう無常系作品を好む傾向が強いような気がします。この平家物語以降も太平記や忠臣蔵、人物においても来年の大河に使われる真田幸村や新撰組など、勝利の栄光を勝ち取る側よりも滅びゆく側に強いスポットが当てられ共感する人間も多いように思え、実際、栄光の大勝利で終わる作品といって私がパッと浮かぶものと言ったら「坂の上の雲」こと日露戦争ものしかないような気がします。

 また文学作品のみならず、「徒然草」や「葉隠」といった無常観を主とする随筆や思想書も後の世に生まれていますが(徒然草は平家物語と同時期に成立したのかもしれませんが)、うがった見方をすると平家物語の価値観が日本人に根付いて、だからこそこうした無常系作品が未だに受け入れられているのでは、大きく出れば日本人の魂を形作ったのは平家物語じゃないかとすら思えてきたわけです。桜の鑑賞においても満開ではなく塵り際こそが最高潮とされ、命が誕生したり、最高に輝いている瞬間ではなく、事切れる直前の最後の灯にこそ日本人は美を見出しており、現代においてもこれは大きく変わらないでしょう。

 無論、平家物語の思想背景には仏教、そして中国から渡ってきた老荘思想が大きく影響しており、根っこは何かとなればこの両者だと断言できます。しかしこと文学作品の枠で見ればこの平家物語が無常系のトップランナーで、また日本人の価値観に強い影響を与えている可能性を考えると、古典最高峰として置くにはこの作品しかないというのが私の意見です。

 最後に以前にも昔書いておりますが、私の曾祖母は平家の隠れ里出身だったため私も家系的には平家寄りだったりします。

2015年10月25日日曜日

私の記憶の仕方

 また本題と関係ないですが映画評論家の前田有一氏がこのほど、幸福の科学が有り余る予算を使って作った「UFO学園の秘密」というアニメ映画の批評を行っていたので今日読んでみました。批評内容の概要を私なりに述べると堂々たる予算を使っているだけあってアニメーションの出来も悪くないものの、後半に待ち受ける教義丸出しな説教的展開によって見に来る人間を選んでしまっているというものでした。その上で前田氏は、「個人的にはネット民が喜ぶ架空戦記など作ればウケるのではないかと思うのだが」と踏まえた上で、

「尖閣諸島にせめこんだ中国軍の快進撃と、トボけて高みの見物を決め込むオバマを前に、安保法制も日米安保条約も無力と知り絶望する日本人。陰で握手して笑う中米の最高指導者たち。尽くしてきた恋人アメリカにふられ、涙目の安倍首相。そこに突如現れたエル・カンターレ(山本太郎)が日本を救う──なんてストーリーを、リアリティあふれる軍事スペクタクルとしてぜひ作ってほしい。」

 なんていいますか、普通に見てみたいなこんな映画と思ってしまう自分がいました。

 そんなわけで本題に入りますが、先日高校時代の友人に高一の頃にあった別のクラスメートとの思い出話を聞かせました。内容はそんな大したものではなく、入試の手伝いのため休日に登校して手伝った後に学校から振る舞われたのは牛丼だった。でもって食べようとしたら牛肉一枚を床に落としてしまったので蓋の上に置いておいたら蓋に貼り付いた肉を自分が気が付いてないと思ってクラスメートが盗み食いした。「それ床に落ちた肉だよ」と伝えたら「早く言えよ」と言われ、手伝いが終わった後はそのクラスメートと別の友人と一緒にカラオケに行ったという内容でした。

 内容自体はそれほど大したものではないですが、友人曰く「怖いくらいに細かいことをなんでも覚えてるよね」とのことでした。別にその友人に限らなくてもほかの人からも私の記憶力については誉められるというか畏怖されることが多く、特に多い反応として、「そんなこと言ったっけ?」という、言った本人すら覚えていない過去の発言を私は覚えていることが多く、その発言時の情景、前後の会話などを含めて説明すると相手も記憶を取り戻していくのですが大抵、「なんでそんなこと覚えてるの?」と、非常に不気味そうな目で相手は私を見てきます。

 実際の所、こうした記憶力を披露する相手は前もって選んでいます。というのも気味悪がられるのを私自身もわかっており、数年前にあったことなどを話しのネタになると思いつつも敢えて口には出さずスルーすることも少なくありません。学生時代の友人などはある時私の記憶力について、「誰がどういう順番でどんなことを言ったのかを全部記憶していて、たまにコンビ芸人のネタも全部言ってしまうこともあるが正直怖い」と評していました。
 本人としてはそれほど特別なことをしている自覚はなくただ何となく覚えているから口にしているだけなのですが、周囲の反応を見ている限りだとやっぱり異常な記憶の仕方をしているんだとは考えています。ただ記憶力がいいといっても物覚えという意味ではそんなに大した水準ではなく、たとえばIQテストの様に短時間でどれだけ覚えるかといったものは実は苦手で、あと相手の顔と名前を覚えるのは実は苦手だったりします。

 では私の記憶で際立っているのは何か。恐らくですが何をどれだけ記憶するかというより、一度記憶した物を意識化に呼び覚ます能力の方じゃないかと分析しています。会話の中で関連するキーワードが出てきたら、「ああ、それなら」という具合にデータベースから関連する項目の記憶を引っ張ってくる「引き」が強いため、何年も前の出来事や会話なども一瞬で思い出して来れるのではと考えています。

 私自身、15歳くらいの頃から意識的に記憶力を高めるよう心掛けてきましたが、どっちかっていうとそうした心がけや行動よりも今の自分の記憶力は先天的な要素が大きいように思えます。そんな自分と比べて周囲の人間の記憶の仕方について比較すると、なんていうか記憶の整理の仕方が自分とは違うんじゃないかとこの頃思えてきました。
 記憶を本にたとえると、周囲の人は古い本の上に新しい本をどんどん積み重ねていくようなスタイルをしており、そのため新しい記憶は上の方にあるからすぐ持ってこれるけど古い本は下の方に埋もれているため引っ張り出すことはおろか探すのにも苦労します。
 それに対して私の場合は本棚に横並べするようなスタイルで、新しい本も古い本も背表紙を向けてずらっと並んでいるので一目で探したい本を見つけ取り出せる。感覚的にはこんな具合で、一度覚えた内容であれば、もちろん新しい方が思い出しやすいですが、古い記憶も新しい記憶もそれほど差がなくさっと引っ張り出せるというのが大きな特徴のような気がします。